Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2024/01/24
Update

『コヴェナント約束の救出』あらすじ感想と評価解説。ガイ・リッチー監督が実話を基に“タリバンとの戦い”を描く|映画という星空を知るひとよ190

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第190回

アメリカ兵士とアフガニスタン人の通訳の固い絆を描き出し、アフガニスタン問題の裏側に迫る衝撃の感動作『コヴェナント/約束の救出』が2024年2月23日(金・祝)よりTOHOシネマズ 日比谷ほかで全国ロードショーされます。

本作は手がけたのは、「シャーロック・ホームズ」シリーズや『オペレーション・フォーチュン』(2023)のガイ・リッチー監督です。

ガイ・リッチー監督は現在も続くアフガニスタン問題と、アメリカ軍に協力したアフガニスタン人通訳についてのドキュメンタリーを身て、全世界に伝えなければならないテーマがあると深く心を動かされたと言います。

そんなエピソードを基に製作された、緊迫感に満ちたヒューマンドラマ『コヴェナント/約束の救出』をご紹介します。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『コヴェナント/約束の救出』の作品情報


(C)2022 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

【日本公開】
2024年(アメリカ映画)

【原題】
GUY RITCHIE’S THE COVENANT

【監督・脚本・製作】
ガイ・リッチー

【キャスト】
ジェイク・ギレンホール、ダール・サリム、アントニー・スター、アレクサンダー・ルドウィグ、ボビー・スコフィールド、エミリー・ビーチャム、ジョニー・リー・ミラー

【作品概要】
「シャーロック・ホームズ」シリーズや『オペレーション・フォーチュン』(2023)などを世に送り出したガイ・リッチー監督の初の社会派ヒューマンサスペンス。

主人公キンリーを『アンビュランス』(2022)のジェイク・ギレンホール、通訳アーメッドを『エクソダス 神と王』(2014)のダール・サリムが演じています。

映画『コヴェナント/約束の救出』のあらすじ


(C)2022 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

2018年、アフガニスタン。タリバンの武器や爆弾の隠し場所を探す部隊を率いるアメリカ軍曹長ジョン・キンリーは、優秀なアフガン人通訳アーメッドを雇います。

キンリーの部隊はタリバンの爆発物製造工場を突き止めますが、大量の兵を送り込まれ、キンリーとアーメッド以外は全員死亡してしまいました。

キンリーも瀕死の重傷を負ったもののアーメッドに救出され、アメリカで待つ家族のもとへ無事帰還を果たしました。

しかしアーメッドはアフガニスタン人であるのにアメリカに加担した裏切り者として、タリバンに狙われます。そのことをアメリカに帰国したキンリーは知り、彼を救うため再びアフガニスタンへ向かいます。

映画『コヴェナント/約束の救出』の感想と評価


(C)2022 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

『コヴェナント/約束の救出』で描かれたのは、アメリカ兵士と通訳として雇われたアフガニスタン人との固くて強い絆です。

本作には、2つの大きな戦いがあります。

まずは、タリバンとの死闘。アフガニスタンでタリバンと闘うアメリカ軍の兵士キンリーと、彼に雇われたアフガニスタン人通訳のアーメッド。キンリーの所属部隊がタリバンに襲われてほぼ全滅状態の中、キンリーとアーメッドだけが生き残りました。

100㎞離れたアメリカ軍基地を目指して逃亡する途中、タリバンの襲撃によってキンリーは重症を負います。そんな彼を自分の命も顧みずにアメリカ軍基地まで送り届けたのは、アーメッドでした。

人目を避けた険しい山道を、応急処置をした身動きできないキンリーを乗せた荷車をアーメッドが自らひきます。

アーメッド自身も疲れ果てているはずなのに、決してキンリーを見捨てようとはしません。そこにあるのは、緊迫した状況下に置かれた者だけが理解できる固い絆なのでしょう。

そして後半では、キンリーによるアーメッド救出のための危険な戦いが始まります。

無事に帰国したキンリーは、アフガニスタンに残ったアーメッドがタリバンからしつこく付け狙われていることを知って、行動を起こしました。タリバンとの死闘はまだまだ続きます。

作品全体を通じて、追われる立場の主人公たちの緊張感が伝わり、緊迫した状況の中でも相手を思う絆の強さに胸を揺さぶられます

一挙一動にぴったりとマッチした音楽を背景に、彼らの命をかけたタリバンとの激闘から勇気と感動をもらうことは間違いありません。

まとめ


(C)2022 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

タリバンとの戦いを扱った作品は『アウトポスト』(2021)や『ホースソルジャー』(2018)など多数あります。

その中で『コヴェナント/約束の救出』はアフガニスタンで出会ったアメリカ兵士とアフガニスタン人の通訳の物語で、損得なしの真の絆が描かれています

同じように窮地をくぐりぬけてきたのに、アメリカ兵士とアフガニスタン人の通訳とでは、こんなにも運命が変わってくるのに驚くことでしょう。

また本作は実話を基にしています。タリバンが実権をにぎったあとの現地に残った通訳たちの惨状も知っておかねばならない事実なのです。

映画『コヴェナント/約束の救出』は2024年2月23日(金・祝)よりTOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国ロードショー!

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。




関連記事

連載コラム

『名も無き世界のエンドロール』小説ネタバレと結末で書かれた原作内容を解説。実写化で登場人物のプロポーズ大作戦は成功するのか|永遠の未完成これ完成である21

連載コラム「永遠の未完成これ完成である」第21回 映画と原作の違いを徹底解説していく、連載コラム「永遠の未完成これ完成である」。 今回紹介するのは、第25回小説すばる新人賞を受賞した行成薫の小説『名も …

連載コラム

映画『ビッチホリディ』あらすじネタバレと感想。女性監督ならではの視点と巧みな物語の語り口|未体験ゾーンの映画たち2019見破録47

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2019見破録」第47回 ヒューマントラストシネマ渋谷で開催の“劇場発の映画祭”「未体験ゾーンの映画たち2019」。今回はエーゲ海に面したリゾート地を舞台に、奇妙な人 …

連載コラム

『仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』ネタバレ感想と解説。“救世主伝説”を描いた平成ライダー映画の傑作|邦画特撮大全35

連載コラム「邦画特撮大全」第35章 20019年1月末、「平成仮面ライダー映画・あの名作をもう一度!キャンペーン」という企画が展開されました。 現在も人気上映中の『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライ …

連載コラム

映画『ザ・スリープ・カース 失眠』ネタバレ感想。香港ホラーに日本人俳優の姿も⁈|未体験ゾーンの映画たち2019見破録29

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2019見破録」第29回 今年もヒューマントラストシネマ渋谷で開催中の“劇場発の映画祭”「未体験ゾーンの映画たち2019」。様々な58本の映画が公開中ですが、今回は極 …

連載コラム

【ネタバレ感想】『ワンダーウーマン』映画と原作コミックとの比較解説。新たな女性ヒーローのアイコン|最強アメコミ番付評22

連載コラム「最強アメコミ番付評」第22回戦 こんにちは、野洲川亮です。 『アベンジャーズ エンドゲーム』に続いて『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の予告がアップされましたね。 2019年公開の …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学