Netflix『今際の国のアリス』の吉田美月喜ら出演!
新鋭女優が勢揃いした青春サイキックムービー!
感染症の拡大により、マスク着用とソーシャルディスタンスを強いられ、制限だらけの学校生活を送る高校生たち。文化祭の中止に落ち込んでいた瑞穂(吉田美月喜)は、突然自分が念力の力が宿ったことを知り戸惑います。
そんな瑞穂に声をかけたのは、同じクラスの環(神谷天音)。何と環もテレパスの力を持つというのです。瞬間移動を使いこなすあかね(井頭愛海)、ネット世界を自在に飛び回るケイ(菊地姫奈)も加わり、特別な力を持つ4人は新たな友情を育みますが……。
コロナ禍の現代を切り取り、様々な制限を強いられた高校生の鬱屈を「“超能力”に目覚める」という斬新なアプローチで描き上げた『メイヘムガールズ』。
超能力に目覚める女子高校生役には、Netflix『今際の国のアリス』などで注目された吉田美月喜、『鬼ガール!!』の井頭愛海など新鋭の女優陣が顔を揃えました。
映画『メイヘムガールズ』の作品情報
【公開】
2022年(日本映画)
【監督】
藤田真一
【脚本】
なかやまえりか、藤田真一
【撮影】
中澤正行
【主題歌】
ano
【キャスト】
吉田美月喜、井頭愛海、神谷天音、菊地姫奈、木戸大聖、生稲晃子、大浦龍宇一、カンニング竹山、内田奈那、畑中有里、ゴーシュ凜、乃上桃音、舞沢萌愛未、中野恵那、莓瑚、三和万亜子、あいだあい
【作品概要】
「友情」「恋」という王道の青春要素に「ポスト・コロナ」「サイキックアクション」が融合した異色の青春映画『メイヘムガールズ』。瑞穂役を演じたのは、Netflix『今際の国のアリス』シリーズなどで注目され、2023年には主演映画『あつい胸さわぎ』が公開予定の吉田美月喜。
その他のキャストに、『鬼ガール!!』(2020)の井頭愛海、『望郷』(2018)の神谷天音、『まなみ100%』(2023)が公開予定の菊地姫奈などフレッシュな顔ぶれが揃います。
さらに、俳優としても活躍するお笑い芸人・カンニング竹山や、『のぼる小寺さん』(2020)などの木戸大聖らが出演しています。
映画『メイヘムガールズ』のあらすじとネタバレ
感染症の拡大により制限下で高校生活を送る瑞穂(吉田美月喜)は、文化祭の中止の連絡をしりがっかりします。
学校に着くと、三笘健三先生(カンニング竹山)が口うるさく「アルコール消毒をしろ、マスクは鼻まで隠せ」と生徒たちに言います。生徒らは学校行事もなくなり、毎日マスクをつけることを余儀なくされる生活にうんざりしています。
若い英語の教師である沢口美穂(三和万亜子)は生徒からなめられ、ほとんどの生徒は授業も聞かず、スマートフォンをいじったり話したりしています。
瑞穂も授業を聞かず、机に突っ伏してスマートフォンをいじっていました。すると突然「授業中のスマートフォンの使用は禁止です」という声が聞こえて顔を上げると、瑞穂の目の前に沢口先生が立っていました。
どうして自分だけ注意するのかと瑞穂は抗議します。そんな瑞穂に友人らがやれやれとけしかけるメッセージを送ります。そのメッセージを見た沢口先生は「ひどい……」とショックを受け、瑞穂の携帯を没収しようとします。
瑞穂が止めようとする前に、瑞穂のスマートフォンを持った沢口先生の手が空中で止まりました。何が起こったのか瑞穂も沢口先生も分からず困惑していると、沢口先生は悲鳴をあげて教室を飛び出してしまいます。
放課後、瑞穂の母(生稲晃子)が呼ばれ、先生と面談になります。瑞穂は沢口先生の手には触れていないと抗議しますが、沢口先生の手にはアザができていました。納得のいかない瑞穂は反発するものの、母に止められ渋々スマートフォンを預けました。
次の日、瑞穂が学校に行くと、クラスメートの太田(乃上桃音)が上履きがないといい、瑞穂が持っているのではと詰め寄ります。しかし瑞穂は何のことだかわかりません。
すると今度は小松(内田奈那)が持っているんでしょうと太田は言います。すると、小松は「マスクで誰だかわかりません」と言います。
怒ってマスクを外した太田に、小松は「あんたの上履きなら持ってる」と引き出しから上履きを取り出します。そこまでしなくてもと間に入ろうとした瑞穂に小松は、太田のせいで環のスマートフォンは没収されたと言います。
沢口先生に注意するように指差したのが太田だったのです。太田は瑞穂一人を注意しろという意味で指差したのではないと弁明すると、小松は「私たちだったかもしれないってこと?」と言います。
それでも太田を庇う瑞穂に、小松は「瑞穂、そっち側?」と言い、怒って瑞穂にペットボトルの水をかけようとします。しかしその水は瑞穂にかからず、小松は我に帰って叫びます。
何が起こったのかわからない瑞穂の脳内に「みた?」と声が聞こえてきます。驚いて声の方を見ると、クラスメートの環(神谷天音)と目が合いました。
環に連れられ、写真部の部室に入った瑞穂は、壁にある去年の文化祭の自分の写真を見つけて懐かしみます。
そんな瑞穂に環は「瑞穂はここ数日で超能力に目覚めたようだ」と伝えます。自分も少し前に超能力に目覚めたといい、物理的に力を及ぼす瑞穂の能力とは違い、環は頭の中を覗き見したり、映像を送ることができると言います。
環と打ち解けた瑞穂は彼女と別れ、帰ろうとしているところに二人組の女子に出会います。そして一人の女子が瑞穂の肩に触れると、瑞穂は様々なところに瞬間移動していきます。
何が起こっているのかわからず戸惑う瑞穂。そこに環が駆けつけ助けてくれます。二人組は慌てたように「ごめん。驚かすつもりじゃなくて、会いたかっただけで」と説明しましたが、怯え続ける瑞穂の姿を見た二人は立ち去ります。
映画『メイヘムガールズ』の感想と評価
高校生活は一生に一度、かけがえのないものです。しかし感染症の拡大により2020年以降多くの学校行事が中止となり、マスク生活に「黙食」、ソーシャルディスタンスと様々な制限がかけられてきました。
そんな閉塞感の中を過ごしてきた女子高生4人が突如超能力に目覚めるという、こんなことがあったらいいなという思いが具現化されたような映画『メイヘムガールズ』。能力に目覚め、自由に空を飛んだりしてはしゃぐ4人の姿はキラキラした青春映画そのものです。
さらに、家庭教師の先生に対する瑞穂のピュアな恋模様も、青春映画らしさはあるもののその瑞穂のピュアさが利用されてしまうという切なさがあります。瑞穂は好きな人を助けたい一心で超えてはいけない線をこえ、悪事に手を染めていってしまいます。
確かに、感染症の拡大によるオンラインでの就職活動や、企業の採用数の減少など就活生を取り巻く環境も大きく変化しました。祐介のように就活がうまくいかなった大学生は決して少なくありません。
就職先も決まらず、奨学金などの支払いが重くのしかかっていく……そんな祐介を助けてくれる手はなく、デリバリーサービスの配達で苦しい生活を送る祐介の怒りは、裕福な人に向いてしまったのかもしれません。
そうだとしても、「裕福な人から違法な手段でお金をとってもいい」という理屈は間違っています、どんな理由であれ、犯罪は犯罪であり、犯罪をしていい理由はないのです。
しかも祐介は瑞穂の能力を利用し、自らが手を下すことはなく「瑞穂は未成年だから捕まらない」とそそのかす始末。実際はそんなことはありません。14歳以上の未成年には少年法があるからです。保護処分などをうけ、その後の将来にも勿論影響します。
瑞穂は、祐介に対する想い故に盲目になってしまい、祐介の言うことを信じきってしまいます。しかし、彼女たちの幼さ故の危なさと真っ直ぐさに、どこか閉塞感を抱えていた私たちの心も晴れるような気持ちになります。
まとめ
感染症の拡大により、閉塞感を抱える女子高生らが超能力に目覚めるという異色の青春アクション映画『メイヘムガールズ』。
本作は、瑞穂の家庭教師であった裕介への恋だけでなく、もう一つの恋のような憧れのような感情も描かれています。
何気なく環が落としたカメラを瑞穂が拾った時が、環にとって瑞穂との最初の思い出でした。それから環は瑞穂を追い続け写真を撮り続けていました。
明確に恋心であるとは描かれていません。そのため、環はキラキラした瑞穂の笑顔に憧れのような感情を抱き、友だちになりたいと思っていたのかもしれません。
「超能力がなかったら、私と友だちになっていなかった?」と環は瑞穂に聞きます。瑞穂はそんなことはないと答えたものの、能力が消え普通の生活に戻った瑞穂は、もう環が所属する写真部の部室に寄ろうとはしません。
また、環が自分の気持ちを伝えるため、瑞穂の脳に映像を送った時も、瑞穂は途中までしか見えなかったと答えましたが、本当にそうだったのでしょうか。
瑞穂に、環の想いは伝わっていたのではないでしょうか。それに対し、こたえられないと感じた瑞穂は、あえて「見えなかった」と答えたのではないでしょうか。
超能力を得て、非日常のような時間を過ごした4人は、能力を失うとそれまでの日々が嘘だったかのように風通の生活に戻っていきます。その姿に少し切なさを感じるものの、ふと今の私たちもそうなるのではないかという予感を感じさせます。
今なお感染症拡大が続いていますが、いつかこの日々が嘘だったかのように思えるような日常がそう遠くない先にやってくるのではないでしょうか。