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『今日からぼくが村の映画館』あらすじ感想と評価解説。ペルーの“映画に魅せられた少年”の物語はアンデス版『ニューシネマパラダイス』!!|映画という星空を知るひとよ286

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第286回

南米ペルーの雄大なアンデス山脈に囲まれた小さな村を舞台に、映画に魅せられた少年の成長を描くハートウォーミングストーリー『今日からぼくが村の映画館』。


(C)Casablanca Cine 2019

本作は、セサル・ガリンド監督の長編2作目です。少年シストゥが初めて映画を目にしたときの好奇心と驚きに満ちた表情、村人たちに映画の魅力を伝える愛くるしい行動が絶えることなく映し出されます。

アンデス版の『ニュー・シネマ・パラダイス』(1988)の誕生と言われる映画『今日からぼくが村の映画館』は、2026年4月17日(金)より新宿武蔵野館ほかで全国順次公開されます。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『今日からぼくが村の映画館』の作品情報


(C)Casablanca Cine 2019

【日本公開】
2026年(ペルー・ボリビア合作映画)

【原題】
Willaq Pirqa, el cine de mi pueblo

【監督】
セサル・ガリンド

【脚本】
セサル・ガリンド、アウグスト・カバ、ガストン・ビスカラ

【編集】
ロベルト・ベナビデス

【キャスト】
ビクトル・アクリオ、エルメリンダ・ルハン、メリッサ・アルバレス、アルデル・ヤウリカサ

【作品概要】
『今日からぼくが村の映画館』は、セサル・ガリンド監督の長編2作目。ペルー映画記者協会2022では、5つの賞を同時受賞し、これまでの記録の中で最も多くの賞を受賞したペルーの長編映画で、アンデス版の『ニュー・シネマ・パラダイス』(1988)と言われています。

ペルーの公用語のひとつであるケチュア語が使われている本作は、“スペイン版アカデミー賞”と呼ばれるゴヤ賞のペルー代表に選出されました。

映画『今日からぼくが村の映画館』のあらすじ


(C)Casablanca Cine 2019

アンデスの小さな村に住む少年シストゥ。医者になるため毎日乗り合いバスに乗って学校へ行っています。

ある日、風が運んできた映画の広告を手にしたシストゥは、初めて見る映画の広告に興味がわきます。「映画は“動く写真”であり、町の映画館で観られる」と先生から聞き、町へ行きたくてたまらなくなりました。

ある日、行商に行く父親にこっそりと町へ連れて行ってもらいます。「仕事の手伝いをする」という名目でしたが、ひと段落したときにシストゥは映画を探しに行きました。

導かれるままにたどり着いた先は、移動映画館。そこで初めて“映画”を知ったシストゥは、たちまちその物語に魅了されます。

映画の面白さを話すシストゥに根負けして、村の人々も総出で映画を観に行きますが、スペイン語字幕のついた英語の映画が上映されます。

スペイン語が読める子どもたちは、映画のあらすじを説明しようと試みますが、スペイン語がわからない大人たちの当惑と苛立ちは募り、物語が理解できないことに失望し、映画は自分たちのために作られてはいないと感じました。

シストゥは、この日を境に、週に1回“映画の語り部”として、観た映画の内容を村のみんなに伝えることになりました。

ですが、ある日、移動映画館は別の町へ移動してしまい、姿を消しました。

大好きな場所がなくなり、シストゥの映画愛はどこへ向かうのでしょう……。

映画『今日からぼくが村の映画館』の感想と評価


(C)Casablanca Cine 2019

本作は、アンデスの小さな村で暮らす少年シストゥが、ある日観た映画に魅せられて“映画の語り部”となって村人に映画の魅力を伝えます。

畜産や農業で生計を営む村人たちは貧しく、村には娯楽というものがほとんどありません。子どもたちは、将来的にいい職業につけるように、学校へ行って勉強をしています。

村人が話すのは、ペルーの公用語のひとつであるケチュア語ですが、子どもたちは学校でスペイン語を習っていました。スペイン語を理解できない村人のために、シストゥは週に1度、町で観た映画を村人に語る会を持つようになりました。

翻訳のないころの映画は、言葉を理解できなければ内容がわからず、観ていてもつまらないものでしょう。シストゥの映画の語りは村人を喜ばせます。シストゥも次第に映画を語ることの喜びを感じ始めました。

このあたり、‟言葉の壁”というものを痛感せずにいられません。幼い頃のこの経験は、のちのシストゥに大きな影響を与えるのです。

また、村には遠く離れた町へ行って帰ってこない若者たちが何人もいます。

当時のペルーの政治情勢も匂わせた作品ですが、貧しいけれど実直で懸命に生きる村人たちと、アンデスの山に囲まれた彼らの住む村の暮らしぶりがとても美しく描かれています。

主人公シストゥを演じるルーキーのビクトル・アクリオの天真爛漫な自然体の演技は、好きなものに夢中になった子ども時代を思い起こさせ、懐かしい気持ちになることでしょう。

まとめ


(C)Casablanca Cine 2019

映画『今日からぼくが村の映画館』をご紹介しました。

舞台となるアンデス地方の大自然が美しい作品ですが、より一層美しく描かれているのは、シストゥ少年の映画へのひたむきな愛です。

映画に限らず、好きなものと出会った頃の気持ちは、一途で純粋なものです。シストゥは、誰かにこの良さを伝えたいと言う思いでいっぱいです。

彼の喜びと感動に輝く瞳を見れば、誰もが自分も経験したその頃の気持ちを呼び覚まされ、ほっこりと温かな気持ちになることでしょう。

映画『今日からぼくが村の映画館』は、2026年4月17日(金)より新宿武蔵野館ほかで全国順次公開!

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星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。



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