映画『ビール・ストリートの恋人たち』は、2019年2月22日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開。
『ムーンライト』で2017年のアカデミー賞作品賞に輝いたバリー・ジェンキンス監督がジェイムズ・ボールドウィンの原作を映画化。
70年代、人種差別の意識が今よりもはるかに色濃いニューヨークを舞台に、理不尽な状況に追い込まれる若い恋人たちの姿を描きます。
若い恋人を演じるのは新鋭のキキ・レインとステファン・ジェームス。
そしてこの若い二人を支えるヒロインティッシュの母親を演じるレジーナ・キングはアカデミー賞助演女優賞の最有力候補とされています。
CONTENTS
映画『ビール・ストリートの恋人たち』の作品情報
【公開】
2018年(アメリカ映画)
【原題】
If Beale Street Could Talk
【原作】
ジェイムズ・ボールドウィン『ビール・ストリートに口あらば』
【製作・脚本・監督】
バリー・ジェンキンス
【製作総指揮】
ブラット・ピット
【キャスト】
キキ・レイン、ステファン・ジェームス、コールマン・ドミンゴ、テヨナ・パリス、マイケル・ビーチ、デイブ・フランコ、ディエゴ・ルナ、ペドロ・パスカル、エド・スクレイン、ブライアン・タイリー・ヘンリー、レジーナ・キング、フィン・ウィットロック
【作品概要】
アカデミー作品賞を受賞した『ムーンライト』で知られるバリー・ジェンキンス監督が、1970年代のニューヨークにあるハーレムに生きる2人の若者のラブストーリー。
映画『私はあなたのニグロではない』の原作で知られるアメリカ黒人文学を代表するジェームズ・ボールドウィンの小説『ビール・ストリートに口あらば』を原作に映画化。
オーディションで大抜擢された新人の女優キキ・レインと、『栄光のランナー 1936ベルリン』のステファン・ジェームスが共演。また母親役ではレジーナ・キングが脇を固めています。
映画『ビール・ストリートの恋人たち』のキャラクターとキャスト
ティッシュ・リヴァーズ(キキ・レイン)
デパートの香水売り場の売り子として働いている。そのお腹には幼馴染で恋人のファニーとの間に新しい命を宿す。
“ファニー”アロンゾ・ハント(ステファン・ジェームズ)
無実の罪で投獄された青年。貧しいながらも芸術家として活動し、ティッシュとの結婚も考えていた。
ジョセフ、シャロン、アーネスティン(コールドマン・ドミンゴ、レジーナ・キング、テョナ・パリス)
ティッシュの両親と姉。結婚に反対するファニーの家と違ってティッシュの明るい将来を応援している。
ヴィクトリア(エミリー・リオス)
事件の被害者で犯人はファニーだと証言している。
ダニエル(ブライアン・タイリー・ヘンリー)
ファニーの悪友、ファニーの無実を訴えるものの彼自身が前科者のため信用されない。
ベル(エド・スクライン)
差別的な態度を見せる白人警官
ヘイワード(フィン・ウィットロック)
差別的な視点を持たない若き白人弁護士。
映画『ビール・ストリートの恋人たち』のあらすじ
70年代のニューヨーク・ハーレム。
19歳のティッシュと21歳のファニーは、貧しいながらも将来を共に歩むことを誓い合った二人。そして二人の間には新しい命が…。
ところが、白人警官のベルによってヴィクトリア暴行犯に仕立て上げられ、ファニーは収監されてしまいます。
ティッシュの家族は、二人の将来に向けて応援してくれますが、ファニーの家族は父親のフランク以外は結婚事態にも賛成しきっていません。
それでも若手白人弁護士のヘイワードの助言を得て、証人集めに奔走します。
ジョゼフやフランクは、波止場で積み荷の横流しなどをして必死にお金を集めます。
ティッシュの母シャロンはプエルトリコに向かい、ヴィクトリアに証言撤回を求めますが、断られてしまいます。
限りなく無実に近いに状況にありながらも、状況の長期化を避けるためにファニーは屈辱的な選択(罪を認めて減刑を受ける)を選ぶことになります。
ティッシュは幼い我が子を連れて刑務所にいるファニーのもとに通い続けるのでした。
映画『ビール・ストリートの恋人たち』の感想と評価
黒人作家の巨頭ジェイムズ・ボールドウィン
ニューヨーク・ハーレムで生まれ育ち、50年代に作家としてデビューしたジェイムズ・ボールドウィンは、キング牧師たちと共に公民権運動の担い手の一人としても活躍した黒人作家の巨星です。
ドキュメンタリー映画『私はあなたのニグロではない』でも描かれている通り、常に人種差別と闘いながら多くの作品を残した彼の存在と、彼の作品に惹かれる黒人クリエイターは多くいます。
そして、『ムーンライト』で成功を収めたバリー・ジェンキンスが再びブラット・ピットの製作会社プランBと組み、本作を映像化しました。
“百合のように白いオスカー”から
スパイク・リー監督が“百合のように白いオスカー”と皮肉った主演・助演の男女優部門候補者の20人がすべて白人だった2016年から3年。
2019年は『ブラックパンサー』、『ブラック・クランズマン』そして本作『ビール・ストリートの恋人たち』という黒人監督により黒人を主役にした映画たちが主役になりました。
また白人監督ピーター・ファレーリ監督による『グリーンブック』もブラックムービーの一つ言っていいでしょう。
そのほか、最優良候補の『ROMA/ローマ』もヒスパニック系の人々の物語です。
また『グリーンブック』と『ボヘミアン・ラプソディ』は中心人物の持つLGBTの要素をちゃんと描いています。
非白人、若者などの新規会員を集め始めたアカデミー賞のリベラルさが一定の成果を出し始めたと言っていいでしょう。
しかし、その一方で女性クリエイターのノミネートは今年もありませんでした。
昨年2018年の『スリー・ビルボード』で主演女優賞を受賞したフランシス・マクドーマンドが同席したメリル・ストリープたちに声をかけてハリウッドで活躍する女性はこれだけいる!と宣言しました。
多様性を認めることが求められるなかでアカデミー賞はまだ道半ばというところでしょうか?
まとめ
主人公を支える母親役で出演したレジーナ・キングが出演。
1971年1月15日、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス出身の女優です。
彼女はテレビ作品で俳優のキャリアをスタートさせ、テレビドラマ「アメリカン・クライム」シリーズで、2015年と2016年のエミー賞リミテッドシリーズ/テレビムービー部門助演女優賞を受賞しています。
またドラマ『運命の7秒』で同賞の主演女優賞受賞を獲得。
そのほか、1996年の『ザ・エージェント』、1998年の『エネミー・オブ・アメリカ』、また同年の『マイティ・ジョー』。
2004年に『Ray/レイ』などの出演作があります。
本作『ビール・ストリートの恋人たち』で、第76回ゴールデン・グローブ賞助演女優賞を受賞。
レジナー・キングは2019年の第91回の米アカデミー賞助演女優賞の最有力候補とされています。
映画『ビール・ストリートの恋人たち』は、2019年2月22日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開。