かわいい動物たちが、高度な文明社会を築いた世界《ズートピア》。
ウサギの女性ジュディが夢をかなえるため、勤務した警察での奮闘を描いたディズニー制作のアニメーションです。
演出は『塔の上のラプンツェル』のバイロン・ハワードと、『シュガー・ラッシュ』のリッチ・ムーアが担当しています。
どんな動物も快適な暮らしができる環境が整えられた世界はあり得るのか?家族一緒に観るのに最適なアニメ映画。
警察官ウサギのジュディと、詐欺師キツネのニックの相棒ぶりが、底抜けに軽妙でスピーディな物語。思わず元気が出ちゃう『ズートピア』をご紹介します。
映画『ズートピア』の作品情報
【公開】
2016年(アメリカ)
【監督】
バイロン・ハワード&リッチー・ムーア
【キャスト】
ジニファー・グッドウィン(ジュディ・ホップス)、ジェイソン・ベイトマン(ニック・ワイルド)、イドリス・エルバ(チーフ・ボゴ)、ネイト・トレン(スクロウハウザー)、J・K・シモンズ(ライオンハート市長)、ジェニー・スレイト(ベルウェザー副市長)、トミー・“タイニー”・リスター(フィニック)、レイモンド・パーシ(フラッシュ)、オクタビア・スペンサー(オッタートン夫人)、シャキーラ(ガゼル)、ボニー・ハント(ボニー・ホップス)、ドン・レイクス(チュー・ホップス)、モーリス・ラマルシュ(Mr.ビッグ)、トミー・チョン(ヤックス)上戸彩(ジュディ・ホップス日本語吹き替え)、森川智之(ニック・ワイルド日本語吹き替え)、三宅健太(チーフ・ボゴ日本語吹き替え)、高橋茂雄(クロウハウザー日本語吹き替え)、玄田哲章(ライオンハート市長日本語吹き替え)、竹内順子(ベルウェザー副市長日本語吹き替え)、Dream Ami(ガゼル日本語吹き替え)芋洗坂係長(マイケル日本語吹き替え)
【作品概要】
動物たちをモチーフに描きながら、文明社会にメッセージを与えるディズニー・アニメーション。監督は、『塔の上のラプンツェル』のバイロン・ハワードと『シュガー・ラッシュ』のリッチ・ムーアがタッグを組みました。
映画『ズートピア』のあらすじとネタバレ
のどかな田舎町に暮らすウサギのジュディは、正義感の強い女の子で幼い頃から警察官になる夢を抱いていました。
ニンジン農家の両親は、夢を持つことの大切さを認めつつも、ジュディには、自分たち夫婦と同じように農場での穏やかな生活を勧めます。
しかし、ジュディは、周囲の揶揄や身体の小ささを克服し、警察学校をトップの成績で卒業。ウサギ初の警察官として、憧れの大都会ズートピアに配属されます。
期待に満ち溢れたジュディ。だが、現実は厳しいものだった…。
同僚たちが肉食動物の行方不明事件を捜査する中、自分に与えられた仕事は駐車違反の取り締まり。それでも署長に認めてもらおうと仕事に励むジュディ。
そこに、偶然キツネの親子に出会ったジュディ。誕生日にアイスキャンディをねだる子ギツネに、父親がアイスを買ってやろうとするも店主は「キツネである」という理由で、アイスを売らない。
ジュディは持ち前の親切心から助けますが、実は、その親子は詐欺師で手に入れた巨大アイスキャンディを加工して荒稼ぎしていることを知ります。
そんなキツネに詰め寄ると、キツネは「誰もがこの街に来る奴は何にでもなれると思っている。でも無理なんだよ。自分は変えられない」と言い放ちます。
自信を失ったジュディ。ある日、署長の命令も聞かずひったくり犯を追ってネズミの街に入り大騒動を繰り広げ、署長から大目玉を食らいます。
ちょうどそこに行方不明となったカワウソの捜査依頼に、夫人がやって来る。ジュディはベルウェザー副市長の口添えを得て、行方不明のカワウソ、エミット・オッタートンの捜査をすることに。
ただし、「48時間以内に解決できなければ解雇する」という厳しい条件付きだった。
ジュディはたった一枚の写真を手掛かりに捜査を開始。その写真から、あの詐欺師のキツネ、ニックが関与していたことを知り、彼の弱味をネタに捜査の協力させます。
オッタートンが最後にいた場所は、ツンドラ・タウンで、「突然凶暴化したオッタートンが運転手を攻撃して逃げ出した」ことを突き止めた2人。
運転手のジャガーのマンチャスからさらなる手がかりを得ようとするが、マンチャスは「夜の遠吠え」とつぶやいた後、突然凶暴化し、2人に突然襲いかかります。
2人はなんとかマンチャス捕らえたが、署長ら応援が駆けつけた時にはマンチャスの姿は消えていた。
署長はジュディにクビを言い渡します。しかし、ニックは残りの時間ギリギリまで捜査をしようと励ますのでした。
映画『ズートピア』の感想と評価
ズートピアはまさに現在のアメリカ(特にニューヨーク)の縮図と言っていいでしょう。
様々な人種が集い、互いの違いを認め合いながら平和に暮らす国。それがアメリカ。
でも、周知の通りたくさんの偏見や人種差別に満ちています。それは、肉食動物と草食動物が共存し合うズートピア内でも見られました。
ウサギのジュディは、警察署内では同僚の大動物たちから見向きもされません。
ライオンの市長は、女性副市長の羊を秘書としてこき使います。キツネはすべての動物から「嘘つき」というレッテルを貼られていますね。
それはアメリカに限らず、世界各国で見られることでしょう。もちろん、日本も例外ではありません。
1980年代以降、急速なグローバル化によって人々が世界各国を行き交うことが可能になった一方、お互いの違いに敏感になり、分断しナショナリズムへと向かう今日…。
「この世界をもっといい場所にしたい」という物語の冒頭でのジュディの発言は、とても重要な意味を持っていますね。
「肉食動物は危険」というジュディの発言によって、ズートピアの平和が失われた時、ポップスターのガゼルは、平和集会でこのように発言します。
「ズートピアはいろんな動物がそれぞれの違いを認め合う素晴らしい街。私はズートピアを信じている。」
そして、「誰かのせいにしているだけじゃダメよ。凶暴になる原因は理由はわからないけれど、だからって危険だと決めつけるべきではないでしょう。みんな恐怖に負けないで。」
この世界をより良くする。それは、誰かの力に頼るのではなく、自分たち一人一人の力が作り出すものなのだと、この作品は気づかせてくれます。
まとめ
ズートピアで、ジュディが警察官になる夢を持った時、周囲の人々は夢と現実の違うものだと諭します。
その代表が農場を営む両親。「パパとママが幸せになれたのは、夢などを追わずに安定を選んだから」「挑戦しなければ失敗もない」「警察官になるは不可能」と畳み掛けます。
それでも、夢を実現させたジュディ。
しかし、そのジュディに署長は「人生はミュージカル映画とは違う。歌えば夢がかなう?そんな甘いもんじゃない」と言います。
そして、ニックもまた最初は「誰もが自分以外のものになれない」というのです。
しかし、ジュディは諦めませんでした。諦めないで理想を追い続けるジュディに心を開きやがて自分の人生をも変えていくニック。
夢を持つこと、そして諦めないことで周囲の環境を少しずつ変えていくことができるのです。
そんな夢を抱くことの大切さを教えてくれ、心がピュアになる作品。
ぜひ、ご家族でご覧になって観るのはいかがでしょうか。そんな1本です!