映画『STRANGERS』は2024年11月2日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか順次公開
映画『STRANGERS』が2024年11月2日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか順次公開となります。
現代社会に潜む甘い罠と不安の渦の中で自分自身を見失っていくひとりの女性を描く心理サスペンス・スリラーです。
監督は本作が長編デビューとなる池田健太。『夜明けまでバス停で』(2022)の大⻄礼芳が主演を務めます。共演は玄理、柾木玲弥、小川あん。
魅力的な謎の女性に傾倒していくヒロインの姿に戦慄せずにいられない作品です。
映画『STRANGERS』の作品情報
【公開】
2024年(日本映画)
【監督・脚本】
池田健太
【キャスト】
大西礼芳、柾木玲弥、小川あん、宮田佳典、佐藤玲、岩瀬亮、谷川昭一朗、玄理
【作品概要】
婚約者の浮気、マッチングアプリ、パパ活など現代社会に潜む甘い罠と不安の渦の中で自分自身を見失っていくひとりの女性を描く心理サスペンス・スリラー。巨匠・黒沢清監督から「後ろ姿が恐い。静寂が恐い。掛かっている服が恐い。そしてまわりの人はみんな恐くなる。これぞまさに現代ホラーのスタンダード。」と絶賛されました。
監督は本作が長編デビューとなる池田健太。大阪大学基礎工学部でコンピューターサイエンスを学び、中退後、スピルバーグが学んだカリフォルニア州立大ロングビーチで映画学・脚本を学びました。その後、岩井俊二監督に師事し、現在は大手外資系コンサルティング企業で働く傍ら脚本家としても活動する異色の経歴の持ち主です。前作の短編映画『午後3時の悪魔』(2018)は、パリのFestival Silhouette、札幌国際短編映画祭など国内外の映画祭で上映され、その独特の空気感と徹底した映像演出がロベール・ブレッソンにもなぞらえられました。
撮影は、代表作に濱口⻯介監督の『寝ても覚めても』(2018)や、沖田修一監督『さかなのこ』(2022)、岨手由貴子監督『あの子は貴族』(2021)など現代日本映画を牽引する佐々木靖之がつとめ、静かで精緻に展開される心理サスペンス・スリラーを支えます。音楽は、その繊細な音色と即興演奏が国内外で高く評価される橋本秀幸。
主人公・直子を演じるのは『夜明けまでバス停で』(2022)、『嵐電』(2019)など話題作への出演が絶えない大⻄礼芳。
さらに濱口⻯介監督作や黒沢清監督作に出演するなど国際的に活躍の場を広げている玄理が、現代社会の中で不安を抱える直子にとってのファム・ファタールを演じます。
サスペンスを支える重要な役割の担い手に柾木玲弥、小川あん、宮田佳典、岩瀬亮。
映画『STRANGERS』のあらすじ
婚約者の浮気を知った直子は、不思議な魅力をもった同僚の山口紗季に導かれてマッチングアプリを始めます。アプリを通じてさまざまな男と出会い、お金を受け取りながら、かりそめのデートを繰り返す直子は、日に日に派手になっていきました。
自分自身の姿形が次第に山口に似てきていることに気づき動揺するものの、やめることができない直子。そうすることで不安も取り除かれていると錯覚する彼女は、次第に自分を見失っていき、さらなる不安の渦に沈んでいきますが…。
映画『STRANGERS』の感想と評価
苦悩の中に生きていたひとりの女性が、現実から逃避しようとするかのように別の女性になり変わっていく様をスリリングに描く心理サスペンスです。
ヒロイン・直子の内面に潜む暗部と並行して、現実に彼女を追うストーカーや異常者も描かれ、複雑に絡み合う恐怖から目が離せなくなります。
直子を演じる大⻄礼芳の演技が見事です。無味無臭に見えた地味な女性が、色鮮やかに変化していく様を細やかに表現しています。しかし、その色は「水色」一色です。消えた魅力的な同僚に、病的に傾倒していく様に背筋が凍ります。
黒沢清監督が本作を絶賛したコメントの中に「掛かっている服が恐い。」という言葉がありますが、鑑賞すればその意味がよくわかることでしょう。
玄理演じる山口紗季はファンタジックな女性で、まるで現実には存在していないかのように感じられます。直子にとって彼女は妖精だったのか、救いの神だったのか、それとも悪の化身だったのか。その真実は、もしかしたら観ている私たちに委ねられるのかもしれません。
まとめ
緻密な心理描写と構成に唸らされる池田健太監督の長編デビュー作『STRANGERS』。不安と苦しみで、現実で人を信じられなくなった女性が、虚構の世界に身を投げていく様をスリリングに描きます。
観るほどに迷宮に迷い込んでいくかのような本作を、どうぞ劇場で最後までお楽しみください。
映画『STRANGERS』は2024年11月2日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか順次公開です。