映画『キングダム』は2019年4月19日(金)ロードショー!
日本映画の枠を超えた大スペクタクル巨編『キングダム』。
夢のために戦う2人の少年の熱い物語、圧倒的スケール感のロケーション、大迫力のアクションなど見どころ満載の1作。
原作ファン歓喜の会心の実写化です。
映画『キングダム』の作品情報
【日本公開】
2019年(日本映画)
【原作】
原泰久『キングダム』(集英社)
【脚本】
黒岩勉、原泰久、佐藤信介
【監督】
佐藤信介
【キャスト】
山崎賢人、吉沢亮、長澤まさみ、橋本環奈、本郷奏多、満島真之介、阿部進之介、深水元基、高嶋政宏、要潤、橋本じゅん、坂口拓、宇梶剛士、加藤雅也、石橋蓮司、大沢たかお
【音楽】
やまだ豊
【主題歌】
ONE OK ROCK『Wasted Nights』
【作品概要】
ヤングジャンプで大人気連載中の歴史アクション漫画『キングダム』の完全実写化。
原作者の原泰久が脚本にも参加しています。
監督は「GANTZ」シリーズ、『アイアムアヒーロー』(2016)『いぬやしき』(2018)など漫画実写化の第一人者・佐藤信介。
主役には多くの実写化で幅広い顔を見せてきた山崎賢人。その他吉沢亮、橋本環奈、長澤まさみ、本郷奏多、満島真之介、要潤、大沢たかおなど実績も豊富な実力派キャストが集結しました。
スケール感を求めて中国ロケまで行うなど日本映画界最大級の大作となっています。
『キングダム』のあらすじとネタバレ
春秋戦国時代の中国。
そこでは7つの大国に分かれて覇権が争われ、500年に渡る戦火が続いています。
そのうちの一つ、秦国には、かつて名を轟かせていた六将と呼ばれる将軍たちがいました。
戦災孤児の信は奴隷商人に運ばれている最中に、六将の一人・王騎の軍勢の行軍を目撃し、憧れを抱きます。
信はとある里の家の下働きとして引き取られますが、そこで同年代の漂という少年に出会います。
漂は「奴隷を抜け出すには剣の腕が必要だ」と、信と一緒に剣術の特訓を始めました。
彼らの夢は戦で武功を立てて「天下の大将軍」になること。
何年も経ち、少年から逞しい青年になり、剣の腕も上がった2人のもとに、昌文君という王宮の文官がやってきます。
彼は漂を王宮に登用するといいます。
漂はその夜、信に「先に行って待っている」と言い、去って行きました。
信は彼がいなくなってからも特訓を続けます。
しかし、ある夜、漂が瀕死の状態で里に帰って来ました。
秦王の弟が反乱を起こし、王宮が乗っ取られたというのです。
漂は信に近くの村の地図を渡し、印のある場所に行けと言います。
漂は「俺たちは一心同体だ。お前が天下に羽ばたけば俺も必ずそこにいる。」と残し、力尽きました。
信は必ず仇は取ると誓い、地図の印の場所に走ります。
そのあと、追っ手が現れ、里典たちに尋問をした後、里に火を放ちます。
信が印の場所に来ると、そこにいたのは漂そっくりの男。ですが明らかに雰囲気が洗練された別人でした。
信が混乱していると、そこに1人の追っ手が現れます。
中華中で恐れられる暗殺一族・朱凶の刺客でした。
「秦王・嬴政、命をもらう」
そして朱凶と漂そっくりの男が戦い始めた時、信は全てを悟ります。
漂は生き写しの秦王・嬴政の影武者として登用され、代わりに殺されたのだと。
信は嬴政や昌文君にも怒りますが、まずは漂を殺した朱凶に切りかかります。
嬴政は「信は頼りになる男です。いざという時に誰よりも高く飛ぶ」と言っていた漂の言葉を思い出します。
信は戦いの末、百戦錬磨の朱凶を斬り伏せました。
まだ追っ手がくるという嬴政に対し、信は怒りをぶつけますが、そこに信の後をつけていた河了貂と名乗る、妙な格好の人間が現れます。
貂はまだ子供のような顔つきでしたが、抜け道を知っていると言って、嬴政に案内する代わりに報酬を要求してきました。
嬴政は貂について行き、仕方なく信も同行します。
抜け道の洞窟を通っている最中、漂は嬴政のせいで死んだと非難する信。
嬴政は信に「漂は全て分かって覚悟もしていた。それでも下賤の人間が成り上がる好機に賭けた。」伝えました。
嬴政は自分を守って死んだ者たちの為にも必ず王座を奪還すると言います。信は彼に協力を誓いました。
王宮では反乱を起こした王弟・成蟜が、部下達が嬴政と昌文君の首を取って来ないことに苛立っていました。
成蟜は嬴政とは腹違いの弟。
両親共に王族の成蟜は、自分と違い平民の母から生まれた嬴政を忌み嫌っていました。
成蟜側に寝返った左丞相・羯氏が宥めていると、そこに長年表舞台から姿を消していた大将軍・王騎が現れます。
彼は、顔が潰れた首を昌文君のものだと見せ、褒美に昌文君の領地を貰って去っていきました。
信たちは、昌文君と落ち合う手筈の避暑地を目指します。
道中、南方からやってきたムタという吹き矢使いの刺客に遭遇。信は一人で戦って苦戦しますが、嬴政に檄を飛ばされ、ムタを撃破。
彼は戦いのたびに成長していました。
たどり着いた避暑地は、400年以上前、山中に潜む山の民と秦が交流していた頃に建てられた施設。
山の民は、今は平地の人間とは交流がなくなり、正体は謎に包まれていましたが、河了貂は山の民の出身だと明かします。
何も知らない信たちに現状を話し出す嬴政。
先王が急死し、嬴政は当時13歳で即位しましたが、実権は右丞相の呂不韋という男が握っていました。
その呂不韋が隣国の魏を攻めに遠征に出たタイミングを狙って、左丞相・羯氏の勢力を取り込んだ成蟜が反乱を起こしたのです。
成蟜が嬴政の首をいち早く欲しがっていたのは、呂不韋が帰ってくる前に、正式に王の死を証明して自分が即位して権限を得るためでした。
しかし、呂不韋が嬴政の味方かというとそうでもありません。彼は嬴政が殺された後、大義名分を持って反乱者成蟜を討ち、自分が王になる算段だろうというのが、嬴政の予想でした。
そこに逃げ延びてきた昌文君たちが現れます。
信は漂の恨みをぶつけようとしますが、嬴政が無事だったことを涙を流して喜んでいる昌文君を見て踏みとどまりました。
昌文君と副官の壁は反乱勃発後、王の身代わりの漂と城を脱出したときのことを語ります。
逃げ切ったと思った時に王騎軍が現れたこと、諦めかけた時に漂が将軍顔負けの檄を飛ばして味方を鼓舞したこと、そして漂は囮になって走っていってしまったこと。
信はそれを聞いて、漂の偉大さを確信しました。
成蟜が用意している8万の軍に立ち向かえる軍勢が必要だという話になった時、昌文君が山の民を味方にするという案を思いつきます。
可能性は低くても他に道はないと考えた嬴政たちは、山地に入り、言葉が分かる河了貂の交渉で山の王・陽端和の下へ連れて行かれました。
400年前、秦国の民が山の民を虐殺したこともあり、山の民たちは歓迎的ではありませんでしたが、嬴政は祖先の罪を詫び、「過去の憎しみに囚われるのではなく未来を拓くのが王だ」と語ります。
彼は自分の目標は王座を取り戻すことではなく、中華を統一することだと言いました。
その言葉を聞いて協力すると言い、仮面を外した山の王・陽端和の素顔は美しい女性でした。
そして山の民に扮した嬴政たちと、山の民の連合軍は王宮に戻ります。
彼らは、呂不韋との戦いに備えて援軍を欲しがっている成蟜のもとに、山の民が協力に来たと装って宮廷内に堂々と入ります。
王宮の奥まで到達した時、嬴政が刀を抜いて兵士を切り捨て、戦闘が始まります。
嬴政自身が囮になって昌文君や陽端和たちと広場で戦っている間に、信をはじめとする精鋭部隊が王宮の抜け道を通って成蟜陣営を制圧するという大胆な作戦でした。
『キングダム』の評価と感想
原作と古代中国の世界観の融合
2006年からヤングジャンプで連載の始まった『キングダム』は、秦の始皇帝の『史記』をもとに春秋戦国時代の群雄割拠の世を、日本の王道少年漫画的世界観で描いた漫画です。
中華を統一するという嬴政と、奴隷の身分から天下の大将軍になるという信の無謀な夢が少しづつ叶っていったという史実は、熱い物語を描くのに最適な題材。
中国の物語を日本的なテイストで描いた漫画だからこそ『キングダム』の実写は日本で作ることに意義がありました。
『進撃の巨人』(2015)や『鋼の錬金術師』(2017)など「何で海外が舞台の話を日本で実写化するんだ」という批判もありましたが、題材がなんであれ日本の漫画なら日本で作るべきです。
ハリウッドも『300〈スリーハンドレッド〉』(2006)や『ベン・ハー』(1959)など、古代ギリシャやローマなどの他国の歴史を史実よりも面白さ優先で製作しています。
大事なのは、観客が物語を信じられるだけの説得力。
本作『キングダム』はその高いハードルを大きく超えてくれました。
話題になっている、中国での実際のロケーションも素晴らしいですし、セットやスタイリング、細かい美術に至るまで、画面が終始スペクタクルに満ちています。
キャストも素晴らしく信役の山崎賢人は野性味あふれる主人公を体ごと作りこんでいますし、吉沢亮の漂と嬴政の演じ分けも見事。
悪役を演じた本郷奏多の憎たらしさや、原作でも屈指の人気を誇る伝説の将軍・王騎を肉体改造して演じた大沢たかおの存在感もさすがです。
そして一番肝心のアクションも日本を代表するアクション監督・下村勇二の手腕に加え、中国側からもジャッキー・チェンの映画にも参加した優秀なスタッフが加わり、原作の凄まじい剣戟が再現されました。
特に本作のラスボス左慈を演じた日本を代表するアクション俳優・坂口拓の身のこなしと剣の速さは特筆すべきものがあります。
山崎賢人が自由に斬りかかってもすべて捌いたというほどの体術の持ち主のため、クライマックスのバトルは本当に命のやり取りをしているかのようです。
映画スタッフ総出の熱量と挑戦
上記のように、世界観に説得力を持たせるすべての要素がハイレベルな本作。
それをまとめ上げた佐藤信介監督が最大の立役者なのは間違いないでしょう。
彼は『アイアムアヒーロー』で日本初の大作ゾンビ映画を作り、『いぬやしき』では新宿を舞台に機械人間同士が大スペクタクルバトルを繰り広げる様を最新技術で描くなど日本映画の可能性を大きく広げてきた監督です。
中国ロケまでして戦史物を描いた『キングダム』は、彼の今までの挑戦の集大成的な作品といえるでしょう。
本作のインタビューなどを読むと、オファーを受けたキャストが「本当に実現できるのかと思った」と語っているのが散見され、この映画がいかに規格外のものだったかよくわかります。
日本映画のスケールを超える作品作りに挑むその姿は、大将軍や中華統一を目指す本作の主人公たちの無謀な挑戦に重なります。
この映画スタッフの熱量がそのまま作品に直結しているからこそ『キングダム』は堂々たる映画になったのでしょう。
まとめ
脚本にも参加した原作者の原泰久は、かつては九州芸術工科大学で映画監督になることを目指していたそう。
彼は一度映画監督も漫画家もあきらめて会社員として働きましたが、夢を捨てきれず、30歳を超えてから遂に『キングダム』の連載をつかみ取り、そしてまわりまわって今回の実写化で映画の仕事にも関わりました。
原泰久の夢が多くの人を巻き込んで遂に完成した本作。
しかし映像化されたのは50巻を超える原作のうちのわずか1~5巻まで。ここから先、さらに国同士の大戦、丞相・呂不韋との権力争いなど話のスケールはどんどん広がっていきます。
人気キャラクターもまだまだたくさんいます。
ここまで見事な実写化を作られては続編も見たくてたまりません。
「実写化は苦手…」という人も、筋金入りの原作ファンの人も大満足間違いなしの『キングダム』。劇場へ大軍勢で押し寄せましょう!