連載コラム『すべての映画はアクションから始まる』第1回
脱獄のプロフェッショナル、レイ・ブレスリンが挑む3度目のミッション!
日本公開を控える新作から、カルト的評価を得ている知る人ぞ知る旧作といったアクション映画を網羅してピックアップする連載コラム、『すべての映画はアクションから始まる』。
栄えある第1回は、アクション映画界の巨匠シルヴェスター・スタローン主演の脱獄アクションシリーズ第3弾『大脱出3』です。
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CONTENTS
映画『大脱出3』の作品情報
【日本公開】
2019年(アメリカ映画)
【原題】
Escape Plan: The Extractors
【監督・脚本】
ジョン・ハーツフェルド
【キャスト】
シルヴェスター・スタローン、デイヴ・バウティスタ、マックス・チャン、ハリー・シャム・Jr、デヴォン・サワ、マリース・ジョー、ジェイミー・キング、カーティス・“50セント”・ジャクソン
【作品概要】
「ロッキー」、「ランボー」、「エクスペンダブルズ」といったヒットシリーズを次々と放つシルヴェスター・スタローン。
彼によるもう一つのヒットシリーズとなった、2013年の第1作からなる「大脱出」シリーズの
第3弾です。
2作目の『大脱出2』(2019)に続き、スタローン演じるレイ・ブレスリンの相棒デローサを務めるのは、元プロレスラーのデイヴ・バウティスタ。
また、『イップ・マン 継承』(2017)、『イップ・マン外伝 マスターZ』(2019)のマックス・チャンも参加し、中国拳法をベースとしたアクションを披露します。
その他の共演者として、カーティス・“50セント”・ジャクソンとジェイミー・キングも、前作から続投。
監督は、『2days トゥー・デイズ』(1996)、『15ミニッツ』(2001)のジョン・ハーツフェルドが務めました。
映画『大脱出3』のあらすじ
中国全土を顧客に持つ、世界的ハイテク企業ジャン社の社長令嬢ダヤを含めた一向が、謎の武装組織の襲撃を受けます。
組織のボスはダヤを誘拐すると、気絶させた身辺警護のバオにUSBメモリを忍ばせ、その場を去ります。
それから数日後、以前にダヤの身辺警護を務めていたシェン・ローと名乗る人物が、セキュリティ・コンサルタントのプロであるレイ・ブレスリンを訪ね、ダヤ救出を依頼。
そこへ、警察から脱走してきたバオも姿を現します。
バオは、忍ばされていたUSBメモリがブレスリン宛だったことから、居場所を探ってきたのです。
ブレスリンは、かつての友人デローサの情報ルートとバオのUSBメモリから、ダヤが今まで誰も脱出できたことがないと云われる秘密監獄、“悪魔砦”に囚われていると推測。
早速ダヤ救出に乗り出すブレスリン、デローサ、ローたちでしたが…。
「大脱出」シリーズ過去作をおさらい
『大脱出』(2013)
世界屈指のセキュリティ・コンサルタントであるレイ・ブレスリンが、何者かの手によって拉致され、絶対攻略不可能な“墓場”と呼ばれる監獄に入れられてしまいます。
彼は囚人たちを仕切る謎の男ロットマイヤー(アーノルド・シュワルツェネッガー)とともに、事件の陰謀を暴こうとします。
栄えあるシリーズ第一作となった本作は、何といってもスタローンとシュワルツェネッガーの本格共演が見どころ。
アクション映画界の両巨頭が揃い踏みというだけで、もう観る価値十分。
スタローンはもちろん、シュワルツェネッガーならではのお約束シーンもしっかりと抑えてあり、監獄からの脱出からクライマックスに至るまで、屈強な男たちのバトルが展開します。
なお、日本版の予告やポスターアートでは“墓場”の正体が明かされてしまっているので、まだ未見の方はそれらに一切目を通さず鑑賞することを推奨します。
『大脱出2』(2019)
“墓場”の事件を経て、自ら警備会社を興していたレイ・ブレスリンでしたが、ある日スタッフのシュー(ホアン・シャオミン)が行方不明となります。
シューが、コンピューター制御された最強セキュリティシステムの監獄“ハデス”に収監されたと知ったブレスリンは、かつての友人デローサと共にハデスにわざと収監され、救出を試みます。
前作から約5年後に作られた第2作は、シュワルツェネッガーに代わって、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズや『ブレードランナー 2049』(2017)のデイヴ・バウティスタがパートナー役として登場。
元プロレスラーであるバウティスタの存在感は、シュワルツェネッガーに勝るとも劣りません。
ただ、主演のはずのスタローンの出番が前作より格段に減っており、さらにバウティスタもほとんど活躍してくれないのが残念なあたり。
むしろ、シューを演じたホアン・シャオミンが全般的に活躍しており、『イップ・マン 葉問』(2011)でも見せたクンフーアクションを披露します。
『大脱出2』完成前に製作が始まった『大脱出3』
実は本作『大脱出3』は、前作の『大脱出2』が完成していない段階から撮影が始まっています。
これは、主演のスタローンが前作の出来に大いに不満を感じていたためといわれており、本人もSNS等でそれを認める旨のコメントを発しています。
確かに、『大脱出2』のスタローンの出番の少なさからも、おそらく製作上で何らかのゴタゴタが発生していたのではと推測できます。
そのせいか、本作は撮影日数約20日という、早撮りで知られるクリント・イーストウッドもビックリの超ハイスピードで制作されました。
必見!流れるようなマックス・チャンのアクション
本作でのキーパーソンとなるのが、シェン・ローを演じるマックス・チャン(中国語の発音的には「ヂャン」が近い)です。
マックスは、香港アクション映画の巨匠ユエン・ウーピンのアクション・チームに参加し、ドニー・イェンやミシェル・ヨーのスタントダブルや悪役をこなすなど、徐々にステップアップしていきます。
そして、『グランドマスター』(2013)、『イップ・マン 継承』での敵役でさらなる注目を集めます。
マックスの特徴は、細身で精悍な体型を活かした“しなやかな”アクション。
主演作『イップ・マン外伝 マスターZ』(2019)でも見せたムダのない動きが、本作でも堪能できるので、ファンはお楽しみに。
今後のスタローン映画からも目が離せない!
本作『大脱出3』は、第1作のような「難攻不落の監獄からどう脱獄するのか」といったスリルより、肉弾戦やド派手なガンアクションに重きを置いています。
あえていえば「エクスペンダブルズ」シリーズに近くなったと言えなくもないですが、その分、スタローンやバウティスタの出番がしっかり復活しています。
そのスタローンは、今後の動きとしては「エクスペンダブルズ」シリーズの第4作の製作を予定しており、さらには「ランボー」シリーズも、第5作目にして正真正銘の完結編『Rambo: Last Blood(原題)』が、9月に全米公開されます。
参考映像:『Rambo: Last Blood(原題)』予告
2019年時点で73歳となるスタローンですが、まるで衰え知らず。
この「大脱出」シリーズも第4作が製作されるのか、今後の続報に期待しましょう!
映画『大脱出3』は2019年9月27日(金) 新宿バルト9ほか全国ロードショー!
タイトル「すべての映画はアクションから始まる」について
参考映像:『大列車強盗』本編 ※パブリック・ドメイン
映画撮影の際、日本では監督の「用意、スタート」のかけ声で、俳優が演技を始めます。
かたや欧米のかけ声は、「ready,action!(用意、アクション!)」となります。
ここでいう「action」とは、「演技をする(act)」の意。
ラブロマンス、ホラー、コメディ、SFなど、ジャンルこそ多岐に分かれるも、映画作りの原点が「演技=アクションをする」ことに変わりありません。
映画史をひも解いても、アメリカ劇映画の出発点となった『大列車強盗』(1903)が、世界初の西部劇にして、アクション映画の基本要素をすべて内包した作品。
「すべての映画はアクションから始まる」のタイトルの下、今後も、新作・旧作問わずアクション映画の魅力を探っていきます。
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