『ルパン三世』超人気キャラクターを玉山鉄二が演じた映画『次元大介』がAmazonプライム・ビデオで独占配信!
漫画家モンキー・パンチによって1967年に連載が始まったコミックス『ルパン三世』。
1971年にアニメ化されて以降、幅広い層から支持を受け国民的な人気シリーズとなった『ルパン三世』ですが、その人気の源は魅力的なキャラクターたちにあります。
今回はそんな『ルパン三世』の中でも屈指の人気を誇るガンマン・次元大介に焦点を当てて実写化した映画『次元大介』(2023)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
CONTENTS
映画『次元大介』の作品情報
【配信】
2023年(日本映画)
【監督】
橋本一
【脚本】
赤松義正
【キャスト】
玉山鉄二、真木よう子、真木ことか、さとうほなみ、笹野高史、本宮泰風、波岡一喜、野村祐人、馬場徹、田中要次、永瀬正敏、草笛光子
【作品概要】
モンキー・パンチによるコミックス『ルパン三世』に登場するキャラクター「次元大介」を主人公としたAmazonプライム・ビデオ独占配信映画。
『探偵はBARにいる』(2011)や『HOKUSAI』(2021)の橋本一が手がけた本作では、2014年の実写映画『ルパン三世』で次元大介役を務めた玉山鉄二が続投となりました。
映画『次元大介』のあらすじとネタバレ
ポーランド、ガンマンのBSJに早撃ち勝負を挑まれた次元大介は危うげなく勝利。
メキシコ、ガンスミスのケリーを訪ねた次元大介はBSJとの戦いで感じた射撃の違和感の正体を探ろうとしますが、ケリーは次元の使うS&W M19・通称「コンバット・マグナム」の問題点を見つけることができず、銃の古さを指摘するのみでした。
「問題点を指摘できるかもしれない、世界一のガンスミスが日本にいる」とケリーから聞かされた次元は日本を訪れます。
飲み屋と風俗と違法賭博の街であり“悪の最果て”とまで呼ばれる「泥魚街」を歩く次元は、飲み屋「山富」で金城と出会います。
金城は泥魚街での次元の行動を全て把握しており、泥魚街の中で起こることは全てこの街を仕切る「鯉のぼり」と呼ばれる組織に筒抜けだと次元に警告した上で、矢口と呼ばれる表向き商店街で時計屋を営んでいるガンスミスの場所を教えます。
矢口の店を訪ねた次元は老女である矢口と出会い、彼女にコンバット・マグナムを見せます。銃の違和感の正体に気づけなかった次元に呆れた矢口は、引退を理由に銃の修理を拒否しました。
一方その頃、泥魚街に住んでいた悠也と恭子は大金になると言われる少女を「鯉のぼり」から奪い逃走していました。
先代を殺し「鯉のぼり」のトップに上り詰めた車椅子の女性・アデルを呼び出したヤクザの猪田は、捕らえた悠也を尋問したことでアデルが子どもの血液を原料に「違法薬物(ヤク)」を作っているのを突き止めており、アデルに高圧的な態度をとります。
アデルは猪田を含めたヤクザの一味を、部下の川島とともに全員射殺した上で悠也を殺害。悠也と恭子が攫った少女を探すように川島に命じました。
情報屋・広重から時計職人としての矢口の腕前を聞いた次元は再度彼女の元を訪ねると、時計屋に現れた少女が持っていた時計に矢口が興味を示している現場に遭遇。
少女の持っていた時計は、かつて身籠った自身の子どもをアデルに奪われた恭子に、銃代わりとして矢口が授けたものだと聞かされた次元。恭子が危機的状況であると察した矢口は、コンバット・マグナムの修理を行う代わりに、次元に協力を求めます。
子ども嫌いの次元は嫌がりましたが、コンバット・マグナムのためにも話すことのできない少女・オトを連れ、恭子が隠れていた浜辺の納屋にたどり着きます。
納屋の中ではすでに恭子が拷問の末に殺されており、次元は中にいる暗殺者の気配に気づきますが、オトが納屋内に入ってきたことからぶつかり合うことなく、納屋の外に出ました。納屋にいた川島は、次元がこの件に絡んできたことを知り、部下たちに居処を探るように命じます。
アデルの開発したヤクには老化速度の低下を促す効果があり、アデルは裏社会のバイヤーである秋山にヤクを表裏問わずに捌かせることで、財政界や警察にも巨大な影響をもたらす存在になろうとしていました。
悠也と恭子がアデルから奪った少女こそがオトであり、川島から報告を受けたアデルは次元がこの件に関わっていることを知ります。
川島は恋人の風俗嬢・瑠璃のために泥魚街を良くすることに必死であり、暴力的な方法を多用するアデルの命令を泥魚街が貧困から救われる唯一の方法として考え、文句を言うことなく従っていました。
恭子の惨状を次元から聞いた矢口はオトを守ることに決め、泥魚街へと一人向かい、かつての知り合いである瑠璃から恭子には娘がいなかったことを知ります。
話せないオトが手帳に書き出したこれまでの経緯を読んだ次元は、オトが父親から虐待を受けたこと、母親が父親によって殺害されたこと、そして何者かに血を抜かれ続け声が出なくなったことを知りました。
次元がオトにあげた手帳に紐をつけ時計店に帰宅すると、矢口も帰宅していました。矢口が聞いた内容とオトの手帳の内容から、2人はオトが「鯉のぼり」によって攫われた子どもであることに気づきます。
街を出ることを提案した時、時計店の電気が何者かに消され、銃を所持した暗殺者が時計店に侵入。次元は暗殺者と対峙し、跳弾を使った銃撃で4人の侵入者を倒しました。
しかし、自由に顔を変えることのできる川島にオトを人質に取られ、次元は川島の放った睡眠剤の注射を受けてしまいます。矢口の機転のおかげで次元は川島から何とか逃れますが、オトはそのまま攫われてしまいました。
映画『次元大介』の感想と評価
人気キャラクター「次元大介」を描いたスピンオフムービー
次元大介といえば酒やタバコ、服装や使う拳銃に強いこだわりを持ち、「仕事」にも独特なスタンスを持つなどこだわりの強いガンマン。
しかし、裏稼業に身を置きながらも生来の人の良さと押しへの弱さによって、自由気ままなルパン三世に振り回されながらも良き相棒として描かれることも多いキャラクターです。
シリーズの中でもトップクラスの人気を誇る次元大介を実写作品として映像化した本作では、次元大介の「子ども嫌い」な部分と愛銃「コンバット・マグナム」へのこだわりが強く描かれていました。
原作やアニメシリーズでのコミカルな部分は控えめに抑えられた本作は、どちらかと言えば『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』(2014)のような次元大介の渋さを表面に押し出しており、実写作品としての違和感を覚えることの少ないテイストとなっていました。
アニメへの強いリスペクトを感じる実写作品
「『ルパン三世』の知名度を上げた作品」と言われれば、1971年のテレビアニメ版第1期や1977年の第2期、そして映画『ルパン三世 カリオストロの城』(1979)が多く挙げられます。
中でも宮崎駿による『ルパン三世 カリオストロの城』は、アニメ・漫画好き以外の一般層にもルパン三世の名を知らしめ、今もなお老若男女問わずに知名度の高い作品といえます。
実写映画化作品である『次元大介』には、そんな『ルパン三世 カリオストロの城』へのオマージュも描かれており、映画作中には『ルパン三世 カリオストロの城』で有名なミートボールのスパゲッティも登場。
さらにルパン三世自身は直接登場しないものの、アニメシリーズ以降ルパン三世の乗る車として有名となった黄色の「フィアット」も登場するなど、アニメ版への強いリスペクトとファンサービスを感じる作品となっていました。
まとめ
およそ9年ぶりに、玉山鉄二がふたたび次元大介を演じたAmazonプライム・ビデオ独占配信映画『次元大介』。
登場する敵役たちはいずれも殺人に躊躇いのない悪党でありながら、その来歴や隙間で語られる物語でどこか同情してしまうような人間味に満ちた魅力を持っています。
玉山鉄二を始め、真木よう子や永瀬正敏、そして草笛光子など実力派俳優たちの演技によって、実写化作品ではあるものの、非現実的すぎない血が通った映画となっている作品でした。