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Entry 2021/03/29
Update

映画『仮面ライダー滅亡迅雷』ネタバレ感想と結末あらすじ。キャストが見せるゼロワンOthersの魅力解説|邦画特撮大全85

  • Writer :
  • 森谷秀

連載コラム「邦画特撮大全」第85章

今回の邦画特撮大全は『ゼロワンOthers:仮面ライダー滅亡迅雷』(2021)を紹介します。

2021年3月26日から期間限定で劇場公開されている『ゼロワンOthers:仮面ライダー滅亡迅雷』。

令和初の仮面ライダー作品『仮面ライダーゼロワン』(2019~2020)のスピンオフ作品で、テレビシリーズの放送中から人気を集めていた「滅亡迅雷net.」の4人を主人公にした作品です。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら

『ゼロワンOthers:仮面ライダー滅亡迅雷』の作品情報


(C)2021 石森プロ・ADK EM・バンダイ・東映ビデオ・東映 (C)2019 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

【公開】
2021年(日本映画)

【原作】
石ノ森章太郎

【脚本】
高橋悠也

【監督】
筧昌也

【音楽】
坂部剛

【キャスト】
中川大輔、砂川脩弥、山口大地、中山咲月、岡田龍太郎、鶴嶋乃愛、井桁弘恵、桜木那智、ジェイ・ウェスト、菅原健、鳴海唯、阿見201、桑畑享成、高橋文哉、相島一之

【作品概要】
令和初の仮面ライダー『仮面ライダーゼロワン』のスピンオフ作品。脚本は『仮面ライダーゼロワン』のテレビシリーズでメインライターを務めた高橋悠也が引き続き担当。

監督はドラマ『素敵な選TAXI』(2014)や映画『トラさん~僕が猫になったワケ~』の筧昌也。筧昌也は『仮面ライダーゼロワン』のテレビシリーズに脚本で参加し、35.5話で監督を担当していました。

キャストには中川大輔、砂川脩弥、山口大地、中山咲月の滅亡迅雷net.の4人に加え、高橋文哉や岡田龍太郎らTVシリーズの仮面ライダーたちが勢ぞろい。

ゲストキャラクターであるリオン=アークランド/仮面ライダーザイアには国内外の作品で活躍するジェイ・ウェスト、国防庁長官の大門寺茂には三谷幸喜作品をはじめ数多くのドラマ・映画に出演する相島一之の2人が演じています。

『ゼロワンOthers:仮面ライダー滅亡迅雷』のあらすじとネタバレ


(C)2021 石森プロ・ADK EM・バンダイ・東映ビデオ・東映 (C)2019 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

衛星アークの使者アズは、ZAIAエンタープライズのCEOリオン=アークランドから「大いなる悪意」を感知。アズはリオンに接触しゼロワンドライバーを授けます。

リオンは、新型衛星ウィアの打ち上げで飛電インテリジェンスの社長・飛電或人/仮面ライダーゼロワンが不在なのを狙って来日。

かつて人類滅亡を目指したヒューマギアの滅/仮面ライダー滅、迅/仮面ライダー迅の2人は、ゼロワンと共に人工衛星アークを打倒し、現在は世界の悪意を監視する立場で活動していました。

そんな2人の前にリオンが現れます。リオンは仮面ライダーサウザーに似た黒い仮面ライダー、「仮面ライダーザイア」に変身。

仮面ライダーザイアは仮面ライダーに変身した滅と迅の2人を圧倒し、迅をまんま拉致していきました。

滅と亡/仮面ライダー亡、雷/仮面ライダー雷、かつて滅亡迅雷.netが再集結し、さらわれた迅の救出にZAIAのビルへ向いました。3人がそこで目にしたのは、大量の兵士型ヒューマギア「ソルド」だったのです。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ゼロワンOthers:仮面ライダー滅亡迅雷』ネタバレ・結末の記載がございます。『ゼロワンOthers:仮面ライダー滅亡迅雷』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2021 石森プロ・ADK EM・バンダイ・東映ビデオ・東映 (C)2019 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

リオンの目的は意志を持たないソルドを大量に生産し、兵器として世界中に売ること。さらに迅はソルドのプロトタイプである「ソルド0」だったのです。

ソルドは「マスブレインシステム」という合議制の集合知能で管理運営されているため、シンギュラリティに達することはなく、滅や迅たちのように「心」を持つことはありません。

迅もマスブレインシステムに接続され、自由な意思を奪われてしまいました。

滅亡迅雷.netの4人はそれぞれ仮面ライダーに変身。リオンの変身する仮面ライダーザイアと彼が率いるソルドたちと戦います。
その最中、滅と亡、雷の3人もマスブレインシステムに接続してしまいます。4人の意志が

強くひとつに結ばれ、マスブレインシステムの合議制を覆しました。そして圧倒的な力を誇る仮面ライダー滅亡迅雷が誕生したのです。

しかし、これこそがリオンの真の目的だったのです。リオンはアークに代る人類の脅威=必要悪として仮面ライダー滅亡迅雷を生み出し、その対抗手段としてソルドを世界中に売ることを計画していたのです。

仮面ライダー滅亡迅雷の誕生したことで、リオンにとって用済みとなったアズは彼の手により破壊されてしまいました。

迅は自身がソルドのプロトタイプだという出自を知り、意志を奪われ戦争の道具にされようとしているソルドたちを解放したいと願います。

迅の亡、雷の3人はリオンと戦う決意をし、ZAIAエンタープライズに宣戦布告をします。

滅は人類と再び戦うことになることに反対し、当初3人とは行動を別にはしていました。

滅たちが滅亡迅雷net.が再び人類の敵となれば全力で阻止する、という不破諫/仮面ライダーバルカンの言葉を聞き、滅は迅たちと共に歩む道を選択します。

迅と滅、亡と雷の4人は仮面ライダー滅亡迅雷に変身。仮面ライダー滅亡迅雷はソルドたちをマスブレインシステムから解放します。

そして仮面ライダー滅亡迅雷と仮面ライダーザイアの一騎打ちとなり、圧倒的な力でザイアを倒しました。

戦闘中に現れた不破諫の声に耳を貸さず暴走を続ける仮面ライダー滅亡迅雷。仮面ライダー滅亡迅雷は迅たち4人のヒューマギアの本体をも破壊し、瓦礫の中で咆哮するのでした。

滅亡迅雷とZAIAの戦いを見てソルドを国防に導入するかを判断するという、国防庁長官・大門寺茂の意向により、刃唯阿/仮面ライダーバルキリーが隊長を務める対人工知能特務機関A.I.M.S. は今回出動していませんでした。

しかしZAIAのソルドが敗れたことにより、A.I.M.S.は人類の新たな脅威となった仮面ライダー滅亡迅雷に挑むことになるのでした……。


(C)2021 石森プロ・ADK EM・バンダイ・東映ビデオ・東映 (C)2019 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

『ゼロワンOthers:仮面ライダー滅亡迅雷』の感想と評価


(C)2021 石森プロ・ADK EM・バンダイ・東映ビデオ・東映 (C)2019 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

『仮面ライダーゼロワン』初のスピンオフ作品、『ゼロワンOthers:仮面ライダー滅亡迅雷』。

主人公に選ばれたのは人気キャラクター、迅/仮面ライダー迅、滅/仮面ライダー滅、亡/仮面ライダー亡、雷/仮面ライダー雷の滅亡迅雷net.の4人です。

2020年12月に公開された『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』に滅亡迅雷の4人は登場しますが、仮面ライダーに変身したのは迅と滅の2人だけ。

亡と雷はその劇中で仮面ライダーに変身しませんでした。滅亡迅雷net.の4人全員が仮面ライダーに変身した勇姿がスクリーンに映し出されるのは、本作『仮面ライダー滅亡迅雷』が初となるのです。

ここだけでも『ゼロワン』ファン、滅亡迅雷net.のファンには興奮ものでしょう。

例年の仮面ライダーシリーズのスピンオフ作品では、主人公に選ばれた仮面ライダーの新フォームが登場していました。

本作では新フォームではなく滅亡迅雷の4人がひとつになって変身する“仮面ライダー滅亡迅雷”が登場。

そのため単なる新ライダーの登場に終わらず、新たな仮面ライダーの登場自体が滅亡迅雷net.の4人の強固な意志の結びつきを表現する物語の中心要素となっていました。

本作『仮面ライダー滅亡迅雷』は、テレビシリーズ『仮面ライダーゼロワン』および『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』のその後を描いた作品です。

しかし人工衛星アークの名前の由来となったZAIAのCEOリオン=アークランドの登場や、なぜテレビシリーズで迅がZAIAによって復元されたかなど、テレビシリーズの設定を補完する側面もあり、『ゼロワン』のファンであればあるほど楽しめる作品となっています。

『仮面ライダー滅亡迅雷』は1時間弱ほどの上映時間ですが、各登場人物の思惑や野望が錯綜するサスペンスフルな作風で、その一方でアクションの見せ場もしっかりと用意された上質な娯楽作品となっています。

まとめ


(C)2021 石森プロ・ADK EM・バンダイ・東映ビデオ・東映 (C)2019 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

『仮面ライダーゼロワン』の人気キャラクター・滅亡迅雷net.の4人が初めて全員揃って劇場のスクリーンで勇姿を見せるスピンオフ『ゼロワンOthers:仮面ライダー滅亡迅雷』。

期間限定での劇場公開ですので、未見のファンは劇場へ急ぎましょう。

また2021年秋には更なる『仮面ライダーゼロワン』のスピンオフ、『ゼロワンOthers:仮面ライダーバルカン&バルキリー』の発表も決定。

まだまだ『仮面ライダーゼロワン』は終わりません。

次回の邦画特撮大全は…

次回の邦画特撮大全は日本で製作された歴代“キングコング”作品を紹介します。お楽しみに。

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