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おすすめ洋画『マネキン』の内容と類似性が見られる映画と共に解説|SF恐怖映画という名の観覧車25

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile025

生物ではないものに対する情愛。

それはどこまでも純粋でありながら、客観的な視点で見ると「狂気」にすら見えます。

2018年12月15日(土)、16日(日)に東京・杉並にある座・高円寺2にて、After School Cinema Club + Gucchi ’s Free Schoolによる映画祭『傑作?珍作?大珍作!! コメディ映画文化祭』の上映作品から1作品をピックアップしました。

マネキンに恋をする男をコメディで描いた映画『マネキン』(1987)を取り上げ、「生物ではないものに対しての情愛」を描いた本作を深掘りさせていただきます。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

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映画『マネキン』の作品情報

【原題】
mannequin

【製作】
1985年(アメリカ映画)

【監督】
マイケル・ゴットリーブ

【キャスト】
アンドリュー・マッカーシー、キム・キャトラル、エステル・ゲティ、ジェームズ・スペイダー、G・W・ベイリー、キャロル・デイヴィス、メスハック・テイラー

映画『マネキン』のあらすじ

芸術家志望でこだわりの強いジョナサン・スイッチャー(アンドリュー・マッカーシー)は、どの職に就いても長続きせずクビなってばかり。

ある日、ひょんなことから閑古鳥が鳴くデパートで働くことが決まったスイッチャーは、以前自身が制作した女性型のマネキンが動き出すことを知り…。

コメディから知る自信を持つことの大切さ

アメリカで1987年に公開され、軽快な音楽と自信を持つことの大切さを描いた作品として大ヒットした映画『マネキン』。

タイトルや「何もかも上手くいかない青年がマネキンと恋をする」という簡易なプロットだけ聞くと観る人を選ぶ物語のように思えますが、あるマネキンとの出会いによって「自信」を取り戻すという、心明るく万人受けする作品となっています。

自分の才能に気づいているにも関わらず、その才能を発揮する場がなかった環境が、主人公の自信を無くしていきます。

しかし、自分だけが動いてる姿を見ることの出来るマネキン“エミー”との出会いが、暗く曇っていた主人公の未来を照らし始めます。

この映画『マネキン』、実は「ある作品」が好きな人にぜひご覧いただきたい映画なんです。

『ナイト・ミュージアム』(2006)


© 2006 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

ベン・スティラー主演で制作され、日本でも大人気となった映画『ナイト・ミュージアム』。

何をやっても上手くいかない中年男性が、「夜になると展示物が動き始める博物館」で騒動に巻き込まれることにより、自信を取り戻すこの作品。

誰も信じないことを自分なりにこなしていく事によって、結果的に成功に繋がる。

現実世界ではそうそう上手くいかないことではありますが、明るい世界とドタバタサクセスストーリーが好きな方に『マネキン』も『ナイト・ミュージアム』も必ず観て欲しい作品となっています。

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「生物以外」への情愛は狂気なのか?

声優によって録音された複数パターンの言葉をサンプリングし、マルチな用途で使える合成音声として開発された『VOCALOID(ボーカロイド)』。

先日、ボーカロイドの知名度を広げたとされる「初音ミク」と、都内在住の男性が結婚したニュースが話題となりました。

このように「生物以外」との結婚例は世界でも少なからず存在し、やはりその多くは「奇異」な眼差しで見られることが多いそうです。

映画『マネキン』の主人公スイッチャーの姿も、「マネキンが動く」と言う事実を知らない人間から見れば「狂気」そのものでしたが、果たして「生物以外」への情愛は「狂気」なんでしょうか。

『スイス・アーミー・マン』(2017)


(C)2016 Ironworks Productions, LLC.

「ハリー・ポッター」シリーズで主人公のハリーを演じたダニエル・ラドクリフが死体役で登場し話題となった『スイス・アーミー・マン』。

今作の主人公のハンクは遭難中に出会った「死体」を使い生き延びる内に、「死体」と「会話」することで「友情」を感じ、自身の人生の中で足りなかった部分を見出していきます。

人々の目にこそハンクと「死体」とのやり取りは「狂気」に映りましたが、ハンクはその中で自分に失われていた大切なものを取り戻します。

“人形”に対する情愛は人々の目に「狂気」に映るのに、ペットや動物に対しての情愛は美談にもなり得る常識。

それは、相手が「生きているか」が重要となるわけです。

しかしハンクにとっても『マネキン』のスイッチャーにとっても、「マネキン」や「死体」は“生きた存在”でした。

何がその人にとって重要なのか。

他人の目を気にせず、自身の価値観に真剣であることの大切さを教えられます。

映画『マネキン』のまとめ

『マネキン』にはゲイの黒人スタイリストのハリウッドや、才能や熱意を高く評価する女性社長ティムキンなど、様々な人物が登場し、作品に色を与えています。

スイッチャーを従業員として受け入れた登場人物の多くが、「マネキン」を愛する彼の行為を「個性」として尊重し、彼の拠り所となり、成功を掴みます。

「何もかも上手くいかない青年がマネキンと恋をする」と言うある種「ホラー」とも捉えられるプロットからは想像もつかなかった、多くの「笑い」と「個性」を認める大切さを教えられる良作コメディ作品です。

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『傑作? 珍作? 大珍作!! コメディ映画文化祭』とは

2018年12月15日(土)、16日(日)に座・高円寺2にて開催される映画上映イベント『傑作? 珍作? 大珍作!! コメディ映画文化祭』。

今回のコラムでご紹介した『マネキン』を始めとし、DVDが絶版となっているコメディ作品や日本初上映作品が2日に渡り多数上映されます。

更に映画『マネキン』上映時には、SKE48の元メンバー・加藤るみによるトークショーも開催予定です。

興味のある方はぜひタイムスケジュールを確認の上、足を運んでみてはいかがでしょうか。

映画『マネキン』の上映時間は12月16日(日)の14:55からです。

次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…

いかがでしたか。

次回のprofile026では、12月7日(金)公開の最新和製ホラー、『来る』(2018)を「中島哲也監督」と「近年の和製ホラー」と言う2つの側面から、その魅力をご紹介していきます。

12月5日(水)の掲載をお楽しみに!

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

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