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『ガルパン最終章第4話』ネタバレ感想と結末評価。ガールズ&パンツァー主人公不在での攻防と明らかになった“最後の対戦相手”

  • Writer :
  • 糸魚川悟

戦車を操る女子高生が対戦する人気アニメ『ガールズ&パンツァー』のOVA「最終章」の第4話が劇場公開!

2017年より始動した、全6話構成での公開を前提とした「ガールズ&パンツァー 最終章」シリーズ。

およそ2年に1作が公開され、その度に大きな衝撃をもたらすこのシリーズも、2023年でついに4話目を迎えることとなりました。

今回はアニメ放送から10周年を迎えた「ガールズ&パンツァー」シリーズの「最終章」第4作であり、終わりへと足を踏み入れる後半の幕開けとなる『ガールズ&パンツァー 最終章 第4話』(2023)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

アニメ映画『ガールズ&パンツァー 最終章 第4話』の作品情報


(C)GIRLS und PANZER Finale Projekt

【公開】
2023年(日本映画)

【監督】
水島努

【脚本】
吉田玲子

【キャスト】
渕上舞、茅野愛衣、尾崎真実、中上育実、井口裕香、福圓美里、高橋美佳子、植田佳奈、菊地美香、吉岡麻耶、桐村まり、中村桜、仙台エリ、森谷里美、井上優佳、大橋歩夕、竹内仁美、中里望、小松未可子、多田このみ、山岡ゆり、秋奈、井澤詩織、山本希望、葉山いくみ、椎名へきる、瀬戸麻沙美、大空直美、米澤円、七瀬亜深、下地紫野、石上美帆、能登麻美子

【作品概要】
2012年より放映され、舞台となった茨城県・大洗町に膨大な観光特需をもたらした人気アニメ「ガールズ&パンツァー」シリーズの「最終章」第4作目。

監督はアニメシリーズおよび劇場版から引き続き、アニメ「クレヨンしんちゃん」シリーズへの長年の貢献で知られる水島努が務めました。

映画『ガールズ&パンツァー 最終章 第4話』のあらすじとネタバレ


(C)GIRLS und PANZER Finale Projekt

冬季無限軌道杯・準決勝、雪原で行われる「大洗女子学園」対「継続高校」。

大洗の司令塔である西住みほ率いる「あんこうチーム」が搭乗するIV号戦車が、1キロ以上離れた距離からの狙撃によって撃破されてしまいます。

継続高校の「白い魔女」と呼ばれる狙撃手のヨウコは1年生であり、夏季大会では本領発揮の前に継続高校が敗北したため、その存在が表に出ることはありませんでした。

司令塔を失った大洗は「カメさんチーム」の角谷杏が司令塔を引き継ぎ、残戦力をひとつに集め移動することで窮地を脱します。しかし継続高校の包囲網は迫り、追い詰められた大洗は戦車で雪を塹壕の形に掘って時間を稼ぎます。

「ウサギさんチーム」の澤梓は、大洗が立て篭る塹壕が凍ったダムの上であることから、ダム穴から塹壕を密かに抜け出し継続高校を奇襲する案を思いつき、角谷はその案を実行に移します。

しかし継続高校の隊長のミカは、包囲された大洗が一点突破の脱出ではなく塹壕での防衛戦を展開していることから地図を見直し、大洗の作戦を看破。

角谷は継続に作戦がバレたことに気づきますが、すでに他に方法はなく、全ての友軍車両をダム穴内の通路に入れたところでヨウコの狙撃により「カメさんチーム」も撃破されてしまいます。

西住に続いて角谷まで撃破され司令塔をまたも失った大洗は、奇抜なアイデアと他者を引っ張る力を見せていた澤を新たな司令塔に据え、ダム穴の通路を進行。

澤は継続高校が出口に張っていることを予期し、「レオポンさんチーム」の乗るポルシェティーガーの高速移動を利用し強引に突破すると、隊を4両と3両に分けます。

そして、目の良いそど子が率いる「カモさんチーム」とフラッグ車である「アリクイさんチーム」、「カバさんチーム」の3両にヨウコの撃破に向かわせます。

澤は狙撃を受けた2ヶ所からヨウコのいる稜線を概ね特定しており、継続高校に7両が固まっていると思わせたまま隙だらけのヨウコを撃破しようと目論んでいました。

しかし隊を二手に分けたことは継続高校に早々に露見し、ヨウコを撃破したと同時に「カモさんチーム」と「カバさんチーム」も撃破されてしまいます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ガールズ&パンツァー 最終章 第4話』のネタバレ・結末の記載がございます。『ガールズ&パンツァー 最終章 第4話』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)GIRLS und PANZER Finale Projekt

狙撃手を倒したことから総力戦を仕掛ける澤に対し、ミカは雪原の視界の悪さを利用して大洗を急斜面に誘い込むと、ミッコの高度な操縦技術を駆使して大洗を翻弄。

壮絶な攻防の果てに追い詰められたミカは、わざと雪崩を引き起こすことで澤の乗る「ウサギさんチーム」を撃破し、大洗の残る車両はフラッグ車の「アリクイさんチーム」と雪崩に巻き込まれた「サメさんチーム」のみとなりました。

ミカは逃げた「アリクイさんチーム」が雪を戦車に被せて擬態していると見抜き砲撃しますが、実はその雪は「アリクイさんチーム」が鍛え抜いた筋力によって短時間で作った雪像でした。

そして、近場に身を隠していた「アリクイさんチーム」は三式中戦車でミカの乗るフラッグ車を撃破し、大洗は勝利を収めました。

試合に勝利した大洗女子学園のメンバーは継続高校に招かれ、湖畔にサウナが大量に並ぶ独特の空間で疲れを癒しました。

その頃、冬季無限軌道杯のもう一つの準決勝である「黒森峰女学園」対「聖グロリアーナ女学院」も行われていました。

フラッグ車と攻撃チームの二手に別れる戦略を取る両学園でしたが、聖グロリアーナがやや優勢に試合を進め、黒森峰のフラッグ車は追い詰められていきます。

黒森峰の隊長・エリカは聖グロリアーナのフラッグ車の追撃を諦め、自チームのフラッグ車の応援に駆けつけようとします。

聖グロリアーナの隊長・ダージリンはフラッグ車に搭乗していましたが、後輩の指導として黒森峰の追撃を開始。

狭い峡谷で行く手を機動力に長ける聖グロリアーナのクルセーダーMk.IIIに搭乗するローズヒップたちに阻まれたエリカは、赤星小梅とともに自ら戦車を降りて登れる崖を探し出します。

砂嵐が発生し視界が悪化したことを利用し、エリカはクルセーダーMk.IIIを撃破すると峡谷の行き止まりでフラッグ車と合流。

その場に聖グロリアーナが全隊を率いて現れ、ほぼ同数の残車両を持つ両学園は退路のないこの場所で短期決戦を挑むことに決めます。

ダージリンは聖グロリアーナに入学した島田愛里寿に敵フラッグ車撃破のために先陣を切らせると、エリカも聖グロリアーナのフラッグ車を目指して突撃。

愛里寿の恐るべき戦闘能力によって黒森峰のフラッグ車は撃破され、ほぼ同じタイミングでエリカによって聖グロリアーナのフラッグ車も撃破されます。

僅か2秒の差で聖グロリアーナが勝利を収め、ダージリンは愛里寿が聖グロリアーナに入学したことに感謝しました。

試合を見ていた西住は、冬季無限軌道杯の決勝戦が聖グロリアーナとの戦いになることを噛み締めました。

映画『ガールズ&パンツァー 最終章 第4話』の感想と評価


(C)GIRLS und PANZER Finale Projekt

主人公以外の成長にスポットを当てた4作目

準決勝での継続高校戦にて、大洗女子学園の司令塔兼エースであり、主人公の西住みほが搭乗する「あんこうチーム」の戦車が最初に撃破されるという衝撃の展開で締めくくられた前作のラスト。

主人公だけでなく「あんこうチーム」は『ガールズ&パンツァー』の物語の中心であったからこそ、「最終章」では攻守ともに強者として大洗を牽引していました。

そんな「あんこうチーム」の撃破から始まる第4話は、残された大洗のメンバーが代わる代わるに見せ場を作る主人公以外の成長にスポットを当てた作品。

司令塔不在ゆえの先の読めないハラハラ感と各人の活躍にいつも以上に注目できる、総力戦となることが予想される最終決戦直前ならではの回となっていました。

明らかになった“最後の対戦相手”


(C)GIRLS und PANZER Finale Projekt

物語は次回作にて、冬季無限軌道杯の決勝へと足を踏み入れることになります。

決勝での対戦高校はこれまで完全に伏せられ、物語上でもはっきりとした敵対高校を作っておらず、指導者を失いながらも成長を見せた逸見エリカ率いる黒森峰女学園が、決勝の相手とも思える展開が進んでいました。

しかし本作で決勝に駒を進めたのは、ダージリン率いる聖グロリアーナ女学院であり、その生徒の中には島田愛里寿がいることが明らかになります。

島田愛里寿は飛び級で大学に進学し、大学選抜チームとして『ガールズ&パンツァー 劇場版』(2015)にて大洗女子学園と熾烈な戦いを繰り広げました。

西住みほを撃破寸前に追い込みながらも僅差で敗れた島田愛里寿は、編入先探しの過程で西住みほとの再戦を誓っており、ここでの登場はある意味約束されたものではあります。

運が味方しなければ負けていたとも取れる圧倒的な相手が、最後の対戦者として立ち塞がる。より今後の展開が楽しみになるラストでした。

まとめ


(C)GIRLS und PANZER Finale Projekt

シリーズの恒例であり人気の源である、実際の戦車の音をサンプリングした大迫力のサウンドと映像で繰り広げられる戦車戦。

特に急斜面上での戦闘シーンの迫力は凄まじく、絶対に映画館で鑑賞すること勧めたい『ガールズ&パンツァー 最終章 第4話』。

長年このシリーズを追い続けてきたファンには言うまでもなくオススメの作品です。



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