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Entry 2024/05/18
Update

『冗談じゃないよ』あらすじ感想と評価考察。俳優・海老沢七海自身の体験が生んだ“がむしゃらで応援したい主人公”

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

映画『冗談じゃないよ』が2024年5月24日(金)よりテアトル新宿他で全国順次公開!

夢を追う全ての人、かつて夢を追い求めていた人に送る映画『冗談じゃないよ』。

俳優・海老沢七海が30歳を迎える節目に「初の主演に挑み、代表作を残す」という目標を掲げ自身の経験を基に本作を企画。監督は『ハッピーエンディングス』(2021)など俳優としても活躍する⽇下⽟⺒です。

俳優の江田丈は、荷上げのアルバイトをしながらオーディションに参加しては落ち続けていました。それでも情に厚く真っ直ぐに生きてきました。

しかし、若手と同じ役を事務所が与えてくれたり、演技の熱意がから回ってしまったり。年齢を重ねるに連れて周りとの衝突も増えてきました。

理想と現実の狭間でもがく丈は、大切な恋人の変化に気づけず……。

映画『冗談じゃないよ』の作品情報


(C)映画「冗談じゃないよ」製作委員会

【日本公開】
2024年(日本映画)

【監督・脚本】
日下玉巳

【キャスト】
海老沢七海、太田将熙、辻、大橋未歩、日下玉巳、アベラヒデノブ、高橋雄祐、サンディー海、鈴木武、佐藤五郎、佐野岳、松浦祐也、竹下景子

【作品概要】
俳優・海老沢七海が30歳を迎える節目に「初の主演に挑み、代表作を残す」という目標を掲げ自身の経験を基に企画した本作。海老沢自身の経験が反映された江田丈のがむしゃらさ、現実と理想の狭間でもがく姿は、痛々しくも応援したくなるような熱情が伝わってきます。

監督・脚本、そして江田丈の恋人役で出演も果たした日下玉巳は『ハッピーエンディングス』(2021)など俳優としても活躍しています。

そして監督、俳優として活躍している『僕たちは変わらない朝を迎える』(2021)の高橋雄祐、お笑いコンビ「ニッポンの社長」の辻、『岬の兄妹』(2019)の松浦祐也などが出演しています。

映画『冗談じゃないよ』のあらすじ


(C)映画「冗談じゃないよ」製作委員会

売れない役者の江田丈は、荷上げのアルバイトをしながらオーディションを受けては落ち続ける日々を送っていました。

それでも、アルバイトの仲間とご飯に行ったり、家に帰れば同棲中の恋人がいる、それなりに満ち足りた生活でもありました。

情に厚い真っ直ぐな性格で、ただ真っ直ぐに突き進んできた丈でしたが、丈の真っ直ぐさに助かっている人もいる反面、その熱い性格から人と衝突することもありました。

理想と現実の狭間でもがく丈はすれ違い、周りと衝突することが増え、大切な恋人の変化にも気づけずに……。

映画『冗談じゃないよ』の感想と評価


(C)映画「冗談じゃないよ」製作委員会

俳優・海老沢七海が30歳を迎える節目に「初の主演に挑み、代表作を残す」という目標を掲げ企画された映画『冗談じゃないよ』。

本作の主人公はなかなかオーディションに受からない、売れない役者の江田丈。明るく、情に厚い性格で、オーディションにおいても相手に食ってかかるような熱い人間です。

そんな性格から、荷上げのアルバイトでも年下の上司にタメ口で話しかけられ、俳優について馬鹿にするようなことを言うと掴みかかってしまいます。

丈の熱さに同じアルバイト先の声優志望・池田伸雄や、オーディション会場で丈が声をかけた塩谷進は救われていましたが、彼らのように夢を追っているわけではない人々からは相手にされません。

俳優や声優の夢を追うことは“偉いこと”なのでしょうか、そう問われるとまた違います。夢は人それぞれで、夢を叶えた、夢を追っているから偉い、そうでない人は偉くないというわけでもありません

それでも人は丈のように、がむしゃらで頑張っている人を見るとどこか応援したくなる気持ちになるのではないでしょうか

それは、大人になるにつれてがむしゃらに何かを頑張るという機会は減ってきたり、折り合いをつけなければならない現実の狭間で葛藤することが増えるからでしょう。

葛藤しながらも丈のようにもがき、走り続けている人が眩しく見えるのです。同時に痛々しさ、青さも感じるかもしれません。

がむしゃらに頑張っていてもうまくいかず、ふとしたタイミングが転機になることもあります。不意に誰かに追い抜かれていくと焦りも強まります。

走り抜ける強さも痛々しさも全力で演じ切る海老沢七海の姿に、本作への並々ならぬ思いが伝わってきます。

実体験を基に描くひりついたリアリティはインディーズ映画の良さでもあります。そして、情けなくても足掻き続ける姿は人々の心を動かし、明日も頑張ろうと背中を押してくれるのです。

まとめ


(C)映画「冗談じゃないよ」製作委員会

売れない役者・丈の理想と現実の狭間で葛藤しながらもがむしゃらに走り続ける姿を描いた映画『冗談じゃないよ』。

本作は、夢追い人に捧ぐ青春映画であり、もがき続ける中で見えなくなってしまったもの、失ってしまったものも描いていると言えます。

タイトルの『冗談じゃないよ』の意味をどう捉えるか、それは人それぞれでしょう。がむしゃらな丈が眩しいと共に、かつての自分を重ねて頭を抱える人もいるかもしれません。そのような青くて痛い経験も、長い年月を経て振り返れば甘ずっぱい思い出に変わることもあるでしょう。

どうせ無理だと諦めずにもう少し頑張ってみよう、そんな明るい気持ちにさせてくれる映画です。

映画『冗談じゃないよ』は、2024年5月24日(金)よりテアトル新宿他で全国順次公開です。



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