累計売上120万部を超える森見登美彦さんの同名原小説を待望のアニメーション映画化!
青春恋愛ファンタジー映画『夜は短し歩けよ乙女』をご紹介します。
CONTENTS
映画『夜は短し歩けよ乙女』の作品情報
【公開】
2017年(日本)
【監督】
湯浅政明
【キャスト】
星野源、花澤香菜、神谷浩史、秋山竜次(ロバート)、中井和哉、甲斐田裕子、吉野裕行、新妻聖子、諏訪部順一、悠木碧、檜山修之、山路和弘、麦人
【作品概要】
『四畳半神話大系』や『有頂天家族』などで知られる人気作家・森見登美彦さんのベストセラー作品である『夜は短し歩けよ乙女』を待望のアニメーション映画化。
監督には映画『マインド・ゲーム』やテレビアニメ『四畳半神話大系』などの唯一無二の世界観を創り上げて来た湯浅政明さんを起用。
先輩役に大人気の星野源さん、乙女役に花澤香菜さん、パンツ総番長役に秋山竜次(ロバート)さん、他にも中井和哉さん、甲斐田裕子さん、吉野裕行さんら実力派声優らが集結。
映画『夜は短し歩けよ乙女』のキャスト一覧
先輩 / 星野源
俳優であり、シンガーソングライターであり、文筆家であり、コントもこなすという超マルチな才能の持ち主、それが星野源さんです。
昨年大ヒットとなったTBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(2016)の鮮烈なイメージが未だに頭の中に残っていますが、この作品では第6回コンフィデンスアワード・ドラマ賞 助演男優賞、エランドール賞・新人賞、第91回ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演男優賞を獲得。
しかしそれ以前の時点で、映画『箱入り息子の恋』(2013)、『地獄でなぜ悪い』(2013)で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しており、俳優・星野源の名はすでに世間に認知されていました。
では声優ではどうかというと、こちらもアニメ『聖☆おにいさん』ですでに経験済み。(主演でしかも高い評価を得ている!)
そんな星野源さんが今回演じるのは、密かに“乙女”に思いを寄せる大学生の“先輩”。
なるべく彼女の命にとまるため「ナカメ作戦」を謎の行動を遂行中という先輩ですが、星野さんの雰囲気がピッタリと合っているようで、非常に期待が持てますね!
黒髪の乙女 / 花澤香菜
大人気若手声優の花澤香菜さんは、元々『やっぱりさんま大先生』やTBSドラマ『ガッコの先生』(2001)年に出演するなど、子役として芸能界デビューを果たしました。
14歳で声優へ初挑戦し、その後何年かのブランクを経てから高校3年生の時にテレビアニメ『ゼーガペイン』にヒロインのカミナギ・リョーコ役でレギュラー出演を果たし、本格的に声優の道へと転身することに決めたのだそう。
代表作には『To LOVEる -とらぶる-』や『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』、『デュラララ!!』などなど、ここでは挙げきれないほど人気アニメに出演しており、その高い人気ぶりが窺えますね。
今回『夜は短し歩けよ乙女』で花澤さんが演じるのは、先輩に恋される天然な女子大生“乙女”。
かなりの酒豪で好奇心旺盛がゆえ、様々なことに巻き込まれていくようですが、さあ一体どんな“乙女”像を花澤さんが表現しているのか…注目が集まっています!
学園祭事務局長 / 神谷浩史
言わずと知れた名声優、声優界でその名を知らぬものはいないのが神谷浩史さんでしょう。
『ONE PIECE』のトラファルガー・ロー役や、『進撃の巨人』のリヴァイ、『機動戦士ガンダム00』のティエリア・アーデなど、その美声は誰もが一度は聞いたことがあるはず。
どちらかというとキザな男前といった役柄のイメージが強い神谷さんは、今回『夜は短し歩けよ乙女』でもそんなイメージ通りの役柄、学園祭事務局長を演じています。
美形で女装癖があり、数々の男たちを無謀な恋路へと翻弄してきたという謎が多いキャラクターですが、神谷さんのあの声が本当にピッタリとハマっていて、これはもう楽しみしかありませんね!
パンツ総番長 / 秋山竜次(ロバート)
お笑い芸人ロバートの秋山さんのコントで披露される演技力の高さには以前から定評がありました。
最近では「ロバート秋山のクリエイターズ・ファイル」が大人気で、また新たな境地を切り拓いたといった感じの秋山さんですが、声優としては一応ながら『劇場版ポケットモンスター』での出演経験があるようです。
しかし、秋山さんならどんなことでもやってのけそう…というより結構このタイプのアニメの声優が向いているんじゃないかとすら思いますよね。
そんな秋山さんが演じるのは、ある願いを叶えるまでパンツを履き替えないと願掛けをしている大学生、パンツ総番長。
設定からしてかなりぶっ飛んだ役柄のようなので秋山さんには持って来いといった感じでしょう!(ゴツい見た目も本人に近い!)
樋口師匠 / 中井和哉
元々は地方公務員として働いていたという声優の中井和哉さん。
デビューして間もなく、『機動新世紀ガンダムX』(1996)の主要キャラクターのウィッツ・スーを担当するなど、当初からその才能を認められていました。
そんな中井さんといえば、誰もが知っているのが『ONE PIECE』のロロノア・ゾロ役ですよね!
1999年から務めているゾロのあの声のイメージが非常に印象に残っている中井さんは、本作では「天狗」を自称する神出鬼没の男、樋口師匠を演じています。
常に浴衣を着こんで悠然と構えているという樋口師匠ですが、中井さんは一体どのような声で表現しているのか…注目です!
羽貫さん / 甲斐田裕子
アニメの世界では『一騎当千』(2003)の呂蒙子明役で高評価を得た甲斐田裕子さんですが、そもそもは洋画の吹き替え分野での豊富なキャリアを誇る声優さん。
『一騎当千』以降はアニメの方でも活躍し、『機動戦士ガンダムUC』のマリーダ・クルス役は記憶に新しいですね。
今回甲斐田さんが演じているのは、大酒飲みの美女・羽貫さん。樋口師匠とは親しい間柄ということで、甲斐田さんと中井さんの掛け合いが楽しみです!
古本市の神様 / 吉野裕行
『BLOOD+』や『機動戦士ガンダム00』、『ヤッターマン』などなど数々の名作アニメで活躍している声優の吉野裕行さん。
今回『夜は短し歩けよ乙女』で吉野さんは、古本市の神様を演じています。
あらゆる本の知識を有し、本の流れを司るというかなり謎多き神様で、しかも口と性格が悪いというのですから、一体吉野さんがどういう声に仕立て上げているのか…要注目ですね。
紀子さん / 新妻聖子
ミュージカル界のトップスター新妻聖子さんは、元々TBSの『王様のブランチ』のブランチレポーターとして芸能界デビューを飾ったんだとか。
最近ではNHK大河ドラマ『真田丸』への出演や、カラオケ番組でその類まれなる美声を披露したり、バラエティ番組でトークを繰り広げたりと舞台だけにとどまらない活躍ぶりが非常に目立ちますね。
声優としては、『とある飛空士への追憶』(2011)や映画『プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法!』(2016)ですでに経験済。
本作『夜は短し歩けよ乙女』では、パンツ総番長を支える演劇部の女子大生の紀子さんを演じています。
演劇部ということで、もしかしたら新妻さんの美声が披露される場面があるのかどうか…期待したいところですね!
映画『夜は短し歩けよ乙女』の監督紹介
映画『夜は短し歩けよ乙女』の監督を務めるのは湯浅政明さんです。
湯浅監督はテレビアニメ『ちびまる子ちゃん』(1990年放送開始)の本編の原画や、オープニング・エンディングの作画などを手掛けた後、『クレヨンしんちゃん』の作画監督として活躍し、アニメ界でその名を知らしめました。
大きな転機となったのは2004年でしょう。アニメーション映画『マインド・ゲーム』を発表し、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞や、モントリオール・ファンタジア国際映画祭など様々な賞レースを席巻することになったのです。
今回主人公の“先輩”役を務める星野源さんは…
湯浅政明監督からある日、直筆の手紙が送られてきました。
お会いしたこともないのになぜ?と思いながら封を開けると「星野源さんに主人公を演じていただけたら、絶対に面白い作品になります」と直筆にてオファーの言葉がありました。
映画『マインド・ゲーム』を観た12年前のあの日から人知れず湯浅監督作品を敬愛していた私は、お断りする選択肢が浮かびませんでした。(後略)
…と公式サイトでコメントを残しているように、湯浅監督の『マインド・ゲーム』という作品がそれほど大きな影響を与えたのだということを良く表していますね。
その後、オリジナル作品の『ケモノヅメ』(2006)でテレビシリーズ初監督を務め、次作『カイバ』(2008)では文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞します。
さらに、本作『夜は短し歩けよ乙女』と同じ森見登美彦さん原作の『四畳半神話大系』(2010)を監督し、さらにその評価を高めることに。
2013年にはアニメスタジオのサイエンスSARUを立ち上げ、『ピンポン THE ANIMATION』(2014)を発表しTV部門グランプリを受賞するなど、アニメーション監督として確固たる地位を築き上げました。
そんな湯浅監督は…
森見登美彦先生の御長女『夜は短し歩けよ乙女』待望のアニメ映画化です!
『四畳半神話大系』のスタッフが再び集結して張り切って制作いたしました!映画はタイトル通り、乙女が一晩歩き続けながら進行します!
森見先生が構想しながら使わなかったアイデアも実現!以前読んだときは気付かなかった、思わぬキャラクターの関係も読み解きました!
先輩の声を、なんと星野源さんが担当という事も皆が張り切る理由に!!
面白いこと請け合いなので、ぜひ劇場でご覧になってください!!
…と、公式サイトでコメントを残しており、いかに気合が入っているかが良く伝わってきます。「面白いこと請け合い」とのことですから、期待せずにはいられませんね!
映画『夜は短し歩けよ乙女』のあらすじ
クラブの後輩である“黒髪の乙女”…
その“乙女”に恋心を抱く“先輩”…
しかし、臆病で奥手な先輩にとっては、黒髪の乙女に気安く話し掛けるなんか到底出来ません。
そこで先輩はとある作戦を思い付きます。
それがナカメ作戦!!!
正式には「なるべくカノジョの目にとまる」作戦です。
春の先斗町…夏の古本市…秋の学園祭…
偶然を装って常に黒髪の少女の視界に入り、何とかきっかけを得ようとしていました。
しかし、あまりに天然が過ぎる黒髪の乙女には先輩の想いなど一切伝わりません。
さらにそこへ個性が豊か過ぎる仲間たちが引き起こす事件に巻き込まれ、ただただ季節は過ぎていくばかり…。
果たして、先輩の黒髪の少女への想いは一体どこへ向かっていくのか?!
そして…この恋が実る季節はやって来るのでしょうか…?!
映画『夜は短し歩けよ乙女』感想と評価
テレビアニメ『四畳半神話大系』のスタッフが6年ぶりに集結。再び、森見登美彦のベストセラー小説に挑みました。
監督・湯浅政明、脚本・上田誠(ヨーロッパ企画)、キャラクター原案 – 中村佑介、キャラクターデザイン・総作画監督 – 伊東伸高、音楽・大島ミチル、主題歌ASIAN KUNG-FU GENERATIONといったおなじみの顔ぶれです。
さらに、登場するキャラクターも、『四畳半』のメインキャラクターである樋口や羽貫さんが出てきますし、「古本の神様」の顔はあの小津そっくりで、主人公の「先輩」を困らせます。
ジョニーなる主人公の性欲の分身(?)とも呼べるカウボーイも登場してきます。
『四畳半』で森見登美彦の世界を完璧に映像化したスタッフは、このように、その世界観をまず引き継いでみせます。
その上で、『夜は短し歩けよ乙女』では、『四畳半』とはまったく違った展開を見せます。
『四畳半』では、平行世界が描かれ、主人公は様々なサークルにはいって、様々なバリエーションを経て何度も同じ過ちを繰り返すのですが、『夜は短し歩けよ乙女』は、原作のエピソードを忠実に取り入れながら、それらをたった一日の物語として描くという荒業をやってのけます。
どうみても、数ヶ月はあるだろうという物語を強引に一日の話にまとめる無謀さ! 映画そのものが酔っ払っているんじゃないかと思わせるようなパワーが漲っています。
「ナカメ作戦」でこまめに動き回り、外堀を埋めて埋めて埋め尽くしている先輩の内面が赤裸々に描かれるシーンは、まさに混沌、カオス!
しかし、人は恋の成就を望みながら、成就することを恐れ、逃走しようとしがちなもの。先輩の粒子とも呼ぶべき黒い小さな先輩とジョニーのカウボーイたちが乱れ、争い、交錯する様子は、自意識の葛藤の見事な映像化(戦争アクションのような!)といってもよいのではないでしょうか。
濃すぎる人間たちが、これでもかとシュールではちゃめちゃ、破天荒で、やり過ぎ!な行動をとる中で、どこまでも一人でずんずんと好奇心の赴くままに歩いて行く黒髪の乙女は魅力的です。
もしかすると、この長い長い何ヶ月にも思える一日とは、彼女が自分の活動に必要だと願った時間なのではないでしょうか? 一日が24時間でなく、36時間くらいあればいいのになんてことを一度は思ったことがありませんか? 黒髪の乙女も同じように願ったのです。おそらく。桁が少し(いや、かなり)違っていたようですが。
ところで、正直なところ、彼女にとって恋愛というのはそれほど重要なものではないのでは?と思えてなりません。ただ、面白い古本屋に誘ってくれて、由緒ある喫茶店「進々堂」でお茶を飲める相手とならば別。
二人が本当の恋人同士になるのか、それとも、趣味の合うお友達でいつづけるのかは、わかりませんが、原作ファンなら、進々堂でのシーンがきちんと映像化されているのはたまらないのではないでしょうか。
勿論、進々堂だけでなく、木屋町界隈や先斗町、鴨川、叡山電鉄出町柳駅、加茂大橋、糺(ただす)の森などの京都の風景が見事な映画的空間として立ち現れていて、感動的です。
一番笑ったのはゲリラ演劇で「総長カレー」が出てきたところです。(実際に存在する知る人ぞ知る京大のカレー。おみやげにどうぞ)。こんな小ネタが他にもいっぱい散りばめられているかもしれません。
本作は単体で観ても十分楽しめますが、原作本や、テレビアニメ『四畳半神話大系』を観ると一層楽しくなるのは間違いありません。
まとめ
累計売上120万分超のベストセラー小説『夜は短し歩けよ乙女』は第20回山本周五郎賞を受賞したり、2007年本屋大賞2位を獲得するなど、批評家からも高い評価を得ている作品です。
著者の森見登美彦先生にの作品群の中で最もファンが多いと言われている作品なだけに、映像化に際してはかなり高いハードルが掲げられていると思われます。
しかし、『四畳半神話大系』ですでに成功を収めている湯浅監督率いる最高の制作陣の手に掛かれば、そんなハードルなど蹴り飛ばしてしまうに違いありません!
注目の劇場公開は2017年4月7日(金)から始まります!ぜひ劇場で先輩の恋の行方を確かめましょう!