Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2019/05/07
Update

映画『さよならくちびる』あらすじネタバレと感想。ハルレオの門脇麦&小松菜奈の演技と演奏に注目!

  • Writer :
  • 村松健太郎

映画『さよならくちびる』は、2019年5月31日(金)より全国ロードショー!

突然解散を決めた人気デュオの“ハルレオ”。付き人のシマと共に行く解散ツアーを描く音楽エンターテインメント。

音楽劇であるとともにロードムービー、そして、LGBTQを内包した本作は、『どろろ』『抱きしめたい』の塩田明彦監督のオリジナル作品。

基本は門脇麦、小松菜奈、成田凌の三人芝居で進み、実際に門脇麦(=ハル)と小松菜奈(=レオ)の二人が歌声を披露しています。
主題歌を秦基博、挿入歌をあいみょんが提供しているのも注目です。

映画『さよならくちびる』作品情報


(C)2019「さよならくちびる」製作委員会

【監督・脚本】
塩田明彦

【キャスト】
小松菜奈、門脇麦、成田凌、篠山輝信、松本まりか、新谷ゆづみ、日高麻鈴、青柳尊哉、松浦祐也、篠原ゆき子、マキタスポーツ

【音楽】
きだしゅんすけ

【スタイリスト】
伊賀大介

【主題歌提供】
秦基博

【挿入歌提供】
あいみょん

映画『さよならくちびる』キャラクターとキャスト


(C)2019「さよならくちびる」製作委員会

ハル:久澄春子(門脇麦)
“ハルレオ”の作詞作曲担当。実は同性愛者でレオに友情以上の感情を持っている。

レオ:西野玲緒(小松奈々)
レオに誘われ音楽を始めるハルの気持ちを知りつつシマに惹かれる

シマ:志摩一郎(成田凌)
元ホストで元バンドマン。ハルレオのローディになる、ハルに惹かれる

映画『さよならくちびる』あらすじとネタバレ


(C)2019「さよならくちびる」製作委員会

「二人の気持ちは変わらないんだな?」全国7都市のライブハウスツアーにでるデュオ“ハルレオ”のハルとレオに、ローディ兼マネージャーのシマが念を押します。

バイト先で偶然出会ったハルは、レオに『一緒に音楽をやってみない』と声をかけます。

音楽経験は全くないレオでしたが、自分と同じようなハルの孤独な境遇に共感したレオは誘いに乗ります。

ハルから手ほどきを受けたレオは、めきめきと上達し、やがて二人は路上で歌い始めます。

“ハルレオ”として本格的に活動し始めるためにローディを探し始めす。

そこで出会ったのがシマでした。元売れっ子ホストで売り込みなども得意なシマの存在もあって、自主製作ではあるものCDを製作しライブハウスにもお客が集まるようになります。

“ハルレオ”の近い距離感からある種の関係性を想い・感じるファンもいて同性同士のペアも多く集まります。

順調に思われた“ハルレオ”ですが、元々男に惚れっぽいところのあるレオがシマに惹かれ始め、そのシマがハルに惹かれ始めたことで、関係性がギクシャクしはじめ、とうとう仕事以外でろくに口もきかないようになってしまいました。

更に関係を複雑にしていることがハルの秘密でした。ハルは公言していませんでしたが、同性愛者でした。

そして、レオに強く惹かれていました。

ハルの気持ちを知ったレオはそれを受け入れてもいいと言い出しますが、ハルは無理はせずに素直にレオはシマと付合えと言い放ちます。

それを知り、自分たちの気持ちに蓋をするとレオとシマ。それでより一層三人の間に流れる空気は気まずいものになっていきます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『さよならくちびる』ネタバレ・結末の記載がございます。『さよならくちびる』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2019「さよならくちびる」製作委員会

ツアーの途中で“ハルレオ”の解散の情報が漏れてしまい、結果としてツアーは大盛況となります。

満員が続き、シマは喜びますが、淡々と最後のツアーをこなす予定だった二人のイライラはさらに増します。

“ハルレオ”解散の一報を聞いてライブハウスに多くのファンが駆け付けます。その中には友だち以上の関係にあると思われるティーンの女子たちの姿もありました。

気まずいままにツアーが進んでいきますが、裏腹にステージ上の二人の息はピタリと合っていきます。

最後の地、函館のライブは大型の会場が満員になる程の盛況で、中には入れずにネット中継でライブを見守るファンも多くいます。

東京に戻ってきた三人、もうローディでも何でもないと言い放ったシマは、ハルとレオに自分の荷物は自分で持って行けと突き放します。

二人と分かれたシマは何となく立ち去りがたくその場でたたずんでいます。

するとそこへ、こんな大荷物持っていられないとぶつぶつ文句を言いながらハルとレオが戻ってきます。

「“ハルレオ”の再結成なんて絶対にないぞ!」と戸惑いと嬉しさをかみ殺すようにして、シマは二人を乗せて車を走らせるのでした。

映画『さよならくちびる』感想と評価

オリジナル脚本で三人芝居でロードムービーで音楽劇

本作品『さよならくちびる』は、今時では珍しい原作も、ベースとなったエピソードもない塩田明彦監督のオリジナル脚本です。

今、人に見てもらうには(それ以前に企画にお金を出してもらうには)なかなかどうして高いハードルのある作りです

その高いハードルをくぐりやすくしているのがメインキャストとして、事実上の三人芝居で物語を進める門脇麦と小松菜奈と成田凌という売れっ子の存在です。


(C)2019「さよならくちびる」製作委員会

もともと、門脇麦と小松菜奈という二人の女優の“今を切り取っておきたい”という企画意図から始まったこの映画は、まず二人ありきでことが進み、そこに塩田監督がオリジナルの脚本を用意してきました。

二人と等距離を保てる雰囲気のある俳優ということで成田凌がそこに加わり、微妙な三人組が出来上がりました

歌手の物語となったところで、しっかりとしたアーティストに協力を仰ぐことになり、秦基博とあいみょんという豪華な名前が揃いました。

過去にも「ソラニン」や「覆面系ノイズ」などなど実際のキャストが歌声を披露する映画はありましたが、本作も本業が歌手ではない門脇麦と小松菜奈の二人が“ハルレオ”として歌声を披露しています

売れっ子若手俳優三人が顔をそろえ、人気アーティストが楽曲を提供したことで、気が付けば「さよならくちびる」は概要を聞いただけで、とても気になる魅力的な映画になりました。

まとめ


(C)2019「さよならくちびる」製作委員会

塩田明彦監督の過去作には、2014年に北川景子主演の実話を基にした映画『抱きしめたい 真実の物語』や、日活の成人映画レーベル「ロマンポルノ」の45周年を記念し、間宮夕貴を主演に迎えた映画『風に濡れた女』があります。

いずれの作品も切り口に違いはあれど、映画好きな女性たちから注目を集めた作品でした。

今回、『さよならくちびる』では、若手人気女優の小松菜奈と門脇麦をダブル主演に迎え、居場所を求める若者たちの恋と青春の様子をオリジナル脚本で描きました。

また音楽ロードムービーであるこの作品では、「ハルレオ」が歌う主題歌プロデュースを秦基博が行い、挿入歌の作詞・作曲をあいみょんという、人気ミュージシャンが楽曲を手がけています。

各地のステージを重ねていく「ハルレオ」役の演奏シーン挑んだ小松菜奈と門脇麦。彼女たちに絡むシマ役を『愛がなんだ』『ビブリア古書堂の事件手帖』という、若手注目の演技派の成田凌と、見どころの多い映画になっています。

映画『さよならくちびる』は、2019年5月31日(金)より全国ロードショー!

関連記事

ヒューマンドラマ映画

映画『ハニーボーイ』レビュー評価と意味解説。ルーカス・ヘッジズがラブーフの現在の姿を演技力で体現

映画『ハニーボーイ』は2020年8月7日(金)よりロードショー。 人気子役からスター俳優への階段を駆け上がったのち、飲酒などのトラブルで世間を騒がせたシャイア・ラブーフ。 ラブーフが、そんな自分自身を …

ヒューマンドラマ映画

『ザ・ホエール』ネタバレ結末あらすじと感想評価。特殊メイクでブレンダン・フレイザーが過食症の男性を演じる

ブレンダン・フレイザーが奇跡のカムバックを果たし第95回アカデミー賞主演男優賞を受賞 劇作家サム・D・ハンターによる舞台劇を『ブラック・スワン』などのダーレン・アロノフスキー監督が映画化。 長らく表舞 …

ヒューマンドラマ映画

映画『PLAY 25年分のラストシーン』感想評価と解説レビュー。POVという主観ショットで表現する大きな時代の変革を生きる人々

映画『PLAY 25年分のラストシーン』は2020年11月6日(金)に新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA、kino cinéma立川髙島屋S.C.館ほかで全国ロードショーほかで全国 …

ヒューマンドラマ映画

柳楽優弥映画『夜明け』ネタバレ感想と結末までのあらすじ。期待の新人監督が描く若者の苦難

映画『夜明け』は、2019年1月18日(金)より、新宿ピカデリーほか全国順次公開。 この映画を見れば、様々なことに悩んでいる若者に対して「とにかく生きろ!」と容易に叫ぶことはできなくなるでしょう。 監 …

ヒューマンドラマ映画

【ネタバレ】ソウルメイト|あらすじ感想と結末の評価解説。韓国映画 キム・ダミとチョン・ソニ演じる無二の“親友の秘密”

デレク・ツァン監督の『ソウルメイト 七月と安生』(2021)を韓国・済州島を舞台にリメイク 個性的で自由なミソと、絵を描くことが好きで堅実なハウン。正反対の2人は、幼い頃から唯一無二で常に一緒にいまし …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学