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Entry 2021/12/20
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映画『君が落とした青空』原作小説ネタバレあらすじと結末の解説評価。ラストに感動が待ち受けるタイムリープ・ラブ|永遠の未完成これ完成である30

  • Writer :
  • もりのちこ

連載コラム「永遠の未完成これ完成である」第30回

映画と原作の違いを徹底解説していく、連載コラム「永遠の未完成これ完成である」。

今回紹介するのは、小説アプリ「野いちご」で「切ない小説ランキング」1位を獲得した、櫻いいよの小説『君が落とした青空』です。

『思い、思われ、ふり、ふられ』の福本莉子と、「ジャニーズJr.Travis Japan」の松田元太を主演に迎え、『軍艦少年』のYuki Saito監督が実写映画化。2022年2月18日(金)、全国公開予定です。

恋人の事故を目の当たりにしパニックに陥った主人公・実結。目を覚ますと、それは事故当日の朝でした。その後何度も「同じ日」を体験する実結は、恋人・修弥が隠していたある事実を知ることになります。

果たして、実結は修弥を事故から救うことが出来るのか。修弥が隠していた事実とは。感動のラストが待ち受けるタイムリープ・ラブストーリー。

映画公開に先駆け、原作のあらすじ、映画化で注目する点を紹介します。

【連載コラム】「永遠の未完成これ完成である」記事一覧はこちら

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映画『君が落とした青空』の作品情報


(C)2022映画「君が落とした青空」製作委員会

【公開】
2022年(日本映画)

【原作】
櫻いいよ

【監督】
Yuki Saito

【キャスト】
福本莉子、松田元太、板垣瑞生、横田真悠、莉子、矢柴俊博、松本若菜

小説『君が落とした青空』のあらすじとネタバレ


(C)2022映画「君が落とした青空」製作委員会

今日は特別ツイてない気がする。高校生の実結は、教室の窓から雨が降る様子を見ていました。

朝からずっと嫌いな雨だし、朝ご飯は昨日の残りのカレー、母と大ゲンカして、授業での小テストは最悪、お弁当も片方に寄ってるし、今日はさっとと帰ろう。

そう思っていた矢先、「実結」と呼ぶ声に振り向くと、付き合っている修弥が立っていました。「放課後、映画いかないか」。断る理由もなく「いいよ」と返事をしました。

修弥とは中学2年の時からの付き合いで、まもなく2年になろうとしていました。「お前ら仲が良いよな。付き合っちゃえよ」というクラスメートの言葉に、修弥が「じゃ、付き合おうっか?」と乗ったのがきっかけで、実結は目を大きく見開くことしか出来ませんでした。

勢いで付き合ってしまったものの、実結はちゃんと修弥のことが好きでした。しかし、最近では一緒に登下校もせず、たまのデートは放課後の映画だけ。

いつからか手を繋がなくなり、ケンカをするのも億劫でわがままも言わなくなりました。

「深夜にクラスの女の子と修弥が歩いていた」という目撃情報に胸がザワツクも、「どうして私なんだろう」と自信もないまま、いろんなことを曖昧にして付き合っている感じです。

人の気も知らないで修弥はご機嫌のようです。「お前最近、元気ねぇな。もっと人生楽しめよ」。今日の自分の気分に不釣り合いな修弥の明るい笑顔が、チクチクと刺さります。

映画へ行く直前に、修弥のスマホが鳴りました。「ごめん、ちょっと用事できたから行くわ、映画は来週にしよう」。

「用事って?」と聞いても「あーちょっと」と歯切れの悪い返事が返ってきます。一瞬、「女の子と一緒に歩いていた」という噂を思い出します。

「勝手にすれば、他の女の子と遊ぶんでも、関係ないし」。「意味わかんね」大きなため息を吐き修弥が遠ざかっていきます。

キイィー、ドン!今まで聞いたことがない音が、雨の中に響き渡りました。「おい、男の子が轢かれたぞ!」「救急車!」。人々の叫び声が聞こえます。

「しゅう、や。しゅう、や?」。横たわる修弥を中心に、地面が赤く染まっていきます。開かない瞼、動くことのない手。ああ、ほら。今日はやっぱり…。

「実結、いつまで寝てるの!」。突然の大声で名前を呼ばれ、実結は目を覚ましました。そこは自分の部屋でした。外は雨のようです。

訳が分からず、母親に急かされるままリビングに行けば、朝食はまたカレーでした。学校へ行き、修弥がいることを確認します。授業では小テストがあり、お弁当も片方に寄っていました。

昨日と同じ日。困惑する実結を、修弥が放課後の映画に誘ってきました。映画館までの道のり、本当に今日が昨日と同じなら、修弥はこの後事故に遭うはずです。

修弥のスマホが鳴ります。「ごめん、用事できた」立ち去ろうとする修弥を引きとめます。「ヤダ、絶対ダメ」。

しかし、修弥は今回も行ってしまいました。キイィードンッ!昨日と同じ光景が広がります。

「実結!」また母の声で目が覚めました。同じ日にタイムリープして3度目の朝。今日は結末を変えてみせる。

映画に行こうという修弥の誘いを実結は断ります。放課後、修弥はクラスメイト何人かと寄り道をするようです。こっそり後を付ける実結。

中には、修弥と深夜に歩いていたと噂になった彼女も一緒です。楽しそうに笑い合う2人の姿に、ただ悔しくて惨めで憂鬱でした。

修弥は本当はあの子のことが好きなのでは。実は付き合っていて、自分と別れたいと思っているかも。なんで言わないの。

2人はクラスメートと別れ一緒に帰っていきます。キイィードンッ!「修弥、修弥・・・」彼女はただただ彼の名前を呼び続けました。実結は傍観者のひとりに過ぎませんでした。

修弥へ疑心案義を抱えたまま、それでも実結は修弥との楽しかった頃を思い出すようになっていました。

こんなに好きで大事な人なのに。思えば思うほど、答えが怖くて直接本人に聞きたいことも聞けないまま、「別れよう」そう実結は修弥に切り出します。

「もう、いいよ。わかった」。悲しい顔でそう言い残し、事故に遭った修弥。5度目の結末は、最悪の別れとなりました。

以下、『君が落とした青空』ネタバレ・結末の記載がございます。『君が落とした青空』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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何度繰り返せば、この痛みから解放されるの?何度繰り返せば、この世界は晴れるの?修弥には笑っていてほしい。

思いつめた様子の実結を、友達の佐喜子が心配し悩みを聞くと言います。「なんで、修弥は私と付き合ってるんだろ?」。「好きだからでしょ」と迷いなく答える佐喜子。

中学2年の時、クラスメイトに冷やかされ付き合いだした実結と修弥。実は、実結のことが好きだった修弥が友達に頼んで起こしたことでした。知らなかったのは実結だけです。

修弥を捜してクラスを覗いていると、噂の彼女・トモカが話しかけてきました。「内緒だよ」と彼女に聞かされたのは、修弥がバイトをしているということ。深夜に歩いていたのは、バイト先が同じなだけで、自分には他に彼氏がいるということ。修弥はいつも実結のことを思っているということでした。

なんで気付かなかったんだろう。自分のことばかりで修弥のことを信じてあげられなかった。実結は勇気を出して修弥と向き合うことを決心します。

やっぱり今日も雨です。実結は昼休みに修弥を誘い、バイトの事を聞き出します。慌てる修弥でしたが、付き合って1年目の記念日をほったらかして実結に悲しい思いをさせたことを反省し、2年目の記念日にはサプライズをしようと頑張ってお金を貯めていたと白状します。

なんでもっと早く話をしなかったんだろう。もっと自分の気持ちを伝えれば良かった。終わらないで、連れて行かないで、時間よ進まないで。実結はひとり泣き崩れるのでした。

いつものように放課後の映画の誘いを受けた実結。別れる時も笑顔がいい。映画館までの道のりを、久しぶりに手を繋いで歩きました。

照れまくる修弥の姿に、今までは自分勝手な考えで疑うことしかしなかったけど、今は心から好きだと感じています。修弥の言葉を一字一句覚えていたい。この時間は宝物だから。

それでも、やはり別れの合図が鳴り響きます。スマホの呼び出しに、「急にバイトのシフト変わることになった、ごめんな」と本当のことを言う修弥。

実結は「いいよ」と涙をこらえ笑顔で答えます。修弥が好きだと言ってくれた笑顔で。安心な顔をして去っていく修弥。

去っていく後ろ姿に声をかけます。「好きだよ、修弥…」。「おう、俺も好き」振り返った修弥の顔は今までで一番の笑顔でした。

キイィードンッ!足が地面にめり込んだように重く、雨にまじり涙が流れ落ちます。ちゃんと最後まで向き合おう。修弥の元に駆け寄る実結。

「泣くな。俺は大丈夫だから。お前は笑ってろ」。雲の隙間からキラキラと輝く青空が見えました。修弥の笑顔のような、きれいな青空が足元に落ちてきます。

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映画『君が落とした青空』ここに注目!


(C)2022映画「君が落とした青空」製作委員会

特に女子高校生に人気の小説アプリ「野いちご」で「切ない小説」グランプリに輝いた人気小説、櫻いいよの小説『君が落とした青空』。2012年には書籍化され、発行部数16万部を記録する大ヒット作品となっています。

意識だけが時空を超えて移動し、過去や未来の自分の身体に意識が乗り移るタイムリープを軸に、主人公・実結が日々の大切さに気付いていく感動のラブストーリーです。

日々変わり映えのしない毎日を過ごしていると、時間の大切さを忘れがちになります。特に若い時は、時間は永遠にあるものに感じるかもしれません。

時間は、誰にでも平等にやってきますが、使い方は人それぞれ、そして限りのあるものです。後悔しても時間は後戻りできません。

この物語は、そんな当たり前なことを忘れがちな我々に、改めて時間の大切さを教えてくれます。

福本莉子と松田元太のフレッシュな2人の共演も楽しみな映画化。公開前に注目する点を紹介します。

同じ日が繰り返されるタイムリープ

主人公の女子高校生・実結は、毎日が同じような日々だと感じています。自分の気持ちからも、面倒なことからも目を背け、なんとなく過ぎ去る毎日を持て余していました。

そんな彼女が恋人の事故をきっかけにタイムリープを繰り返します。しかも、1度だけならず5度、6度と同じ日を繰り返します。

同じようで違う日を繰り返すうちに、実結は次第に自分の考えだけに捕らわれるあまり、真実が見えていなかったことに気付きます。

そして、同じような毎日でも、決して同じ日は一日たりともないと気付きます。さらに、失ってから気付いても遅いということを突き付けられます。

この物語のように実際の世界ではタイムリープは起こりません。だからこそ、日々を笑顔で過ごし、愛する人には素直な気持ちを、大切な人には感謝の気持ちを伝え、後悔のないように過ごす。改めて日々の大切さに気付くきっかけになる作品です。

最後のタイムリープ

何度も繰り返す恋人との別れの日。主人公・実結が素直な自分を取り戻し、恋人・修弥の隠していた事実にたどり着いた時、それが最後の日となります。

その事実には、不器用な彼から実結への確かな愛が込められていました。それまで続いていた雨が、最後にはすっと上がり青空が広がっていくシーンが印象に残ります。まるで実結の心の闇が晴れ、光りが射したかのようです。

物語の中での最後のタイムリープの日。実結はこれまでで一番素直で、可愛らしいです。隠し事がばれた修弥でしたが、これまでで一番男らしくカッコイイです。

結末を変えることは出来ませんでしたが、実結はなぜタイムリープを繰り返したのか。気持ちを伝える少しの勇気を持つことで、変わる日常があるのです。

まとめ

櫻いいよの小説『君が落とした青空』を紹介しました。同じような毎日でも全部違う日なのだと気付かせてくれる作品です。

何気なく過ごしている毎日を、改めて考え直してみてはいかがでしょうか。今日という日は2度とないからこそ、後悔しないように大事に過ごさなければなりません。

映画『君が落とした青空』は、2022年2月18日(金)、全国公開予定です。

次回の「永遠の未完成これ完成である」は…


(C)2021 20th Century Studios. All rights reserved.

次回紹介する作品は、1946年出版された名作ノワール小説『ナイトメア・アリー』です。ギレルモ・デル・トロ監督により映画化。2022年3月25日(金)、全国公開予定となりました。

ショービジネスでの成功を夢見る野心家・スタンは、あるカーニバルの一座とめぐりあったことで、一気にトップの興行師へと成長を遂げます。しかし、思いがけないところから人生が狂い始めるのでした。

ブラッドリー・クーパーをはじめ、ケイト・ブランシェット、トニ・コレット、ウィレム・デフォー、ルーニー・マーラら豪華俳優の夢の共演となりました。

映画公開の前に、原作のあらすじと、映画化で注目する点を紹介していきます。

【連載コラム】「永遠の未完成これ完成である」記事一覧はこちら

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