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Entry 2020/03/10
Update

映画『Fukushima 50』あらすじネタバレと感想・評価。佐藤浩市らキャストが語る“今”痛みを描く意味とは

  • Writer :
  • 村松健太郎

映画『Fukushima 50』は2020年3月6日(金)から全国ロードショー

2011年3月11日午後2時46分、マグニチュード9.0、最大震度7という日本の観測史上最大となる地震が起こり、太平洋沿岸に押し寄せた巨大津波に飲み込まれた福島第一原発は全電源を喪失。

2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故で、未曾有の事態を防ごうと現場に留まり奮闘し続けた人々の知られざる姿を描いたヒューマンドラマである映画『Fukushima 50』。

電源がなくなり事故を防ごうと、当直長の伊崎利夫をはじめとする現場作業員や所長の吉田昌郎らが奮闘する姿を描いています。

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映画『Fukushima 50』の作品情報


(C)2020「Fukushima 50」製作委員会

【公開】
2020年(日本映画)

【監督】
若松節朗

【キャスト】
佐藤浩市、渡辺謙、吉岡秀隆、安田成美、緒形直人、平田満、萩原聖人、吉岡里帆、富田靖子、佐野史郎ほか

【作品概要】
原作は90人以上への独自取材と実名証言で綴られた渾身のノンフィクションで今まで知り得なかった原発事故の真実を描いた小説、門松隆将の『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫)。監督には『沈まぬ太陽』『空母いぶき』などの大作を手がけてきた若松節朗。また脚本を『空飛ぶタイヤ』『下町ロケット』の前川洋一、音楽を『あゝ、荒野』『空母いぶき』『新聞記者』の岩代太郎が務めています。

現場の最前線で指揮をとる伊崎に佐藤浩市、吉田所長に渡辺謙という日本映画界を代表する2人の俳優を筆頭に、吉岡秀隆、安田成美らオールスターキャストが集結しています。

映画『Fukushima 50』のあらすじとネタバレ


(C)2020「Fukushima 50」製作委員会

2011年3月11日14時46分東北地方太平洋沖地震が発生します。最大震度7、マグニチュード9.0を記録したこの地震は東北地方の太平洋側に巨大な津波東を与えることになります。

福島県の太平洋沿岸に位置している福島第一原子力発電所は巨大な津波の直撃を受けることで、稼働中の原子炉は外部電源を喪失、一時的に非常用電源からの電力供給に切り替えますが、津波の衝撃により非常用電源も喪失、炉心冷却機能を失います。

制御棒の挿入による原子炉の稼働は止まったものの崩壊熱が発生し続け、炉内の温度は上昇。核燃料は自らの熱で溶けだし、炉心溶融(メルトダウン)を起こしはじめます。この影響で原子炉建屋内部の圧力が急激に高まり、建屋が内側から崩壊する危険性が出てきます。

非常棟で対策本部長となった吉田昌郎所長は1~2号機の当直長の伊崎利夫から、危険な状況を聞かされ、ベント=排気操作を決意します。しかし、電源を全て喪失したため、高い濃度の放射能が充満する建屋に人間が入って、人力で行わなければいけませんでした。

以下、映画『Fukushima 50』ネタバレ・結末の記載がございます。映画『Fukushima 50』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2020「Fukushima 50」製作委員会

そこで伊崎は文字通りの決死隊を組織して、今までに一度も行われたことのないベントに挑みます。一方で大混乱の東京では首相官邸、原子力規制委員会、東京電力で対策が練られますが、現場との危機感の差に吉田所長は焦りと苛立ちを隠せません。

現場では、ベントを進めようとしても首相自身が現場を視察するため、対応するようにと言う指示が本社かやってきます。

原子炉の状況は刻一刻と深刻化し遂に水素爆発を起こしてしまいます。多くの負傷者も出したことで、吉田は独断で冷却作業を進めます。

原発周辺地域では住民の避難が進みます。その中には、原発で戦う職員たちの家族もいました。そして吉田所長は現場に残っていた関連企業の人間や事務方の人間を避難させる決断を下します。

福島原発の実情が世界中で報道される中、残った職員たちは“Fukushima50”と呼ばれ、称賛の声が集まるようになります。

2年後、吉田所長は食道癌でこの世を去ります。手紙を受けた伊崎は、この事故を忘れず伝え続けることを誓いました。

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映画『Fukushima 50』の感想と評価


(C)2020「Fukushima 50」製作委員会

本作は正確かつ大規模に再現されたセット、計器類まで全て再現された中央制御室、関係者も驚くほど瓜二つな緊急時対策室、自衛隊とアメリカ軍の協力など東日本大震災を忠実かつ高い再現度で描いた作品です。

東日本大震災が日本、特に福島県の方々に残した爪痕は深刻なものでしょう。そのためこの映画を鑑賞する上で時とともに癒えた傷が再び開いてしまう、その意味から鑑賞には“覚悟”と“勇気”が必要でした。

映画で描かれていることは震災の惨劇を知る人々全てに共通した悲しみと衝撃を再現しているため、非常に憂鬱な心持ちになります。しかし、そうであったとしても観なければならない作品でした。

もちろん劇映画なので、ドラマチックに展開していく場面は存在します。しかし基本的には実際に現場で起こっている問題や感情がリアリズム溢れる映像で描かれ、観ている者の感情を揺さぶります。

冒頭、異変を起こす海底から始まる東日本大震災の描写はニュースで報道された映像以上に苛烈な場面もあり、震災時にその場に居合わせたかと錯覚させます。そして衝撃的なシーンが続き、観客の自然への畏怖を掻き立てます。

そのため気軽に楽しんでくださいとは言えませんが、できることなら少しでも多くの人に観て欲しいですし、鑑賞した上で考えて欲しい作品です。そして震災から時間が経った“今”だからこそ、改めてあの悲劇を見つめ直すことで“これから”を歩むための足掛かりとして欲しい作品でもあります。

まとめ


(C)2020「Fukushima 50」製作委員会

2020年3月4日、日本外国特派員協会にて行われた作品記者会見。俳優の渡辺謙さん、若松節朗監督、製作代表の角川歴彦会長といった豪華な登壇者が揃った中で、同じく登壇された主演俳優・佐藤浩市さんは会見内で以下の言葉を述べられました。

当初は震災でもたらされた“痛み”も含め、被災された方々の思いを考えると「まだ映画化するのは早いのではないか」とも思っていました。
それでも実際に映画を作り、福島で試写会をさせていただいた時、現地の方に「ありがとう」と声をかけられた経験から、「震災と原発事故を描くには時期としてはまだ早かったのかもしれない」という思いの一方で「逆に言えばギリギリだったのかもしれない」と感じられるようにもなったんです。
人間は、“痛み”を薄め、忘れてゆくことで次にトライできる。ですが、“風化”だけはしてはいけない。それらをもう一度、自分たちで見直すという意味では、今回がギリギリのタイミングだったのかもしれない。
“痛み”を次の世代に語り継ぐためにも、“この時”に観てもらう。そういうことだと思います。(佐藤浩市)

また渡辺謙さんも、

一言で申し上げるのは難しい。この映画を作って、いよいよ公開という時にも「新型コロナウィルスの感染拡大」という社会情勢になりました。
ただ一ついえるのは、「我々は常に未来を予見できるわけではない」ということです。ですがある種、国難とも言える岐路に立たされた時に我々は何をチョイスして、何に向かっていくべきなのか。この映画を通して、そのヒントとなる何かを得られるのではないか。そういう意味でも非常に大事な検証材料でもありますし、未来に向かう大きなステップになる映画だと思っています。(渡辺謙)

と述べています。

『Fukushima50』が大変重いドラマであることは確かです。それと同時に作り手の覚悟と演じ手の勇気、未来へのステップとして希望も感じられる映画になっています。





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