Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

『アフター・ザ・クエイク』あらすじ感想と評価レビュー。村上春樹原作の短編を基に誕生した現実と幻想が交差する4つの物語|映画という星空を知るひとよ271

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第271回

2000年に刊行された村上春樹の傑作短編連作『神の子どもたちはみな踊る』(新潮文庫刊)を原作とする映画『アフター・ザ・クエイク』。

映画『アフター・ザ・クエイク』は、2025年10月3日(金)より、テアトル新宿、シネスイッチ銀座ほかにて全国ロードショー!

原作に収録されている4編をベースに一部時代設定を変更し、1995年から2025年の30年にわたる物語として、誰もが抱く孤独をマジックリアリズムを交えて描き出し、別々の時代・場所に生きる4人の物語が時空を超えて繋がってゆきます

1995年の主人公小林に岡田将生、2011年の物語に鳴海唯、2020年の主人公には渡辺大知、2025年は佐藤浩市が主役を務め、どこか不安げな表情を浮かべた各時代の主人公たちを演じています。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『アフター・ザ・クエイク』の作品情報


(C)2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ

【日本公開】
2025年(日本映画)

【監督】
井上剛

【脚本】
大江崇允

【原作】
村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』(新潮文庫刊)より

【音楽】
大友良英

【プロデューサー】
山本晃久、訓覇圭

【出演】
岡田将生、鳴海唯、渡辺大知、佐藤浩市、橋本愛、唐田えりか、吹越満、黒崎煌代、黒川想矢、津田寛治、井川遥、渋川清彦、のん、錦戸亮、堤真一

【作品概要】
『アフター・ザ・クエイク』の監督は、連続テレビ小説『あまちゃん』や大河ドラマ『いだてん』を手がけた井上剛監督。脚本は、『ドライブ・マイ・カー』(2021)の大江崇允。

村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』(新潮文庫刊)を基にし、先の見えない現代を生きる私たちが今見るべき希望の物語を誕生させました。

主演に岡田将生、鳴海唯、渡辺大知、佐藤浩市。共演として、橋本愛、唐田えりか、吹越満、黒崎煌代、堤真一、黒川想矢、井川遥、渋川清彦、津田寛治、錦戸亮らが顔をそろえました。‟かえるくん”の声は、のんが担当しています。

第27回上海国際映画祭 Asia Now部門出品作品。

映画『アフター・ザ・クエイク』のあらすじ


(C)2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ

1995年、妻が姿を消し、失意の中訪れた釧路でUFOの不思議な話を聞く小村。

2011年、焚き火が趣味の男と交流を重ねる家出少女・順子。

2020年、“神の子ども”として育てられ、不在の父の存在に疑問を抱く善也。

2025年、漫画喫茶で暮らしながら東京でゴミ拾いを続ける警備員・片桐。

世界が大きく変わった30年、人々の悲しみや不幸を食べ続けたみみずくんが再び地中で蠢きだした時、人類を救うため“かえるくん”が現代に帰ってきます。


(C)2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ

映画『アフター・ザ・クエイク』の感想と評価


(C)2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ

村上春樹の短編集『神の子どもたちはみな踊る』(新潮文庫刊)の中から、『UFOが釧路に降りる』『アイロンのある風景』『神の子どもたちはみな踊る』『かえるくん、東京を救う』の4作品を基に、井上剛監督が独特の世界観を映像化した本作

大きな自然災害があった後、なにかしらの喪失感を持つ人々が悩みながらも未来に一筋も光を見出そうとし、どの年代の物語にも、過去の自分と対峙する人の苦悩が映し出されています。

現在の苦しみから明日への希望を見出そうとする主人公たちに、自分の姿も重ねられるのではないでしょうか

4つの物語の主人公は、岡田将生、鳴海唯、渡辺大知、佐藤浩市といった実力派俳優が演じています。

それぞれの物語の年代や遭遇する出来事は違っているのですが、現実と幻想が交錯する物語からは共通のメッセージを感じ取ることでしょう。

一方、印象深いキャストとして、佐藤浩市扮する片桐に協力を求める‟かえるくん”があげられます。

彼こそが夢か現実かと迷わせるキーパーソン! この重要な役どころの‟かえるくん”の声は、のんが担当。

明るくメリハリのきいた清々しいのんボイスが、謎めいた‟かえるくん”に命を吹き込み、物語にユニークさももたらせていますので、お楽しみにしてください。


(C)2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ

まとめ


(C)2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ

作品タイトルの「クエイク」には、「震える」とか「振動する」の意味があり、また自然現象の「地震」を指すこともあるそうです。

本作は、「地震のあとで」という意味合いのタイトルで、1995年の阪神淡路・大震災から、2011年東日本大震災を経て2020年を過ぎ、2025年に起るべく東京大震災を食い止めるというストーリーが繋がります。

村上春樹の世界観たっぷりの作品で、シュールで幻想的な日常や喪失と再生のモチーフ満載の彼のワールドへ導いてくれます

映画『アフター・ザ・クエイク』は、2025年10月3日(金)より、テアトル新宿、シネスイッチ銀座ほかにて全国ロードショー!

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。



関連記事

連載コラム

韓国映画『殺人鬼から逃げる夜』ネタバレ結末感想と解説評価。シリアルキラーの根源と「シャイニング」へのリスペクト|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー67

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第67回 深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞す …

連載コラム

どんでん返し映画『無明長夜の首無しの怪獣』感想考察。ウルトラセブンや怪奇大作戦などの往年の名作特撮ドラマを彷彿|邦画特撮大全68

連載コラム「邦画特撮大全」第68章 若手コント芸人「そんたくズ」のコンビ結成3周年記念コントライブが、2020年5月16日19時よりYou Tube内の「そんたくズコントチャンネル」にて生配信されます …

連載コラム

映画『ぼくたちの哲学教室』あらすじ感想と評価解説。分断の地ベルファストで哲学を教える校長と生徒たちのドキュメンタリー|山田あゆみのあしたも映画日和10

連載コラム「山田あゆみのあしたも映画日和」第10回 映画『ベルファスト』(2022)でも知られる北アイルランドの分断の街ベルファストでは、現在もプロテスタント地区とカトリック地区を隔てる壁が存在し、時 …

連載コラム

映画『ザ・ラスト・マーセナリー』ネタバレあらすじ感想と結末解説。ラストのエンディングロールの落ちまで見逃すな|Netflix映画おすすめ52

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第52回 2021年7月30日(金)にNetflixで配信された、フランスのアクションコメディ映画、『ザ・ラスト・マーセナリー』。 訳あって …

連載コラム

映画『娘は戦場で生まれた』感想とレビュー評価。シリア内戦の惨状にカメラを向ける母親の戦いとは|だからドキュメンタリー映画は面白い41

連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』第41回 空爆されたシリアの病院で、母は娘を撮り続ける。 今回取り上げるのは、2020年2月29日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学