映画『プロジェクト・グーテンベルク 贋札王』は2020年2月7日(金)よりロードショー。
“亜州影帝(アジア映画界の帝王)”チョウ・ユンファが完全復活、アーロン・クォックとの強力タッグで魅せる予測不能のクライムアクションサスペンス!
“画家”と呼ばれる謎の男が率いる偽札組織にスカウトされた“贋作の名人”をめぐり、“画家”の正体に迫っていく人たちの姿を描いた『プロジェクト・グーテンベルク 贋札王』。
作品は「インファナル・アフェア」シリーズなどの脚本を担当してきたフェリックス・チョンが監督、脚本を務めます。
また謎めいた男“画家”役を、香港ノワールの傑作『男たちの挽歌』などで香港映画界を代表する国民的俳優となったチョウ・ユンファが演じます。
そして“画家”に認められた天才贋作家・レイを“香港四大天王”の一人として活躍し『コールド・ウォー/二つの正義』など演技派俳優としても高い評価を得るアーロン・クォックが担当と、二大スターが火花を散らし作品を盛り上げています。
さらにレイにとって“運命の女”であるユンには『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』で役所広司と共演したチャン・ジンチューが出演しています。
映画『プロジェクト・グーテンベルク 贋札王』の作品情報
【日本公開】
2020年(香港・中国合作映画)
【原題】
無雙
【英題】
Project Gutenberg
【監督・共同脚本】
フェリックス・チョン
【キャスト】
チョウ・ユンファ、アーロン・クォック、チャン・ジンチュー
【作品概要】
『男たちの挽歌』(1986)のチョウ・ユンファと『風雲 ストームライダーズ』(19998)のアーロン・クォックがダブル主演を務め、第38回香港電影金像獎で作品賞、監督賞など最多7部門を受賞したクライムアクション。「インファナル・アフェア」シリーズの脚本家フェリックス・チョンが監督を務め、偽札造りの達人が犯罪の連鎖に巻き込まれていく姿を、予測不能な展開と迫力のアクションで描きます。
2018年・第31回東京国際映画祭「ワールド・フォーカス」部門では、『プロジェクト・グーテンベルク』のタイトルで上映されました。
映画『プロジェクト・グーテンベルク 贋札王』のあらすじ
物語は偽造画家として警察に逮捕された画家レイが、逮捕先のタイから香港に護送されるものの、そこで高名な美術家ユン・マンによって保釈されるところから始まります。
レイが偽造画家となった経緯は、1990年代のカナダにさかのぼります。貧しい画家であったレイは恋人との将来に希望を託しますが、なかなか認められず、いっこうに暮らしは楽になりません。
そんな時、こっそりと絵画の偽造に手を染めだしたレイは「画家」と名乗る謎の男に腕を認められ、彼が運営する偽札組織で働くことになります。
やがて米ドル紙幣の偽札発見テクノロジーの進化をあざ笑うように、彼の偽札造りは世界を席巻していきますが…。
映画『プロジェクト・グーテンベルク 贋札王』の感想と評価
「うだつの上がらない一人の人間が、物語が進むたびに実はとんでもない驚愕の事実を持っていた」。
こうしたミステリーの作風は近年多くの作品で見られるところですが、その成功への課題は、いかにオリジナリティを見せるかという点と同じくらいに物語のバランス、整合性をきっちりと構築してくことにあります。
その点で本作の監督・脚本を担当したフェリックス・チャンは日本の松本清張、横溝正史といった本格的なミステリーの王道的な作家からの影響を自ら認めるほどにミステリーに精通しており、物語の筋やオリジナリティ、意外性の構築に関しては徹底したこだわりを見せ、途中で違和感を覚えるような妥協点を一切許さない緻密な作りで、かつ緊張感あふれる物語の世界観を構築しています。
そしてこの物語の成功のカギを握るのがアーロン・クォックの存在感です。
彼の役柄は序盤と終盤で見せる人物性格は全く違ったものとなります。特にレイと画家の真実が物語の進行の中で徐々に明らかにされていく上で、レイ自身の性格も物語の位置づけとしては変わっていくわけですが、複雑な展開、構成だけに感情表現の誤りは致命的であります。
そういった部分を映像の中で一切生じさせず演じきったところにクォック自身の演技に対する執着、そして妥協のないチャン監督の的確な演出指導がうかがえます。
またこの作品の大きな見どころであるチョウ・ユンファの存在感も見逃せません。
彼の存在感はクォックの演じる役柄に対して直接対峙する局面、および内面的にそのキャラクターが一致する面と、クォックの役柄に対して非常に複雑に絡むのですが、さすがユンファといえるゆるぎない存在感を示し、物語の重要な礎として物語の中に立っています。
逆にいえばユンファの存在があるからこそクォックが自らの役柄を全うできたという点は、この作品の強みといえるでしょう。
ユンファとクォックの共演は今作で三度目となります。作品では物語では「さすがこの二人が出演した作品だけのことはある」と思わせる作品として仕上がっており、二人のファンはもちろん、緊張感抜群のアクション、そして最後の最後まで驚愕の大どんでん返しミステリーのファンにも十分アピールできる作品となっています。
まとめ
本作はチョウ・ユンファとアーロン・クォックというツートップの共演という部分が見どころとして多く上げられがちです。
もちろん役者としてのそれぞれの実力もさることながら、本作は2018年の香港映画で興行収入第二位、中国大陸で公開された香港映画としては史上第一位となるメガヒットを記録という高評価を得たのは、作品の緻密な構成、演出があってのことに他なりません。
逆にいえば彼らのようなトップスターが立ち、輝かせるにふさわしい作品、それだけの質、レベルを狙ったものとして仕上がっている、ともいえるでしょう。
ちなみに、時期的に発表が近いクォックの出演作として、2019年に東京国際映画祭で上映された『ファストフード店の住人たち』があります。
演技に関して本作ではどちらかというと緻密さを求めているのに対し、『ファストフード店の住人たち』では、もっとラフな感じで自然に体の中からにじみ出てくる感性を求めているようにも感じられます。機会があれば二作品を見比べてみるのも面白いでしょう。
映画『プロジェクト・グーテンベルク 贋札王』は2020年2月7日(金)より公開されます!