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【ネタバレ考察解説】ダークナイト|ジョーカーの“その後”と正体は?俳優ヒース・レジャーを“伝説”にしたバットマン“受難”の物語

  • Writer :
  • 谷川裕美子

悪のカリスマ、ジョーカーが圧倒する……

『ダークナイト』は、『オッペンハイマー』(2024)のクリストファー・ノーラン監督がクリスチャン・ベールを主演に迎えてDCコミックスの人気ヒーローを描いた、『バットマン ビギンズ』(2005)の続編です。

『ダークナイト ライジング』(2012)と合わせて「ダークナイト・トリロジー」と呼ばれる三部作の第2作目にして、最高傑作と称される人気作品であり、勢力を拡大し続ける最悪の敵ジョーカーと、バットマンが激しい戦いを繰り広げます。

『バットマン ビギンズ』(2005)に続いて主演をクリスチャン・ベールが演じるほか、ジョーカー役を本作での怪演で“伝説”となったヒース・レジャーが演じます。

神出鬼没の知能の高い悪のカリスマ・ジョーカーが、バットマンと警察、世界を翻弄。激しいアクションシーンと共に、濃密な心理戦で観る者を魅了する本作をご紹介します。

映画『ダークナイト』の作品情報


(C)2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

【公開】
2008年(アメリカ映画)

【原案】
クリストファー・ノーラン、デヴィッド・S・ゴイヤー

【監督】
クリストファー・ノーラン

【脚本】
ジョナサン・ノーラン、クリストファー・ノーラン

【編集】
リー・スミス

【キャスト】
クリスチャン・ベール、ヒース・レジャー、アーロン・エッカート、マイケル・ケイン、マギー・ギレンホール、ゲイリー・オールドマン、モーガン・フリーマン、モニーク・ガブリエラ・カーネン、ロン・ディーン、キリアン・マーフィ

【作品概要】
『オッペンハイマー』(2024)『インセプション』(2010)の鬼才クリストファー・ノーランの監督作品。

『バットマン ビギンズ』(2005)、『ダークナイト ライジング』(2012)と合わせた三部作「ダークナイト・トリロジー」の第2弾である本作は、圧倒的なリアリティで絶賛され、第81回アカデミー賞でも8部門にノミネートされるなど、コミック原作映画の歴史を塗り替えました。

『バットマン ビギンズ』(2005)に続き、クリスチャン・ベールがバットマン役を続投。宿敵ジョーカーを演じたヒース・レジャーは撮影直後に急逝しましたが、本作が公開されるとその演技が絶賛され、アカデミー助演男優賞を受賞しました。

2020年7月には、クリストファー・ノーラン監督の『TENET テネット』(2020)公開を記念して、IMAX版&4D版で上映されました。

映画『ダークナイト』のあらすじ


(C)2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

大都会ゴッサム・シティに、口の裂けたピエロ顔の史上最悪の犯罪者ジョーカーが現われます。

ゴードン警部補とバットマンが取締りを強化する中、ジョーカーは勢力を拡大。

新任検事ハービーも正義感に燃え捜査を開始しますが、ジョーカーに狙われた果てに大火傷を負ってしまい……。

映画『ダークナイト』のネタバレ感想と評価


(C)2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

圧倒的映像美に酔いしれる超絶アクション

ダークナイト(暗黒の騎士)=バットマンと、史上最悪の敵ジョーカーとの戦いを鮮烈に描くヒーローアクションの傑作『ダークナイト』。

ノーラン監督ならではの圧倒的な映像美に酔いしれることでしょう。これまでのDCコミック映画とは一線を画す本格作品で、各方面から絶賛され興行的にも大成功を収めました。

スーパーヒーローのバットマンの存在にリアリティを持たせたことも、成功の大きな鍵となったと言えます。

大富豪のブルースのために、ハイテクのバットマンスーツやガンなどを作るのは、モーガン・フリーマン演じる研究者ルーシャスです。フリーマンなら本当に作れそう……とつい思わされてしまいます。

バットマンの愛車「バットモービル」は、故障すると一瞬で分離してオートバイ型脱出ポッド「バットポッド」に変身。バットマンが乗りこなして繰り広げる敵とのカーチェイスは迫力たっぷりです。

バットマンとジョーカーが繰り広げるバトルシーンに加えて、CGなしで撮影されたビル爆破や超巨大トレーラーの宙返りなど見逃せない衝撃シーンが続きます。ノーラン監督の作品作りへの愛あるこだわりぶりが全身に伝わってきます。

ストーリーは勧善懲悪の単純なものではありません。ジョーカーはまさに悪の天才。彼は快楽犯かのように殺戮を楽しみますが、本当の目的はバットマンをはじめとする”善良”な人々を”悪”の狂気に突き落とすことでした。

ジョーカーはバットマンがマスクをとるまで人を殺し続けると脅して、人々の憎悪をバットマンに向けさせ、バットマンの怒りを焚きつけて自分を殺すように仕向けます。その後も、二隻の大型船に起爆スイッチを渡して、自分が助かるためにもう片方の船を爆破するようにそそのかすなど、人間の弱さを揺さぶり続けるのです。

最後の切り札として、ジョーカーは正義のシンボルだったハービーに悪意ある嘘を吹き込んで、狂気へと突き落とします。

常にコインで運命を見てから行動を決めるハービーの心の脆さを、ジョーカーはよく理解していました。緻密な計算をした上で罠をかけていることがうかがい知れます。

ジョーカーの正体と“その後”は?


(C)2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

ジョーカーは非道だからこそ無敵でした。常人なら持つであろう悪事へのためらいが彼には一切ないため、相手が迷った瞬間に勝負がついてしまうのです。

神出鬼没の彼は、思わぬところに突然姿を現します。すべての現場に立ち会っているかのように思えるほどの働きぶりです。自分以外ほかの誰も信じていないことのあらわれなのかもしれません。

ジョーカーは一度は留置所に放り込まれますが、指紋も前科もなかったため、最後までまったく正体がわからないままでした。彼の口が裂けている理由をはじめ、自身について語る過去は二転三転し、真実をうかがい知ることはできません。

善人を悪の世界に引き入れることに至上の喜びを感じるジョーカーは、鮮やかな心理操作でハービーを狂気に突き落とします。恋人レイチェルを殺されてもなお人間としての尊厳を守りきったブルース=バットマンと、あっという間に悪に落ちて罪を重ねたハービーの違いは何だったのでしょうか。

人々が信じる正義を汚さないために、バットマンとゴードン警部は、ハービーの罪をバットマンにすべてかぶせる道を選びます。ジョーカーの高笑いが聞こえてくるような決断です。

しかし、実際にジョーカーが隠蔽の事実を知り得たかどうかはさだかではありません。バットマンはジョーカーを捕らえて高層ビルから宙づりにしたまま、ハービーのもとへ駆けつけてしまったからです。

その後、ジョーカーを取り囲んだ警官達には、彼を殺してもよいという命令がすでに下っていました。

ジョーカーは果たして射殺されたのか。それとも再び捕らえられ、精神病院に送り込まれたのか。

恐怖にかられた警察官が発砲したかもしれず、射殺された可能性の方が高いといえる状況だったといえるでしょう。しかしそれでもやはり、彼は見事逃亡して、新たな機会を虎視眈々と狙っていてほしいと思ってしまうのです。

ジョーカーにいつの間にか魅了されていることに気づかされます。

偏執的な殺人鬼であると同時に、人間心理を知り尽くした知能犯のジョーカーは、ファンタジックな外見に反して超人的な身体能力を持ってはいません。だからこそ、奸計に長け悪知恵だけで敵を翻弄し続けるジョーカーは、この上なく魅力的に見えるのでしょう。

悲しいことに、ジョーカーを演じた俳優ヒース・レジャーは撮影終了直後に急逝しました。

とらえどころのない謎のカリスマの圧倒的存在感、首をひねりながら病院爆破スイッチを連打するコミカルな様など、彼がどれほどジョーカーの魅力を深く理解し表現していたか思い知らされます。

ヒースの神がかった演技が、ジョーカーに永遠の命を吹き込んだことは間違いありません。

まとめ


(C)2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

DCコミックの映画の歴史を塗り変えたヒーローアクションの傑作『ダークナイト』。

鬼才クリストファー・ノーラン監督が前作に続きクリスチャン・ベール、モーガン・フリーマン、マイケル・ケイン、ゲイリー・オールドマンら名優と組み、ヒース・レジャーという希有な俳優を迎え入れて生み出した奇跡の一作となりました。

正義の象徴だったハービーの悲しすぎる最期からは、悪と戦うためには何より自らが悪に染まらない強い心が必要だという、非情とも思える強いメッセージが感じられます。そして、ジョーカーからは、非道な人間が無敵となり得てしまう恐ろしい事実を……。

感情が複雑に絡まり合う世界で生きる苦しみを見せつけられても尚、何度も観返したくなる魅力に満ちた一作です。



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