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Entry 2020/07/03
Update

Netflixアニメおすすめ『日本沈没2020』あらすじと感想考察。実写版の過去作と湯浅政明監督版の比較解説

  • Writer :
  • 村松健太郎

Netflixオリジナルアニメシリーズ『日本沈没2020』は7月9日(木)より全世界独占配信

1973年に発表された小松左京のベストセラー小説『日本沈没』が初のアニメ化。Netflixにて、7月9日(木)より全世界独占配信(※中国本土を除く)されます。監督は『夜は短し歩けよ乙女』などを手掛け、話題を集めた湯浅政明。

沈みゆく日本の中で、それでも人々は前を向いて進んで行く……。究極の選択を突き付けられた人々が向き合う現実と再生の物語です。

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Netflixオリジナルアニメシリーズ『日本沈没2020』の作品情報

(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

【公開】
2020年(日本映画)

【原作】
小松左京『日本沈没』

【脚本】
吉高寿男

【監督】
湯浅政明

【主題歌】
「a life」大貫妙子 & 坂本龍一

【キャスト】
上田麗奈、村中知、佐々木優子、てらそま まさき、吉野裕行、森なな子、小野賢章、佐々木梅治、塩田朋子、濱野大輝、ジョージ・カックル、武田太一

【作品概要】
小松左京が1973年に発表したベストセラー小説『日本沈没』を基に、『DEVILMAN crybaby』(2018)『きみと、波にのれたら』(2019)『映像研には手を出すな!』の湯浅政明監督がアニメ化。

本作はアニメーションならではダイナミックな演出で、未曽有の大災害の発生とそこに巻き込まれる人々の姿を描きます。さらに、全10話というボリュームがあるために、日本沈没の“その後”にまで言及している点も注目です。

Netflixオリジナルアニメシリーズ『日本沈没2020』あらすじ

(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

2020年、平和な日常が続く日本を突然大地震が襲いました。

東京で地震に巻き込まれた女子高生の武藤歩(あゆむ)は、被災した陸上競技場から自宅に向かい、バラバラだった両親や弟と何とか合流します。

そんな中、YouTuberのKITE(カイト)が沖縄が沈んだという動画をアップし、全国に衝撃が走ります。

にわかには信じがたいことでしたが、それに伴って、日本列島が太平洋側に沈み始めているという噂が拡がります。

都内に住んでいた武藤家の歩(あゆむ)と剛(ごう)の姉弟は、大混乱の中、家族4人で東京からの脱出を始めました。

避難船が寄港してる港に立ち寄ると、そこでは日本を脱出する者の抽選が行われていました。

歩が将来有望な若者として別枠で脱出できると知りますが、家族と離れ離れになることに躊躇してしまいます。そんな時、富士山が噴火、大津波が避難民を襲いました。

刻々と沈みゆく日本列島は、容赦なく彼らを追い詰めていくなか、極限状態で突きつけられる、生と死、出会いと別れの選択が繰り返されます。

途方もない現実と向き合う中、歩と剛は、未来を信じ、懸命に生き抜く強さを身につけていきます……。

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Netflixアニメ『日本沈没2020』感想と評価

(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

「日本沈没」をアニメーションという手法を持って描いた『日本沈没2020』。この企画を最初に聞いた時にはどういう方向になるのかなと、疑問が湧きました。

ところが、ダイナミックな演出が光る湯浅政明監督が手掛けるということで、何か光明な期待が持てました。実際に作品を見ると、期待感は確信に。

第一話で描かれる大地震。そしてその後のエピソードで描かれる唐突さは、湯浅政明監督の世界観を最大限に活かした演出といえます。

「日本沈没」の映像化、特にアニメーションという手法に限っていえば、湯浅政明監督以外の選択肢はなかったのではないかと思われます。

これ以上リアルだと見るに堪えない惨状となってしまいますし、これ以上ディフォルメが進んでしまうと絵空事に見えてしまうというギリギリのところで、本作は描かれていました。

湯浅政明監督の特徴は、疾走感のあるアクションとダイナミックな構図、そして大胆な省略ですので、「日本沈没」という題材に対して、とても相性の良いことが分かります。

東日本大震災を経験している我々にとって、被災という出来事に嘘があると全てが頭の中に入って来なくなります。

しかし、『日本沈没2020』はこの部分で嘘がなく、見る側のいちばん根っこの部分を掴んでいるのです。

1話を見た人は、きっと第2話以降も目が離せないまま最後まで見てしまうでしょう。

第2話以降にも散りばめられている唐突な無情さ、非情さ、そして原作や映画版を見ている人にとっては思わず唸る重要人物の登場の仕方など、イッキ見と二度見の要素を併せ持った作品に仕上がっています。

過去の実写映画との比較

(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

過去にも映画化されている『日本沈没』。藤岡弘主演の1973年版と草薙剛と柴崎コウが出演した2006年版です。これらの実写映画と今回のアニメを比較してみました。

参考画像:『日本沈没』(1973)

1973年版は一種の群像劇になっています。地球科学博士の田所博士(小林桂樹)は前半から中盤まで物語を牽引しますが、マスコミでのスタンドプレイが原因で一線から退場。

潜水艇“わだつみ”のパイロットの小野寺(藤岡弘)も出ずっぱりですが、どちらかというと事態に向かう一員の一人です。ヒロインの玲子とのラブストーリーパートも見どころです。

一つの無人島が沈むという事象が起き、地球科学博士の田所(小林桂樹)が調査に乗り出します。調査を進めた田所は地球の核が急速に拡大、これに合わせてマントルの活動が活発化し、日本列島の大部分が沈むという予測を立てます。そして、関東で大規模な地震が発生します。

調査を主にするD1計画から国民の避難をめざすD2計画を進めようと田所たちは動き出します。しかし、その想定規模故に政府は足踏みをします。

そこで田所は意図的にマスコミの前に出て日本が沈没することを公言。日本中にパニックが拡がります。

総理は予定を早めて事態を発表し、その直後に富士山が火を噴き、沈没がいよいよ迫ります。日本国民の国外移住が始まりました。

D2計画が進まぬ中で、総理の山本は自らが世界各国へ移住受け入れを求めて回ることを決意します。そこに沈没がさらに早まる可能性が示唆されます。

四国・紀伊半島からついに沈没が始まり、東北、北海道、九州にも拡大。D1のチームは沈没までの残り時間を二週間弱と算出、そしてフォッサマグナの変動が始まり、日本はついに沈没してしまいます。

参考画像:『日本沈没』2006年版

(C)2006 映画「日本沈没」製作委員会

2006年版の主人公は深海潜水艇のパイロットの小野寺と原作の令嬢の設定からハイパーレスキュー隊員へと設定変更された阿部玲子(柴咲コウ)です。

この2人に原作より若く設定された田所博士、その元妻の鷹森大臣(大地真央)が絡んでいきます。

73年版と比べると沈没の予測がすでにされているところから始まるので、小野寺へのウェイトが大きくなっています。

アメリカを中心とした研究チームが、日本の太平洋プレートのマントルの中でプレートの瘤が形成されていて、これが一定の大きさになった時一気に大規模な地殻変動が起き、日本列島は沈没するだろうという予測を発表します。

地球科学博士の田所(豊川悦司)は深海調査艇“わだつみ”のパイロット小野寺(草彅剛)と結城(及川光博)の協力を得て日本海溝を調査。

日本の沈没はアメリカの研究チームよりはるかに早く1年以内に起きるという予想をたてます。

田所は日本の国内外で調査を進め、メガリスの崩壊だけでなく地殻の下部が剥がれ落ちる現象も同時の起きる可能性を示唆。

総理の山本、元妻の鷹森危機管理担当大臣を前にあと1年も無い中で日本が沈んでいくという予想を展開します。

全国各地で大規模な地震と噴火、津波が発生、北海道、九州、四国が沈み始め、日本中に非常事態宣言が発令され、パニックが拡がります。

日本人を一人でも多く救う方法を求めて田所のもとを訪ねる鷹森。田所はプレートの亀裂に掘削船を使い特殊な爆薬N2爆薬を設置して、プレートを切断するというアイデアを提起します。

世界中の設備と人材を集めなければいけないこの方法に田所の案にかけることに決めた鷹森は世界各国に協力を依頼。そしていよいよ東京都心にも大規模地震と津波が襲い掛かり、全国各地が水没する中、田所の作戦が開始されます。

しかし予期せぬ海底変動で結城は還らぬ人となります。結城の死を知った小野寺は玲子に別れを告げて、旧式の潜航艇でN2爆雷のセットに向かいます。

旧式ゆえに帰る可能性がゼロという状態で小野寺は深海に進み、爆薬をセット。プレートの切断に成功し、日本の沈没を止めることに成功します。

『日本沈没2020』の主人公は田所博士でもなければ小野寺もなく、未曾有の大災害に被災した一家・武藤家とその長女・歩です。

日本を救おうと奮闘する側ではなく、想定外の惨事に直面するごく一般の国民視線から描かれた“日本沈没”。

立場を変えて描かれた本作には、東日本大震災を体験したことが大きな意味を持っています。

映画の中でも、中学生の歩たちは、一度沈んだ日本が再び隆起する場所があることを知ります。
ここからは、大きな犠牲の先に希望を感じさせる未来の形を見ることができるのです。

まとめ

(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

原作小説『日本沈没』と1973年度映画版は、関東大震災から50年という節目と高度経済成長が終わりを迎えた不安のある時代性を背景にして作られています。

2006年版のリメイク版(樋口監督は原作小説の再映画化としています)は阪神淡路大震災の被害が色濃く感じることができます。こちらの最大の特徴として日本が沈没せずに終わるといういう結末があります。

そして、本作『日本沈没2020』はやはり、東日本大震災の経験の影響がはっきりと見て取れます。

都市機能が停止するほどの大災害であった東日本大震災。『シン・ゴジラ』(2016)や『FUKUSHIMA50』など間接的、直接的に東日本大震災を描いてきた作品はありましたが、本作では地震災害そのものを新たに描き直しています。

スマホやYouTube、YouTuberが登場するなど、2020年の今に合うようにアップデートされているのも注目です。

『日本沈没2020』は新しい視点を大胆に加えて、大きなアレンジをしていますが、その一方でいつの時代にも通じる普遍性があります。

そういう意味でも、『日本沈没2020』は今見られるべきアニメシリーズといえるでしょう。

未曽有の出来事や大きな災害に遭遇したとき、私たちはどう行動すべきなのか。どこへ向かって、何をすればいいのかー

これは、究極の選択を突き付けられた人々が向き合う現実と再生の物語です。『日本沈没』の原点に戻って考える必要がありそうです。

Netflixオリジナルアニメシリーズ『日本沈没2020』は7月9日(木)より全世界独占配信


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