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映画『イングリッド・バーグマン 〜愛に生きる女優〜』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

2016年に生誕100周年を迎えた名女優イングリッド・バーグマン。

1915年8月29日にスウェーデンに生まれ、 1982年8月29日にロンドンで惜しまれつつこの世を去りました。

ヨーロッパとアメリカで女優として活躍した彼女のことが知りたいなら、生誕100年を記念して制作されたドキュメンタリー映画がお勧め。

今回は、『イングリッド・バーグマン~愛に生きた女優~』をご紹介します。

映画『イングリッド・バーグマン 〜愛に生きる女優〜』の作品情報

【公開】
2016年(スウェーデン)

【脚本・監督】
スティーグ・ビョークマン

【キャスト】
イングリッド・バーグマン、イザベラ・ロッセリーニ、イングリッド・ロッセリーニ、ロベルト・ロッセリーニ、フィオレラ・マリアーニ、リブ・ウルマン、シガニー・ウィーバー、ジャニーン・ベイシンガー、アリシア・ビカンダー

【作品概要】
『カサブランカ』『汚名』『ガス燈』『秋のソナタ』など、数々の名作映画の出演で知られるスウェーデン出身の女優イングリッド・バーグマンのドキュメンタリー映画。

バーグマンと同じスウェーデン出身のハリウッド・スターの人気女優アリシア・ビカンダーがナレーションを担当しています。

映画『イングリッド・バーグマン 〜愛に生きる女優〜』のあらすじとネタバレ

イングリッド・バーグマン
(C)Mantaray Film AB. All rights reserved. Photo: The Harry Ransom Center, Austin

3歳の時に母親を失ったイングリッド・バーグマンは、芸術家でカメラマンの父親に育てられます。

父親はカメラ好きであったことから、幼い頃の彼女は、カメラで撮影されることに慣れていました。

そんなバーグマンは、自身でもカメラを持ち撮影することにも興味を持つようになっていきます。

しかし、そんな父親もバーグマンが13歳の時に亡くなってしまいます。

やがて、端役からスウェーデン映画でデビューしたバーグマンは主演を数々務めていくようになります。

彼女の活躍に注目をした、名プロデューサーで知られるデヴィッド・O・セルズニック。

セルズニックに、ハリウッドに招いてバーグマンは、ついに、ハリウッド映画『別離』デビューを果たします。

その後は、名作「カサブランカ」に出演するなど、さらには、1945年に出演した『ガス燈』でアカデミー主演女優賞を獲得。

やがて、サスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督の作品にも出演できるようになったバーグマン。

彼女は、配役された演技の中に、これまでには知らなかったユーモアの感覚を得ることに喜びを感じるようになります。

以下、『イングリッド・バーグマン 〜愛に生きる女優〜』ネタバレ・結末の記載がございます。『イングリッド・バーグマン 〜愛に生きる女優〜』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
プライベートでは、常にひとりの女として愛に生きたバーグマンは、不倫相手の写真家ロバート・キャパと恋に落ちます。

また、映画監督のロベルト・ロッセリーニ監督に、バーグマンは手紙を書きます。

「イタリアン・ネオリアリズモ」という、ハリウッドにはない自然な演技に魅了された女優であることと、ぜひ、お会いしたいという女の恋心を書きました。

やがて、バーグマンは、ロッセリーニ監督との不倫の末に結婚。

これまで何一つ不自由なく、医師の夫を幸せな夫婦生活と、娘にもバーグマンでしたが別れること決意したのです。

その「自分らしさ」が、当時のアメリカ社会から非難を受け、やがてハリウッドとは疎遠になっていきます。

やがて、バーグマンは、1956年に製作された『追想』でハリウッド映画に復帰。

この作品で2度目のアカデミー主演女優賞を受賞をしますが、授賞式の会場にバーグマンは現れませんでした。

代理としてオスカー像を受け取ったのは、昔からの友人であるケーリー・グラントでした。

その後、イングマール・ベルイマン監督のスウェーデン映画『秋のソナタ』に出演。

これがバーグマンの最後の作品となりました。

ベルイマン監督は、バーグマンに“素顔で出演”することを依頼、その要望を一度は拒絶したバーグマン。

しかし、ベルイマン監督から、「新たなファンを作ればいい」という言葉に導かれて素顔の出演に応じます。

映画『イングリッド・バーグマン 〜愛に生きる女優〜』の感想と評価

イングリッド・バーグマン
(C)Mantaray Film AB. All rights reserved. Photo: The Harry Ransom Center, Austin

スウェーデン出身の女優イングリッド・バーグマンは、知性溢れる美貌の持ち主で、アカデミー賞に3度も輝きました。

数々の名作のワンシーンや華やかな授賞式のほか、バーグマンの日記や手紙、彼女が撮影したスチール写真、家族と過ごした貴重なプライベート映像を見ることができます。

プライベート映像の中のバーグマンは、自然光の下、家族と共に柔らかな笑顔で観客を魅了します。

一方、ハリウッド映画の中のバーグマンは、照明スタッフから丁寧なライティングが当てられ、彼女の目には、ピンスポットの光を当て、黒目が輝くように演出。

また、もともと豊かで美しい髪は、光の角度を調整することでさらに立体的な艶めきを映し出しています。

2種類の映像にある照明の有無を例にあげても、バーグマンの表情が違って見える点に注目したいところです。

その異なる場に応じても、バーグマンは自由に輝けるスターという存在なのではないでしょうか。

まとめ

イングリッド・バーグマン
(C)Mantaray Film AB. All rights reserved. Photo: The Harry Ransom Center, Austin

女として恋に生き、死ぬまで女優として生きたバーグマン。

そして、常に4人の子どもを愛し続けた母親だった彼女のしなやかな美しさが蘇る作品です。

この作品を一層楽しむに、映画の中で最後に取り上げられた作品について、もう少し触れておきましょう。

バーグマンが、母親役で主演した遺作『秋のソナタ』は注目大の作品です。

なぜなら、巨匠イングマール・ベルイマン監督が、バーグマンという女優のために書き上げたオリジナル脚本なのです。

まるで、イングリッド・バーグマンの私生活そのものに思わせる素顔

この作品は、1978年に製作された、イングマール・ベルイマン監督のスウェーデン映画『秋のソナタ』。

バーグマンにとっては、遺作となったこの作品です。

バーグマンは、リヴ・ウルマン演じる過去に見捨てた娘を訪ねるために、北欧を訪れた裕福なピアニスト母親役を演じています。

好き勝手に生きた母親と見捨てられ残された娘たちの関係に、バーグマンの私生活を想像してしまう仕掛けがある作品なのです。

それでけではなく、娘を演じたリヴ・ウルマンは、ベルイマン監督作品の常連俳優で、また、プライベートでもパートナーという仲です。

スタッフも全員がベルイマン監督の馴染みの常連スタッフ。

バーグマンにとって撮影現場は、独りだけ、よそ者的な存在となっています。

バーグマンいとっては、自身の犯した過去の人生を裁かれるような地獄の現場であったのではないでしょうか。

“イングリッド・バーグマンの素顔”を見るのは、ドキュメンタリー映画『イングリッド・バーグマン 〜愛に生きる女優〜』。

そして、母と娘の濃厚なドラマを描いた劇映画『秋のソナタ』を一緒に見ることをお薦めします。

ぜひ、どちらも観ていただきたい作品です。お見逃しなく!

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