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『パスト ライブス/再会』あらすじ感想と評価解説。セリーヌ・ソン監督の実体験を大人のラブストーリーに仕立てる|映画という星空を知るひとよ200

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第200回

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022)を生み出したA24と『パラサイト 半地下の家族』(2019)配給の韓国のCJ ENMが初の共同製作で贈る注目作『PAST LIVES』(原題)。

この作品がこのたび、邦題を『パスト ライブス/再会』として、2024年4月5日(金)からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開されることとなりました。

本作は、韓国からアメリカへ移住したノラと韓国在住のヘソンの物語です。移住によって離れ離れになった幼なじみの2人は12年後にオンラインで再会し、24年後の36歳の夏にはNYでリアルな再会を果たします。

子どもから大人へと成長した2人は、どんな気持ちで会うのでしょうか。甘酸っぱい大人のラブストーリーをご紹介します。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『パスト ライブス/再会』の作品情報


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【日本公開】
2024年(アメリカ、韓国合作映画)

【脚本・監督】
セリーヌ・ソン

【原題】
Past Lives

【キャスト】
グレタ・リー、ユ・テオ、ジョン・マガロ

【作品概要】
映画『パスト ライブス/再会』は、2023年・第73回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門出品。第96回アカデミー賞では作品賞、脚本賞にノミネートされました。

本作の監督は、これが長編映画監督デビュー作となるセリーヌ・ソン。12歳のときに家族とともに海外へ移住した自身の体験をもとにオリジナル脚本を執筆し、本作を手がけました。

主人公の一人・ノラ役はNetflixのドラマシリーズ「ロシアン・ドール 謎のタイムループ」や、『スパイダーマン スパイダーバース』(2018)で声優として活躍したグレタ・リー。もう一人の主人公・ヘソン役は『LETO -レト-』(2018)のユ・テオが務めました。

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022)など話題作を多くを生み出すA24と『パラサイト 半地下の家族』(2019)配給の韓国のCJ ENMが初の共同製作をした作品。

映画『パスト ライブス/再会』のあらすじ


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韓国・ソウルに暮らす12歳の少女ノラと少年ヘソン。

2人はお互いに恋心を抱いていましたが、ノラの一家がアメリカへ海外移住することになり離れ離れになってしまいます。

12年後24歳になり、ニューヨークとソウルでそれぞれの人生を歩んでいた2人は、オンラインで再会を果たします。

懐かしい昔話などに花も咲き、楽しい時間を共有しますが、お互いを想いながらもすれ違ってしまいます。

そしてまた12年の年月が経ちました。36歳となったノラは作家のアーサーと結婚していました。

ヘソンはそのことを知りながらも、ノラに会うためにニューヨークを訪れます。

24年ぶりにやっとめぐり逢えた2人の再会の7日間が始まりました。さて、2人が選ぶ運命とは……。

映画『パスト ライブス/再会』の感想と評価


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本作は、12歳・24歳・36歳という3つの時代で語られる幼なじみの男女のラブストーリーです。

まずは、12歳。ソウルで小学校時代を過ごすノラとヘソン。

勉強を競い合ったり一緒に帰ったりと、2人は仲の良い幼なじみです。お互いを異性として意識し出した頃、ノラは海外へ移住することとなります。

せめて好きな人とよい思い出を作ってあげようと、ノラの母親はヘソンを誘って一緒に公園へ出かけます。

大きなモニュメントの前で遊ぶノラとヘソン。一緒にいるだけで楽しいという、子どもらしい無邪気な笑顔がスクリーンいっぱいに映し出され、和やかな空気に包まれます。

このあと2人は離れ離れになり、12年後の24歳の時にオンラインで再会します。

そしてまた12年後の36歳の時に、ヘソンがノラに会いに渡米し、2人は直接会うことになるのですが……。

本作では、一組の男女の人生の移り変わりと恋心、そして“運命”を時代の流れとともに描き出しています

またその内容は、Netflixオリジナルドラマの『First Love 初恋』(2022)や映画『ちょっと思い出しただけ』(2021)などとも共通するものです。

「幼なじみ」は、友人以上恋人以下の微妙な存在です。再会のぎこちない瞬間が過ぎれば、あとは気ごころの知れた友人。昔話にも花が咲き、こんなに気持ちよく語られる相手はなかなかいないでしょう。ですが、リアルな現実が立ちはだかります。

お互いを失いたくない相手と思い、24年振りの再会を果たしたこの2人の行く末はどうなるのでしょうか。

甘酸っぱい大人のラブストーリーの結末にご期待ください。

まとめ


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子どもの頃の移住によって離れ離れになった男女の24年ぶりの再会を描く大人のラブストーリー『パスト ライブス/再会』をご紹介しました。

主役の2人を演じるグレタ・リーとユ・テオは、感情の移り変わりを丁寧に表現しました。歯がゆくじれったいすれ違いの思いや胸の奥底に潜む‟会いたい”気持ちもごく自然に伝わって来ます

過去を振り返れば、言葉のひとつひとつに後悔が生まれたり、自身の行為を反省したりと、胸がチクりと痛むことばかりかも知れません。ですが、‟過去”があってこその‟今”なのです。

結論の出し方はいろいろありますが、こんな恋愛があってもいいのではないか。大人になっても心に残る幼なじみの存在が羨ましくなる作品と言えるでしょう。

映画『パスト ライブス/再会』は、2024年4月5日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開

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星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。

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