長距離トラック運転手が巻き起こす喧嘩と恋を描いたアクションコメディ!
ジェームズ・ファーゴが監督を務めた、1978年製作のアメリカのアクションコメディ映画『ダーティファイター』。
アメリカ大陸を股にかける長距離トラック運転手が、全米各地の荒れくれ男たちを相手に喧嘩をしながら、1人の女性と恋に落ちていく姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
アメリカ縦断5,000㎞の喧嘩道を突っ走る百戦錬磨のストリートファイター、ファイロ・ベターの物語をクリント・イーストウッド主演で描いたアメリカのアクションコメディ映画『ダーティファイター』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『ダーティファイター』の作品情報
【公開】
1978年(アメリカ映画)
【脚本】
ジェレミー・ジョー・クロンズバーグ
【監督】
ジェームズ・ファーゴ
【キャスト】
クリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック、ジェフリー・ルイス、ルース・ゴードン、ビル・マッキーニー、ビヴァリー・ダンジェロ、ウォルター・バーンズ、ロイ・ジェンソン、ジョージ・チャンドラー、ジェームズ・マクイーチン、ウィリアム・オコンネル、ジョン・クエイド、ダン・ヴァディス、グレゴリー・ウォルコット、ハンク・ウォーデン
【作品概要】
『ダーティハリー3』(1976)のジェームズ・ファーゴが監督を務めた、アメリカのアクションコメディ作品です。
「ダーティハリー」シリーズや『アウトロー』(1976)、『運び屋』(2018)などに出演するクリント・イーストウッドが主演を務めています。
映画『ダーティファイター』のあらすじとネタバレ
アメリカ大陸を股にかける長距離トラックの運転手ファイロ・ベドーは、喧嘩をやらせれば彼の右に出る者はいないほど強い、百戦錬磨のストリートファイターです。
その証拠に、仕事帰りに立ち寄った店で、ファイロが盗んだピーナツがきっかけで喧嘩を吹っ掛けてきた男にも、ストリートファイターで戦った男にもファイロは圧勝でした。
ファイロは、どこかで荒れくれ男たちと喧嘩しては勝ち、相棒のオービル・ボッグスと彼の母親ママ・ボッグス、そして雄のオラウータンのクライドが待つ家へ帰る日々を送っていました。
そんなある日、喧嘩に明け暮れた日々を送っていたファイロに転機が訪れます。それはストリートファイト後、いつものようにオービルと一緒に、馴染みのミュージックバー「パロミノ」に食事しに行った時のこと。
そこで初めてステージに立った歌姫リン・ホールジー・テイラーに、ファイロは一目で恋に落ちたのです。
しかしリンには、スカイラーという同棲している恋人がいました。翌日、ファイロはリンとキスできたものの、その先に進むことができなかった憂さ晴らしとも兼ねて、愛車に同乗するクライドをバカにしたチンピラ2人を懲らしめようとします。
チンピラ2人は貨物列車に飛び乗り逃走。ファイロはあと一歩のところで逃げられてしまいました。
その日の夜。ファイロは再びステージに立ったリンの元へ出向き、彼女の家まで車で送ります。
そこでファイロは、リンが彼女の故郷であるコロラド州デンバーでクラブをやりたいこと、とっくのとうにスカイラーには愛想を尽かしていること。
それでも別れないのは、クラブの開店資金7,000ドルをくれるとスカイラーが言ったからだということを、彼女の口から聞いて知りました。
それを聞いたファイロは、リンへの恋を突っ走ることに決め、彼女との距離を縮めていきました。
その第一歩として、ファイロはオービルにリンを紹介し、3人で食事をしに行きました。そこでファイロは、リンにちょっかいを出そうとしたチンピラ2人を完膚なきまでに叩きのめします。
しかし先日のチンピラ2人も、このチンピラたちも皆、暴走族「毒グモ(ブラック・ウィドー)」のメンバーでした。そのためリーダーのライアンは頭にきて、ファイロへの報復を決意します。
その日以降、ファイロは毎晩、リンをバーから彼女が住むトレーラーハウスまで車で送り迎えしていました。
そんなある日、ファイロがいつものようにリンを車で送っていると、後ろの車から執拗な嫌がらせを受けます。
それに腹を立てたファイロが、トレーラーハウス前に車を停め、後ろの車に乗るスカイラーを懲らしめようとしました。
しかしリンが必死に、「彼は拳銃も撃てない男なの、だからいじめないであげて。私が話をするから」と言って止めてきたのです。
これに対しファイロは、「彼に言ってやれ、“君は今後、俺の女になる”とな」と言い、ブラック・ウィドーのメンバーから奪った金を彼女に預け、その場を後にしました。
ところが翌日、ファイロがクライドを紹介しようと、リンの元を訪れましたが、彼女のトレーラーハウスがありません。
トレーラー・パークの管理人に話を聞いたところ、リンは今朝早く出立し、デンバーへ行ってしまったといいます。
念のため、ファイロはパロミノにも行ってみると、店員から手紙を渡されました。その手紙は、リンがファイロに宛てた手紙でした。
「ファイロ、お別れよ。ごめんなさい」………リンにフラれたショックで気が立っていたファイロは、自分がぶつかった男たちに殴りかかり、乱闘騒ぎを起こしてしまいます。
しかしファイロが殴った男は、ロス市警の警官パトナムと彼の相棒ハーブでした。店員から聞いて急いでその場から立ち去った後、ファイロはキャンピングカーに改造したトラックに乗り、クライドとオービルと一緒にリンを探す旅に出ました。
映画『ダーティファイター』の感想と評価
ファイロは、アメリカ大陸を股に掛ける長距離トラックの運転手である以前に、喧嘩が滅法強い男です。
そのためファイロは、オービルが見繕ってくれたストリートファイトの試合は、どれもKO勝ちで連戦連勝。まさに彼の右に出る者は1人もいません。
ファイロと、彼と戦う荒れくれ男たちが繰り広げるストリートファイトは、視点が代わる代わる変化していくのでとても臨場感があり、迫力も十分あって格好良いアクション場面です。
そして物語の後半、リンを追いかけるために始めたファイロの旅の途中、ファイロに恨みを持つ者が襲撃してきます。
丘釣りをするファイロの背後を、パトナムがとった時は、さすがに銃を持つ相手では太刀打ちできないのではないかと思いましたが、いつの間にか釣りに夢中になってしまうパトナム。
そんなパトナムと、パトナムを捜すあまり注意力散漫になってしまったハーブがドジを踏んでしまう場面は、ギャグ要素があって面白いです。
パトナムたちはもちろん、ブラック・ウィドーからの襲撃も見事撃退したファイロは、ロサンゼルスへ帰る途中、旅の最後を締めくくるストリートファイトに挑みます。
相手は天下無敵のストリートファイター、マードックでしたが、やはり全盛期とは違って老いによる体の衰えがあるせいか、マードックはファイロにボコボコにされてしまうのです。
そんな彼との戦いをずっと待ち望んでいたファイロが、華々しい勝利で旅を締めくくるのかと思いきや、彼はマードックに未来の自分の姿を重ね合わせたのでしょう。
ファイロはわざとパンチを食らい、本当は立ち上がれるのに立ち上がらず、マードックに勝たせてあげました。
ファイロの喧嘩の強さはもちろん、戦う相手を思いやる気持ち、そしてオラウータンのクライドへの親愛を持つファイロの姿に、男女問わず魅了されます。
まとめ
喧嘩が強い長距離トラックの運転手が、相棒とその恋人、そしてオラウータンと一緒に旅をする姿を描いたアメリカのアクションコメディ作品でした。
荒れくれ男相手だと負けなしの強さを誇るファイロですが、歌姫のリンと出会ってからは1人の恋する男でしかなく、自由気ままなリンに翻弄されていきます。
一度はリンと結ばれたファイロでしたが、リンは彼を愛していませんでした。正確には、一晩だけは愛していましたが、リンはファイロと恋人同士の関係になるつもりは最初からなかったのです。
そうまでしてリンが男を誘惑し、金を欲しているのは、全て恋人スカイラーのためでした。恋では一発KOだったファイロの姿は少し観ていて切ないです。
クリント・イーストウッド演じるファイロの強さはもちろん、彼と一緒に暮らしているオービルの母ママが、ファイロに恨みを持つブラック・ウィドーをショットガンで追い払った場面はとても衝撃的で面白いので、本作を鑑賞する際はぜひ見逃さないでください。
クリント・イーストウッドが喧嘩と恋に生きるトラック野郎を演じた、笑いあり涙ありのドタバタアクションコメディ映画が観たい人に、とてもオススメな作品となっています。