世界各国の女性エージェントが共に危険なミッションに挑むスパイ・アクション!
サイモン・キンバーグが脚本・製作・監督を務めた、2022年製作のイギリス・アメリカ合作のスパイ・アクション映画『355』。
南米で開発された、あらゆるセキュリティを潜り抜け、世界中のインフラや金融システムなどを攻撃することが可能な危険なデジタル・デバイス。
アメリカ・ドイツ・イギリス・コロンビア・中国の凄腕の女性エージェントがチームを組み、第三次世界大戦を阻止するべく、国際テロ組織からそのデジタル・デバイスを奪還するミッションに挑む物語とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
映画『355』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『355』の作品情報
【公開】
2022年(イギリス・アメリカ合作映画)
【原案】
テレサ・レベック
【監督】
サイモン・キンバーグ
【キャスト】
ジェシカ・チャステイン、ペネロペ・クルス、ファン・ビンビン、ダイアン・クルーガー、ルピタ・ニョンゴ、エドガー・ラミレス、セバスチャン・スタン、ジェイソン・フレミング、エミリオ・インソレラ、ジェイソン・ウォン、レオ・スター、ジョン・ダグラス・トンプソン、シルヴェスター・グロート、ヒテン・パテル、オレグ・クリクノヴァ
【作品概要】
『X-MEN:ダークフェニックス』(2019)のサイモン・キンバーグが脚本・製作・監督を務めた、イギリス・アメリカ合作のスパイ・アクション作品。
本作の製作を務めた『ゼロ・ダーク・サーティ』(2012)のジェシカ・チャステインが、『X-MEN:ダークフェニックス』(2019)を製作中のサイモン・キンバーグに、「ミッション:インポッシブル」シリーズや「007」シリーズと同じ精神で、女性主導による本格派のスパイ・アクション映画のアイデアを提案したことで製作された作品です。
『ゼロ・ダーク・サーティ』(2012)のジェシカ・チャステインが主演を務めるほか、『それでも恋するバルセロナ』(2009)のペネロペ・クルスや『女は二度決断する』(2017)のダイアン・クルーガー、「ブラック・パンサー」シリーズのルピタ・ニョンゴ、『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014)のファン・ビンビンという世界各国のスター女優が出演します。
映画『355』のあらすじとネタバレ
南米コロンビアにいる麻薬カルテルが、あらゆるセキュリティを潜り抜け、世界中のインフラや金融システムなどを攻撃可能なデジタル・デバイスを開発しました。
そのデジタル・デバイスさえあれば、核施設や世界市場、空を飛ぶ飛行機から携帯電話まで、世界のどこだろうと好きに操作することができます。
麻薬カルテルはそのデジタル・デバイスを国際テロ組織に売り込むことにしました。
そのデモンストレーションとして、麻薬カルテルはデジタル・デバイスを使って旅客機を安易に墜落させてみせます。
しかしその直後、彼らの取引を大規模な麻薬の取引だと勘違いしたコロンビアDNI(コロンビア国家情報局)の特殊部隊が現場を襲撃。
国際テロ組織はその場から逃亡しましたが、麻薬カルテル側はデジタル・デバイスの開発者も含めて全滅しました。
襲撃に参加したDNIのエージェントのルイス・ロジャスは、現場に残されていたデジタル・デバイスを入手。組織を裏切り、姿を消しました。
このデジタル・デバイスの脅威を知った世界各国の諜報機関はデジタル・デバイスの回収に動き出しました。
その内の1つであるアメリカCIA(中央情報局)は、ルイスから直接接触してきたことを受け、CIAの女性エージェントのメイソン・“メイス”・ブラウンとその相棒ニック・ファウラーをフランス・パリに派遣しました。
パリにあるカフェにて、メイスたちは現金が入った鞄と、ルイスが持つ鞄を交換して、デジタル・デバイスを回収しようとします。
しかし、デジタル・デバイスの回収に動いていたのはCIAだけではありません。ドイツBND(ドイツ連邦情報局)もそうです。
メイスたちと同じくデジタル・デバイスの回収のため、現地に潜伏していたBNDの秘密工作員マリー・シュミットは鞄を強奪し逃走。
それを見たルイスも、その場から逃亡。残った鞄の中身は新聞紙だらけで、デジタル・デバイスは入っていませんでした。
それに気づいたニックはルイスを、メイスは鞄を持ち去ったマリーをそれぞれ追いかけました。
逃走劇の末、なんとかメイスを撒いたマリーでしたが、奪った鞄の中身は現金だったため、デジタル・デバイスの回収に失敗。
ルイスを追いかけていたニックは、デジタル・デバイスを狙う国際テロ組織の人間と鉢合わせし、殺害されました。
ニックが殺されたことを知ったメイスは、恋仲でもあった彼の仇を取るべく、旧知の間柄であるイギリスMI6(英国情報局秘密情報部)の元エージェントでありサイバー・インテリジェンスの専門家ハディージャ・アデイェミを仲間に引き入れることに。
彼女の追跡能力を駆使してデジタル・デバイスの在り処を追跡した結果、ルイスはフランスのホテルに潜伏していることが判明しました。
一方ルイスは、コロンビアDNI(コロンビア国家情報局)に所属する心理学者グラシエラ・リベラの説得により、デジタル・デバイスを組織に受け渡すことを決めました。
しかしグラシエラに同行した際、途中でDNIの捜査官の裏切りに遭い、ルイスは銃撃されます。
この時の銃声を機に、現場に駆けつけたメイスとマリーは再び戦闘に。ハディージャはデジタル・デバイスを持ち去った捜査官を尾行しました。
メイスはハディーシャからの無線で、マリーは助けを求めるグラシエラの叫び声を聞いて、戦闘を一時中断。互いに狙いを捜査官に定め、猛追します。
しかしあと一歩のところで逃げられてしまいました。ですがマリーは、ルイスから何かデジタル・デバイスの情報を聞いたのではないかと思い、グラシエラを確保しセーフハウスへ連れて行きます。
するとそこへ、同じくグラシエラから手掛かりを得ようとするメイスたちが現れ、メイスとマリーは一発触発状態に。
ハディーシャは仲裁に入り、「敵の敵は味方」だと言って、ここは同じ目的・共通の敵を持つ者同士、4人で協力していこうと提案します。
悩んだ末、ひとまず協力関係を結ぶことにしたメイスたち。ハディーシャは改めて、グラシエラにデジタル・デバイスについて尋ねました。
グラシエラは「ルイスの携帯からデジタル・デバイスを追跡できる」と答えました。
実はルイスは死の間際、デジタル・デバイスを追跡できる自身の携帯に、グラシエラの指紋登録を行っていたのです。
グラシエラの指紋を使ってルイスの携帯のロックを解除し、デジタル・デバイスを追跡した結果、男がモロッコに渡ったことが判明。メイスたちはすぐさまモロッコへと向かいました。
モロッコ・マラケシュ。大勢の人が行き交う市場の真ん中で、DNIの捜査官は国際テロ組織の殺し屋にデジタル・デバイスを手渡します。
それを現認したメイス・マリー・グラシエラは二手に分かれ、メイスは殺し屋を、マリーたちはDNIの捜査官を尾行しました。
しかしDNIの捜査官は、殺し屋3人に取り囲まれ殺されてしまいました。さらに殺し屋たちは、デジタル・デバイスを受け取った殺し屋の後を追いかけ殺そうとします。
メイスとマリーはそれぞれサプレッサー付きの銃やナイフで、殺し屋3人を始末しました。
しかし、デジタル・デバイスを受け取った殺し屋は広場に集まった群衆の中に入っていったため、メイスたちは二の足を踏みます。
そこでグラシエラが、「わざわざ目立つようなことをしなくてもいいのでは?」と提案。ヒントを得たメイスたちはスリを装い、殺し屋から大胆にデジタル・デバイスを奪取します。
そして話し合いの末、モロッコの首都ラバトにあるCIAの支局にデジタル・デバイスを持っていくことにしました。
無事任務を達成したということで、祝杯をあげるメイスたち。次第に彼女たちと打ち解けていったマリーは自身の辛い過去を打ち明けます。
マリーの父親が組織を裏切り、KGB(ソ連国家保安委員会)に機密情報を売っていたこと、それが原因なのか二重スパイとして逮捕されたこと、そのせいで仲間を信じられず一匹狼となったことを。
さらに仲を深めたメイスたちの元に、驚きのニュースが飛び込んできます。それは6機の飛行機が突如電力を失い墜落し、2機消息不明したことと、その周辺の街が停電となっているというニュースでした。
映画『355』の感想と評価
デジタル・デバイス回収に奔走する凄腕の女性エージェントたち
第三次世界大戦を阻止するべく、その鍵を握るデジタル・デバイスの回収に奔走するメイスたち世界各国の凄腕の女性エージェント。
のちにチームに加わったリンの協力により、無事国際テロ組織からデジタル・デバイスを回収できた時は、それまでの彼女たちの壮絶な追跡戦を見てきただけに、観ているこちらも歓喜し安堵しました。
ですがそれこそ、メイスたちと裏切り者のニック、デジタル・デバイスを狙うイライジャたち国際テロ組織との本当の戦いが幕を開けた瞬間だったのです。
この戦いに無関係のハディージャのパートナー、そしてマリーを立派な女スパイとして育て鍛え上げてきた彼女の上司ヨナスが、彼らの手で無情にも射殺された場面はとても衝撃的で言葉を失います。
現場を退いていたハディージャを奮起させるのに、これ以上の起爆剤はありませんでした。そして家族を人質に取られたグラシエラにも………。
物語の後半に描かれるメイスたちの戦いは、ド派手で迫力があり、また体格さや力の差がある男たちに強き女たちが圧倒していく様はとても格好良いです。
暗躍する裏切り者たち
物語の前半まで、メイスが絶対的な信頼を置く味方であったニックとマークス。
ですが彼らは、実は国際テロ組織のイライジャと手を組んだ裏切り者でした。
ニックたちの裏切りを知った時のメイスの絶望しきった表情は、観ているこちらも胸が痛くなります。
ニックは腐敗した組織に嫌気がさし、自由を求めてイライジャと手を組んだと作中で語っていましたが、マークスが組織を裏切った動機は分かっていません。
イライジャと手を組むことで得る大金が目当てなのか、それともニックと同じ理由なのか、真実は闇の中………。
そして最も謎なのが、組織の裏切り者であるはずのニックが出世し、CIAのボスとなっていることです。
上海ではメイスたちと共に警察に連行されていくような描写がありました。
メイスにその理由を答えた時のニックの言葉から、CIAの中にまだ裏切り者がいて、その者がニックが逮捕されないよう裏で手を回したのではないかと推察できます。
まとめ
実力とカリスマ性を兼ね備えた世界各国のスター女優たちが、世界各国の凄腕の女性エージェントたちを演じる、イギリス・アメリカ合作のスパイ・アクション作品でした。
初めはただルイスからデジタル・デバイスを買い取ればよかっただけの簡単な任務のはずでしたが、他国の諜報機関と国際テロ組織の介入により、最も危険で難易度が高いミッションとなりました。
デジタル・デバイスを追えば追うほど、メイスたちの身に危険が伴い、さらに心身ともに苦難な道が待ち受けています。
それをメイスたちは、たった5人の即席チームで力を合わせて乗り越えていきました。
メイス役のジェシカ・チャステインとリン役のファン・ビンビンが魅せる近接格闘戦、マリー役のダイアン・クルーガーとハディージャ役のルピタ・ニョンゴが魅せる銃撃戦は、作中で一番美しく格好良いアクション場面となっています。
また、本作のタイトルおよび作中でメイスが語っていたスパイ「355」とはフィクションのものではなく、18世紀のアメリカ独立戦争時代に実在した女性スパイのコードネームです。
世界各国の凄腕の女性エージェントたちが第三次世界大戦を阻止するべく、世界を股にかけた追跡戦を繰り広げていく、大胆不敵かつ華麗なスパイアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品となっています。