Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

映画『重ねる』あらすじ感想評価。釣りファン必見!フィッシング・恋愛ラブストーリーの誕生|映画という星空を知るひとよ232

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第232回

『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(2012)に出演した配島徹也が、自身の経験から着想した完全オリジナルストーリーの映画『重ねる』。

訳あって旅に出た加藤あゆみと、追われるように都会を去った平野一徹が織りなすフィッシングラブストーリー、映画『重ねる』は、2024年11月23日(土)全国公開

本作は釣り好きの配島徹也監督が、釣りと恋愛の映画を作りたいと制作した作品です。

岐阜県郡上市和良町と下呂市金山町の観光協会の賛同を得てロケ撮影を敢行し、訳あってやってきた都会人の心情が、雄大な自然を前に徐々にむき出しになっていく様を描き出します。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『重ねる』の作品情報


(c)記録活映社

【日本公開】
2024年(日本映画)

【原案・企画プロデュース・脚本・監督】
配島徹也

【撮影】
今西真基

【出演】
須田晶紀子、タモト清嵐、織田美織、竹川由華、末川かおり、小寺太、仁科かりん、荒岡龍星、曽我部洋士、杉山ひこひこ、関幸治、カトウシンスケ、大島葉子

【作品概要】
本作は、監督・脚本を手がけた配島徹也が自身の経験から着想したオリジナルストーリー。恋愛映画を作りたかった釣り好きの配島徹也監督が描いた、釣り恋愛映画です。

主人公のあゆみ役は、長編作品初主演の須田晶紀子、一徹役は『法廷遊戯』『REVOLUTION+1』(2023)『止められるか、俺たちを』(2018)のタモト清嵐が演じます。

ロケ地は岐阜県郡上市和良町と下呂市金山町。クライマックスで展開される釣りの大会には、現役の有名釣り師らも登場し、釣りと恋愛の映画に華を添えています。

映画『重ねる』のあらすじ


(c)記録活映社

訳あって旅に出た女、加藤あゆみ。仕事に失敗し追われるように都会を去る男、平野一徹。

季節は6月のはじめ、2人はそれぞれの目的のため里から離れた渓流にいました。川にかかる赤い橋の上にはあゆみ、下には一徹。そこで偶然滴る一滴の水が、2人の運命を結びつけました。

その夜、あゆみの宿泊先で再会を果たした、一徹とあゆみ。そこは一徹の実家だったのです。

一徹の両親の前で、2人は昼に起きたことの秘密を共有してしまいます。

岐阜県の大自然を舞台に、鮎の友釣りと村人の時間と感情が交差するとき、静かな恋が芽生えていきます……。

映画『重ねる』の感想と評価


(c)記録活映社

脚本も務めた配島徹也監督は、釣りが大好きだそうです。自身の経験に着想した完全オリジナル作品『重ねる』では、〈釣り〉と〈恋愛〉をテーマに盛り込み、まだ見たことがない物語作りを目指したと言います。

その言葉通り、作品には釣りが随所に登場します。メインのロケ地は、岐阜県郡上市和良町と下呂市金山町。

山と川の大自然が美しい景色を織りなすこの地で、都会からそれぞれの事情を抱えてやって来た、わけあり男女が徐々にその距離を縮めていきます。

自身の抱えているものに疲れ切った様子の主人公たち。自然に囲まれた土地で日々過ごすうちに、彼らが次第に明るい表情になり生き生きしていく様子が鮮明に描かれ、自然の中の暮らしはやはり心の癒しとなるのでは?と思えます。

この気持ちの変化を観るのも見どころですが、ただ‟楽しいこと”ばかりではありません。

「嘘は嘘で重ねてしまう」という一徹の友人の言葉が、タイトルの意味するところを示していると言えます。一つの嘘が次の嘘を招いていく……。

のどかでおおらかな釣り物語にどんな結末が待っているのでしょうか。

釣りの名場面とともに、そちらもご期待ください。


(c)記録活映社

まとめ


(c)記録活映社

配島徹也監督自身の経験から着想した完全オリジナル作品の映画『重ねる』。都会を離れた地方の山と川の織りなす美しい風景とその土地に住む人々との触れ合い、そこから生まれる温かな人情を見事に映し出しています。

映画『重ねる』は、2024年11月23日(土)全国公開

心を癒してくれる大自然の中で次第に心を通わせる男女。芽生えた恋の行く末には、アッと驚く結末が用意されています。

釣りの楽しさも披露している本作、鮎釣り大会のシーンで参加している現役で活躍する鮎の友釣りのトップトーナメンターたちにも注目です。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。

関連記事

連載コラム

大工原正樹映画『やす焦がし』あらすじと感想。映画美学校の講師と生徒が紡ぐ奇想のメルヘン|ちば映画祭2019初期衝動ピーナッツ便り4

ちば映画祭2019エントリー・大工原正樹監督作品『やす焦がし』が3月31日に上映 「初期衝動」というテーマを掲げ、2019年も数々のインディペンデント映画を上映するちば映画祭。 トークショーにて映画制 …

連載コラム

『りりかの星』あらすじ感想と評価解説。廣木隆一と三池崇史たちの怪演が見もののストリッパー・ムービー|映画という星空を知るひとよ202

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第202回 ストリッパーになりたいという娘と、それに反対する父との葛藤と和解を描く『りりかの星』。 ヒロインは映画初出演の水戸かなです。映画評論家の塩田時敏の初 …

連載コラム

『教皇選挙』あらすじ感想と評価レビュー。英アカデミー賞4冠のレイフ・ファインズ主演作ミステリーは宗教界の闇を描く|映画という星空を知るひとよ249

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第249回 レイフ・ファインズ主演で贈る、新ローマ教皇の座をめぐる極上のミステリー『教皇選挙』。 映画『教皇選挙』は、2025年3月20日(木・祝)TOHOシネ …

連載コラム

『ノエルの日記』ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。ラブストーリー映画でジャスティン・ハートリー×バレット・ドスが探す“母の輪郭”|Netflix映画おすすめ122

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第122回 疎遠だった母を亡くしクリスマスに帰省した小説家と、「生みの母」を探し続ける女性の出会いと心の交流を描き出したNetflix映画『 …

連載コラム

映画『君が落とした青空』原作小説ネタバレあらすじと結末の解説評価。ラストに感動が待ち受けるタイムリープ・ラブ|永遠の未完成これ完成である30

連載コラム「永遠の未完成これ完成である」第30回 映画と原作の違いを徹底解説していく、連載コラム「永遠の未完成これ完成である」。 今回紹介するのは、小説アプリ「野いちご」で「切ない小説ランキング」1位 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学