「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel]」シリーズ最終章
須藤友徳が監督を務めた、2020年製作のファンタジーアニメ映画、『劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song』。
奈須きのことTYPE-MOON原作のゲームヒロインの1人、間桐桜視点で描かれる、聖杯戦争の真実に迫った物語とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
聖杯戦争の真実と、少年と少女の物語の結末が語られるファンタジーアニメ映画、『劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。
CONTENTS
映画『劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song』の作品情報
【公開】
2020年(日本映画)
【原作】
奈須きのこ、TYPE-MOON
【監督】
須藤友徳
【キャスト】
杉山紀彰、下屋則子、川澄綾子、植田佳奈、門脇舞以、伊藤美紀、中田譲治、津嘉山正種、浅川悠、稲田徹
【作品概要】
「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel]」シリーズや、『劇場版「空の境界」未来福音』(2013)などを手掛けた、須藤友徳が監督を務めたファンタジーアニメ作品です。
TYPE-MOONの大ヒットPCゲーム『Fate/stay night』をアニメ映画化。本作は原作ゲームのヒロインの1人、間桐桜を通して「聖杯戦争」の真実に迫るシナリオルート、「Heaven’s Feel」を描いた3部作の第3章となります。
『劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel]I. presage flower』と、『劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] II. lost butterfly』に続く最終章です。
「劇場版NARUTO」シリーズや、「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel]」シリーズ、『劇場版 Fate/stay night UNLIMITED BLADE WORKS』(2010)などに出演する杉山紀彰が、主演を務めています。
映画『劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song』のあらすじとネタバレ
選ばれし7人の魔術師(マスター)と、現世に召喚された7騎の英霊(サーヴァント)が己の願いを叶えるため、万能の願望機「聖杯」を巡り戦う「聖杯戦争」。
間桐家・遠坂家・アインツベルンの御三家が作り出したこの戦いに、偶然にも7人目のマスターとして、半人前の魔術師として生きてきた衛宮士郎が選ばれました。
士郎と彼と契約を結んだ剣士のサーヴァント、セイバーが参加することにより、彼が住む冬木市を舞台に、第五次聖杯戦争の幕が上がりました。
真の暗殺者のサーヴァント、真アサシンと、サーヴァントと人間を食らい取り込む影の出現により、この第五次聖杯戦争は徐々に歪んでいきました。
人間の形を保ちながら、聖杯の器として覚醒した間桐桜は、義兄である間桐慎二を殺してしまった罪と共に、昏い闇に溺れてしまいます。
セイバーもまた、間桐邸での真アサシンとの戦いで、影に取り込まれた際に悪堕ちし、セイバー・オルタとして変貌を遂げてしまうのです。
士郎は、間桐邸で慎二の死体を発見。その直後、士郎の元に、魔術の力で肉体を人のものから蟲に置き換えることで、数百年も延命を重ねた怪物である間桐臓硯の分身が出現。
士郎は、弓兵のサーヴァント、アーチャーから移植した左腕を使って、臓硯の分身と戦おうとします。
しかしその左腕は、人間の身体では到底扱えない英霊の腕であるため、一度でも使ってしまえば、肉体が内部から崩壊し自滅する危険がありました。
するとそこへ、士郎を慕う彼の後輩である桜と契約を結ぶ騎兵のサーヴァント、ライダーが現れ、臓硯の分身を攻撃。臓硯の分身が消滅したのと同時に、ライダーは士郎を救出します。
その頃桜は、衛宮邸を襲撃し、自分と同じ聖杯の器であるアインツベルンのホムンクルス、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンを攫おうとしました。
それに待ったをかけたのが、アーチャーのマスターであり、冬木市一帯の魔術師を支配する管理人である遠坂家の6代目当主、遠坂凛。
地水火風空の5つの属性を極めて高いレベルで扱うことのできる、「五大元素使い(アベレージ・ワン)」と呼ばれる超一級の魔術師である彼女は、自身が得意とする宝石を使った鉱石魔術で、イリヤを奪いに来た桜を攻撃しようとします。
これに対し桜は、彼女しか持たない稀有な属性「架空元素・虚数」と、間桐の「吸収」を掛け合わせた影で作った檻で凛を閉じ込め、彼女の魔力を吸収しました。
さらに桜が、華やかで欠点がなく完璧な実の姉である凛に対する強いコンプレックスから、彼女に止めを刺そうとしたその瞬間、ライダーに抱えられた士郎が登場。
それに驚く桜ですが、士郎が自分よりも倒れた凛を優先したことへの嫉妬から、彼を殺そうとします。それを止めたのは、ライダーでした。
ライダーは、これ以上悪に染まらぬよう桜を説得しますが、結果は失敗。セイバー・オルタに攻撃された彼女を、桜は影を使って取り込もうとします。
そんな桜に待ったをかけたのは、イリヤ。彼女は自ら、桜に着いていくことを決め、士郎たちに危害が加わらないようにしました。
桜とイリヤ、セイバー・オルタは影の中に消え、衛宮邸からアインツベルンの城へ向かいます。士郎はライダーと凛を連れて、第五次聖杯戦争の監督役で、冬木教会の神父である言峰綺礼に助けを求めました。
綺礼の治癒魔術により、それぞれ回復した士郎たち。綺礼は、イリヤを奪還しようとアインツベルンの城へ向かおうとする士郎に、臓硯の野望を明かします。
それは桜がイリヤに、自身が吸収したサーヴァントの魂を全て渡し、空の器になったところで、臓硯が桜の身体を乗っ取ろうというものでした。
イリヤの奪還と臓硯の打倒、互いの目的が一致した士郎と綺礼は、一時的な協力関係を結び、アインツベルンの城へ突撃。
士郎たちはイリヤを無事奪還・救出し、アインツベルンの城から立ち去ろうとしましたが、士郎に気づいた桜が、真アサシンとバーサーカーを召喚。
真アサシンは綺礼と、イリヤを抱えて逃げる士郎はバーサーカーと、それぞれ戦う羽目になりました。
戦いの舞台を冬木教会に変え、死闘を繰り広げる綺礼と真アサシン。真アサシンは自身の宝具「妄想心音(ザバーニーヤ)」を使い、本物の心臓に指一本触れず、綺礼の胸部に触れたことで作り出した疑似心臓を、握りつぶし呪殺しようとしました。
それが何故か効かない綺礼は、自身の武器である十字架を模した刃渡り80~90cm程度の投擲剣、「黒鍵」を使って真アサシンの動きを封じ込めます。
そして綺礼は、教会の屋根に潜んでいた臓硯を、霊体そのものに攻撃する教会の洗礼詠唱を唱えて、倒しました。
臓硯を倒した綺礼の元へ、満身創痍の真アサシンが出現。彼が自分が綺礼を呪殺できなかったのは、綺礼が既に聖杯の呪いに侵されていたからだと、綺礼に告げます。
10年前に行われた第四次聖杯戦争で、勝者の衛宮切嗣が聖杯を破壊し、綺礼と共に戦っていた英霊、英雄王ギルガメッシュが聖杯の呪いを浴びました。
しかし、ギルガメッシュはその呪いに侵されることなく受肉し、代わりに彼のマスターである綺礼へと、その呪いが流れていってしまったのです。
一方その頃、士郎はイリヤを守るため、自滅覚悟で左腕を解放し、バーサーカーと戦う決意をしました。
アーチャーの戦闘経験と技術をそのまま引き継ぎ、英霊と1対1で渡り合える力を得た士郎は、まず「投影開始(トレースオン)」と告げてバーサーカーの神話を把握。
さらに彼は、「投影、装填(トリガーオフ)」、「全工程投影完了――――是、射殺す百頭(ナインライブズブレイドワークス)」と告げ、バーサーカーが持つ大剣を投影させます。
士郎はバーサーカーの右腕を斬り飛ばし、バーサーカーの身体を大剣で貫き、倒しました。するとそこへ、セイバー・オルタが出現。
同時刻、臓硯と真アサシンを倒した綺礼の元に、桜が出現。桜は、綺礼に指一本触れずに彼の心臓を握り潰しました。
しかしその直後、桜は内に秘めた何かに怯え、セイバー・オルタを招集。士郎とイリヤは、無事凛が待つ衛宮邸に帰還します。
映画『劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song』の感想と評価
歪んでしまった第五次聖杯戦争
大聖杯の中に眠るアヴェンジャー、アンリマユによる影の力で、聖杯戦争とは関係のない市民や、ランサー・キャスター・セイバー・ギルガメッシュ・バーサーカーら英霊が次々と取り込まれていきます。
そんな歪んだ第五次聖杯戦争で、生き残った士郎たち。士郎とライダーは桜を救うため、凛は桜を殺すため、イリヤはそんな皆を守るために戦っていきます。
聖杯の呪いに侵され、黒い聖剣エクスカリバーで膨大な魔力を放出してくるセイバー・オルタ。それをヒラリと躱し、攻撃を仕掛けていくライダー。
彼女たち英霊同士の戦いは、本作最大の迫力あるアクション場面となっています。それに続き、アサシン相手に怯まず戦った綺礼が、教会の洗礼詠唱によって臓硯を追い詰める姿も、勇ましくて格好良いです。
物語の後半に描かれた宝石剣を持つ凛vs黒化した桜、アンリマユの誕生を阻止したい士郎と、アンリマユを誕生させたい綺礼の2つの戦いは、どちらが勝つのか負けるのか分からないスリルを味わえてハラハラドキドキします。
凛とイリヤの姉としての愛情
冬木市を守るために、冬木市を滅ぼす脅威となった桜を殺すことを決断した凛は、物語の後半まで彼女を殺す気満々で戦います。
それがいざ桜を殺すとなった瞬間、凛の姉として、実妹である桜を愛し守りたいという愛情が、凛を思いとどまらせました。
間桐家に養子に出された桜を、彼女と離れていた11年間ずっと心配し、影ながら見守ってきた凛の愛情。それが伝わったおかげで、桜は自我を取り戻します。
そして物語の終盤、生きたいと願う士郎を救うため、自らの身を犠牲にして大聖杯の中に入り、アンリマユごと大聖杯を止め崩壊させたイリヤ。
実父である切嗣の養子となった士郎に、複雑な思いを抱いていた彼女が、最後の最後に姉として弟を守らなければと思ってとった行動でした。
そんなイリヤの愛情が、瀕死に陥った士郎を救いました。そんなイリヤと凛の、不器用ながらに義理の弟と実の妹を大事に想う愛情を描いた場面は、涙が止まらないほど感動します。
まとめ
聖杯戦争の真実と、昏い闇に溺れてしまった桜を、何が何でも守ろうと戦いに身を投じる士郎の姿を描いた、ファンタジーアニメ作品でした。
本作の見どころは、桜を救おうとする士郎たちの熱き想いと、聖杯の呪いに侵された英霊たちとの戦いを描いたアクション場面です。
英霊同士の戦いはもちろん、魔術師同士の戦いも、スリル満点で大迫力なアクション場面ばかりで、ファンタジー映画やアクション好きにはたまらなく興奮します。
桜ルートと称される「Heaven’s Feel」。それが真の不老不死を実現させる大儀礼、天の盃であり、魂を物質化する魔法であったこと。
そして聖杯戦争の真実、物語の終盤で死んでしまったと思われた士郎が、復活を遂げ桜たちと一緒にいた驚きの結末に驚愕したファンも多いことでしょう。
明かされた聖杯戦争の真実に驚愕し、士郎たちの熱き想いに涙し、スリルと興奮を味わえる第五次聖杯戦争を描いたファンタジーアニメ映画を観たい人に、とてもオススメな作品です。