映画『ねばぎば 新世界』は2021年7月10日(土)より、K’s cinemaより全国順次公開予定。
映画『ねばぎば 新世界』は大阪・新世界を舞台に、赤井英和が演じる村上勝太郎(通称・勝吉)とその弟分である上西雄大が演じる神木雄司(通称・コオロギ)が、悪徳宗教団体を倒す痛快アクション映画です。
迫力あるアクションシーンはもちろんのこと、現代人が抱えるさまざまな問題を浮き彫りにし、解決へ導いていきます。
監督・脚本を上西雄大が手掛け、第8回ニース国際映画祭(フランス)で、外国語部門最優秀作品賞(グランプリ)と最優秀脚本賞(上西雄大)を受賞しました。
CONTENTS
映画『ねばぎば 新世界』の作品情報
【公開】
2021年(日本映画)
【監督・脚本】
上西雄大
【プロデューサー】
上山勝也、柴山勝也、草刈健太郎
【キャスト】
赤井英和、上西雄大、西岡徳馬、有森也実、徳武未夏、古川藍、堀田眞三、坂田聡、國本鍾建、リー村山、田中要次、小沢仁志、菅田俊、神戸浩、金子昇
【作品概要】
大阪・新世界を舞台に繰り広げ痛快アクション映画『ねばぎば 新世界』(英題:OSAKA BROS)。赤井英和と上西雄大がW主演を務め、悪徳宗教団体を倒すべく闘いを繰り広げます。
本作では上西が監督・脚本も務め、2020年6月22日からオンライン開催された第8回ニース国際映画祭(フランス)にて外国語部門最優秀作品賞(グランプリ)と最優秀脚本賞(上西雄大)を受賞しました。
映画『ねばぎば 新世界』のあらすじ
大阪新世界。
かつてヤクザの組を潰して廻っていた村上勝太郎(通称・勝吉)は、自身のボクシングジムを営んでいましたが、練習生がジムで覚醒剤取り引きをして逮捕されたことでジムを畳みました。
その後、幼馴染みの経営する串カツ店で働き出す勝吉。
ある日、勝吉が串カツ屋で働く折、新世界を逃げる少年・徳永武に出会い、声を掛けるが逃げられてしまいます。
またある日、勝吉は刑務所の慰問に誘われ、訪れた刑務所で、かつて、共にヤクザを潰して廻った弟分・神木雄司(通称・コオロギ)と再会。
コオロギは釈放され、勝吉と共に串カツ店で働きだします。慰問から戻ると、武が悪徳宗教団体に捕まっていました。勝吉とコオロギは再びコンビを組んで、悪徳宗教団体へ乗り込みます。
しかしそこには、かつて勝吉をボクシングへ導いた元チャンプの娘の琴音(有森也実)が、女幹部チャマリとして立ちはだかるのでした。
映画『ねばぎば 新世界』の感想と評価
赤井英和が演じる人情に厚い勝吉
若い頃、大阪・新世界でヤクザの組を潰しまわっていた村上勝太郎(通称・勝吉)は、その腕っぷしの強さを元チャンプの須賀田元(西岡德馬)に見込まれて、ボクシングの道へ進みました。そしてボクシングジムを経営しますが、練習生が覚せい剤がらみで逮捕されたことをきっかけにジムを閉鎖し、先輩が経営する串カツ屋で働いています。
そんなある日、刑務所へ慰問に出掛けた勝吉は、かつて一緒にヤクザの組を潰してまわった弟分・神木雄司(通称・コオロギ)と再会します。コオロギも覚せい剤で服役していたのでした。
ほどなくして刑期を終えたコオロギが出所し、勝吉が働く串カツ屋の店長が身元引受人となりました。
勝吉はコオロギが覚せい剤に手を出したことに憤りながらも、コオロギが文字を読むことができない障がいを抱えていることに理解を示し、「二度と覚せい剤に手を出すな! 絶対負けたらあかんのじゃ。ねばぎばじゃ!」と励まし、また一緒に行動するようになります。
出所したコオロギに、実家の親へ謝りに行くよう促し、さらに「お前を本当の弟だと思ってる」という勝吉の情の厚さに感激するコオロギ。
悪徳宗教団体を潰すべく乗り込んでいく前、一緒に焼肉を食べながら「命を落とすかもしれない」と言う勝吉に、「何を言うてまんのや、水臭い」と言ってのけるコオロギは、心から勝吉を「親分」として尊敬していることが分かります。
勝吉は、どんなことにも手を抜かず、常に一生懸命。コオロギをはじめとして、そんな彼のまわりには、いつも多くの人が集まってきました。
演じている赤井英和は勝吉そのもので、人情に厚く腕っぷしが強い勝吉を魅力たっぷりに演じています。
特に串カツ屋の店先でホームレスのようないで立ちでウロウロしていた少年・徳永武とのやりとりには心温まるものがあります。
一目で武が深い闇を抱えていることが分かるのですが、勝吉は余計なことは何も聞かずに、お腹いっぱいご飯を食べさせ、一緒に銭湯へ行きます。銭湯から出てきた時、勝吉が武に「ごっつ垢が出たな」と話しかけるところに勝吉の優しさがにじみ出ています。
武を苦しめている悪徳宗教団体を潰すべく、コオロギとともに策を練るのですが、そんな二人の力になろうと、さまざまな人たちが協力します。まるで大阪・新世界の人たちすべてが勝吉の知り合いなのかと思ってしまうほどで、勝吉の人脈の広さに驚きます。
勝吉の魅力が、こうした人脈につながっているのだと物語を通して納得していくのです。
大阪・新世界を牛耳る「猛者」たち
勝吉たちが立ち向かう悪徳宗教団体は、一筋縄ではいかない手強い存在です。かつて勝吉をボクシングの道へと導いた元チャンプの娘・琴音(有森也実)が女幹部として立ちはだかり、その宗教団体のバックには、巨大な勢力がついていました。
勝吉とコオロギの腕っぷしの強さに勝るものはいませんが、それだけで太刀打ちできる相手ではありません。しかしそんな彼らをさまざまな方法で助ける人たちの「猛者」ぶりが爽快です。
特に勝吉たちを潰そうとするため宗教団体のメンバーが襲撃してきた時、どこにでもいそうなおじいちゃんが、見事な身のこなしで相手をノックダウンしてしまう姿に驚き、思わず拍手を送ってしまいます。
もちろん、勝吉とコオロギの強さも余すところなく描かれます。終盤、いよいよ宗教団体の本丸へ乗り込んでいく場面では、数十人を相手に迫力の乱闘シーンが繰り広げられます。
武器を持たない彼らに一瞬ピンチが訪れるものの、「猛者」である仲間たちが華麗に登場して難を逃れます。ハードボイルドだけれど、どこかコメディータッチに描かれている本作ならではの味わいある大きな見せ場です。
登場人物たちが抱える問題を丁寧に描く
物語の中では、社会問題となっているさまざまな出来事がクローズアップされます。
悪徳宗教団体に洗脳されてしまう人々はもちろんのこと、コオロギが抱える障がい、少年・武と父親の間に生じた親子の問題などが描かれます。その一つひとつをおざなりにせず、丁寧に解決へと導いていきます。
そして勝吉にとって、腕っぷしの強さではどうにもならない相手、琴音との対決が最も手こずったといえるでしょう。
ボクサーだった勝吉にすべてをかけた父・須賀田を徹底的に拒絶している琴音。「ボクシングなんてただの暴力。殴り合いでは何も救えない」という言葉を投げかけられ、勝吉は一言も言い返すことができません。それと同時に、琴音の悲しい過去を知ることになります。
しかし勝吉のモットーである「ねばぎば」の精神は最後まで貫かれ、悪徳宗教団体の真の姿を暴こうと闘い抜きます。
「殴り合うことでは何も解決しない」という頑なな琴音に対して、熱く語り掛ける勝吉の言葉に注目です。
まとめ
本作品では、勝吉とコオロギの絆の深さ、大阪・新世界の人々の情の厚さが描かれており、物語全体を通して、スカッとする内容となっています。昭和感漂う雰囲気やバックミュージックに、懐かしさを感じる人も少なくないでしょう。
赤井英和と上西雄大のアクションシーンが大きな見どころではありますが、それだけではなく現代人が抱える心の闇がきちんと描かれていることで、この物語は決して他人ごとではなく身近に起こり得ることなのだと実感します。
勝吉とコオロギが闘うその先に何があるのか。しっかりと見届けたい作品に仕上がっているのです。
2021年7月10日(土)映画『ねばぎば 新世界』は、K’s cinemaより全国順次公全国順次公開予定。