Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2021/01/27
Update

『ロボシャークvsネイビーシールズ』ネタバレ感想と結末解説のあらすじ。サメ映画として革新的な“人間と怪獣の関係性”を描く | B級映画 ザ・虎の穴ロードショー13

  • Writer :
  • 滝澤令央

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第13回

深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信サービス【U-NEXT】で鑑賞することも可能です。

そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第13回は、ジェフリー・ランド監督がホホジロザメをモチーフにしたパニック・アクション映画『ロボシャーク vs. ネイビーシールズ』です。

『スピーシーズXX 寄生獣の誘惑』(2007)などで知られるジェフリー・ランドが監督、共同脚本を務め、2015年にSyFyチャンネルで放映されたテレビ映画。

手に汗握る展開に、荒唐無稽な迷シーン・迷ゼリフの数々。あっという驚きと思わず吹き出してしまう展開に口を閉じている暇がありません。

今回は海軍とロボシャークの戦いを主人公のリポーターの目線から描いた『ロボシャーク vs. ネイビーシールズ』をご紹介します。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

スポンサーリンク

映画『ロボシャーク vs. ネイビーシールズ』の作品情報


(C)2015 BUFO Ltd. and Supercollider Productions Inc. All Rights Reserved.

【公開】
2015年(カナダ・ブルガリア合作映画)

【原題】
Roboshark

【監督】
ジェフリー・ランド

【キャスト】
アレクシス・ピーターマン、マット・リッピー、ナイジェル・ハーパー、ヴァネッサ・グラッセ、アイザック・ヘイグ、ローラ・デイル

【作品概要】
『シャークトパス』(2010)『シャークネード』(2013)に続いてアメリカのSyFyチャンネルで放映されたテレビ映画。風刺を織り交ぜたアクションコメディであるため、テンポ良く次から次へと派手な見せ場が続きます。

また映画の舞台であるシアトルに実在する市のショッピングモールであるパシフィック・プレイスやシアトル中央部に位置する塔スペースニードルが登場するなど観光映画としての機能も持ち合わせています。

映画『ロボシャーク vs. ネイビーシールズ』のあらすじとネタバレ


(C)2015 BUFO Ltd. and Supercollider Productions Inc. All Rights Reserved.

大気圏上空に現れた正体不明の宇宙船から、太平洋に向けて偵察ポッドが射出されました。

海中で行動を開始するドロイド。その突如、出現した巨大ホホジロザメに飲み込まれてしまいます。アメリカ海軍の潜水艇を回転ノコのような歯で食いちぎり、乗っていた乗組員は悲鳴を残して行方不明に。

ペンタゴンではこのサメの進行方向にある都市を特定していました。目的地はシアトル。

ニュースリポーターのトリッシュは、お天気お姉さんのイメージを払拭するために特ダネで名を挙げようと意気込んでいました。シアトルで水道局員として働く夫のリックは太平洋と繋がる水道管で何かが逆流しているのを発見します。

トリッシュは街に海軍が配備されているのを目にし、それが朝、娘が見ていた飛行機を襲う変異種のサメの映像と関係があるのではないかと睨み、夫に相談します。

報道局のバンを近くに停め、向かいのカフェにコーヒーを買いに行く取材クルー。トリッシュが彼らのもとへ駆け寄った途端カフェの地面が割れ、そこから出現した変異種のサメに店員と客が飲み込まれてしまいました。

辺りは騒然としますが、その後駆けつけた消防隊はガス管の破裂が原因だといい、現場でサメをみたというトリッシュの話を一蹴します。

局のライバルリポーター、ヴェロニカに仕事を奪われるトリッシュ。今度はサメの向かう場所に先回りし、証拠映像を捉えようとしますが、時すでに遅し。下水処理場で作業員を食らい、サメは消えてしまいました。

娘から送られてきた映像を見てトリッシュはサメがネット上でロボシャークと呼ばれていることを知ります。一方妻の身を案じるリックの職場に海軍が乗り込んできました。水道局を作戦基地にし、ロボシャークを駆逐するためにです。

ショッピングモールに現れるロボシャーク。娘メロディの協力もあってロボシャークの生中継に成功するトリッシュ。その動画をYouTubeに投稿したところ、瞬く間に拡散され、世界中で様々な反応がされるのでした。

ある人は「フェイクだ」と。ある人は「ハイオク魚だ。バイオ株を買え。」そしてまたある人は「大衆を操る企業の陰謀だ」「政府がシアトルを潰そうとしている」

海軍は部隊をモールへ送りましたが、作戦は失敗。サメを取り逃がしてしまいます。そこへ“世界を動かす 本物の権力者”がサメ退治に乗り出すのでした。

実業家にして、妻と共同で財団を経営していそうな世界一の大富豪ビル・グレイツ。彼はドローンを使い、公園にサメを誘導します。レーダーで捕捉するロボシャーク。ドローンを一飲み、ビル・グレイツをも食い殺してしまいました。

以下、『ロボシャーク vs. ネイビーシールズ』ネタバレ・結末の記載がございます。『ロボシャーク vs. ネイビーシールズ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

スポンサーリンク

ロボシャークの次なる目的地は高校であると突き止めるトリッシュとメロディ。

水泳大会が行われているプールにロボシャークは出現しました。逃げ惑う人に向かっていくロボシャーク。Twitterの通知をみたメロディは驚愕します。なんとロボシャークはインフルエンサーである彼女をフォローしていたのです!メロディはロボシャークに「襲わないで「襲わないで;-( 」とDMを送りました。

すると凶暴なロボシャークは落ち着き、メロディと触れ合うのでした。幸せなひと時もつかの間。遅れてきた軍隊がロボシャークを砲撃し、鎮圧しました。

とどめを刺そうと潜り込んだ水中部隊に息を引き返したロボシャークが応戦。ガトリングで部隊を一掃し、どこへともなく去っていきました。

失敗を繰り返したアメリカ海軍特殊部隊。指揮を執るブラック中将は核攻撃もやむを得ないと判断します。

次なる目的地へ先回りしたトリッシュたち。彼女たちはそこで傷ついたロボシャークを目の当たりにします。メロディはロボシャークを手なずけるのに成功しますが、遅れてきた部隊が発砲したことで、戦闘状態になります。

スペースニードルからリックと部隊がふもとの広場を見守る中、爆撃機がロボシャークを撃破、と思いきや宙を舞ったロボシャークに爆撃機が撃墜されます。

撃墜した爆撃機はスペースニードルに直撃。塔はポッキリ90度に折れリックたちは絶体絶命に。意外に冷静なブラック中将は「また作りゃいいから このまま塔を折ってロボシャークに突撃させよう」と提案します。

「SNSや上院で叩かれるよりここで潔く死んでやる」リックと部下を避難させ、中将はひとり倒れるタワーで特攻を仕掛けます。

スクープをものにし、トリッシュを出し抜こうとひとりロボシャークに接近していたヴェロニカはロボシャークと運命を共にしました。

それはさておき家族がみな助かり安堵するトリッシュ。近くを通りかかった女性の抱きかかえるペットの目がロボシャークと同じく、赤く光りました。

スポンサーリンク

映画『ロボシャーク vs. ネイビーシールズ』の感想と評価


(C)2015 BUFO Ltd. and Supercollider Productions Inc. All Rights Reserved.

タイトルは大喜利&B級サメ映画の世界

映像ソフト売り場においても、ひと際異彩を放つモックバスター映画群。

モックバスターとはメジャー大作映画に便乗して製作されたジャンル映画を指し、近年だと『ゴジラ キングオブモンスターズ』(2019)に合わせて作られた『ロード・オブ・モンスターズ』(2019)や『パシフィック・リム:アップライジング』(2018)公開時にぶつけられた『アトランティック・リム』(2018)などがそれにあたります。

ポスターアートやタイトルもそれを踏まえたものになるので、パチモン感がクセになる。ちょいパチ感が言い表せない謎の喜びを与えてくれます。(似たパッケージに騙されて、本家と勘違いして観てしまった人の怒りは計り知れないものですが。)

サメ映画におけるモックバスターは独自に進化してきた歴史があります。

個性豊かなサメたち

参考画像:ロジャー・コーマン『シャークトパス』(2010)

映画の規模を問わず、サメ映画に登場するサメのほとんどはホホジロザメをモチーフとしています。

有象無象乱立するサメ映画の中でサメをキャラクターとしてサメを際立たせようとした結果、B級映画の帝王ロジャー・コーマン製作のもと『シャークトパス』(2010)のような合体生物モノ、だんだん頭が増えていった『シックスヘッド・ジョーズ』(2018)架空生物との対決モノへとサメ映画は、わき道に逸れながら発展していきました。

こういった作品が目指しているのは他の映画では決してできないようなジャンルとしての意地、見世物根性です。

大衆向けの映画では反感を買うのを恐れてできないような不謹慎なギャグ、ブラックユーモアをふんだんに使い、予算という現実に向き合いながら、わざわざ特撮という“金も手間もかかるジャンル”を通して何とか面白いものを作ってやろうと奮闘しているのです。

こういうと立派そうに聞こえますが、実際の映画は「ホエール(鯨)が吠えーる」といった、ご機嫌なシャレをカマすようなメンタリティなので、ヘンテコながらも存在自体がすごく貴重なモノだというジャンル自体の希少価値を忘れてしまいがちです。

希少価値といいますと、この世の中でロボット化したサメが観れる映画は今作と『メガ・シャークVSメカ・シャーク』(2013)のたった二本しかありません。

参考映像:『メガ・シャークVSメカ・シャーク』(2013)

この二作は分かり易く比較することが出来ます。ゴジラ映画で例えるなら、今作のロボシャークは人類の敵なので昭和メカゴジラ。『メガ・シャークVSメカ・シャーク』(2013)に登場するメカ・シャークはメガ・シャークに立ち向かう人類側の兵器として登場するので平成ゴジラ(特に機龍)の趣があります。

サメ映画におけるモンスター、サメは他のモンスターと比べて最も感情を読み取ることが出来ない、一切話の通じる余地がない脅威として描かれます。

その点に関して画期的であった今作。サメ本人にDMを送るなどというギャグにして茶化してはいますが、無心に人を食らうサメにも心を通わせる可能性が開けているのではないかということを提起していました。

最終的には討伐されてしまいますが、サメの(あるかもしれない)心を描いた作品は珍しいです。

まとめ


(C)2015 BUFO Ltd. and Supercollider Productions Inc. All Rights Reserved.

モックバスター映画の見世物根性について書きましたが、すべての映画が見世物根性に基づいて作られているわけではありません。予算や手間の問題から派手な見せ場を撮れないという状況はよくあります。

そういったシーンはその光景を目にする人のリアクションをアップで撮り、登場人物に口頭で説明させるなどで胡麻化している低予算映画は少なくありません。

本作も多少至らないシーンはありますが、何が面白いかを伝えるに十分な見せ場は保障されています。

怪獣側の描写を充実させるため登場人物が書き割りのようになってしまいがちな怪獣映画というジャンルの作品として観ても、天気キャスターは若いうちにしかできない仕事、他の若い子に奪われる前にリポーターとしての自分を売り込みたいと奔走する女性キャスターとそのライバルを丁寧に描かれており、そこから「お天気お姉さん」という職業が持つエイジズムや性差別の問題をほのかに感じさせるだけの厚みがありました。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

関連記事

連載コラム

映画『私たちの青春、台湾』感想評価レビューとドキュメンタリー解説。傅楡監督が台湾民主化の道のりを描く|銀幕の月光遊戯 70

連載コラム「銀幕の月光遊戯」第70回 2014年に台湾で起きた学生たちによる社会運動「ひまわり運動」のリーダーと、中国人留学生の人気ブロガーの活動を追ったドキュメンタリー映画『私たちの青春、台湾』が全 …

連載コラム

映画『アメリカン・アニマルズ』あらすじと感想。実話の強盗事件を本人も登場させて描く青春サスペンス|銀幕の月光遊戯 31

連載コラム「銀幕の月光遊戯」第31回 何かが起こる日を俺たちは待っていた! 大学図書館が所蔵する時価12億円を超えるヴィンテージ本を狙った、 普通の大学生が起こした普通じゃない強盗事件を描く『アメリカ …

連載コラム

映画『デビルズ・ソナタ』あらすじネタバレと感想。ゴシックホラー良作を名優ルドガーハウアーが遺してくれた|未体験ゾーンの映画たち2020見破録1

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」第1回 映画ファンには毎年恒例のイベント、令和初となる劇場発の映画祭「未体験ゾーンの映画たち2020」が、今年も1月3日(金)よりヒューマントラストシ …

連載コラム

映画『X 謀略都市』あらすじと感想評価レビュー。女性刑事が連続殺人事件と14年前の死の真相に挑む|サスペンスの神様の鼓動23

連載コラム『サスペンスの神様の鼓動』第23回 こんにちは、映画ライターの金田まこちゃです。 このコラムでは、毎回サスペンス映画を1本取り上げて、作品の面白さや手法について考察していきます。 今回ご紹介 …

連載コラム

【6月編集後記】映画ネタバレは観察、感想評価は考察というスタンス。ときに道場主かも?

Cinemarche編集後記:2018年6月便 日差しも強くなり水無月も終われば、2018年も夏本場、映画公開も夏休みの話題作を皮切りに、いよいよ後半戦に突入です! さてみなさんは6月までの2018年 …

U-NEXT
CINEMA DISCOVERIES【シネマディスカバリーズ】
架空映画館 by ReallyLikeFilms Online
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
映画『哀愁しんでれら』2021年2月5日(金)より全国公開
映画『写真の女』
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学