今回取り上げるのは、アジアの美男たちが輝く恋愛映画です。
周囲の温度をいくらか上げるような、色気をたっぷりと含んだ艶ある彼らにすぐ虜になってしまうはず!
眠れない夜に、優しい昼下がりのお供に、ゆっくりと鑑賞しませんか?
『君さえいれば/金枝玉葉』/レスリー・チャン
映画『君さえいれば/金枝玉葉』の作品情報
【公開】
1994年 香港映画 (日本公開 : 1995年)
【原題】
金枝玉葉
【監督】
ピーター・チャン
【キャスト】
レスリー・チャン、アニタ・ユン、カリーナ・ラウ、ジョーダン・チャン、エリック・ツァン、ロー・ガーイン
【作品概要】と
監督は『ラヴソング』(1997)で第16回香港電影金像奨で最優秀作品賞など9部門を受賞、『ウォーロード/男たちの誓い』(2007)で第27回香港電影金像奨の最優秀作品賞、最優秀監督賞と第45回金馬奨の最優秀作品賞・最優秀監督賞を受賞しているピーター・チャン。
主演は香港の伝説的スター、『欲望の翼』(1990)『さらば、わが愛/覇王別姫』(1993)のレスリー・チャン。
共演は『つきせぬ想い』(1993)と本作で2年連続、香港電影金像奨主演女優賞を受賞したアニタ・ユン。
そして『欲望の翼』『楽園の瑕』(1994)等ウォン・カーウァイ作品に多く出演している、トニー・レオンの妻でもあるカリーナ・ラウです。
レスリー・チョン歌う主題歌『追』は、1995年香港アカデミー主題歌賞を受賞しました。
映画『君さえいれば/金枝玉葉』のあらすじ
売れっ子音楽プロデューサーのサムと彼の恋人で大物歌手のローズは誰もが羨む理想のカップル。
しかし実際は2人の心はすれ違ってばかりでした。
一方、ローズに憧れている少女ウィンはある時、サムが男性歌手のオーディションを開催するという事を知ります。
どうにかしてローズと親しくなりたいウィンは、男装してオーディションに臨むことに。
その結果ウィンは優勝し、サム、ローズ、ウィンの奇妙な共同生活が始まって…。
レスリー・チャンの伸びやかな魅力満載
憧れのアーティストに近づくため男装、その結果アーティストと恋人と一緒に住むことになり、自分は男だと打ち明けられず悩むことになる。
甘酸っぱい奇妙な三角関係を描いた本作は切なさもこみあげるような愛おしさも詰まった、軽快なテンポに満ちた爽快感あるラブストーリーとなっています。
男装するアニタ・ユンのボーイッシュでチャーミングな魅力、カリーナ・ラウの堂々たる妖艶な魅力、そしてレスリー・チャンの、彼が画面に現れるだけで全てが劇的に特別に生まれ変わるような天性の魅力。
笑いあり、涙あり、恋に落ちれば相手が誰であろうと関係ない…愛することのときめきと喜びをストレートに伝える物語に最上級の幸せを受け取ることができる作品です。
2003年、自ら命を絶ったレスリー・チャン。
伸びやかな歌声と妖艶な佇まい、憂いのある瞳を持ち、刹那的な役柄が似合う、どこまでも美しい彼の姿は、スクリーンの中で永遠に生き続けています。
三角関係の中自分の恋愛観に悩むチャーミングな男性を好演する姿をぜひ焼き付けてください。
『ターンレフト・ターンライト』/金城武
映画『ターンレフト・ターンライト』の作品情報
【公開】
2003年 香港・シンガポール合作映画 (日本公開 : 2004年)
【原題】
向左走・向右走
【監督】
ジョニー・トー、ワイ・カーファイ
【キャスト】
金城武、ジジ・リョン、エドマンド・チャン、テリー・クワン、ラム・シュー、ホイ・シウホン、ジミー・リャオ
【作品概要】と
原作は台湾の絵本作家幾米の作品『Separate Ways』。
手掛けたのは『エレクション』(2005)がカンヌ国際映画祭のパルム・ドール候補になるなど国外でも評価されているジョニー・トーと『マッスルモンク』(2003)『MAD探偵 7人の容疑者』(2007)で香港電影金像奨の最優秀脚本賞を受賞しているワイ・カーファイです。
主演を務めるのは『恋する惑星』(1994)「レッドクリフ」シリーズ等出演、香港・中国・台湾・日本などアジアを横断して活躍する金城武。
ヒロイン役には『再見 また逢う日まで』(2001)の女優、モデルのジジ・リョン。フレッシュな2人の魅力が満載です。
映画『ターンレフト・ターンライト』のあらすじ
出会って心を惹かれた若手バイオリニストのジョンと翻訳家のイブ。
2人は互いに小さい頃サマーキャンプで知り合っていた初恋の相手だと知り、電話番号を交換してまた会おうと約束します。
しかし翌日、そのメモは雨で濡れて滲み連絡先が分からなくなっていました。
実はジョンとイブは壁1枚隔てて建っているアパートの隣同士に住んでいるんですが、それぞれのアパートの入り口は離れており、アパートの門を出るといつも右に曲がるジョンと左に曲がるイブはすれ違ってばかり。
そんな中別々の男女がジョンとイブの前に現れ、アプローチを始めて…。
爽やかでキュート、金城武に釘付け
思わず突っ込みたくなるようなすれ違いばかりの2人、気恥ずかしくなってしまうような台詞といかにも“ロマンチック・コメディ”といったベタな展開とともに進む若い男女の恋物語である本作。
ほぼ同じアパートに住んでいるにも関わらず出る方向が違うだけで延々とすれ違うジョンとイブにやきもきさせられっぱなしです。
しかし一気になだれ込むるラストには立ち上がって拍手を送りたくなるほど、それまでの展開を裏切る出来事に唖然とさせられるはず。
たくさん笑って、爆笑と感動の涙に包まれること間違いありません。
『恋する惑星』(1994)『天使の涙』(1995)から約10年、少し貫禄が増し、色気はさらにました金城武の存在が本作で爽やかに光ります。
どこを切り取っても「かっこいい!」と叫びたくなる彼の好演をたっぷりとお楽しみください。
『夏の終り』/綾野剛
映画『夏の終り』の作品情報
【公開】
2013年 日本映画
【原題】
夏の終り
【監督】
熊切和嘉
【キャスト】
満島ひかり、綾野剛、小林薫、赤沼夢羅、安部聡子、小市慢太郎
【作品概要】と
瀬戸内寂聴が出家前の瀬戸内晴美時代に発表した短編小説を基に映画化した作品『夏の終り』。
主人公、相澤知子役を演じるのは『愛のむきだし』(2009)でヨコハマ映画祭、毎日映画コンクールはじめ多くの映画祭で映画新人賞を受賞、キネマ旬報賞では助演女優賞を獲得した満島ひかり。
年上の男性、小杉慎吾を演じるのは『『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』(2007)『深夜食堂』(2015)はじめ映画、テレビドラマと数々の作品に出演するベテラン俳優、小林薫。
そして年下の男性、木下涼太に『そこのみにて光輝く』(2014)でヨコハマ映画祭、日本映画批評家大賞 等で主演男優賞を受賞、本作で第37回日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞した人気、実力を備えた綾野剛が扮しています。
監督を務めるのは『私の男』(2014)がモスクワ国際映画祭最優秀作品賞を受賞した熊切和嘉です。
映画『夏の終り』のあらすじ
染色家である知子は妻子ある年上の作家、慎吾と長年一緒に暮らしています。
慎吾は妻と知子との間を行き来していましたが、知子自身はその生活に満足していて、妻と別れてくれと頼んだこともありませんでした。
しかしそんなある日、かつて知子が夫や子どもを捨てて駆け落ちした青年、涼太が姿を現したことから事態は少しずつ狂い始めます。
知子は慎吾との関係を続けながら、涼太とも愛人関係に戻ってしまい…。
愛に苦悶する綾野剛に見惚れて
最初から不倫の形をとった恋愛で始まり、終始もつれ合った男女の複雑な関係を描く『夏の終り』。
小説家の男は妻と子供がある身、女はかつて夫と子供を置いて愛人と駆け落ちをした身。
しかし彼らは奇妙に、少し不気味なほどの静けさに包まれた、均衡をとった関係を継続しています。
映画は激情と静粛の狭間を行き来しながら揺れる彼らの心情を、肌の温もりが伝わるほど繊細にすくいとり、少しずつ歪みが生じていく様を淡々と描き出してゆきます。
綾野剛が演じるのは知子の年下の愛人、木下涼太。
知子へ痛切な想いを抱き、苦悩するその姿に胸を締め付けられるはず。
『夏の終り』そのタイトル通り、止まることなく来てしまう激しい季節の終り、静けさの中に立ち上る炎の残光を映し取ったような、美しい作品です。
『ただ君だけ』/ソ・ジソブ
映画『ただ君だけ』の作品情報
【公開】
2011年 韓国映画 (日本公開 : 2012年)
【原題】
오직 그대만
【監督】
ソン・イルゴン
【キャスト】
ソ・ジソブ、ハン・ヒョジュ、カン・シニル、パク・チョルミン、ユン・ジョンファ、キム・ジョンハク、キム・ミギョン、ウィ・スンペ
【作品概要】と
主演を務めるのはKBSドラマ『ごめん、愛してる』(2004)で悲運の男を演じ、KBS男性優秀演技賞、人気賞等多くの賞を獲得、本作で第19回大韓民国文化芸能大賞、映画部門で演技大賞を受賞した俳優ソ・ジソプ。
ヒロインを演じるのは『春のワルツ』(2006)『華麗なる遺産』(2009)『トンイ』(2011)始め現代劇から時代劇まで多くの人気ドラマに出演、犬童一心監督の『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』(2014)と日本映画にも活躍の幅を広げているハン・ヒョジュです。
映画『ただ君だけ』のあらすじ
有望な将来を期待されていたものの、ボクサーの夢に破れたチョルミンはいまや飲料水の配達や駐車場の係員として働いています。
チョルミンは借金の取立屋だった過去があり、また前科もありました。
そんなある日彼は夜の駐車場で目の不自由な女性ジョンファと出会いました。
徐々に惹かれ合う2人ですが、チョルミンが取立屋だった時に起こした事故がジョンファの視力を奪う原因になったことを知ります。
彼女への罪を償うため、失明を食い止めるための手術費用のため、チョルミンは違法の賭博試合への出場を決意します。
翳りある美しい男性、ソ・ジソプ
チャールズ・チャップリンの作品『街の灯』(1931)をモチーフに制作された本作は、街の片隅で生きる影を背負った青年と、目が不自由でも決して明るさを失わない女性の純愛ストーリーです。
淡く優しい色彩で表現される2人が惹かれ合い愛し合うシーンとは対照的な、思わず目を背けたくなるほどの激しい格闘シーンの迫力。
ソン・イルゴン監督の演出力が満遍なく発揮されています。
『ごめん、愛してる』で孤独なストリートチルドレン、薄幸の青年を演じたソ・ジソプ。
本作でも夢に破れ過ちを背負う、翳りのある役を熱演しています。
涼しげな瞳と、儚げに微笑む表情が似合うソ・ジソプと透明感あふれる天使のような女性を演じるハン・ヒョジュのカップルは、2人が同じスクリーンにいるだけで圧倒的なオーラがあります。
美しい男女2人の名演が光る王道の純愛ストーリー、ハンカチを用意してご覧ください。
『花様年華』/トニー・レオン
映画『花様年華』の作品情報
【公開】
2000年 香港映画 (日本公開 : 2001年)
【原題】
花樣年華
【監督】
ウォン・カーウァイ
【キャスト】
トニー・レオン、マギー・チャン、スー・ピンラン、レベッカ・パン、ライ・チン
【作品概要】と
監督は『欲望の翼』(1990)『恋する惑星』(1994)『ブエノスアイレス』(1997)等、若者たちの青春や恋愛の群像を独特の語り口調と映像方法で描いてきたウォン・カーウァイ。
主演は同上3作品全てに出演するカーウァイ監督の常連俳優、またチャン・イーモウ監督の『HERO』(2002)アン・リー監督の『ラスト、コーション』(2006)等ヒット作に多く出演するトニー・レオン。
ヒロインには同じくカーウァイ監督のデビュー作『いますぐ抱きしめたい』(1988)から多く同監督の映画に出演し、『クリーン』(2004)で第57回カンヌ国際映画祭女優賞を受賞しているマギー・チャン。
中華圏を代表する役者2人が出演した本作はセザール賞外国語映画賞やモントリオール映画祭最優秀作品賞はじめ複数の映画賞を受賞、トニー・レオンはカンヌ国際映画祭にて男優賞を受賞、またマギー・チャンと共に香港電影金像奨最優秀主演男優賞、最優秀主演女優賞を獲得しました。
英BBCが選んだ“21世紀 最高の映画100本”では2位に選ばれるなど、映画史に残る珠玉の恋愛映画です。
映画『花様年華』のあらすじ
舞台は1962年の香港。
ジャーナリストのチャウは妻と共にあるアパートに引っ越してくるところから物語は始まります。
同じ日、隣の部屋にはチャン夫妻が引っ越してきていました。チャウの妻と秘書として働くチャン夫人の夫は仕事のせいであまり家におらず、2人はそれぞれの部屋に1人きりで過ごすことがほとんど。
実は互いのパートナーは浮気していたんです。
それに気づいたチャウとチャン夫人は時間を共有する様になり、どんどん親密になってゆき…。
圧巻のオーラと大人の色気、トニー・レオン
設定の一部は『欲望の翼』から引き継がれており、さらに『2046』(2004)へと繋がってゆくというカーウァイ監督の世界観を凝縮した『花様年華』。
このタイトルは“満開の花のように成熟した女性は一番輝いている”という意味を持ちます。
ヴィンテージの装飾、香港の薄暗い路地、湿気を含んだ空気が伝わってきそうな暖色の色彩で覆われた映像の中、いつもぴったりとしたチャイナドレスに身を包むマギー・チャンの姿はむせ返るほど官能的で美しいもの。
作中の2人は一線は越えないと、潔白な関係を継続しようとしますが、カメラはこっそりと覗き見る様に映し続け、観客に背徳感を感じさせます。
パートナーが不倫していることを知り、自分も隣に住む人妻に惹かれていくようになる男を色っぽい佇まいと堪えた表情で演じたトニー・レオン。
1度目はただ2人の妖艶さと美しさに見とれるばかり、2回目は時間軸のずれや絶妙なカメラワークなど、見るごとに特別に感じられる不朽の名作です。
まとめ
神秘的で艶っぽく、女性も男性も虜にする、アジアを代表する美男俳優たち。
いつまでも色褪せない輝きを持つ今回ご紹介した恋愛映画5選、同じ経験はしたことがなくても、同じくらいの熱量で恋をしたり、傷ついたりした時の思い出や感情に寄り添ってくれるはずです。
ぜひ彼らの魅力と共に作品に浸ってみてくださいね。