Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2024/10/10
Update

『海の沈黙』あらすじ感想評価。本木雅弘と小泉今日子の共演で魅せる”大人の恋愛映画”としてのラブストーリーとは⁉︎|映画という星空を知るひとよ229

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第229回

「前略おふくろ様」や「北の国から」シリーズなど、数々の名作を手がけてきた巨匠・倉本聰が長年にわたって構想し、「どうしても書いておきたかった」と語る渾身のドラマ『海の沈黙』。

このたび、このドラマが『空母いぶき』(2019)や『Fukushima 50』(2020)などを手がけた若松節朗監督によって映画化されます。

映画『海の沈黙』は、2024年11月22日(金)TOHOシネマズ 日比谷 ほか全国公開

類まれな才能を持つ天才画家があることをきっかけに表舞台から消えました。

人々の前から姿を消した天才画家のこれまで秘めてきた想い、美と芸術への執念、そして忘れられない過去が明らかになる時、至高の美と愛の全貌がキャンバスに描きだされます

主役の天才画家を務めるのは、本木雅弘。小泉今日子、中井貴一、石坂浩二、仲村トオルら豪華な共演者とともに重厚な物語を紡ぎます。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『海の沈黙』の作品情報


(C)2024 映画『海の沈黙』INUP CO.,LTD

【日本公開】
2024年(日本映画)

【原作・脚本】
倉本聰

【監督】
若松節朗

【製作】
曳地克之

【プロデューサー】
佐藤龍春

【出演】
本木雅弘、小泉今日子、清水美砂、仲村トオル、菅野恵、石坂浩二、萩原聖人、村田雄浩、佐野史郎、田中健、三船美佳、津嘉山正種、中井貴一

【作品概要】
『海の沈黙』は、「前略おふくろ様」や「北の国から」シリーズなど、数々の名作ドラマの脚本を手がけてきた巨匠・倉本聰が長年にわたって構想した物語を映画化したものです。

空母いぶき』(2019)や『Fukushima 50』(2020)の若松節朗監督がとりまとめました。主役を務めるのは本木雅弘、共演として小泉今日子、中井貴一、石坂浩二、仲村トオル、清水美砂ら豪華キャストが顔を揃えます。

映画『海の沈黙』のあらすじ


(C)2024 映画『海の沈黙』INUP CO.,LTD

世界的な画家・田村修三(石坂浩二)の展覧会で、作品のひとつが贋作だと判明する事件が起こります。

田村本人だからこそ見抜けた本物そっくりな出来栄えで、力強い海の描写が印象的な作品です。

この絵を描いたのは一体、誰なのでしょう? 連日、事件の報道が加熱する中、北海道・小樽では女性の死体が発見されます。

その身体にはほぼ全身刺青が施されていました。

素晴らしい贋作と美しい刺青が特徴的な2つの事件をつなぐ存在として、一人の男性が浮かび上がります。

それは、新進気鋭の天才画家と称されながら、ある事件をきっかけに人びとの前から姿を消した津山竜次(本木雅弘)でした。

かつての竜次の恋人で、現在は田村の妻である安奈(小泉今日子)は小樽へ向かい、二度と会うことはないと思っていた竜次と再会を果たすのですが……。

映画『海の沈黙』の感想と評価


(C)2024 映画『海の沈黙』INUP CO.,LTD

タイトルの『海の沈黙』は、主人公津山竜次が若い頃に描いた絵画のタイトルです。北海道の荒々しい海が大きな秘密を抱えて、津山の人生に絡んできます。

本作は、津山の元恋人で現在は画家の田村の妻である安奈が、占い師に自分の生活を観てもらうシーンで始まります。そこで指摘されたのは、安奈の心の奥にある1人の男の影でした。

安奈はそんな人はいないと言い切りますが、その後起こった田村の展覧会での贋作事件からある過去の記憶が蘇ります。

脚本家の倉本聰が長い間構想を練った作品と言われるだけあって、事件の裏側には深い愛と憎しみが潜んでいます。主人公津山の一筋縄ではいかない人生模様が見て取れます。

自分の描きたい美を追求する芸術家の本質とともに、人としての‟ぬくもり”を求める姿が狂おしく表現された作品で、孤高の天才画家・津山の苦悩を熱演する本木雅弘に、心を揺さぶられることでしょう。

まとめ


(C)2024 映画『海の沈黙』INUP CO.,LTD

「北の国から」シリーズなど、人気ドラマを数多く手がけてきた巨匠・倉本聰の構想30年をかけた渾身作『海の沈黙』をご紹介しました。

本木雅弘が演じる天才画家・津山竜次の追求する「美」への執念と過去の記憶が、贋作事件をきっかけに、小泉今日子演じる津山のかつての恋人・安奈との再会によって鮮明になってきます

贋作の犯人捜しというミステリーから、ほろ苦い大人のラブストーリーへと物語は急展開。痛ましい思いを胸に抱く津山を演じる本木雅弘にご期待ください。

映画『海の沈黙』は、2024年11月22日(金)TOHOシネマズ 日比谷 ほか全国公開

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。



関連記事

連載コラム

台湾映画『黒の教育』あらすじ感想と評価解説。“来るべき才能賞”受賞の俳優クー・チェンドン初監督作は“青春クライムホラー”|大阪アジアン映画祭2023見聞録7

第18回大阪アジアン映画祭「来るべき才能賞」受賞作『黒の教育』! 2023年3月10日(金)より10日間に渡って開催された「第18回大阪アジアン映画祭」。16の国・地域の合計51作品が上映されました。 …

連載コラム

【ネタバレ考察】君たちはどう生きるか|インコ大王(声優/國村隼)ら正体/意味は“宮崎駿”の絶望?“空飛ぶ夢”を破壊する空想が“退化”する現実|君たちはどう観るか4

連載コラム『君たちはどう観るか』第4回 『風立ちぬ』(2013)を最後に「長編アニメーション作品の制作からの“引退”」を表明した宮崎駿が、「宮﨑駿」に改名して挑んだ映画『君たちはどう生きるか』。 奇想 …

連載コラム

映画『ベター・ウォッチ・アウト』ネタバレ感想とラスト結末の考察。謎の犯人の侵入で恐怖の一夜を体験する少年とベビーシッター|サスペンスの神様の鼓動38

サスペンスの神様の鼓動38 こんにちは「Cinemarche」のシネマダイバー、金田まこちゃです。 このコラムでは、毎回サスペンス映画を1本取り上げて、作品の面白さや手法について考察していきます。 今 …

連載コラム

映画『シング・ア・ソング!笑顔を咲かす歌声』あらすじ感想と評価解説。実話からピーター・カッタネオ監督が描く‟軍人の妻たち”の本音|映画という星空を知るひとよ96

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第96回 愛する人の帰還を待つ“軍人の妻”たちが合唱団を結成。全英で話題騒然となった実話から生まれた感動の物語『シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~』。 時 …

連載コラム

映画『スタントウーマン』ネタバレ感想と考察解説。 ハリウッドの知られざるヒーローたちの“プロフェッショナルとプライド”|だからドキュメンタリー映画は面白い57

連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』第57回 今回取り上げるのは、2021年01月08日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国順次公開の『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーロ …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学