ロアルド・ダールの同名の児童小説『チョコレート工場の秘密』を映画化!
ティム・バートン監督がダニー・エルフマンの音楽にのせて描く、歌と踊りが満載のファンタジー・コメディ。
今回ご紹介するのは世界中で大ヒットを記録したジョニー・デップ主演のファンタジー映画『チャーリーとチョコレート工場』です。
ジョニー・デップ扮するのは、怪しいチョコレート工場主ウィリー・ウォンカ。そして、ダニー・エルフマンの音楽により歌と踊りも楽しめて、何度も見返したくなる心温まる不思議な映画の魅力をご紹介します。
CONTENTS
映画『チャーリーとチョコレート工場』の作品情報
【公開】
2005年(アメリカ映画)
【原題】
Charlie and the Chocolate Factory
【監督】
ティム・バートン
【キャスト】
ジョニー・デップ、フレディ・ハイモア、デビッド・ケリー、ヘレナ・ボナム・カーター、ノア・テイラー、クリストファー・リー、アナソフィア・ロブ
【作品概要】
原作のロアルド・ダールの児童小説『チョコレート工場の秘密』は、1971年に『夢のチョコレート工場』のタイトルで一度映画化され、2005年公開の本作は当時技術的に不可能だった描写を入れつつ、新しいオリジナル設定も加えて制作されました。
チョコレート工場のオーナー、ウィリー・ウォンカを演じるのはティム・バートンの多くの作品で主役を演じているジョニー・デップ。
主人公のチャーリーを演じるのは『ネバーランド』(2004)でもジョニーと共演したフレディ・ハイモア。子役として活躍していた彼はケンブリッジ大学を卒業したのち、現在では演技だけではなくテレビドラマの製作も手がけるなど才能を発揮しています。
チャーリーの母親を演じるのはティム・バートンのかつてのパートナーであったヘレナ・ボナム=カーター。
ウィリー・ウォンカの父を演じるのは『スター・ウォーズ』シリーズや『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでおなじみ、怪奇映画にも多数出演するイギリス出身の名優クリストファー・リー。少ない出番ながらも、その存在感は抜群です。
映画『チャーリーとチョコレート工場』のあらすじとネタバレ
街の著名な歯医者の父親に育てられたウィリー・ウォンカは大きな矯正器具をつけさせられ、お菓子を禁じられて育ちました。
それでもチョコレートがどうしても食べたかったウォンカはある日盗み食いをし、その味の虜に。チョコ職人になることを宣言すると父親には家を追い出されてしまいました。
大人になり、ウォンカは次々と新しい商品を発明し、“ウォンカチョコレート”は世界中で大ヒットします。
しかし他のチョコレート工場がスパイを送り込みレシピを盗み、怒ったウォンカは従業員を全員クビにして工場を閉鎖してしまいます。
それから何年も経ち、ウィリーは再び工場を再開。チョコレートにゴールドチケットを5枚だけ入れ、それを引き当てた子供たちを工場見学に招待すること、そしてそのうちの1人には豪華な副賞をプレゼントすることを決めました。
チャーリーは両親と祖父母2組の大家族で暮らす少年。働き手は歯磨き粉工場に勤めるお父さんしかいません。貧乏ながらも幸せに暮らす家族でしたが、お父さんも失業してしまいました。
チャーリーの楽しみは毎年誕生日にもらえる一枚のチョコレート。その頃、ウォンカがばらまいたゴールドチケットを次々に子供達が引き当てていました。
1人目の子供は毎日チョコレートを食べる太った少年、オーガスタス。2人目はナッツ工場の社長令嬢、欲しいものは何でも手に入れないと気が済まない性格のベルーカ。3人目は野心家でギネスブックに載るために毎日ガムを噛んでいる少女バイオレット。4人目はゲーム好きの少年マイク。
そしてチャーリーが残りの残り1枚のチケットを引き当てたのです。チャーリーは昔チョコレート工場に勤めていたジョーおじいちゃんと見学へ行くことにします。
見学の日になり5人の子供達はそれぞれの保護者と共に工場へ向かいます。人付き合いが苦手なウォンカは子供達の名前を聞こうともせず、自分をアピールする彼らをことごとくバカにします。
工場は魔法のような機械で溢れており、ここにあるものは全て食べられるとウォンカは言います。大興奮する子供達にウォンカは「楽しんで」と告げるのですが…
映画『チャーリーとチョコレート工場』の感想と評価
第78回アカデミー賞衣装デザイン賞にノミネートされた独特の色使いのセットやコスチュームはいつ観ても心が躍ります。
工場の庭園のオブジェクトは全てパティシエが作った本物のお菓子です。
またリスの工場のシーンはCGではなく、調教されたリスが実際に作業をしているのだそうです。
名作や過去自作へのリスペクトした引用
『2001宇宙の旅』や『サタデー・ナイト・フィーバー』の名シーンを引用しているなど、映画ファンには嬉しい描写も満載です。
例えば子供たちがウォンカのチョコレート工場に入るシーンは、それまでの淡い色使いは鮮やかなものへ変化します。これは『オズの魔法使い』(1939)のリスペクト。
工場でウンパ・ルンパがチョコレートの川をピンクのドラゴンのボートで漕いでいる時、カメラはは1人のドラムを叩いているウンパ・ルンパをカットします。これは『ベン・ハー』(1959)で船に繋がれながら漕いでいる奴隷たちのシーンの引用です。
マイクがテレポートしてしまうシークエンスは『2001宇宙の旅』(1968)をリスペクトしたもの。巨大なチョコレートはモノリスのようです。
その後、マイクがテレビに入ってしまうところには、アルフレッド・ヒッチコック監督の『サイコ』(1960)の有名なシャワー室のシーンが用いられています。
またティム・バートン監督自身の作品も引用されています。
チャーリーのお父さんが生産している歯磨き粉の名前“Smilex”は『バットマン』(1989)でジョーカーが使う毒薬の名前。
ウォンカが工場をオープンする時、リボンを着る手には大きなハサミが。これはもちろん『シザーハンズ』(1990)。
ウォンカはこの時後ろを振り返り、ティム・バートン、ジョニー・デップのこれまでの作品を“振り返って”います。
ウォンカが最初つけていたおかしなメガネは、『スリーピー・ホロウ』(1999)で同じような形のものが用いられています。
ティム・バートン監督の一環したテーマ
参考映像:『シザーハンズ』(1980)
本作『チャーリーとチョコレート工場』は、ティム・バートン監督作品に一貫するテーマが描かれていることも大きな特徴です。それは父と子の和解。
『シザーハンズ』では主人公エドワードの父親的存在である科学者は亡くなってしまい、エドワードは手がハサミの姿のまま世の中へ出ることになり、『ビッグ・フィッシュ』では息子が好いていなかった父の人生を振り返ります。
そんな父と子の確執、和解というテーマが心温まる形で描かれていることが、本作が大人から子供まで愛されている理由ではないでしょうか。
『ビッグ・フィッシュ』(2003)
まとめ
チャーリーが引き当てたゴールドチケットが入っていた“ウォンカ・チョコレート”は、実際に買うことができます。
ティム・バートン監督ならではのピリッとしたブラックジョーク、ポップとダークが混在する世界観を楽しみつつお菓子を片手に、ぜひ『チャーリーとチョコレート工場』今一度ご覧ください。
観終わる時には観客の私たちも、甘い幸せに包まれているはずです。