短編映画『犬』が2024年2月16日(金)より下北沢K2にて公開
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭受賞作『彼女はひとり』(2018)の新鋭女性監督・中川奈月と『スウィート・ビター・キャンディ』(2021)の小川あんがタッグを組んだ、短編ホラー映画『犬』が2024年2月16日(金)より下北沢K2にて公開されます。
抑圧的な恋人と婚約したばかりのヒロインが、突然夜道で犬のような女に吠えられ、その女を忘れられなくなるさまを描く一作です。
鬱屈した現実世界に生きる主人公が見つけた新たな世界とはどのようなものだったのでしょうか。摩訶不思議な本作の魅力をご紹介します。
中川奈月監督のプロフィール
立教大学文学部を卒業後、ニューシネマワークショップへ入学し映画制作を開始。
その後は立教大学大学院映像身体学研究科へ入学し、修了作品として『彼女はひとり』を制作。東京藝術大学大学院で学びながらも2018年に現在の形へと完成させた同作は、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭にてSKIPシティアワードを受賞しました。
また東京藝術大学大学院映像研究科の実習内で制作した作品『投影』は、2018年のイラン・ファジル映画祭にてイースタンビスタ部門入選、終了作品『夜のそと』はニューヨークジャパンカッツ ネクストジェネレーション部門に入選しました。
映画『犬』の作品情報
【公開】
2024年(日本映画)
【監督・脚本】
中川奈月
【キャスト】
小川あん、磯田龍生、渡辺葵、鮎川桃果、桑原おさむ、松井彩葉、山下真実子、橋本拓也
【作品概要】
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭SKIPシティアワード受賞作『彼女はひとり』(2018)の新鋭・中川奈月のホラー短編映画。
ホラーショートフィルム作品集「NN4444」の4編のオムニバスの1編として公開されます。
婚約したばかりのヒロイン・楓が、犬のように吠える女と出会い、抑圧的な恋人が殴ったその女を忘れられなくなるさまを描きます。
楓を演じるのは『スウィート・ビター・キャンディ』(2021)『あいが、そいで、こい』(2019)の演技派、小川あん。ベルリン国際映画祭 フォーラム部門に出品映画された『石がある』(2022)や、ヴェネチア映画祭ベニス・デイズ部門に出品された『彼方のうた』(2024)など海外映画祭を中心に高い評価を受けています。
ミラノコレクションモデルを務めた俳優・磯田龍生、本作が映画デビュー作となる16歳の渡辺葵らが共演。
映画『犬』のあらすじ
抑圧的な恋人・米原と婚約したばかりの楓。
米原と夜道を歩いていた楓は、突然薄汚れた女から「ワン!」と犬のように吠えられます。カッとした米原は女を殴り倒し、楓の手をとって立ち去りました。
楓は吠えた女のことを忘れられなくなり…。
映画『犬』の感想と評価
まるで別次元に迷い込んだかのような不思議な作品です。
主人公の楓は、婚約したばかり。しかし、あまりにも抑圧的な恋人を前に、彼女は結婚に対して大きな不安と迷いを感じています。
ある夜のこと、恋人と歩いていた楓に向かって、薄汚れた女が突然犬のように吠えかかってきました。恋人は女を躊躇なく殴り倒します。
楓の脳裏には女の姿が焼き付き、忘れられなくなってしまいました。その後、楓は現実とも非現実ともわからない、エアポケットに落ちたかのような時間を彷徨います。
恐怖に満ちているのは、果たして犬女のいる異次元のような世界なのか、それとも自分を押さえつける婚約者との鬱屈した現実の日々なのか。
やがて、犬女のいる方の世界へと強烈に引きつけられていく楓。困り笑顔ばかりだった楓が、まったく異なる笑みを見せるようになり、物語は戦慄の時を迎えます。
心の襞を表すことに長けた実力派・小川あんが、楓の内面に起こるさざ波のような感情の変化を繊細に表現しています。
まとめ
新鋭監督・中川奈月が、ぶっ飛んだ面白いことをやりましょうと周囲に背中を押されて作り上げた、「大変おどろおどろしい作品」だと自賛する短編映画『犬』。
抑圧され続け、心の逃げ場を追い求める楓の苦しい思いを、小川あんが見事に演じています。
不条理な世界の恐怖をどうぞ堪能してください。
短編ホラー映画『犬』は2024年2月16日(金)より下北沢K2にて公開です。