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ガス・ヴァン・サント監督が映画ティーチイン登壇で『ドント・ウォーリー』への想いを語る

  • Writer :
  • 石井夏子

映画『ドント・ウォーリー』は2019年5月3日(金・祝)公開!

2019年5月3日(金・祝)にヒューマントラストシネマ有楽町・ヒューマントラストシネマ渋谷・新宿武蔵野館他にて全国順次公開が決定した映画『ドント・ウォーリー』

映画『ドント・ウォーリー』はガス・ヴァン・サント監督3年ぶりの新作で、ホアキン・フェニックスが主演を務めます。

本作プロモーションのためにガス・ヴァン・サント監督が来日し、2019年2月19日、日本最速上映のティーチインに登壇しました!

そのイベントの様子をお伝えします!

ガス・ヴァン・サント監督ティーチインイベント


(C)2018 AMAZON CONTENT SERVICES LLC

2019年2月19日にヒューマントラストシネマ渋谷にて開催された、ガス・ヴァン・サント監督のティーチインイベント。

ガス監督の来日は、『ミルク』(2009)以来、実に約10年ぶりということもあり、平日の夜の実施にも関わらず、会場は超満員。

特に、日本での上映ティーチインに登壇するのが初めてということもあり、笑顔で登場したガス監督は、完成まで20年かかった本作への思いとともに観客からの細かい質問にも丁寧に答える姿が印象的でした。

本作最速上映後の熱気冷めやらぬ中、ガス・ヴァン・サント監督と、監督の友人でもあるクリエーターの野村訓市氏が登壇!


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野村氏が「ガスといえばポートランド、リベラルな街のアンバサダーみたいな感じだったけれど、(今はL.A.に住んでいて)この間はあっさり捨てたって話してたよね」とユーモアたっぷりに会話を始め、「そう、ポートランドを捨てました(笑)」と答えた監督。

友人ならではのおかしみと温かさあふれた会話からイベントはスタート。

野村氏は2年前にL.A.にあるガス・ヴァン・サント監督の自宅を訪れた際に、すでに監督から本作のことを聞いていたそうです。

そこで野村氏は監督に「今回の主人公ジョン・キャラハンは我々日本人には馴染みがないんだけど、ガスがポートランドに住んで映画を作り始めた頃、ちょうど彼も新聞にマンガを描き始めた頃だったんだよね。彼はポートランドでどんな存在だったの?」と質問。

監督は「80年代にカートゥーンニスト(漫画家)として活動しはじめたのがジョン・キャラハンで、ちょうど僕がポートランドで映画を撮り始めたころに、彼もローカルな人物として知られるようになった。マンガは毒のあるもので、面白いんだけどいろいろな問題も起こしていて苦情の手紙も届いていたようだ。でも彼はそれすら喜んでいたね」と当時を回想。

さらに「『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1998)のあとくらいに、ロビン・ウィリアムズが彼(キャラハン)の本の権利を買ったんだ。ロビンはサンフランシスコに住みながらもキャラハンのファンだったんだよ。それで僕に監督の話がきたんだけど、もともとキャラハンのストーリーは知っていたし、ロビンが演じるならば上手くいくのではと思っていた。でも1本目は1998年、2本目は2001年から2002年だったと思うけど2本脚本を書いて、結局そのときは映画化には至らなかった」と続けました。

「その時にキャラハンからは“この映画一体どうなったんだよ?できる頃には俺たち全員死んじゃうよ”なんて言われて。まずジョンが亡くなって、そのあとロビンが亡くなって、あぁジョンの言うとおりだったなぁって思ったよ。でもロビンが亡くなったあとでも、まだ本の権利は持っていたんだ」と本作完成までの長い道のりを想起させる貴重な思い出話を披露。


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またこの日は観客からの質問にも応じた監督。

主演のホアキン・フェニックスについては「ホアキンには『誘う女』(1995)に出演してもらったが、彼は自分を徹底的に入れ込んでくれる。(『誘う女』も本作も)どちらの作品も素晴らしい体験でした」と語りました。

『エレファント』(2004)のような少年にむけての次回作は?という質問には「今書いているもので、パリのファッション・ウィークについて書いている脚本があります。少年とその父親の話です。『パラノイドパーク』がファッション・ウィークにいく、って感じかな(笑)」と返し、会場から歓声が起こる場面も。

この日、登壇前の舞台裏で「日本の方が本作のことを気に入ってくれるかなぁ」と不安交じりにス・ヴァン・サント監督は話していたそう。

イベント終盤に、「この映画は僕らの世代の『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』。周りにいる最近落ち込んでいる人悩んでいる人にはぜひ口コミして伝えてください!」と話す野村氏の言葉と、監督の不安を吹き飛ばすような観客からの大拍手を受けたガス・ヴァン・サント監督。

監督それを受け、改めて「今日は来てくれてありがとう。友達にぜひ伝えてね。そうでないと誰も観に行かないから(笑)」とユーモアたっぷりに観客たちに最後のメッセージを送りました。


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映画『ドント・ウォーリー』の作品情報


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【公開】
2019年(アメリカ映画)

【原作】
ジョン・キャラハン

【原題】
Don’t Worry, He Won’t Get Far on Foot

【監督・脚本・編集】
ガス・ヴァン・サント

【音楽】
ダニー・エルフマン

【キャスト】
ホアキン・フェニックス、ジョナ・ヒル、ルーニー・マーラ、ジャック・ブラック、マーク・ウェバー、ウド・キア、キャリー・ブラウンスタイン、ベス・ディット、キム・ゴードン

【作品概要】

2014年に死去したロビン・ウィリアムズが自身の主演で映画化の構想をあたためていた風刺漫画家ジョン・キャラハンの半生を、ガス・ヴァン・サントがその遺志を継いで脚本を執筆。

主演にホアキン・フェニックスを迎え、企画から約20年の時を経て完成させました。

ホアキン・フェニックスをが主人公のキャラハン役を演じ、ジョナ・ヒル、ジャック・ブラックらが脇を固めます。

2018年・第68回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品。

映画『ドント・ウォーリー』のあらすじ


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オレゴン州ポートランド。アルコールに頼りながら日々を過ごしているジョン・キャラハン(ホアキン・フェニックス)は、自動車事故に遭い一命を取り留めますが、胸から下が麻痺し、車いす生活を余儀なくされます。

絶望と苛立ちの中、ますます酒に溺れ、周囲とぶつかる自暴自棄な毎日。

ですが幾つかのきっかけから自分を憐れむことを止め、過去から自由になる強さを得ていく彼は、持ち前の皮肉で辛辣なユーモアを発揮して不自由な手で風刺漫画を描き始めます。

人生を築き始めた彼のそばにはずっと、彼を好きで居続ける、かけがえのない人たちがいました…。

まとめ


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2010年、59歳で他界した世界で一番皮肉屋な風刺漫画家の奇跡の実話、映画『ドント・ウォーリー』

映画化を切望していたロビン・ウィリアムズの遺志を継いだガス・ヴァン・サント監督。

2月19日にヒューマントラストシネマ渋谷にて開催された、ガス・ヴァン・サント監督のティーチインイベントでは、本作への想いをユーモアを交えながら語ってくれました。

本作完成までの長い道のり、次回作の構想…。

観客の質問を真っすぐに受け止め、真摯に時にちゃめっ気を見せながら語る監督のお人柄は、映画の色そのものでした。

ガス・ヴァン・サント監督の映画『ドント・ウォーリー』は2019年5月3日(金・祝)よりヒューマントラストシネマ有楽町・ヒューマントラストシネマ渋谷・新宿武蔵野館他にて全国順次ロードショーです!

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