巨大ザメと忍者の命懸けの死闘が始まる!
江戸時代を舞台に、忍者と邪教集団の死闘を描いたカオス・アクション映画『妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク』。
本作は2023年4月14日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、新宿シネマカリテ他にて全国ロードショーされます。
「サメ映画」といえば年々進化をし続け、今や巨大ザメは「海に出現し人を襲う」だけでなく、空を飛行したり、地上を闊歩したりと、さまざまな作品が登場しています。
そんなサメ映画を日本風にアレンジした『妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク』は、タイトルの通り、「忍者VS巨大ザメ」の熱い戦いが繰り広げられる痛快な娯楽映画となっています。
ですが本作の見どころは、「サメと忍者が戦う!」というカオスな設定だけではありません。さまざまな人間の過去や思惑が交差する、人間ドラマも魅力的な作品となっています。
映画『妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク』の作品情報
【公開】
2023年(日本映画)
【監督】
坂本浩一
【脚本】
足木淳一郎
【キャスト】
平野宏周、西銘駿、長野じゅりあ、宮原華音、桝田幸希、岩田栄慶、草場愛、北出流星、水野直、キャッチャー中澤、渡部遼介、白石優愛、松原正隆、倉金春、玉城摩莉奈、針原滋、高園みほ、青柳尊哉、島津健太郎、中村優一
【作品概要】
江戸時代の人里離れた沖津村を舞台に、邪教集団から村を守ることを託された主人公の戦いを描いたアクション映画。村を守る用心棒・小太郎を『ウルトラマンZ』主演の平野宏周が、小太郎とともに村を救う為に戦う青年・信助を『仮面ライダーゴースト』の西銘駿が演じます。
信助が想いを寄せる沙代を「女優」「看護師」「空手世界一」「プロレスラー」という数々の肩書きを持つ長野じゅりあ、小太郎を追いかけて来た女忍者・菊魔を『ハイキック・エンジェルス』(2014)でデビューを飾った宮原華音が演じる他、邪教集団の首領役を『仮面ライダー電王』の中村優一が務めています。
そして本作を手がけたのは、「ウルトラマン」シリーズや「仮面ライダー」シリーズ、「スーパー戦隊」シリーズなどで監督/アクション監督を務めてきた坂本浩一。
映画『妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク』のあらすじ
刻は江戸時代。人里離れた沖津村では、村の漁師や海女が次々に惨殺される、謎の事件が多発していました。
沖津村では真珠が採れることから、邪教集団「紅魔衆」に狙われており、村人が次々に行方不明になっています。村人たちは、全ての災いを“呪われた血筋”の娘・沙代に押しつけ、生贄に捧げようとしていました。
沙代に思いを寄せる村の青年・信助は、村人から沙代を守ろうとしています。ですが、力のない信助にはどうすることもできません。
紅魔衆に苦しむ村の状況を打開するため、村長は村外れの寺に住む、腕っぷしの強い若者・潮崎小太郎に用心棒を依頼します。用心棒を引き受けた小太郎は、強引に信助の家で寝泊まりするようになります。
一方、紅魔衆の首領・螭(みずち)鮫士郎は、連れ去って来た村の青年・清丸の顔を奪い、若返りに成功。さらに鮫士郎は不老不死の力を得るべく、巨大なサメを操り沖津村へ攻撃を仕掛けようとします。
そこへ、小太郎を追いかけて来た謎の女忍者・菊魔が現れたことで、小太郎は自身の過去とも対峙することに。
用心棒、邪教収集団、女忍者、巨大ザメ……沖津村をめぐる戦いは、混沌を極めていきます。
映画『妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク』の感想と評価
用心棒に雇われた潮崎小太郎が、邪教集団や巨大ザメから村を守る為の、戦いを繰り広げる映画『妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク』。
日本映画界ではあまり制作されていないイメージのある「サメ映画」というジャンルですが、本作は「サメ映画」に「時代劇」を合体させた、独特の世界観を確立させています。
映画冒頭では、海女漁をしていた沙代が水中に潜む何者かに狙われているという、サメ映画の金字塔『ジョーズ』(1975)へのオマージュのようなカメラアングルから始まります。
巨大ザメの接近とともに、沙代は怪しげな呪文を聞きます。そこで、「巨大ザメが何者かに操られている」と分かるのですが、その何者かこそが邪教集団「紅魔衆」。本作における巨大ザメはタイトルの「妖獣」の通り、妖怪や化け物に近い存在として描かれるのです。
紅魔衆によって、海に出ればサメに襲われ、村にいても人が次々に行方不明になるという怪現象に悩まされる沖津村。その「沖津村」の危機を救うため用心棒として雇われたのが潮崎小太郎であり、破天荒ともいえる独自の方法で、村に起きている災いの真相を探ろうとします。
そして、小太郎と対峙するのが紅魔衆の首領・螭鮫士郎。怪しげな妖術を使い、村の青年・清丸の「顔」を奪うなど不気味な存在として描かれる鮫士郎ですが、彼の口は時折「サメの口」のように変化することからも、巨大ザメは螭鮫士郎の「分身」的存在なのかもしれません。
螭と小太郎の戦いに、小太郎を追いかけて来た、死体を操る忍術を使う女忍者・菊魔も参戦する中盤から、事態は一層ややこしくなっていきます。
「江戸時代を舞台にした巨大ザメ映画」というだけでも十分異色な本作ですが、それに加え「謎の用心棒」「妖術使い」「忍者」という要素が加わることで、サメ映画でも時代劇でもない、真の独自路線を猛進する作品となっています。
また本作は登場人物も魅力的で、特に主人公である小太郎と信助の2人が相棒になっていく「バディムービー」としても楽しめます。
信助は小太郎と違い、喧嘩は弱いですが、強い正義感と勇気の持ち主。やることなすことがメチャクチャでいい加減な小太郎とはまさに正反対ですが、2人は「紅魔衆から村を守る」という共通の目的のために共闘し、次第に強い友情が芽生えるようになります。
また、この正反対のコンビをつなぐ役割を果たすのが、本作のヒロイン・沙代。物語の中で3人の間に絆が育まれるからこそ、クライマックスの展開には誰もが「熱さ」を感じられるはずです。
まとめ
独特の世界観で物語が展開される『妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク』。
しかし、邪教集団「紅魔衆」との戦いを通じて徐々に明らかになる小太郎の過去など、魅力的なキャラクター達が織りなす人間ドラマも見どころになっています。
本作に込められたメッセージは、生きるということ、生き抜くことの大切さです。
螭鮫士郎の妖術など、ホラーテイストと残酷描写が強い部分もありますが、本作はSFとアクションを織り交ぜた、非常に力強い作品です。
平野宏周、西銘駿、中村優一という、特撮作品出身の若手俳優の共演も見どころな本作は、サメ映画好きはもちろん、「勢い」に溢れるアクション映画が好きな方にぜひお勧めしたい作品です。