連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第209回
カンナダ語映画界のスター、ラクシット・シェッティが製作&主演を、本作が長編監督デビューとなるキランラージ・Kが監督を務めた映画『チャーリー』。
映画『チャーリー』は、2024年6月28日(金)より新宿ピカデリーほかで全国ロードショーされます。
過去の悲劇に囚われ、周囲との交流を拒絶して孤独に生きる男・ダルマは、悪徳ブリーダーの劣悪な環境から逃げ出してきたラブラドール・レトリーバーのチャーリーと出会います。
お互いに魅かれ合い、強い絆で結ばれた1人と1匹。チャーリーへの愛に目覚めたダルマは、周囲の人々が驚くほど優しくなっていきます。
ダルマの人生は、チャーリーによってどんな風に変わったのでしょうか。犬と人間の揺るぎない愛情と絆を描く映画『チャーリー』をご紹介します。
映画『チャーリー』の作品情報
【日本公開】
2024年(インド映画)
【原題】
777 Charlie
【監督・脚本】
キランラージ・K
【プロデユーサー】
G.S.グプタ、ラクシット・シェッティ
【撮影】
アルヴィンド・S・カシャプ
【音楽】
ノビン・ポール
【編集】
プラシーク・シェッティ
【キャスト】
チャーリー、ラクシット・シェッティ、サンギータ・シュリンゲーリ、ラージ・B・シェッティ、ダニシュ・サイト、ボビー・シンハー
【作品概要】
孤独な男とやんちゃなラブラドール・レトリーバーが南インドからヒマラヤを目指して旅に出るロードムービー。犬と人間の揺るぎない愛情と絆を描く本作は、映画大国インドで「サンダルウッド」と称されるカンナダ語映画として、歴代5位の興行収入を記録しました。
カンナダ語映画界の人気スターであるラクシット・シェッティが主演・プロデューサーを、監督を本作が長編監督デビューとなるキランラージ・Kが務めます。
第11回南インド国際映画賞・カンナダ語映画部門にて最優秀映画賞&最優秀主演男優賞、第69回インド ナショナル・フィルム・アワードのカンナダ語長編映画部門で作品賞を受賞しました。
映画『チャーリー』のあらすじ
職場でも自宅の近所でも偏屈者として知られるダルマ。楽しみといえば、酒と煙草と「喜劇王」チャールズ・チャップリンの映画だけという孤独な日々を送っています。
悪徳ブリーダーの元で生まれ育った一匹のラブラドール・レトリーバーの子犬が、ブリーダーの元から逃げ出し、ダルマのいる街へやって来ます。
あるお祭りの夜、爆音のステージに悩まされた子犬は、ダルマがステージをぶち壊したことで気に入り、ダルマの家の前に住み着くようになりました。
犬嫌いのダルマは何度も追い払おうとしますが、子犬は離れようとしません。やがてダルマも少しずつ心を通わせるようになり、「チャーリー」と名付け自分の家に迎え入れました。
やんちゃでイタズラ好きのチャーリーに振り回されながらも、これまでとは違った楽しい日々を送っていたダルマですが、思いも寄らぬ不幸が訪れます。
ダルマは一大決心をし、雪が好きなチャーリーに本物の雪景色を見せようと、サイドカーにチャーリーを乗せ、南インド・マイスールからヒマラヤを目指し、インド縦断の旅に出ます。
映画『チャーリー』の感想と評価
本作『チャーリー』は、人付き合いの悪い男性・ダルマが一匹の犬と暮らし始め、犬との深い絆が紡がれていく物語。
ラブラドール・レトリーバーのチャーリーは、非常にやんちゃでダルマが目を覆いたくなるほどの悪戯をします。ですが、手のかかる子ほどかわいくなるのは人間と同じ。ダルマは次第にチャーリーに惹かれていくのです。
人は愛する対象があれば、誰に対しても優しい気持ちになれます。物語が進むにつれ、ダルマの表情がどんどん柔和なものに変わっていくのがその証拠。
またチャーリーに注目すれば、お腹を出して寝る様子やダルマに甘える表情はとても可愛いいもので、犬が苦手という人も思わず見とれてしまうことでしょう。
そして、そんな愛情物語にアクセントをつけているのが、インド映画の特徴とも言えるミュージック。ダルマとチャーリーの行動にあわせて流れる楽曲は、時には楽しく時には切ないものでした。
チャーリーと共に過ごすことで、ダルマの日々がどんなに楽しいものになったのか。音楽も明るいものが多く、映画を観れば一目瞭然です。
「犬は人生を変えられるのか?」と問われれば、迷うことなく「YES」と答えられるでしょう。
まとめ
犬と人間の揺るぎない愛情と絆を描いた『チャーリー』。人付き合いの悪い偏屈男のダルマが、ひょんなことから悪戯好きの子犬をしばらく家で飼うことになりました。
映画作中では犬と人間との絆を描くとともにチャーリーの過去も映し、悪徳ブリーダーによる動物虐待行為を明らかにしています。それでも本作は、人間は怖い人だけではないんだよと優しく諭してくれる作品にもなっています。
チャーリーのダルマに甘える時の愛らしい仕草やうっとりするような表情は、大きな身体に似合わずとてもチャーミングで、犬がいる生活が羨ましくなるほど、犬への愛情が込められています。
ぜひ、かわいいチャーリーに会いに劇場へお出かけください。
『チャーリー』は2024年6月28日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー!
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。