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Entry 2020/04/09
Update

映画『シコふんじゃった。』あらすじネタバレと感想レビュー。コメディとして大学生相撲部の青春を周防正行監督が描く

  • Writer :
  • 星野しげみ

周防正行監督が描く相撲の世界
元シブガキ隊の本木雅弘が華麗なシコを踏む

『ファンシイダンス』(1989)で商業映画デビューした周防正行監督の2作目となる『シコふんじゃった。』

廃部寸前の大学相撲部に卒業のための単位と引き換えに入部する主人公を本木雅弘が演じ、マドンナ役を清水美沙が演じ、脇を固める柄本明や竹中直人、田口浩正らの演技にも注目です。

主人公が入部した相撲部は部員ただ一人というありさま。新入部員をかき集め、夏のリーグ戦に出場して一勝でも上げるために奮闘する大学生たちをコミカルに描いた異色相撲コメディ。

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映画『シコふんじゃった。』の作品情報


(C)1992KADOKAWA

【公開】
日本映画(1991年)

【脚本・監督】
周防正行

【キャスト】
本木雅弘、清水美沙、柄本明、竹中直人、田口浩正、松田勝、ロバート・ホフマン、梅本律子、宝井誠

【作品概要】

脚本・監督は『ファンシイダンス』の周防正行。ひょんな事から大学の相撲部に入ることになった大学生の奮闘をコミカルに描いた異色相撲コメディ。主演は元シブガキ隊の本木雅弘。肉体美をさらけ出してのまわし姿で、体当たりの相撲を取っています。
第35回ブルーリボン賞作品賞並びに第16回 日本アカデミー賞(1993年)最優秀作品賞受賞。そのアカデミー賞では監督・脚本賞を周防正行が受賞。主演男優賞は本木雅弘、助演男優賞は竹中直人がそれぞれ受賞。

映画『シコふんじゃった。』のあらすじとネタバレ


(C)1992KADOKAWA

キリスト教系の教立大学4年の山本秋平。ピアスをし、おしゃれで女子にモテる秋平は、父親のコネで就職も決まり、残りわずかな大学生活を思いっきりエンジョイしていたところ、卒論指導教授の穴山冬吉に呼び出されました。

穴山の授業に一度も出席したことのなかった秋平。穴山から「授業の単位はゼロ」と言われ、単位を与えるのと引き換えに、彼が顧問をしている相撲部の試合に出るよう頼まれます。

穴山はこの大学の学生相撲の横綱だったのです。単位欲しさに、相撲も良く知らない秋平は仕方なく引き受けてしまいました。

実際に相撲部へ行ってみてビックリ。現在の部員は8年生の青木富夫と、名誉マネージャーとして大学院生の川村夏子がいるのみ。青木は相撲を心から愛しているものの一度も試合に勝ったことがありません。

やがて秋平と同じようにひょんな理由で、恰幅いいクリスチャン田中と、秋平の弟・春雄が入部することになりました。

このメンバーで何とか団体戦に出場しましたがみごとに惨敗。

「相撲をバカにしているのか。こんな奴らに相撲なんか出来るはずがない」と怒り狂うOBたちと、一生懸命に部員たちを庇う穴山を見て、秋平は思わず「今度こそ勝ってやる!」と宣言します。こうして、一度きりの相撲試合のはずが、3カ月後のリーグ戦を目指すことになってしまいました。

夏子の采配でテレビ局がリーグ戦までの間の密着取材をすることになり、にわかに相撲部の周りが活気づいてきます。

メンバー集めのため、イギリスからの留学生スマイリーも加わりました。貧乏で下宿代にもことかく彼を相撲部の練習小屋に住まわせることで、スマイリーの入部を確保したのです。

けれども、人前でお尻をさらけ出すことを拒むスマイリーは、まわしの下にタイツをはく始末で先が思いやられます。さらに春雄に思いを寄せる体格の良過ぎる間宮正子がマネージャーとして入部し、相撲部は名門相撲部復活をかけて厳しい練習の毎日が続きます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『シコふんじゃった。』ネタバレ・結末の記載がございます。『シコふんじゃった。』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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夏になると穴山の田舎で合宿をすることになった相撲部。激しい練習があるとばかり思っていたのに、田舎の自然の中で、ただ食って寝ての毎日に、秋平は拍子抜けします。

しかし、それは練習ですっかり体力を消耗した部員たちの鋭気を養うための穴山の計らいでもあったのです。

そんな合宿のさなかに春雄は、夏子に思いを打ち明けますが、あっさりフラれてしまい、何処にも持って行けない怒りを相撲にぶつけていきます。

夏合宿の締めくくりは、相撲の練習試合。同じ地域で合宿をしていた北東学院に試合を申し込んで断られたとして、穴山が連れてきた相手は、地域のわんぱく相撲の選手たちでした。

「子供とやるの?」と驚く部員たちですが、このちびっこたちは相撲を長年やっているだけあって、やけに強かったのです。最初は5人とも負けていましたから。

2回目になると、それまで黙っていた穴山が一人ひとりにアドバイスをします。怒りに任せて突っ走る春雄には、最初に相手を驚かせて一呼吸間を置く「ねこだまし」の技を伝授。人一倍こわがりの田中には、眼鏡をはずしてめをつぶり、相手を見ないで突き進むことを教えるといった具合です。

穴山の的確なアドバイスのおかげで部員たちは、勝つコツと喜びを覚えました。そして合宿が終わって、いよいよリーグ戦の日を迎えました。

テレビ局スタッフからのお祝いとして、カラフルなまわしが用意され、試合相手はビックリ。まわしの色は規定にないのですが、スマイリーの履いているタイツはルーツ違反ということで、タイツを脱がない限りスマイリーは試合が出来ないことになりました。

お祝いのまわしに報いるような形で、秋平らは何とか勝ち進んでいきますが、やや苦戦気味。そんな中、やっと決勝まできますが、相手は強豪北東学院。不運にも春雄が試合中に腕を骨折してしまいました。

負ければあとがない状態で、スマイリーも彼らの奮闘する姿に圧倒され、ようやくタイツをはぎ取り試合に出場して勝利を収めることができました。

緊張すると下痢をする弱腰で一回も試合に勝ったことのない青木もなんとか勝ち、山本も気力で勝利。教立大学相撲部は3部リーグで優勝しました。

優勝の喜びにわく夜、部員たちは次の日にリーグ入れ替え戦があると聞かされます。3部リーグの優勝チームと2部リーグの最下位チームが来年の所属リーグをかけた試合です。勝敗によってリーグが入れ替わるのです。

穴山は負傷者の多い状態を見て棄権するつもりでしたが、部員たちはやりたいといいます。

試合に出れない負傷した春雄のかわりに、正子が「自分が出る」と名乗りあげます。秋平の友人も出るといってくれ、なんとか人数が揃って試合をすることになりました。

試合当日、正子は髪を相撲取り風に結い上げ、肋骨を折って包帯をしているような姿でまわしをしめ、土俵に上がりました。

女子とばれたら、当然試合には出れません。固唾をのんで見守る中の一戦。体格のいい正子は男子に決して負けてはいませんが、最後には力尽きてしまいました。

けれども、その功績はりっぱです。他の部員の励みになり、みな実力以上の力を発揮して勝利を呼び込みました。

試合後、部員たちはそれぞれの道を歩み、いつしか相撲を心から愛するようになった秋平は、ひとり相撲部に残る決意を固めるのでした。

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映画『シコふんじゃった。』感想と評価

この映画は、学生相撲を描いています。しかもどこかユニークなコメディタッチ。もとアイドルの本木を脱がせ、まわし一つの姿でスクリーンに登場させたのも驚きでした。意外と筋肉質な本木の体はさすがはスポーツ派としかいいようがありません。

本木のわきはベテランの俳優陣が固めていました。目立ったのは、竹中直人と榎本明。

相撲部一番の古株なのにここ一番の大勝負のときになると、緊張から決まって下痢になり、まわしの上からお尻を押さえて苦しそうにトイレに駆け込む青木。個性豊かに演じているのは竹中直人で、ベテランの味たっぷりのコミカルな演技が光ります。

そんな青木を仕方がない奴と温かなまなざしで見守るのは、顧問の穴山です。相撲部を残したいと考える穴山はあの手この手を尽くして、相撲部存続にかけます。一癖も二癖もありそうですが、実はとても優しいのです。こんな穴山を、榎本明がさらりと演じています。

さらに注目したのは、相撲取りのような体格の女子マネージャー、間宮正子です。代理の相撲部員としてひと肌脱ぎ、女性禁止の土俵へ男性として上がって相撲をとります。

女性なら力士の恰好をするのは恥ずかしいでしょうに、頑張って対戦相手を苦しめました。演じているのは梅本律子。肌と肌がぶつかり合い、どっぷりと組みあっても男性に一歩も引けを取らない試合っぷりに惚れ惚れします

こんなにもバラエティに富んだメンバーの弱小相撲部が強くなっていく物語……。若い女性が相撲に興味を持ち始めた時代に合うように、周防正行監督が作った映画といえるでしょう。

まとめ

映画『シコふんじゃった。』は今では周防正行監督の出世作ともいわれています。この作品でブルーリボン賞や日本アカデミー賞の作品賞を受賞したからかもしれません。

作品中には相撲を愛するがあまり、弱い相撲部員を罵倒する怖いOBが出てきたりと、先輩後輩のケジメがはっきりしたスポーツ界の姿も描かれていて、一見スポーツ根性もののようです。

しかし、登場人物の名前に春、夏、秋、冬を入れてみたり、意外などんでん返しもストーリーに含めたりと、周防監督ならではの遊び心がいっぱいの楽しい映画となっています。

相撲のルールや技の名前、楽しさまでも映画に盛り込んだ手法に、新たな周防ファンを得た作品といえるでしょう。

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