連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第191回
映画『ソウルメイト』は、ミン・ヨングン監督が2016年の『ソウルメイト 七月と安生』を韓国・済州島に舞台を移して新たに映画化した作品です。
幼い頃からの無二の親友だった2人の女性のすれ違いや絆を、切なくも温かく描いた友情物語。映画『ソウルメイト』は、2024年2月23日(金・祝)新宿ピカデリーほか全国公開です。
主役の一人ミソを演じるキム・ダミが、ミソの力強い生き方とハウンへの深い愛を美しく表現しています。
無二の親友・ミソとハウンの友情物語の映画『ソウルメイト』をご紹介します。
映画『ソウルメイト』の作品情報
【日本公開】
2024年(韓国映画)
【原題】
Soulmate
【監督】
ミン・ヨングン
【キャスト】
キム・ダミ、チョン・ソニ、ピョン・ウソク
【作品概要】
香港のデレク・ツァン監督が手がけた『ソウルメイト 七月と安生』(2016)を、韓国・済州島に舞台を移して新たに映画化された作品。
幼い頃からの無二の親友だったミソとハウン。ミン・ヨングン監督が、2人の少女が成長するにつれて体験するすれ違いや絆を、切なくも温かく描き出します。
ミソ役はドラマ『梨泰院クラス』(2020)や映画『The Witch 魔女』(2017)で知られるキム・ダミ。ハウン役はドラマ「ボーイフレンド」のチョン・ソニ。2人の関係に深く関わることになる青年ジヌを『20世紀のキミ』(2022)などのドラマで活躍するピョン・ウソクが演じます。
映画『ソウルメイト』のあらすじ
公募展で大賞に選ばれた一枚の作品。それは、作者・ハウンによる高校生のミソをモデルにした絵画でした。
ミソとハウンは、ミソがハウンのいる小学校に転校してきて以来の大親友です。
絵を勉強しながら世界中を旅したいという夢を抱く自由人のミソ。そんな彼女に憧れを抱きながらも堅実に生きることを願うハウン。
2人は、絵を描くのが大好きという共通点以外、性格も価値観も育ってきた環境も違っています。ですが、楽しい時もさみしい時もずっと一緒にいられるという、大切な存在でした。
そんな日々がずっと続くと思われたのですが、青年ジヌとの出会いをきっかけに2人の関係は急激に変化していきます。
互いのことを思い合いながらもすれ違い、やがて疎遠になって、16年がたちました。
ある日、ハウンはミソにある秘密を残し、こつ然と姿を消してしまいます。
映画『ソウルメイト』の感想と評価
映画『ソウルメイト』は、キム・ダミとチョン・ソニといった人気俳優が主役の2人を演じました。
絵を描くことが好きなミソとハウン。2人は性格も育った環境もまったく正反対ですが、お互いを大切に思う無二の親友です。
小学校で出会って以来16年、その友情は変わらないはずでしたが、ジヌとの出会いが運命を狂わせます。
友情と恋愛感情の2つの大きな感情が入り乱れ、ミソとハウンの仲がこじれていく様に、観ている方も心が痛みます。
注目したいのは、複雑な女性心理を豊かな表現力を駆使して、生き生きとした自由人‟ミソ”を創り上げたキム・ダミ。
ミソは、天真爛漫で自由奔放な反面、どこか掴みどころがないミステリアスな部分を持つ女性です。
複雑な家庭環境で育ち、一人で生きていくという強さを持ちながらも、その笑顔の裏には“深い悲しみ”を抱えて複雑なキャラクターなのです。
キム・ダミは、そんなミソを高校時代から30代まで巧みに演じわけました。役作りについては、感情表現の仕方や話し方は意識して変えたそうです。髪型やファッションでその時代のミソの生活環境がわかるようにも工夫されています。
また、2人が親友となるきっかけを作った子猫にも注目したいです。小学生の2人は道で子猫を保護します。
ハウンの家で飼われることになったその猫は、2人の成長と共に成長し、ハウンの家が映るたびにちょいちょいと顔を出します。
その愛らしい姿は、切なくも心温まる友情ストーリーに仕上がった本作の重要な隠し味と言えるでしょう。
まとめ
キム・ダミとチョン・ソニが主演する韓国映画『ソウルメイト』をご紹介しました。
タイトルとして使用されている「ソウルメイト」とは、「運命」として惹かれ合う人のことで、唯一無二の関係として深く結びつく存在のこと。
それは前世からのつながりであり、輪廻転生を繰り返してもその縁は消えないほど互いにとって重要なものだそうです。
本作では、ミソとハウンは疎遠になってもなおかつ2人のある秘密を守り抜こうとします。そこにあるのは、家族愛以上であり、恋愛感情ぬきの深い絆!
「ソウルメイト」と呼ぶにふさわしい2人の絆の深さとそれにまつわるストーリーに思わず涙が出ます。
映画『ソウルメイト』は、2024年2月23日(金・祝)新宿ピカデリーほか全国公開。
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。