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Entry 2021/03/14
Update

映画『閃光』あらすじ感想と評価解説。石橋夕帆監督が描く光のように一瞬で“幸せな時間”|インディーズ映画発見伝1

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

連載コラム「インディーズ映画発見伝」第1回

日本のインディペンデント映画をメインに、厳選された質の高い映画をCinemarcheのシネマダイバー菅浪瑛子が厳選する連載コラム「インディーズ映画発見伝」第1回。

その中から今回ピックアップするのは、石橋夕帆監督特集の映画『閃光』をご紹介いたします。

長編デビュー作『左様なら』(2019)で知られる石橋夕帆監督が『左様なら』より以前に制作した短編5作品が「CINEMA DISCOVERIES」にて配信されました。

その中の短編の一つ、『閃光』は元カノが結婚したことを知った夜に、公園で出会った台湾人の女性月華・ユェファとの光のように掴めなくて幸せな瞬間を描いています。

【連載コラム】『インディーズ映画発見伝』一覧はこちら

映画『閃光』の作品情報


(C) 石橋夕帆

【公開】
2018年製作(日本映画)

【監督・脚本・編集】
石橋夕帆

【撮影】
柴崎まどか

【録音】
中島浩一

【仕上げ】
木村将人

【キャスト】
田中一平、葉媚、小西悠加、長尾卓磨

【作品概要】

参考映像:石橋夕帆監督の映画『左様なら』予告編


監督を務める石橋夕帆監督は2015年に監督した短編『ぼくらのさいご』が田辺・弁慶映画祭コンペティション部門 映画.com賞、横濱HAPPY MUS!C 映画祭 音楽映像部門最優秀賞を受賞するほか、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭、福岡インディペンデント映画祭、小田原映画祭、新人監督映画祭など様々な映画祭に入選しています。

『それからのこと、これからのこと』(2016)、『atmosphere』(2017)、『水面は遥か遠く』(2017)など多くの短編映画を手がけ、2018年にMOOSIC LAB 2018 長編作品として映画『左様なら』を監督し、大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門に入選します。初長編作となった映画『左様なら』は2019年にアップリンク吉祥寺ほか全国20館以上で公開されました。今後の活躍が期待な新鋭監督です。

映画『閃光』のあらすじ


(C) 石橋夕帆

久しぶりにバーで元カノのかえでと再会した和也はかえでが結婚することを知ります。

その夜、公園でブランコをこぐ台湾人の女性、月華・ユェファに出会います。和也もブランコを漕ぎながら何気ない会話をし、そのまま共に家に帰ります。

朝になり和也はバイトに向かい、帰宅すると、帰っているはずと思っていたユェファはまだ家にいました。

恋人なのかよくわからない関係性のまま共に食事をしたり、出かけたり…何気ない時間を過ごすことで幸せを感じ始めた2人。しかし、幸せを噛み締めると同時に掴みどころのない関係性に不安も感じ始め…。

映画『閃光』感想と評価


(C) 石橋夕帆

名前も知らない2人が何気なく出会ってお互いの寂しさを埋め合うように、時間を過ごしていく、不意に差し込んだ光のような時間。

結婚することが決まった元カノに「ちゃんとしなよ」と言われてしまう和也。自分の不甲斐なさと孤独を感じている和也が出会ったユェファ。働くとか、生活するとかそういうの面倒臭いと言うユェファ。お互いのことをよく知らないまま始まった一時の同棲生活。

いつか終わること、このままでいられないことをどこかでわかっていながら、その終わりの予感には触れず共に時間を過ごす2人。幸せを手放したくないと思うからこそ、一緒にいたいと思う和也と幸せだからこそ怖くて逃げてしまいたくなるユェファ。

光が差し込むアパートの窓辺で寄り添い合う2人の様子が掴みどころのない2人の刹那的な関係を映し出し、温かさとともに切なさを感じさせるエモーショナルな映像美が印象的です。

石橋夕帆監督の視点で切り取った一瞬のきらめきのような恋愛模様を描いた愛おしくも切ない映画です。

まとめ


映画『閃光』の演出を務めた石橋夕帆監督

いつかのきらめきのような恋愛模様をエモーショナルに切り取った映画『閃光』。名前も素性も知らない2人が寄り添いあい共に時間を過ごし、幸せを噛み締めると共に、幸せがなくなってしまうことへの恐怖を描いた繊細さ、リアルさが共感を誘います。

ユェファを演じた葉媚の掴みどころのないふわりとした魅力、和也演じる田中一平の漠然とした不甲斐なさ、孤独、ユェファと出会ったことで愛おしさを感じ始める様子が愛おしくも切ない世界観を引き立てます。

2人で食事をする場面やネイルをぬるシーンなど、ふとした日常の場面を繊細に描く石橋夕帆監督の等身大でリアルな演出も印象的です。

《石橋夕帆監督Twitter》

次回のインディーズ映画発見伝は…


(C)Risa NEGISHI

連載コラム「インディーズ映画発見伝」第2回は、根岸里紗監督が、伊参スタジオ映画祭2016 短編の部大賞や、門真国際映画祭2018にて最優秀監督賞を受賞した短編映画『三つの朝』。

フリーターの彼氏と先の見えない同棲を続ける20代の女、上司との不倫をやめられない30代の女、女手一人で娘を育てる40代の女。工場の夜勤明け、三人は同じ空を見上げるのだが…。

お楽しみに!

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