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『マッド・マウス ミッキーとミニー』あらすじ感想と評価考察。ホラー映画でミッキーマウスが殺人鬼に⁉︎“蒸気船ウィリー”著作権切れが生んだギャップ&悪ノリスリラー

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

映画『マッド・マウス ミッキーとミニー』は2025年3月7日(金)より新宿ピカデリーほかで全国公開!

ミッキーマウスのデビュー作として知られる1928年製作の短編アニメ『蒸気船ウィリー』の著作権が2023年末で切れ、パブリック・ドメイン(知的創作物に対する知的財産権が消滅し、自由に利用可能な状態)となりました。

いち早く映画を製作したジェイミー・ベイリー監督は、誰もが知る大人気キャラクターを、想像もつかない凶悪なキャラクターとして描き出しました。

21歳の誕生日を迎えるアレックスは、バイト先のゲームセンターで残業をすることに。するとそこに、アレックスの旧友たちがやってきます。

予約をしていたのは、アレックスのサプライズパーティーだったのです。楽しいゲームも束の間、謎の“ヤツ”が出現。デスゲームが始まり、次々に血祭りにあげていくのでした……。

映画『マッド・マウス ミッキーとミニー』の作品情報


(C)MMT LTD 2024. All Rights Reserved.

【日本公開】
2025年(カナダ映画)

【原題】
The Mouse Trap

【監督・編集・撮影】
ジェイミー・ベイリー

【制作】
ジェイミー・ベイリー、サイモン・フィリップス

【脚本】
サイモン・フィリップス

【キャスト】
ソフィー・マッキントッシュ、マッケンジー・ミルズ、サイモン・フィリップス、カラム・シウィック

【作品概要】
ミッキーマウスのデビュー作として知られる1928年製作の短編アニメ『蒸気船ウィリー』の著作権が切れたことを受け、いち早く制作されたホラー映画。監督を務めたのは『デスNS インフルエンサー監禁事件』(2023)のジェイミー・ベイリー。

脚本は『人肉村』(2021)など俳優としても活躍するサイモン・フィリップス。主演は『エア・ロック 海底緊急避難所』(2024)のソフィー・マッキントッシュ。

映画『マッド・マウス ミッキーとミニー』のあらすじ


(C)MMT LTD 2024. All Rights Reserved.

夢の国はつまらない……。

21歳の誕生日を迎えるアレックス。しかし、バイト先のゲームセンターに貸切の予約が入り、残業をすることになってしまいます。

一人きりの店内のバックヤードで不気味な人影を目撃したアレックスは怯えますが、店内に戻ると旧友たちが集まっていました。実は予約をしていたのは旧友たちで、アレックスの誕生日を祝うためにサプライズで集まってくれたのです。

しかし、楽しい時間も束の間、アレックスたちの前に謎の“ヤツ”が出現します。アトラクションを楽しむかのように、次々と血祭りにあげていきます。

果たしてアレックスたちは、逃げ延びることができるのでしょうか。

映画『マッド・マウス ミッキーとミニー』の感想と評価


(C)MMT LTD 2024. All Rights Reserved.

1928年に公開されたウォルト・ディズニー社の短編アニメ『蒸気船ウィリー』は2023年末で著作権が切れ、パブリック・ドメインとなりました。

いち早く同作を基に映画化したジェイミー・ベイリー監督は、口笛を吹く愉快なアニメーションからは想像もできない、凶悪な殺人鬼としてミッキーマウスを描き出し、話題となります。

ミッキー・マウス以前に、『くまのプーさん』を残忍な人間を狩るクマとして描き出したのが『プー あくまのくまさん』(2023)でした。

それは『蒸気船ウィリー』同様、A・A・ミルン原作の児童小説『くまのプーさん』が2022年末で著作権が切れたことにより、制作されたものでした。

『プー あくまのくまさん』は大ヒットを記録し、続編である『プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち』(2024)も公開されました。

このような映画が作られた背景には、夢を与える人気キャラクターとのギャップを狙ったという背景と、ウォルト・ディズニー社に対するイメージも関係しているのではないでしょうか

1988年、アメリカで著作権の保護期間の延長を目的とした法律が作られました。それによって1920年代に制作された作品の権利が、2010〜2020年代まで延長されることになりました。

その法律が制定される背景には、ウォルト・ディズニー社のロビー活動があったと言われています。『蒸気船ウィリー』をはじめ、1920年代の作品の著作権が切れる前に延長をする狙いがあったのでしょう。

そうした事情のもと1988年に制定された法律は「ミッキーマウス保護法」「ミッキーマウス延長法」とも言われています。映画冒頭にも「ウォルト・ディズニー社が大好きでリスペクトしているけれど、関わりたくないようです」とユーモアに溢れたお断りが流れます。

劇中にも『蒸気船ウィリー』が流れ、ウォルト・ディズニー社を意識している様子は伺えますが「本当にリスペクトなのか?」と首を傾げてしまうほど、残忍で恐ろしいミッキーマウスが衝撃的です。

そのような悪ふざけのノリも含めて楽しめるのが、本作の面白いところでしょう。

ミッキーマウスの衝撃的なギャップが印象的ですが、本作はティーン・スラッシャーものとしても面白い映画になっています。ありがちなフラグ回収だけでなく、恋模様も描かれています。

アレックスを中心としたキャラクターも、あえてありがちなキャラクターでふざけているようにも感じられ、全編を通してクセになる映画といえるでしょう

まとめ


(C)MMT LTD 2024. All Rights Reserved.

あのミッキーマウスが凶悪な猟奇犯に!?な衝撃のホラー映画『マッド・マウス ミッキーとミニー』。

著作権が切れパブリック・ドメインとなったのは、まだ『蒸気船ウィリー』に登場するキャラクターのみですが、いずれは他の有名なキャラクターも著作権が切れるでしょう。その時、さらなるキャラクターが登場するのでしょうか?

法律を変えてまで長年、著作権を保持し続けたウォルト・ディズニー社のイメージゆえに、反動で本作のような映画が制作されたのでしょうか。

しかし、そんなおカタいことは忘れて、ミッキーマウスのギャップを楽しむのが良いかもしれませんね

映画『マッド・マウス ミッキーとミニー』は2025年3月7日(金)より新宿ピカデリーほかで全国公開!


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