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Entry 2021/05/18
Update

映画FGOキャメロット後編|ネタバレ感想と評価解説。ラスト結末で劇場版Fate/GrandOrder神聖円卓領域キャメロットの謎が解明された集大成

  • Writer :
  • 秋國まゆ

スマートゲームアプリから生まれたファンタジーアニメ『劇場版 Fate/Grand Order 神聖円卓領域キャメロット後編 Paladin; Agateram』のご紹介

荒井和人が監督を務め、2021年に大人気スマートフォン向けゲームアプリ『Fate/Grand Order』を、劇場版アニメ化として製作したファンタジーアニメ映画、『劇場版 Fate/Grand Order 神聖円卓領域キャメロット 後編 Paladin; Agateram』。

白亜の城を築き民を殺戮する獅子王と円卓の騎士相手に、遍歴の騎士と主人公たちが他の勢力と手を組み、激闘を繰り広げていく姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。

『Fate/Grand Order』の中で人気のエピソード『第六特異点』を基に描く、2021年5月15日(土)に全国公開された奈須きのこ原作のファンタジーアニメ映画、『劇場版 Fate/Grand Order 神聖円卓領域キャメロット 後編 Paladin; Agateram』のネタバレあらすじを作品情報を交えてご紹介いたします。

映画『劇場版 Fate/Grand Order 神聖円卓領域キャメロット 後編 Paladin; Agateram』の作品情報


(C)TYPE-MOON / FGO6 ANIME PROJECT

【公開】
2021年(日本映画)

【原作】
奈須きのこ、TYPE-MOON

【監督】
荒井和人

【キャスト】
宮野真守、島崎信長、高橋李依、坂本真綾、川澄綾子、水島大宙、沢城みゆき、置鮎龍太郎、内山昂輝、安元洋貴、子安武人、田中美海、小松未可子、稲田徹、千本木彩花、鈴村健一

【作品概要】
アニメ映画『フリクリ プログレ』(2018)の荒井和人が監督を務めた、奈須きのことTYPE-MOON原作のファンタジーアニメ作品です。

「銀河英雄伝説」シリーズや「劇場版うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズなどの宮野真守が主演を務め、島崎信長や坂本真綾、川澄綾子、沢城みゆきら人気声優が多数出演しています。

映画『劇場版 Fate/Grand Order 神聖円卓領域キャメロット 後編 Paladin; Agateram』のあらすじとネタバレ


(C)TYPE-MOON / FGO6 ANIME PROJECT

遍歴の騎士ベティヴィエールは、同じ円卓の騎士である叛逆の騎士モードレッドとカムランの丘で戦う「カムランの戦い」で、重傷を負った騎士王アーサー王の元へ向かいました。

アーサー王はべディヴィエールに、湖の乙女によってもたらされた自身の武器である星の聖剣、エクスカリバーを託し最期のお願いをします。

「森を抜け、血塗られた地を超え、泉へ剣を投げ入れよ。もしここへ戻ってきたら、その旅路の物語を聞かせて欲しい」と。

ベディヴィエールは、アーサー王から預かったエクスカリバーを持ち、返還する湖へと向かいました。

山の翁ハサン・サッバーハは、べディヴィエールにその光景を見せ、もう一度彼の覚悟を問いました。

これに対し、べディヴィエールは、例え自分が天に召されないとしても、贖罪のために自分の役目を果たすと断言するのです。

時は西暦1273年、十字軍撤退後のエルサレム王国の聖都キャメロット。

そこはエルサレムの民たちが住処を追われ、円卓の騎士勢・エジプト勢・山の民という、3つの勢力が対峙する不毛の地でした。

その地に辿り着いたべディヴィエールと、人理継続保証機関「カルデア」の最後のマスターである藤丸立香と、彼のサーヴァントのマシュ・キリエライトとレオナルド・ダ・ヴィンチ「カルデア一行」。

彼らは東方の大英雄アーラシュと、呪腕のハサンや静謐のハサンら「山の民」と協力し、白亜の城を築き、民を殺戮する獅子王と彼女がサーヴァントとして召喚した「円卓の騎士」を倒そうとしていました。

しかし、アーラシュは先の戦いで宝具「流星一条(ステラ)」を展開し、霊廟に向かって放たれた獅子王の宝具「最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)」を退け、消滅してしまったのです。

アーラシュの消滅後、べディヴィエールは霊廟に眠る山の翁と会い、彼に覚悟を問われたのですが、どこか元気がない様子…。

そんなべディヴィエールを励ますマシュ。べディヴィエールはそんな彼女に、彼女と融合し力を貸した英霊の名を知っていると告げるのです。


(C)TYPE-MOON / FGO6 ANIME PROJECT

一方、獅子王と湖の騎士ランスロット、黒き手の騎士アグラヴェインら円卓の騎士は、聖槍ロンゴミニアドを消滅させたのは誰か話し合っていました。

そこへ、先の戦いでべディヴィエールに敗れた妖弦の騎士、トリスタンが現れます。

トリスタンの「聖槍を倒したのはアーラシュとべディヴィエールだ」の言葉によって、ガウェインがべディヴィエールの存命を隠していたことが発覚。

それについて揉め合う円卓の騎士に、獅子王は「べディヴィエールとは誰だ」と問うのです。

円卓の騎士との壮絶な死闘を終えた、べディヴィエールとカルデア一行。

彼らは強大な力を持つ太陽王、オジマンディアスに、獅子王と円卓の騎士打倒のための同盟を結ばないかと提案します。

そこへ、単騎で乗り込んできたランスロットが乱入。ベディヴィエールたちが悪者とする獅子王に、付き従う理由を話します。

ランスロットが己の剣を預け、忠誠を誓ったアーサー王が、聖槍を放ち民を虐殺することを許してはいません。

ランスロットはその反面、魔術王ソロモンの人理焼却によって、人類が滅亡する運命にある世界を救済するには、獅子王のやり方が最善な方法だと主張。

ランスロットの話を聞いたマシュは、突然礼儀正しく真面目で温和な性格から、彼に辛辣な物言いであたる性格へと豹変。

突如始まったマシュとランスロットの戦いに、戸惑いを隠せない藤丸たち。

べディヴィエール曰く、マシュと融合した英霊の真名は「ギャラハッド」。

ギャラハッドとは、円卓の騎士の中で最も高潔な騎士であり、聖杯探索を成功した聖人です。

それと同時に、ランスロットがエレインという女性による催眠で騙され、添い遂げた末に手放した彼の息子でした。

マシュが持つ盾は、ギャラハッドの武器。それをマシュの盾を見ただけで悟ったランスロットは、生前親子関係を上手く築けなかった息子と融合した彼女に、酷くうろたえてばかりいました。

そんなランスロットに、マシュはこう言いました。「間違ったことをする獅子王に気づいているのなら、敬愛するアーサー王がしてきたことを守るために、ちゃんと向き合うべきだ」

そして最後に、生前ギャラハッドが口にしなかった「お父さん」と付け加えるマシュ。

マシュとランスロットの戦いが終わった後、オジマンディアスは藤丸たちに、獅子王の計画を明かします。

以下、『劇場版 Fate/Grand Order 神聖円卓領域キャメロット 後編 Paladin; Agateram』ネタバレ・結末の記載がございます。『劇場版 Fate/Grand Order 神聖円卓領域キャメロット 後編 Paladin; Agateram』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)TYPE-MOON / FGO6 ANIME PROJECT

聖地エルサレムの上に、獅子王によって一夜にして築かれた聖都キャメロットは、実は聖槍ロンゴミニアドそのものだったのです。

人類の滅亡に憂いた獅子王は、人間の存在を後の世に残すべく、まず「清く正しい人間」を聖抜の儀で選出。

そして選ばれた難民を保護という名目で、聖槍の中に取り込ませます。

こうすることによって、聖都は収束し1つの塔となり、その一帯は全て世界の果てとなるのです。

聖都は世界の果てに立つ塔、「最果ての塔」という完全な世界が作られ、その代わりに最果ての塔の外の世界は全て消滅してしまいます。

この獅子王の計画を知ったオジマンディアスは、聖杯さえあれば自分が統べる国は守れると思ったと話し、同盟を断りました。

オジマンディアスの協力は得られなかったベディヴィエールたちでしたが、代わりにランスロットが協力を申し出てくれました。

ランスロットは選ばれなかった難民を、私設軍団として秘密裏に匿っていたのです。

彼らの拠点に張られたテントの中には、藤丸のサーヴァントであるレオナルド・ダ・ヴィンチの姿がありました。

女好きであるランスロットは、ダ・ヴィンチが美女であると知った途端、彼女を殺さず保護したのです。

ダ・ヴィンチとカルデアにいるロマニ・アーキマンを交え、獅子王の正体について話し合う藤丸たち。

獅子王がそうなった原因に、1人思い当たる節があるべディヴィエールは、顔面蒼白で倒れてしまいます。

獅子王とかつての仲間への罪悪感が、ピークに達してしまったべディヴィエール。

その夜、目覚めた彼は藤丸に、自分の気持ちを打ち明けました。

「贖罪のためにしてきた旅が、無意味に終わってしまうことが怖いのだ」

藤丸はこれに対し、「アーラシュ同様、誰かのためにしてきた旅は、きっとべディヴィエールの想いに報いる結末になる」と励まします。

その翌日、べディヴィエールとカルデア一行、山の民とランスロット率いる私設軍団は、聖都キャメロットに奇襲攻撃を仕掛けました。

聖都の門番であるガウェインは、聖都への侵入を防ぐべく、太陽の恩恵を受ける自身の宝具「転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)」を、べディヴィエールたち目掛けて放ちます。

それを一撃で退けたランスロットは、そのままガウェインと一騎打ちの戦いに持ち込みました。

その戦いの最中、ガウェインはランスロットの私設軍団に刃を向けますが、べディヴィエールが強い覚悟を叫びながら阻みます。

そこで砂嵐と共に、山の翁が出現。彼はガウェインを真っ暗な空間に封じ込め、獅子王に従うその覚悟を問うのです。

その隙に、正門突破を目指すべディヴィエールたち。彼らに助太刀してくれたのは、オジマンディアスでした。

オジマンディアスは、側近の冥府神ニトクリス経由で、藤丸に聖杯を託した後、自身の宝具「光輝の大複合神殿(ラムセウム・テンティリス)」を展開。

その基底部にある「デンデラ大電球」という大電球から生み出された、超絶の雷撃を交えた代灼熱の太陽光「メリーアウェン」を放ち、藤丸たちの頭上から門を打ち破ります。

オジマンディアスは、立ち去った藤丸から言われた「ファラオなら世界を救ってみせろ」という言葉で奮起し、聖都攻略に乗り出したのです。

べディヴィエールたちは正門を突破し、そのまま獅子王の元へ向かおうとしますが、アグラヴェインの強化兵やトリスタンが、その行く手を阻みます。

アグラヴェインの強化兵はダ・ヴィンチが、トリスタンには、村々において無差別な殺戮を繰り広げた彼への恨みを持つ山の民が相手をしました。

その間、ガウェインは山の翁が見せる幻想、すなわち「獅子王にサーヴァントとして召喚された日の光景」を見ていました。

その日の日没、獅子王の方針に賛同せず、従わなかった円卓の騎士は獅子王を止めるため、賛同したガウェインたち円卓の騎士と戦います。

ガウェインたちは賛同しなかった円卓の騎士を殺し、その後に獅子王からそれぞれ、聖杯(ホーリーグレイル)の祝福を介して、「ギフト」と呼ばれる能力を与えられました。

「獅子王には人の心が理解できない」と苦悩し、自らの両眼を潰してまで獣の道になることを選んだ友、トリスタンに背を向け、自らの弟・妹を殺してしまったガウェイン。

彼は、たとえ獅子王が間違っているとしても、「私情を挟まない主に忠実な一振りの剣」であるための忠義を尽くすと、山の翁に断言しました。

一方アグラヴェインは、獅子王にこう助言していました。

「生前ブリテンではなしえなかった、アーサー王の夢である“誰にも侵されず、誰にも怯えることのない理想郷”を、この聖都で作ろう」と。

獅子王は、ランスロットたち周囲から、「政権を握るために王を操ろうとする悪者」と誤解されている忠臣、アグラヴェインの助言に従い聖槍を発動。

これにより、「最果ての塔」が降臨し、聖都全体をその外殻で覆い始めました。


(C)TYPE-MOON / FGO6 ANIME PROJECT

その最果ての塔を破壊するべく、「光輝の大複合神殿」による大質量攻撃で圧し潰そうとするオジマンディアスでしたが、王城から飛び出したモードレッドにその行く手を阻まれます。

ところが、そんなモードレッドの前に立ちはだかったのは、この地に召喚され、ここまで藤丸たちに協力してきたサーヴァント、玄奘三蔵でした。

山の翁が解放したガウェインはべディヴィエールと、ランスロットは生前から相容れないアグラヴェインと、モードレッドは玄奘三蔵と、トリスタンは山の民とそれぞれ戦うことになりました。

最初に決着がついたのは、トリスタンと山の民の戦い。

トリスタンは獅子王から与えられたギフト「反転」により、性格はもちろん、弱点と思われた毒さえも効かない体質になっていたのです。

これにより、全身に猛毒を纏った静謐のハサンは苦戦を強いられた末、他の山の民同様、トリスタンの武器である妖弦で斬られてしまいます。

そんなトリスタンは、妖弦を握る左腕を掴み取った呪腕のハサンが持つ、「自己改造」のスキルによって移植された、悪性の精霊シャイターンの右腕の呪いによって倒れました。

次に決着がついたのは、モードレッドと玄奘三蔵の戦い。

モードレッドの宝具「我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)」と、玄奘三蔵の宝具「五行山・釈迦如来掌(ごぎょうさん・しゃかにょらいしょう)」がぶつかり合い、結果相打ちとなりました。

玄奘三蔵は戦いの最中では説法をきかせ、消滅寸前のモードレッドには、膝枕しながら慈悲を与えます。

モードレッドの消滅を見送った玄奘三蔵は、そのまま静かに消滅しました。

その頃、最果ての塔に大質量攻撃をぶつけ、自らの居城でもある宝具もともに崩壊し始めるオジマンディアス。

ニトクリスは宝具「冥鏡宝典(アンブゥ・ネブ・タ・ジェセル)」を展開しようとしますが、彼はそんな彼女を「ともに休もう」と言って止め、宝具の消滅と同時に一緒に消滅しました。

一方、べディヴィエールの宝具「一閃せよ、銀色の腕(デッドエンド・アガートラム)」と、ガウェインの宝具「転輪する勝利の剣」も激しくぶつけ合った末、己の剣術のみで戦っていました。

激しい死闘の末、べディヴィエールにとどめを刺されたガウェインは、最期にこう言い遺します。

「またしても王の戦いに間に合わなかった。もしべディヴィエールがいれば、王も人間の心を取り戻せたのに」

その頃、藤丸とマシュは獅子王と対峙し、彼女が放つ聖槍をマシュの宝具、「いまは遥か理想の城(ロード・キャメロット)」で受け止め退けようとしていました。

そこへべディヴィエールが現れ、藤丸たちに自身の宝具で助太刀します。

そんなベディヴィエールの姿を見て、酷くうろたえる獅子王。

そんな彼女の聖槍を、自身の宝具で受け止め、彼女の元へ向かうべディヴィエールは、藤丸たちに自分の犯した罪を明かします。

実はべディヴィエールは、アーサー王から預かった聖剣エクスカリバーを、三度も湖に返還することが出来ませんでした。

それは、聖剣の返還と同時にアーサー王が死ぬと分かっていたからです。

ベディヴィエールは自らが使える王の延命を願って、聖剣を返還することを躊躇ってしまったのですが、そのせいでアーサー王は、死する運命の時に死ねませんでした。

アーサー王は聖剣以外に所持していた、聖槍ロンゴミニアドを持ったまま彷徨う亡霊となり、やがてそれが長い年月をかけて聖槍の影響を受けた結果、神霊化が進行。

そしてアーサー王は、人間の価値観とは変質してしまった、「女神ロンゴミニアド」の化身となってしまったのです。

べディヴィエールは、自分のせいで死ぬことが出来ず彷徨っているアーサー王を探し、今度こそ聖剣を彼女に返還するべく、1500年以上も世界中を旅してきたのでした。

サーヴァントではなく、ただの人間であったベディヴィエールが、今まで生き永らえることができたのは、花の魔術師マーリンによって銀の腕に偽装された聖剣の加護のおかげです。

つまり、ベディヴィエールが犯した罪とは、「アーサー王を死なせることが出来なかった」こと。

彼が聖剣を返還したと同時に、聖剣による加護を失った彼は死んでしまいます。

ベディヴィエールの罪、彼が最後にしようとしていることに気づいた藤丸は、彼に令呪の力を使って、聖剣を握らせました。

聖剣を手に持ったベディヴィエールは、そのまま突き進み、獅子王が持つ聖槍に貫かれながら、アーサー王との思い出を回想します。

それは、かつてベディヴィエールが、アーサー王に自分を円卓の騎士にした理由を問いかけた時の会話でした。

その光景を頭に思い浮かべつつ、ベディヴィエールは獅子王に聖剣を返還し、こう言いました。

「暗い時代を1人で背負わせてしまって、申し訳ございません」

「それでも我々円卓の騎士にとっては、貴方は世の中を照らす輝く星でした」と。

獅子王は、ベディヴィエールから返還された聖剣を受け取り、これまで自分に仕えてきた彼の功績を讃えました。

ベディヴィエールの死後、聖槍が砕け散り、不死の呪縛から解き放たれた獅子王。

地面に突き刺した聖剣を両手に持ち、誇らしく胸を張った彼女は、カルデアに帰還する藤丸とマシュを見送りました。

藤丸たちが帰還した後、ランスロットの戦いで瀕死の状態に陥ったアグラヴェインが、獅子王の元へ駆けつけます。

獅子王は目の前で倒れたアグラヴェインに対し、「もう休め。働き過ぎが貴公の悪い癖だ」と言いました。

そんな獅子王とアグラヴェインは、滅びゆく第六特異点「聖都キャメロット」と共に、その世界から消滅しました。

映画『劇場版 Fate/Grand Order 神聖円卓領域キャメロット 後編 Paladin; Agateram』の感想と評価


(C)TYPE-MOON / FGO6 ANIME PROJECT

ベディヴィエール・マシュ・獅子王に隠された真実に驚愕

後編で明かされた、べディヴィエールの犯した罪の内容と、贖罪のためにしてきた彼の旅の理由、そしてその正体。

マシュと融合したシールダーの真名と、獅子王の正体と目的、聖都キャメロットの正体。

劇中で彼らの真実、謎の真相が次々と明かされていくのですが、どれもこれも衝撃的なものばかりで驚きの嵐です。

マシュと融合したシールダーの真名が、ランスロットの息子ギャラハッドだと判明した場面。

今まで最優の騎士として凛々しくあったランスロットが、珍しく酷くうろたえ、マシュに言い負け吹き飛ばされてばかりになるので、そのギャップに思わず笑ってしまいます。

何より感動的だったのは、べディヴィエールと獅子王が明かした一連の真相です。

忠誠を誓うアーサー王の延命を願ったベディヴィエールが、三度も聖剣の返還を躊躇してしまい、そのせいでアーサー王が変質してしまったことは、忠臣たる彼の心情を察すると涙が止まりません。

べディヴィエールが1500年以上もアーサー王を探し続けたこと、アーサー王が亡霊として彷徨い、やがて獅子王となってしまった経緯、2人の辛く悲しい気持ちが画面越しから伝わってきます。

そんな彼らが最後の最後で自らを蝕んでいた罪と不死の呪縛から解き放たれ、笑顔で話をする姿は本作で一番感動する場面です。

円卓の騎士それぞれの苦悩に涙

ベディヴィエールが、獅子王となったアーサー王に複雑な思いを抱いていたのと同時に、他の円卓の騎士もそれぞれ、獅子王に対し複雑な思いを抱いています。

ランスロットもガウェインもトリスタンもモードレッドも、獅子王がすることは間違っていると分かっているのです。

それでも、滅びゆく世界を救済するには獅子王のやり方は間違っていない。

自分たちが生前、アーサー王に対し後悔していることがあるからこそ、今度はちゃんと獅子王に付き従いたい。

そんなランスロットたちの思いが、前編よりも後編の方が沢山語られているので、彼らの苦悩に心打たれます。

ランスロットの最期は描かれていませんでしたが、きっと他の円卓の騎士同様、どこか満足した気持ちで消滅したのでしょう。

まとめ


(C)TYPE-MOON / FGO6 ANIME PROJECT

ベディヴィエールたちの衝撃的な真実と、円卓の騎士のそれぞれの王に対する想いが語られている、ファンタジーアニメ作品でした。

獅子王とベディヴィエールたち円卓の騎士が、それぞれ満足げに消滅できたのは、藤丸たちカルデア一行のおかげでしょう。

前編よりも多く描かれている、獅子王たちの宝具のぶつけ合いは、ファンタジーやアクション映画好きには堪らない、格好良い場面ばかりでした。

そして、この第六特異点に現れたサーヴァントたち皆の去り際も、そのキャラクターを知らなくても好きになってしまうほど格好良いので、ぜひ本作を観る際は彼らの姿も見逃さないでください。

サーヴァント同士の宝具のぶつけ合いに興奮を、円卓の騎士たちの物語に感動を体感できる、ファンタジーアニメ映画が観たい人に、とてもオススメな作品となっています。

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