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Entry 2022/10/15
Update

『カラダ探し』ネタバレ結末あらすじと感想考察の評価。赤い人との戦う6人の最後の運命は失敗すれば同じ日をループする命がけ⁈

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

深夜の学校で繰り広げられる、命を懸けた「カラダ探し」の行方は?

謎の少女の幽霊「赤い人」から逃げながら、深夜の学校に隠された、体の一部を探し揃えていく「カラダ探し」の恐怖を描いた、ホラー映画『カラダ探し』

「赤い人」の心霊的な恐怖に加え、「カラダ探し」に失敗すると、同じ日を繰り返す「タイムループ」が起きるSF要素を加えた本作は、ひと味違う恐怖を味わいながらも、実は王道の青春映画という変わり種の作品です。

橋本環奈を始め、注目の若手キャストが集結した、本作の魅力をご紹介します。

映画『カラダ探し』の作品情報


(C)2022「カラダ探し」製作委員会

【公開】
2022年映画(日本)

【原作】
ウェルザード

【監督】
羽住英一郎

【脚本】
土城温美

【キャスト】
橋本環奈、眞栄田郷敦、山本舞香、神尾楓珠、醍醐虎汰朗、横田真悠、柳俊太郎、西田尚美、柄本佑

【作品概要】
小説投稿サイト「エブリスタ」で話題を集め、2014年には漫画も発表された人気作品『カラダ探し』。

普段は接点の無いクラスメイト6人が、深夜の学校に隠された少女の体を探す「カラダ探し」に巻き込まれるホラー映画です。

主人公の明日香を『セーラー服と機関銃』(2016)で「日本アカデミー賞」新人俳優賞を受賞して以降、さまざまな話題作に出演している橋本環奈が演じています。

共演に『東京リベンジャーズ』(2021)などに出演し、注目されている眞栄田郷敦の他、山本舞香、神尾楓珠、醍醐虎汰朗、横田真悠ら若手キャストが集結しています。

監督は「海猿シリーズ」の羽住英一郎。

映画『カラダ探し』のあらすじとネタバレ


(C)2022「カラダ探し」製作委員会

7月5日の朝を迎えた、女子高生の森崎明日香。

明日香は、母親が作り過ぎたコロッケを大量に入れたお弁当を持ち、学校に通う途中で、猫がバスに轢かれる光景を目撃します。

明日香は、通っている高校でクラスメイトから無視をされ、辛い日々を送っていました。

同じクラスには、バスケ部のエースで女子からの人気が高い高広と、大人びた雰囲気を持つ留美子、学級委員長をやっている理恵、暗い性格から、クラスでいじめにあっている翔太がいますが、5人は全く接点がありません。

昼食の時間になり、一緒に食べる友達がいない明日香は、1人で教室の外に出て、改修工事中の礼拝堂の近くでお弁当を食べ始めます。

その時、明日香は近くにあった古い井戸から、血で染まった無数の不気味な手が出て来る幻覚を見てしまい、戸惑います。

教室に戻ろうとした明日香は、校舎の裏に猫の死体を埋めている、不気味な雰囲気の図書室の司書、八代と遭遇します。

八代が去った後、明日香の背後には不気味な少女の幽霊が立っており「私の体探して」という声が聞こえます。

明日香が振り返ると、少女の幽霊は消えていました。

その夜、明日香のスマホに不気味なLINEが届きます。

明日香は無視しますが、深夜0時を迎えた瞬間、明日香は学校の礼拝堂にいました。

高広、留美子、理恵、翔太も礼拝堂にいる他、登校拒否をしている篤史もいます。

翔太は「カラダ探し」に関して、何かを知っているようでしたが、篤史は「馬鹿馬鹿しい」と礼拝堂の外に出ます。

その直後、篤史は何者かに襲われ胴体を真っ二つにされます。

そして、明日香達の前に、血まみれの少女の幽霊「赤い人」が、不気味な笑顔を浮かべて立っていました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『カラダ探し』ネタバレ・結末の記載がございます。『カラダ探し』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2022「カラダ探し」製作委員会

明日香達は「赤い人」から逃げ出しますが、「赤い人」に追いつかれ次々に殺されてしまいます。

そして、最後に残った明日香も「赤い人」に殺されたところで、明日香は自分の部屋で目を覚まします。

明日香は、母親からコロッケが大量に入った弁当を渡され、猫がバスに轢かれる所を目撃し、同じ7月5日を繰り返していることに気付きます。

同じことに気付いた高広は、翔太に「カラダ探し」のことを聞きます。

「カラダ探し」は「深夜0時に始まる」「体を探せないと同じ日を繰り返す」ことは分かっていますが、他のことに関しては不明のままです。

その日の夜、2週目の「カラダ探し」が始まります。

次々にクラスメイトが犠牲になる中、明日香と高広は片腕を探し出します。

ですが、その直後に2人も「赤い人」の餌食になります。

「赤い人」に殺されても、同じ7月5日の朝に戻るだけなので、次第に明日香は「カラダ探し」を通して高広、留美子、理恵、翔太と仲良くなっていきます。

何度も「カラダ探し」を繰り返す中で、体のパーツは集まるようになっていました。

また、最初は非協力的だった篤史も、次第に心を開くようになり、6人は団結するようになります。

6人は昼間は一緒に遊びに行くようになり、高広と明日香が実は幼馴染だったことや、篤史が足の怪我でバスケを辞め、そこから登校拒否になったこと、そして明日香が「水泳大会」を休んだことで、全員に無視をされ始めたことなど、それぞれが抱えていた過去を打ち明けるようになります。

さらに、図書館で過去の新聞記事を探り「赤い人」が数年前に、バラバラ殺人の犠牲になった、少女の幽霊であることが分かります。

ついに「カラダ探し」は頭部を見つければ終了となりますが、学校内のどこを探しても頭部だけが見つかりません。

6人は、少女のバラバラ殺人が起きた屋敷を訪ね、ヒントを探します。

探索する中で、少女が生前大切にしていた「エミリー人形」が、壁の中から出て来ます。

その瞬間、屋敷内に少女の幽霊が出現したのと同時に「エミリー人形」が姿を消します。

その夜、6人は深夜の校内で、残された少女の頭部を探しますが、襲って来たのは「赤い人」と「エミリー人形」が融合した、新たな怪物でした。

その怪物に理恵が食べられてしまい、明日香も殺され、7月5日の朝に戻されます。

ですが、理恵の存在が消えており、高広は「怪物に食べられると存在が消える」と推測します。

さらに、明日香は「赤い人」と「エミリー人形」が融合した怪物の中に「最後の頭部が隠されている」と考えます。

明日香は「カラダ探し」について何かを知っている、八代のもとを訪ねます。

実は八代は、高校時代に「カラダ探し」をクリアしていました。ですが「カラダ探し」が終了すると、全員の記憶が消えることが分かります。

つまり「カラダ探し」が終われば、明日香はまた1人に戻ってしまうのです。

怪物と決着をつける為の、最後の「カラダ探し」の直前、高広は明日香に「お前のことは忘れない」と、制服のネクタイピンを渡します。

そして始まった、最後の「カラダ探し」。工具が揃っている実習室に、怪物を誘い出した明日香達は、怪物を鎖でつないで、動きを止めようとします。

ですが、その中で留美子、翔太、篤史が怪物の犠牲になります。

拘束した怪物に、高広がチェーンソーを持って飛び掛かり、怪物の頭部を切断します。すると、中から少女の頭部が出て来ます。

明日香と高広は、少女の頭部を持って、残りの体が置かれてある、礼拝堂に辿り着きますが、そこへ怪物が再び現れます。

高広が怪物の犠牲になりながらも、明日香は最後の頭部を体に置き「カラダ探し」をクリアします。

7月6日。

6人全員の記憶が無くなっており、これまでの日常を過ごすようになります。

ですが、日にちが迫っている「学園祭」の実行委員に、明日香と高広、留美子、理恵、翔太、篤史の6人がくじ引きで選ばれます。

実行委員の会議室がある、礼拝堂に向かう途中で、明日香は高広から渡されたネクタイピンを落とします。

そのネクタイピンを拾った高広は、記憶が戻り、明日香にネクタイピンを握らせます。

ネクタイピンを握った明日香は、笑顔になります。

映画『カラダ探し』感想と評価


(C)2022「カラダ探し」製作委員会

謎の幽霊「赤い人」に追いかけられながら、体の一部を探していく「カラダ探し」に巻き込まれた、6人の高校生が遭遇する恐怖を描いた『カラダ探し』

「赤い人」のビジュアルや、かなり強烈なホラー描写もある作品ですが、実は本作はホラーテイストの青春群像劇なんです。

序盤、中盤、終盤で、それぞれ作風も変化していき、終始飽きさせない工夫もされています。

『カラダ探し』を3部構成でご紹介します。

ホラー色の強い序盤


(C)2022「カラダ探し」製作委員会

『カラダ探し』の序盤では、強制的に集められた6人が、訳も分からないまま「赤い人」の餌食になっていくという、かなりホラー色が強いパートになっています

「赤い人」のビジュアルも、全身血まみれで、両目がへこんでいる為、大きく黒い穴が空いているという、なかなか強烈な見た目です。

この「赤い人」が、凄まじいスピードで追いかけて来ながら、襲いかかって来るだけでも怖いですが、「赤い人」は無敵状態で、抵抗する術が無く、それぞれの殺され方も、なかなか刺激が強い場面になっています。

また、作品の冒頭は、後に「赤い人」になる少女が、謎の殺人鬼に襲われる場面から始まるのですが、完全に80年代に数多く制作された、殺人鬼が襲ってくる「スラッシャー映画」のテイストになっています。

さらに「赤い人」が『エクソシスト』(1973)の有名な場面「スパイダーウォーク」を見せたり、「赤い人」に追いかけられた翔太が、わざわざロッカーの中に隠れるなど、名作ホラー映画へのオマージュも込められています。

序盤は、本作の中で一番ホラー色が強いのですが、かなりテンション高めで、オマージュやパロディも入った、ホラー好きならニヤリとしてしまう展開が続いていきます。

群像劇としての中盤


(C)2022「カラダ探し」製作委員会

序盤で、何度も「赤い人」に殺されながらも、理不尽な「カラダ探し」を続けさせられる6人。

ですが、殺されても同じ日の朝に戻るだけなので、それに気付いて以降、6人はゲームや部活感覚で「カラダ探し」を進めていきます

10代って、ポジティブでいいですね

この中盤では、序盤にあったホラー色はだいぶ薄れますが、代わりに6人の内面が描かれるパートになっています。

そもそも、この6人は普段は接点が無く「カラダ探し」を通して絆が深くなっていきます。

接点の無かった学生の間に、絆が生まれる青春ドラマと言えば『ブレックファスト・クラブ』(1985)が有名ですが、特別な状況を通して絆が生まれる展開は『ジュマンジ/ウェルカムトゥジャングル』(2017)に近いかもしれません。

『カラダ探し』では「何故?この6人が集まったか?」が1つの謎になりますが、実はそれぞれが、内面に孤独を抱えていたことが分かります。

普段は全く接点が無かったとしても、共通した悩みを抱えていたんですね。

さらに、それぞれが抱えていた孤独が「赤い人」を引き寄せたことも分かります。

この辺りから「カラダ探し」は、体の部分が次々に見つかり、どんどんクリアへ向けて進んで行きます。

1つ間違えると、同じことを繰り返す展開になりかねなかった、この中盤を、それぞれの内面にスポットをあて、スピーディーに物語を進めていった、この工夫は見事だと感じました。

最後の戦いを描いた終盤


(C)2022「カラダ探し」製作委員会

最初は理不尽に始まりながらも「カラダ探し」のルールや、6人が集まった理由が次々に判明していき、本作はクライマックスを迎えます。

そして終盤になると、これまで少女の姿をしていた「赤い人」が、突如怪物のような姿になり、怪物に食べられると存在が消えてしまいます

これまでは、殺されても同じ日に戻り、生き返るというルールがあった為、若干お気楽に進めていましたが、終盤は自身や友達の存在をかけた、緊迫した展開へと変わっていきます。

1人また1人と、怪物の餌食になる中、全員の犠牲を無駄にせず、想いを繋いだ明日香が、最後に「カラダ探し」を終わらせます。

終盤は、同じホラー映画でも『エイリアン』(1979)のような、クリーチャーが登場するホラー映画の作風になり、怪物と真っ向から対峙する明日香の、女性ヒロインとしての強さが堪能できる、なかなか痛快なパートとなっています。

そして「カラダ探し」を終わらせると、全員の記憶が無くなってしまい、6人は元の何の接点も無い関係に戻ります。

ですが、エンドロールで「学園祭」を成功させ、笑顔で写真に写る6人の姿が出て来るので、新たな絆が生まれた、ハッピーエンドなのかもしれませんね

まとめ


(C)2022「カラダ探し」製作委員会
『カラダ探し』は、エンドロール後も続きがあります

礼拝堂の近くにあった、井戸の中へと場面が変わり、「赤い人」になった少女が殺されたニュースを報じる新聞記事が、明日香が殺された記事に変化します。

これは原作にある「そもそも『カラダ探し』とは何なのか?」に関わる重要な部分を示唆しています。

本作の続編が制作されるか?は、現状分かりませんが「まだ、終わっていない」的なエンディングは、往年のホラー映画へのオマージュでしょう。

『カラダ探し』は、終始飽きさせない工夫が光る作品で、若干展開が駆け足のようにも感じもしますが、この内容を102分の上映時間にまとめたのも見事です。

橋本環奈、眞栄田郷敦など、若手の注目俳優の王道青春ドラマとしても楽しめる『カラダ探し』は、序盤が少し強烈ではありますが「ホラーが苦手」と敬遠している方にも、是非お勧めしたい作品です。




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