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古舘佑太郎映画『アイムクレイジー』あらすじネタバレと感想。音楽を愛するゆえに苦悩する青年の成長物語

  • Writer :
  • 村松健太郎

映画『アイムクレイジー』は2019年8月24日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

人気バンド「2」のボーカル/ギターを務めながらも俳優としても活躍する古舘佑太郎が、音楽の道を諦めかけているミュージシャンの青年を熱演。

それが、工藤将亮監督の映画『アイムクレイジー』です。

森田芳光監督、行定勲監督、白石和彌監督と日本映画界を代表する巨匠たちの現場で活躍してきた工藤監督の長編デビュー作である本作。

韓国・プチョン(富川)国際ファンタスティック映画祭2018にてNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞するなど、すでに国際的な評価を得つつあります。

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映画『アイムクレイジー』の作品情報


(C)2017ザフール&スタッフ

【公開】
2019年(日本映画)

【監督】
工藤将亮

【脚本】
加藤結子、工藤将亮

【キャスト】
古館佑太郎、桜井ユキ、曽我部恵一、佐々木聖輝、中田絢千、田本清嵐、岩谷健司、人時

【作品概要】
森田芳光監督、行定勲監督、白石和彌監督など、日本映画界の巨匠たちの多くの作品で経験を積んできた工藤将亮監督の待望の長編デビュー作。

主演を務めたのは、『いちごの唄』などで知られ、人気バンド「2」のボーカル/ギターを務めながらも俳優としても活躍する古館佑太郎。劇中での演奏シーンでは彼の熱い演奏を見ることができます。

また共演者には、べテラン監督作品には欠かせない演技派女優である桜井ユキ、バンド「サニーデイ・サービス」のボーカル/ギターにして本作で映画初出演を果たした曽我部恵一が並びます。

本作は、プチョン国際ファンタスティック映画祭にてNETPAC賞(最優秀アジア監督賞)を受賞しました。

映画『アイムクレイジー』のあらすじとネタバレ


(C)2017ザフール&スタッフ

売れ線の音楽ばかりしか求められないことに絶望したミュージシャンの佑樹は、その日の夜のワンマンライブを最後に音楽を辞めようと思っていました。

ライブのリハーサル前にバイト先に向かう中、通りかかった渋谷タワーレコード前のヴィジョンには、かつての音楽仲間たちが人気歌手として歌っている姿が映っています。

思わず立ち止まってしまった佑樹は横断歩道上にも関わらず、ヴィジョンに映るかつての仲間の姿を見続けてしまいます。そこに車が入ってきて、佑樹と接触事故を起こしてしまいます。

車を運転していたのは作曲家の美智子。痛がりながらもバイト先とライブ会場に行かなくてはと言い張る佑樹をなだめ、すかして自分の車に押し込む美智子は、とりあえずバイト先に佑樹を連れて行きます。

車の中には美智子の息子である健吾が乗っていました。広汎性発達障害によって言語コミュニケーションができない彼に驚く佑樹ですが、美智子は普通の子供と変わらないと語ります。

佑樹のバイト先はレコードやピアノ、ギターのある音楽系の喫茶店。人当たりのいい店長は美智子や健吾を温かく迎えます。


(C)2017ザフール&スタッフ

仕事の電話を受けた美智子は、店の楽器を用いて即興で曲を演奏。店長もそれに加わり、店長に即されるように佑樹もギターを弾きます。

純粋に演奏を楽しむ佑樹の姿を見て、店長は「本当に今夜のライブで最後にするのか?」と聞いてきます。佑樹はやはり、音楽は辞めると言い張ります。

バイト先に佑樹を送り届け、即興で音楽を作って見せた美智子はいったん店を後にしますが、車が故障してしまい、仕事場はおろか、健吾を預けに行くこともできません。

事情を知った店長は健吾を預かることを提案。美智子はその言葉にも甘えます。そして健吾を預かることになりましたが、実際に面倒を見るのは佑樹の役目にされました。

仕方なくリハーサル現場に連れて行ったりしますが、健吾の障害に慣れていない佑樹は悪戦苦闘。しかもちょっと目を離したスキに健吾がいなくなってしまい、結局美智子が呼び出されることに。

ただ、佑樹は美智子と健吾との過ごした短い時間に何かを感じたのか、最後のライブ直前に新曲を作り出します。

かつての音楽仲間たちも訪れたライブ会場で、新曲を披露。

佑樹は思いのたけをぶちまけます。

以下、『アイムクレイジー』ネタバレ・結末の記載がございます。『アイムクレイジー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2017ザフール&スタッフ

ライブを終えた佑樹は店に戻ってきます。そこに美智子がやってきます。

遅い夕食をとることになった二人。会話の中で、健吾が離婚調停中の夫に連れていかれてしまったということを聞かされた佑樹は勢いに任せて、健吾を連れ戻そうと言い出します。

車もない中、佑樹は路上駐車中の中年男性を脅して車を奪おうとしますが、上手くいきません。けれども、二人の必死さを感じた男性はそのまま車を貸してくれます。

夫の家に乗り込んだ佑樹たち。夫は健吾をリビングに放りっぱなしして、女を連れ込んでいました。

あまりの行いに激高する、佑樹と美智子。乱闘の様相を呈してきましたが、それを車を貸してくれた男性が何とか止めて、4人で逃げ出します。

夜通し車を走らせた一行は朝になり、それぞれに別れと礼を交わしながら、離れていきます。

美智子は健吾と母子二人で仲良く帰っていきます。

佑樹はどこか音楽を続けるかどうかは真では決めていませんが、どこか吹っ切れたような顔をしていました。

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映画『アイムクレイジー』の感想と評価


(C)2017ザフール&スタッフ

古館佑太郎、趣里、寛一郎、新田真剣佑、眞栄田郷敦などなど、何度目かの二世若手俳優(中には三世もいますが)ブームが現在来ていると感じます。

古館佑太郎は苗字で分かるかもしれませんが、それでも彼らの演技を見ていると親とみなテイストが異なる演技を見せ続けます。親の影を消すという意図的な部分もあるかもしれませんが、どれもかなり野心的な作品選びをしています。

古館佑太郎も『いちごの唄』『アイムクレイジー』の二作品が連続で公開され、さらにミュージカル『とってもゴースト』も待機中。

どの作品でも全く異なるテイストの演技を見せてくれていて、一気に映画俳優としてブレイクしてきた印象があります。

ヒロインを演じた桜井ユキも、カッコいい(事実上の)シングルマザーを好演しています。

ドラマ「モンテクリスト伯」あたりから注目を浴び、2019年に入ってからは様々なドラマにひっぱりだこの人気女優となりつつあります。

映画作品でも『コンフィデンスマンJP』や『柴公園』、そして福山雅治、石田ひかりの共演で話題の『マチネの終わりに』にも出演しており、こちらも一気にステップアップの時になっています。

実はこの映画は2017年に撮影されていたので、今の二人のブレイクは後付けの要素だったのですが、結果として映画には大きなプラスに働きました。

現状の公開規模が少ないのが残念ですが、できればもっと広がってほしい一本です。

まとめ


(C)2017ザフール&スタッフ

古館佑太郎、桜井ユキのフレッシュな魅力が詰まった作品です。

上映時間が86分と短いのですが、それがかえって映画の余計な部分をなくしてシンプルですっきりとした作品に仕上がっています。

様々な今日的なテーマが複合的に重なり合っているのですが、変に重くならずに、それでいて薄口にならずに絶妙なバランスを見せます。

工藤監督は長編映画はこの『アイムクレイジー』が最初の一本ですが、多くの監督のもとで助監督を務めたり、ドラマの演出をしたりと経験は豊富なようで、一作目の長編映画と思えない完成度の高さを感じることができます。

映画『アイムクレイジー』は2019年8月24日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開!



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