友のために闘う。
ドニー・イェン主演「イップ・マン」シリーズ第2弾。
今やハリウッドでも活躍する中国のアクションスター、ドニー・イェン。
彼がブルース・リーの師匠イップ・マンを演じたヒットシリーズ第2弾、『イップ・マン 葉問』のあらすじ&解説です。
CONTENTS
映画『イップ・マン 葉問』の作品情報
【日本公開】
2011年(香港映画)
【原題】
葉問2 Ip Man2
【監督】
ウィルソン・イップ
【キャスト】
ドニー・イェン、リン・ホン、ルイス・ファン、サモ・ハン・キンポー、ホァン・シャオミン、ダーレン・シャラヴィ、ケント・チェン、サイモン・ヤム、ロー・マン、フォン・ハックオン
【作品概要】
ブルース・リーの師匠で、中国武術・詠春拳の達人として知られるイップ・マンの活躍を描いた、ドニー・イェン主演のシリーズ第2作。
監督は、前作『イップ・マン 序章』に引き続きウィルソン・イップが担当。
前作でアクション監督を務めたサモ・ハン・キンポーは、本作では共演者としても名を連ねています。
ほかに、妻ウィンシン役のリン・ホンにカム役のルイス・ファンなど、前作から続投のキャストに加え、ロー・マン、フォン・ハックオンという往年のクンフー(功夫)映画スターも客演。
地元香港では前作を上回るヒットとなり、ドニーの“宇宙最強の男”というキャッチフレーズを確立することとなりました。
映画『イップ・マン 葉問』のあらすじとネタバレ
1949年、家族を連れて広東省から香港に移住したイップ・マン。
妊娠した妻ウィンシンと長男とで暮らす彼は、知人の新聞社の編集長のつてで物件を借り、詠春拳の武館を開きます。
最初こそ門下生が集まらず、ウィンシンが内職をして支えていましたが、イップ・マンの腕っぷしに惚れた青年ウォンとその仲間が門下生となります。
しかしある日、そのウォンが町で洪拳の門下生とトラブルを起こし、彼らに拉致されてしまうことに。
事態を受けたイップ・マンは単身、ウォンが囚われた魚市場に乗り込み、彼を救い出します。
そこへ、魚市場の経営者ホンが現れます。
彼は洪拳の師範にして、香港に存在する様々な門派の武館の元締めでもありました。
ホンは、武館を開くというイップ・マンからの届出を受けていないとし、許可を得るには各門派の師範と闘い、勝利しなければならない掟があると告げます。
イップ・マンは、闘いの場となる中華料理店の円卓の上に立ち、猴(猿)拳と八卦掌の師範と対峙、これらを退けます。
最後の3人目としてホンが登壇し、彼の洪拳とイップ・マンの詠春拳が相対するも、決着がつくことなく勝負は引き分けに。
ホンは会費を納めることを条件に武館を開くことを認めるも、イップ・マンは私腹を肥やすための会費は出せないと拒否、その場を去ります。
それにより、ホンが門下生による嫌がらせ行為を黙認したことで、ウォンたちがトラブルを起こしてしまい、結果的にイップ・マンは武館閉鎖に追い込まれることに。
しかしイップ・マンはウォンを責めずに、「武術は争いのために使うものではない」と諭し、再びホンの元へと向かいます。
イップ・マンは会費を地元を統治するイギリス人の警察署長ウォーレスへの賄賂に使うホンを非難、再び相まみえることに。
闘いの最中、誤ってホンが自分の息子を蹴りかけるも、とっさにイップ・マンが救助したことで、事態は収拾となりました。
後日、公園で門下生を教えていたイップ・マンの元にホンが現れ、息子を助けた礼として、警察が主催するボクシング大会に招待します。
しかしその大会で、イギリス人ボクシングチャンピオンのツイスターが、ホンの門下生による演武披露を見て「ただのダンスだ」と侮辱。
それにより、激怒した門下生たちとツイスターとの間でいざこざが発生してしまい、事態を収拾すべく、ホンとツイスターとの異種格闘技戦が組まれることになります。
イップ・マンは、無意味な闘いだから止めるべきだとホンに言うも、彼は決戦の場に向かいます。
試合序盤こそ洪拳で怯ませるホンでしたが、ツイスターのパンチが徐々に彼を追い詰めます。
セコンドについていたイップ・マンが、中肋骨部分(脇の下辺り)を狙ってみてはとアドバイスするも、ホンはツイスターの猛攻に手が出せない様子。
ラウンドを重ねる毎にホンの動きも鈍くなっていき、パンチを連打で浴びてしまいます。
思わずタオルを投入しようとしたイップ・マンに、ホンは「自分への侮辱は許せても、中国武術への侮辱は許せない」としてそれを制止。
そしてついに、イップ・マンの目の前でマットに沈み、絶命してまうのでした。
調子づいたツイスターは、勝利会見でも中国人を罵倒し、新たな挑戦者を求めます。
名乗りを上げたのは、イップ・マンでした。
地元の中国人たちは揃ってイップ・マンを応援、地元の新聞もツイスター敗北を願う記事を書きます。
ところがウォーレスはその記事を書いた記者を不当逮捕し、警察署内でリンチする暴挙に。
数々のウォーレスの職権乱用行為を忸怩たる思いで見ていた、部下である中国人刑事のポーは、その記者に記事を書き続けるよう密かに促すのでした。
そして、イップ・マンとツイスターの試合当日を迎えます。
映画『イップ・マン 葉問』の感想と評価
前作とは趣向を変えたアクション
本作『イップ・マン 葉問』では、前作『イップ・マン 序章』とはアクション面で大きく変わった部分があります。
ひとつは、ワイヤーアクションの多用です。
ワイヤーアクション自体は前作でもありますが、本作での、円卓の上で繰り広げられるバトルでは、その見せ場が発揮されています。
また、前作では中国武術VS.日本の空手(柔道)という対立構造がありましたが、本作では詠春拳と洪拳に加えて、猴拳と八卦掌といった中国武術同士の闘いが描かれます。
加えて、中国武術VS.ボクシングという異種格闘技まで盛り込んだあたりは、中国武術をひと通り心得たアクション監督サモ・ハンならではといえましょう。
悪役ボクサーは根っからの香港映画ファン
そのサモ・ハンや主演のドニー・イェンと劇中で闘ったのが、イギリス人ボクサーのツイスターを演じたダーレン・シャラヴィ。
中国人を見下し罵倒するという、まさに堂々たる敵役ぶりでしたが、シャラヴィ本人はブルース・リー映画でアクションに目覚め、イギリスから単身香港に渡りスタントマンとしてキャリアをスタートしたという、ツイスターとは真逆な中国びいきな人物。
素人時代からサモ・ハンやドニー・イェンのファンでもあり、本作で2人と共演できるという夢を叶えたと語る彼は、ツイスターを演じる際に、体もボクサーに見えるような体型に仕上げるなど、徹底した役作りを行っています。
その他、スティーヴン・セガール主演の『沈黙の復讐』(2010)や、テレビドラマ『ARROW/アロー』といった作品に出演したシャラヴィでしたが、2015年に42歳という若さで亡くなっています。
参考映像:ブルース・リーやサモ・ハンへのリスペクトを熱く語るダーレン・シャラヴィ
まとめ
参考映像:『イップ・マン4 完結篇(原題)』予告
本作の次に作られたシリーズ第3弾『イップ・マン 継承』(2017)は、詠春拳の正統継承者の座をかけてイップ・マンが三度闘います。
そして、シリーズ最終作となる第4作『イップ・マン4 完結篇(原題)』では、渡米したイップ・マンが最後の闘いに挑みます。
2019年公開予定の『イップ・マン4 完結篇(原題)』を観る前に、改めて全シリーズをおさらいしてみてはいかがでしょうか。