Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2024/12/21
Update

『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』あらすじ感想と評価レビュー。‟3つのルール”で政界へ挑んだある男のリアルサクセスストーリー|映画という星空を知るひとよ241

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第241回

世界中で最もヤバい大統領と呼ばれたドナルド・トランプの、政界のトップへと成りあがるまでの過程を描いた映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』。

映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』が、2025年1月17日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開されます。

アメリカ大統領を経験したトランプは、規格外の発言や行動で怪物とも呼ばれていますが、決して生まれた時からそうだったわけではありません。

成功を夢見る初々しい20代のトランプが、伝説の辣腕弁護士に3つのルールを伝授され、それに導かれて驚愕の変身を遂げます。

トランプに伝授された「3つのルール」とは? そしてどのようにしてトランプは成功していったのでしょうか。

映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』を、公開に先駆けてご紹介します。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』の作品情報


(C)2024 APPRENTICE PRODUCTIONS ONTARIO INC. / PROFILE PRODUCTIONS 2 APS / TAILORED FILMS LTD. All Rights Reserved.

【日本公開】
2025年(アメリカ映画)

【原題】
The Apprentice

【監督】
アリ・アッバシ

【脚本】
ガブリエル・シャーマン

【キャスト】
セバスチャン・スタン、ジェレミー・ストロング、マリア・バカローヴァ、マーティン・ドノヴァン

【作品情報】
成功を夢見る初々しい20代のトランプが伝説の弁護士に導かれて驚愕の変身を遂げ、トップへと成り上がるまでの道のりを暴く衝撃の問題作。

監督は『ボーダー』(2019)などこれまで様々な問題作を描き、そのすべてがカンヌ国際映画祭に出品され、本作もカンヌ国際コンペティション部門で高い評価を得たアリ・アッバシ。

トランプを演じるのは、「アベンジャーズ」シリーズのセバスチャン・スタンです。トランプの育ての親ともいえるロイ・コーンには、『アルマゲドン・タイム』(2023)や『民衆の敵』で2024年トニー賞演劇主演男優賞に輝いたジェレミー・ストロングが演じています。

2024年・第77回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』のあらすじ


(C)2024 APPRENTICE PRODUCTIONS ONTARIO INC. / PROFILE PRODUCTIONS 2 APS / TAILORED FILMS LTD. All Rights Reserved.

20代のドナルド・トランプは危機に瀕していました。

不動産業を営む父の会社が政府に訴えられ、破産寸前まで追い込まれていたのです。

そんな中、トランプは政財界の実力者が集まる高級クラブで、悪名高き辣腕弁護士ロイ・コーンと出会います。ロイ・コーンは大統領を含む大物顧客を抱え、勝つためには人の道に外れた手段を平気で選ぶ冷酷な男でした。

そんなコーンが“ナイーブなお坊ちゃん”だったトランプを気に入り、〈勝つための3つのルール〉を伝授。トランプはそれによって、洗練された人物へと仕立てあげられます。

やがてトランプは数々の大事業を成功させ、コーンさえ思いもよらない怪物へと変貌していきます……。

映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』の感想と評価


(C)2024 APPRENTICE PRODUCTIONS ONTARIO INC. / PROFILE PRODUCTIONS 2 APS / TAILORED FILMS LTD. All Rights Reserved.

過激な言動と堂々たる発言力、何者にも負けない強い意志を持つ屈強な実業家のドナルド・トランプ。

あらゆる勝負に打ち勝って、2017年彼は第45代アメリカ大統領に就任しました。政治家や軍人としての職歴を持たない初めてのアメリカ大統領でした。

良いにつけ悪いにつけ、何かと話題にあがるドナルド・トランプです。果たして、彼はどうのようにして勝利者となったのでしょう。

映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』では、ドナルド・トランプが成功者となった秘訣をリアルに描き出しています。

20代の頃のトランプは気弱で真面目な青年で、「哀れな坊や」とまで呼ばれていました。ですが、ある日政財界の実力者が集まる高級クラブで、悪名高き辣腕弁護士のロイ・コーンと出会います。

コーンはトランプを気に入り、「勝つための3つのルール」を伝授。それは自分の敗北や弱点を決して認めず、攻撃をしかけよという内容のものでした。


(C)2024 APPRENTICE PRODUCTIONS ONTARIO INC. / PROFILE PRODUCTIONS 2 APS / TAILORED FILMS LTD. All Rights Reserved.

ロイ・コーンの教えを忠実に実行したトランプは、決断力に富んだ実力者に成長し、やがて驚くような怪物ぶりをみせます。

辛辣な営業手段で皆を驚かせるトランプですが、どこか憎めないユーモラスな一面ものぞかせます。

本作で描かれるのは、誰もが興味を持つであろう、トランプの謎めいた過去の一端。トランプを「モンスター」に育て上げた人物の存在にも驚くことでしょう。

ですが、いかに育ててもらっても変貌を遂げるための強さや強かさを生まれながらに持っていなければ、成し得ない話です。

彼を育てた「創造者」がいたのは事実でしょうが、それを自分のものにし、アレンジもして利用していったのは、ドナルド・トランプ自身であり、彼の逸材ともいえる器量でしょう

成功の秘訣を身に付けたドナルド・トランプ。2025年1月には、第47代アメリカ大統領に就任予定です。

トランプの政策によってどんな政治がされるのか。彼の過去を知った今、トランプに委ねられたアメリカの政治が気になります。

まとめ


(C)2024 APPRENTICE PRODUCTIONS ONTARIO INC. / PROFILE PRODUCTIONS 2 APS / TAILORED FILMS LTD. All Rights Reserved.

怪物とまで言われた、ドナルド・トランプの過去を描いた映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』は2025年1月17日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開!

若かりし頃の”お坊ちゃん”のトランプ役を演じるセバスチャン・スタンは、精細な青年から成功者へと成長する過程を圧倒的な存在感で見事に表現しています。

また、トランプを一流の実業家へと育てた果てに、予想不可能な運命にまきこまれる弁護士ロイ・コーンを演じるジェレミー・ストロング。ロイに憑依したかのような演技が注目です。

あの有名な大統領のリアルサクセスストーリーを観る絶好のチャンスですので、ぜひ劇場へ足をお運びください。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら


関連記事

連載コラム

ジャン=リュック・ゴダールのおすすめ名作『女と男のいる舗道』に見る哲学|偏愛洋画劇場1

連載コラム「偏愛洋画劇場」第1幕 2018年7月13日に日本公開された映画『グッバイ・ゴダール!』。 ヌーヴェルバーグを代表する巨匠ジャン=リュック・ゴダールと、彼の2番目の元妻アンヌ・ヴィアゼムスキ …

連載コラム

『ハウス・ジャック・ビルト』映画監督ラース・フォン・トリアーのインタビュー【芸術は定義することが難しい】FILMINK-vol.4

FILMINK-vol.4「Lars Von Trier: ‘Art Is Difficult to Define’」 オーストラリアの映画サイト「FILMINK」が配信したコンテンツから「Cinem …

連載コラム

映画『はじまりはヒップホップ』あらすじと感想レビュー。高齢者ダンスグループ(平均年齢83歳)の彼らが挑むチャレンジとは|だからドキュメンタリー映画は面白い45

連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』第45回 お年寄りダンスグループが、ヒップホップの世界大会を目指す! 今回取り上げるのは、2016年に日本公開の『はじまりはヒップホップ』。 平均年齢8 …

連載コラム

「新海誠から考える令和の想像力──セカイからレイワへ──序論

連載コラム「新海誠から考える令和の想像力」序論 『君の名は。』で歴代邦画興行収入の第2位となる250億円を記録した、新海誠監督の3年ぶりの新作『天気の子』が2019年7月19日に全国公開されます。 4 …

連載コラム

映画『サムジンカンパニー1995』感想評価とレビュー解説。コアソン×イソム×パクヘスの女優陣が演じたシリアスなテーマを社会派エンタメコメディにした快作|コリアンムービーおすすめ指南22

映画『サムジンカンパニー1995』は2021年7月09日(金)よりシネマート新宿他にて全国順次公開予定! 経済が右肩あがりの成長を遂げ、グローバル化を叫んでいた1990年代の韓国を舞台に、大企業に勤め …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学