FILMINK-vol.9「Armie Hammer: Hotel of Horror」
オーストラリアの映画サイト「FILMINK」が配信したコンテンツから「Cinemarche」が連携して海外の映画情報をお届けいたします。
「FILMINK」から連載9弾としてピックアップしたのは、日本では2019年9月27日に公開予定の映画『ホテル・ムンバイ(原題)』出演のアーミー・ハマー。
映画『ホテル・ムンバイ』はインドで実際に起きたテロ事件を描いた作品で、アーミー・ハマーはテロに居合わせてしまったホテルの宿泊客を演じました。
俳優アーミー・ハマーが『ホテル・ムンバイ』に出演した経緯、『ホテル・ムンバイ』に込めた思いを、ギル・プリングルのインタビューでご紹介します。
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CONTENTS
撮影のためにオーストラリアに訪れた人気俳優
『ソーシャル・ネットワーク』、『ローン・レンジャー』、『コードネームU.N.C.L.E. 』、そして『君の名前で僕を呼んで』の俳優アーミー・ハマー。
彼は、ムンバイで起こった実際のテロ事件を扱った新作映画『ホテル・ムンバイ』の撮影のため、オーストラリアを訪れました。
『ホテル・ムンバイ』出演の経緯
──『ホテル・ムンバイ』にご出演された経緯を教えてください。
アーミー・ハマー:監督のアンソニー・マラスが、私のマネージャーに脚本を送ってくれたことがきっかけです。ムンバイでの事件は知っていましたが、脚本を読むと、その場にいるような感覚を受ける程に素晴らしかったんです
アンソニー監督の短編映画『The Palace』も観ました。たった15分の作品なんですが、短時間であそこまで衝撃を受けた経験は今までありませんでした。途中で一度止めて、部屋の中を歩き回って、「これは映画だよ、単なる映画。よし、観よう」と自分に言い聞かせながら鑑賞しました。
アンソニー監督は『ホテル・ムンバイ』を絶対に撮るべきだと思いましたし、私も出演を決めました。
──あなたが最も恐れているものは何ですか?
アーミー・ハマー:蜘蛛ですね。まだ蜘蛛にうじゃうじゃ囲まれる映画に出演していないのはラッキーです!
本作の恐ろしい要素は、飛び上がって驚くようなものでも、誰かがいきなり「わっ!」と驚かせるようなものでもなく、張り詰めた緊張感がただひたすら積み重なっていくことです。それは映画を理屈抜きに恐ろしくさせますし、観ている人々にも臨場感を与えることが出来ます。
父親になって初めての父親役
──あなたが演じたキャラクターについて教えて下さいますか?
アーミー・ハマー:彼は愛する妻と子どもがいる男性です。妻の安全を保つか、子どもを守るかという非常に困難な状況に置かれています。絶対に経験したくないようなシチュエーションですね。
──ご自身にお子さんが生まれてから父親役を演じるのは初めてではないでしょうか?
アーミー・ハマー:はい。ですから、もし私がこの状況だったらどんなことを考えるだろうかと想像するのは易しいことでした。そしてとても苦しいことでした。
私のキャラクターは何も手放したくないのですが…、彼には下さなければならない決断がたくさんあります。私が同じ状況下に置かれたらどう決断するか考えると、演じるのはスムーズになりましたが、それはまた精神的に辛い作業でした。
実在の事件を描くという責任
──あなたのキャラクターは映画のために作られた人物でしょうか?
アーミー・ハマー:彼は事件に巻き込まれた2人の実在の人物を基に作られました。実在の人を演じるにあたっては、いつも大きな責任を感じます。特にこのような状況、信じられないほど悲惨でトラウマを抱えるような経験をした方たちです。場合によってはその方たちがこの映画を見ることも考えられますから、現実のシチュエーションで何が起こっていたかということを真摯に見せる以外には何もしたくなかったんです。
アンソニー監督は本作を作るにあたって、ジャーナリストたちについて取材し研究していました。ニュースの映像を見て電話をかけ、話を伺い、リアルを伝えることに責任を感じて挑んだんです。
台本や資料を読み込む長いリハーサル期間も過ごしました。何が起こったのかについての資料を読み、それについて話し合い掘り下げる…、というように。撮影を始めるまでにかつて無いほどの時間が確保されていましたし、作品世界へ引っ張っていくための多くの資料がありました。本作は残念ながら、非常に悲しい理由でタイムリーな映画です。
──『ホテル・ムンバイ』はテロについての話し合いにどのような貢献をもたらすと思いますか?
アーミー・ハマー:私が知っている、テロを扱っているほとんどの映画では、テロリスト側は名前や顔のない“エージェント”ですが、本作は違います。本作はテロリストたちの人間性も描いています。本作には「これを実行すれば家族にお金が入る」とか「手術が受けられる」などと騙されて(イスラム教徒の)聖戦をする子どもたちが登場します。子どもたちがどうやってこの状況に身を投じることになったか。現実が生々しく描かれるんです。
人質や攻撃に加担している人々の、また、残虐行為を犯すガンマンたちの感情面での痛みを映画で目にするのは、本作が初めてではないかと思っています。銃や爆弾を持ったテロリストたちは二次元の存在ではありません。彼らは人間なんです。
私は私たちアメリカ人が、自分たちへの攻撃を全て“テロ”という単語を使用しているのに気づくことが重要だと考えています。それから彼ら(テロリスト側)の動機はどのように位置付けられたのか、また彼らへの攻撃は何だったのかと考えることも。
──観客は本作から何を感じ取り、学ぶでしょうか。
アーミー・ハマー:ご覧になれば、この映画の中へ入っていくような気持ちになり、必ず何かを感じるでしょう。それは人々が感じたいと願うようなものでも、慣れているようなものでもなく、そして映画が終わったらすぐに切り替えられるような感情でもありません。
監督のアンソニーはこれが長編デビュー作なんですが、伝えるべきことを的確に形にして製作する手腕は、信じられないほど見事なものでした。
ハリウッド大作は敬遠!?
──近ごろは非常に興味深い役を演じることが多いように感じます
アーミー・ハマー:全ての俳優はキャリアの初め、いろいろと自分で選択をすることはできませんし、機会を与えられていませんから、自身の進みたい方向に舵を切ることはできません。与えられるどんな仕事にも挑戦することが大切なんです。
私は毎回新鮮な役どころを演じるというのが大好きです。俳優業は、毎日同じことを繰り返すという仕事ではないんですから。異なる様々なこと、多様性は人生のスパイスと楽しんでいます。毎回同じことをする必要がなければ、毎回大きく異なったことに挑戦できます。
──意識的に大きなハリウッド作品からは距離を置いていますか?
アーミー・ハマー:意識しているわけではなく、ただ「これをやりたい!」と思う機会が与えられていないだけです。
たとえ小さな規模のプロジェクトでも、情熱があるものなら興味を惹かれますし、そこに飛び込んでみたいんです。これは私のちょっとしたワガママなのかもしれませんね。
FILMINK【Armie Hammer: Hotel of Horror】
英文記事/ Gill Pringle
翻訳/Moeka Kotaki
監修/Natsuko Yakumaru(Cinemarche)
英文記事所有/Dov Kornits(FilmInk)www.filmink.com.au
*本記事はオーストラリアにある出版社「FILMINK」のサイト掲載された英文記事を、Cinemarcheが翻訳掲載の権利を契約し、再構成したものです。本記事の無断使用や転写は一切禁止です。
映画『ホテル・ムンバイ』の作品情報
【日本公開】
2019年9月27日(オーストラリア・アメリカ・インド合作映画)
【原題】
Hotel Mumbai
【監督】
アンソニー・マラス
【脚本】
アンソニー・マラス、ジョン・コリー
【キャスト】
デヴ・パテル、アーミー・ハマー、ナザニン・ボニアディ、アヌパム・カー、ジェイソン・アイザックス
【作品概要】
2008年に起きた、高級ホテルや鉄道駅、タージマハル・ホテルなどムンバイの複数の場所で起きた同時多発テロを、オーストラリア人監督のアンソニー・マラスが映画化。アンソニー・マラスは本作が長編映画デビュー。
五つ星のタージマハル・ホテルの従業員に『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)のデヴ・パテル、宿泊客に『ローン・レンジャー』(2013)『君の名前で僕を呼んで』(2017)『ビリーブ 未来への大逆転』(2018)のアーミー・ハマーが扮します。
映画『ホテル・ムンバイ』のあらすじ
2008年にインドのムンバイにて起きた同時多発テロ。
その標的の中心となったのが、インドの有名五つ星ホテル、タージマハル・ホテル。
ムンバイの街が襲われたとき、ホテルの中では何が起こっていたのか。
また、テロリストの少年たちは、何を思い、凶行に至ったのか。
本作は事件を様々な面から鮮明に描きだします。
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