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Entry 2019/04/02
Update

映画『アンノウン・ボディーズ』あらすじネタバレと感想。原作者ジェフ・ヒーラールツの生みだした刑事物語|未体験ゾーンの映画たち2019見破録38

  • Writer :
  • 増田健

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2019見破録」第38回

今年もヒューマントラストシネマ渋谷で開催中の“劇場発の映画祭”「未体験ゾーンの映画たち2019」。

今回はヨーロピアン・ミステリー映画をご紹介します。

ベルギー作家のジェフ・ヒーラールツ原作のベストセラー・ミステリー小説を映画化。

次々と発見された6人の女性の全裸死体。それは連続猟奇殺人事件に発展します。フィンケ刑事の指揮で次第に捜査が進み、事件は国境を越え様々な人物が事件に関わってきます。

フレディ刑事は犯人から逃れたものの、そのショックで記憶を失った女リナを突破口に真相を暴こうと独自の捜査を行いますが、彼は思わぬ闇に迷い込みます。

第38回はサイコ・ミステリー映画『アンノウン・ボディーズ』を紹介いたします。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2019見破録』記事一覧はこちら

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映画『アンノウン・ボディーズ』の作品情報


(C)2017 EYEWORKS FILM &TV DRAMA – PHANTA FILM HTG VOF – ATLAS FILM – ZDF – één

【日本公開】
2019年(ベルギー映画)

【原題】
HET TWEEDE GELAAT 

【監督】
ヤン・フェルヘイエン

【キャスト】
ケーン・デ・ボーウ、ウェルナー・デスメット、マルセル・ヘンセマ、グレッグ・ティマーマンズ

【作品概要】
ベルギー警察のはみだし刑事フレディと、彼の上司である冷静沈着だか堅物の指揮官フィンケ。

2人が連続猟奇殺人犯を追う、アクションを交えたミステリー・サスペンス映画です。

この作品は映画『ザ・ヒットマン』『HITMAN X. 復讐の掟』と、同じ著者のミステリー小説を原作とする映画で、いずれの作品にもフレディ・フィンケ刑事が登場します。

フレディを演じるウェルナー・デスメットと、フィンケを演じるケーン・デ・ボーウは3作共出演、監督のヤン・フェルヘイエンは『HITMAN X. 復讐の掟』に続いてメガホンをとります。

ヒューマントラストシネマ渋谷とシネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2019」上映作品。

映画『アンノウン・ボディーズ』のあらすじとネタバレ


(C)2017 EYEWORKS FILM & TV DRAMA – PHANTA FILM HTG VOF – ATLAS FILM – ZDF – één

カリヨン(鐘楼の中に複数の鐘を並べ、音楽を演奏できるようにしたもの)の仕掛けが動き、大聖堂からその音が鳴り響く中、何者かが床に広がった血を清掃しています。

フレディ刑事(ウェルナー・デスメット)は、婦人から尋ね人のチラシを受け取ります。彼女は長らく失踪中の娘を探していました。

フレディは上司のフィンケ(ケーン・デ・ボーウ)の家を訪ねますが、約束していた日を間違っていました。それでもフィンケとその夫人エヴァは彼を温かく迎え入れます。

和やかな夜を過ごした2人に、早朝警察から連絡が入りフレディとフィンケは現場へと向かいます。ウサギ狩りに出た老人が、女性の全裸遺体を発見したのです。

恐らく犯人は老人に気付き、遺体をその場に残し逃げ去ったもの思われます。その遺体に首は無く全身の血が抜かれ、指の指紋は酸で焼かれた状態でした。

犯人を追うべく警察犬が追跡を開始しますが、犬たちは何かを見つけ次々に咆え始めます。発見現場の周囲にも、同様の遺体が埋められていたのです。

捜査の結果同じ様な状態の、6体の若い女性の遺体が発見されました。検死に運ばれた遺体を、失踪人のチラシを配っていた婦人が確認したいと申し出ます。

フレディとフィンケは婦人をなだめ丁重に断りますが、遺体の1つは彼女が伝えた娘の特徴と一致するものでした。

遺体は損傷した以外の場所に外傷は無く、現時点では死因は不明。そして一定期間冷凍されていたと判明します。

捜査の結果、徐々に被害者の身元が明らかになります。ある犠牲者は発見現場から40キロも離れた場所で失踪、捜査対象の行方不明者はベルギーだけで無くオランダまで広がります。

被害者の身体的特徴・職業に共通点は無く、捜査は難航が予想されます。フィンケはオランダのプロファイラーの、捜査への参加を要請します。

遺体発見現場近くで、新たな遺体発見の通報が入ります。フレディらが駆け付け、現地の警官と合流します。

通報された遺体は無く、通報者が見誤ったものと思われますが、周囲を捜索したフレディは裸身に工事用ベストを身に付けた女を発見します。

フレディは彼女を保護します。その女、リナは記憶を失っていました。彼女の身元を確認すると、警察に批判的な記事を書いた精神科医と判明します。

捜査チームにオランダのプロファイラー、アントン・ムルデル(マルセル・ヘンセマ)が加わります。フィンケは彼を自宅に宿泊させ、合同で捜査することにします。

フレディはムルデルの捜査手法に批判的で、チームの方針とは別に独自に捜査を開始します。

フレディはリナが犯人から逃れた被害者と考え、彼女と連れその足取りを調査します。リナの断片的な記憶から、犯人にさらわれる前にクラブ「ロキシー」に居たと推測します。

また遺体発見現場とリナの発見現場の間に、彼女が工事用ベストを手にしたと思われる場所も発見され、彼女と犯人のつながりが確認できました。

犯人の顔は見ていないというリナですが、穀物の臭いを覚えていると証言します。道筋に穀物倉庫があり、彼女はそこで犯人に襲われたと思われます。

フィンケのチームの捜査で、2011年から2013年の間にドイツのケルンで同様の事件が起きていたと判明します。

その時期以降にケルンからベルギーに移り住んだ者が、容疑者としてリストアップされました。

怪しい人物として暴力的なゲームを開発している会社のCEOのホイバーク、アメリカ大使館に働く外交官コーディらが浮かび上がってきます。

いずれの人物にも犯罪歴はありませんが、シリアルキラーにはよくある傾向だとアントンは分析し、チームは捜査を続けます。

一方フレディは、同僚のカシエ(グレッグ・ティマーマンズ)と共にリナが勤務する病院を訪れます。

フレディは、フィンケの了解を得ず持ち出した容疑者の写真をリナに見せます。その中で彼女が見た事があるかもと思った人物は、ホイバークでした。

フィンケはムルデルのプロファイルを無視して、勝手に捜査を進めるフレディを注意します。しかしフレディはその捜査方針に激しく反発し、リナの線から捜査を続けます。

その頃容疑者のコーディを監視していたフィンケの部下は、アメリカ大使館職員によって妨害されます。アメリカ大使館から、コーディを尾行するなと警告されます。

リナが出入りしたクラブ「ロキシー」に出入りする者の監視映像を調べたフレディは、怪しい人物を見つけそれをリナに示します。

リナは彼は犯人ではないと告げます。それは不安障害を抱えたリナの患者、パトリックでした。彼はリナの薬物治療に従い、社会に慣れるため彼女の指導でクラブに出入りしていました。

フィンケはアメリカ大使に面会すると、大使の娘の為にもコーディを捜査させて欲しいと訴えます。

一方病院でパトリックを世話するリナを姿を見たフレディは、彼女と患者との関係は距離が近く危ういと感じます。

フィンケのチームは容疑者の1人、ゲーム会社のCEOホイバークの行動記録と携帯の位置情報が、一致していないと気付きます。

徐々に容疑者をハイバークに絞ってゆくフィンケとムルデル。しかしリナの周囲に犯人がいると睨むフレディは、フィンケの自宅でムルデルに掴みかかってたしなめられます。

クラブ「ロキシー」を見張るフレディは、そこで踊るリナを見つけます。彼はクラブの外でリナを見守る事にします。

フレディに同僚カシエから、調査の結果ホイバークは所在不明な期間に、医療機関でリハビリを受けていたと判明したとの連絡が入ります。

「ロキシー」から自宅に向かうリナを護衛するフレディ。リナのアパートの前でフレディは何者かにハンマーで頭部を殴られ負傷し、リナの部屋で手当てを受けます。

フレディの傷跡をセクシーだと語るリナ。2人はキスを交わします。捜査中の事件の関係者との交流がバレると停職になると言うフレディに、私が黙っていれば大丈夫と応じるリナ。

こうして2人は関係を持ちます。その頃アパートの外では、女の乗ったスクーターの後をつける1台の車がありました。

フィンケたちの捜査チームは、ホイバークについて調査を進めます。背中を痛めた彼は治療で11回手術を受け、痛みを伴うリハビリを受けていました。

その結果ホイバークは周囲の視線を意識するあまり攻撃的になり、何年もの間その衝動を薬で抑えていたのです。

そしてホイバークの関わったリハビリセンターで、リナと接触の機会があったと確認できました。フレディの読みは誤りでは無かったのです。フィンケはリナに護衛が必要と判断します。

翌朝、フレディはリナ宅の洗面所でハンマーを見つけます。リナに問うと、それは昨日コーヒーメーカーの修理に来たパトリックの物との返事が返ってきます。

不安障害を持つパトリックは精神的な支えとして、ハンマーを肌身離さず持っていました。

リナの部屋に訪問者が現れ、フレディがドアを開けるとそこにはフィンケが立っていました。リナの保護に来た彼は、その様子からフレディがリナと関係を持ったと察します。

フィンケの示したリハビリセンターの写真に、リナとホイバークが共に写ったものがありました。リナの彼を見たことがあるとの記憶は正しかったのです。

リナの家を後にしたフレディとフィンケ。フィンケはフレディが彼女と関係を持った事を規則違反と指摘し、捜査判事に報告する義務があると告げ、フレディにレポートの提出を求めます。

そこに昨晩車につけられてたスクーターが放置され、乗っていた女性が行方不明になったとの報告が入ります。フィンケは直ちにホイバークの連行を決意します。

フィンケはホイバークを尋問しますが、彼は容疑を否定します。不明とされる行動は同僚のメンケンが証明出来ると説明します。

メンケンも事件のあったケルンからベルギーに移動していましたが、捜査対象の移住者リストに名前がありませんでした。ハイボークは釈放されます。

ムルデルはメンケンの経歴を調べ、彼こそ連続殺人犯のプロファイルにあてはまる人物だと判断します。

フィンケとムルデルはメンケンのアパートに向かいますが、管理人の話では彼は数週間不在で、部屋の鍵は取り換えられていました。

一方フレディはフィンケの指示を無視してリナのアパートを訪ねますが、そこでハンマーを手にした、挙動不審なパトリックを目撃します。

リナのアパートを訪ねていたパトリックは、治療薬の効果が切れた状態で攻撃的でした。フレディは身構えますが、リナになだめられたパトリックは落ち着きを取り戻します。

フレディから真犯人がいて、このアパートは危険だと聞かされたリナは、今後は職場である病院に泊まると彼に約束します。

捜査令状が用意され、メンケンの部屋に入るフィンケとムルデル。ホイバークの説明では、メンケンはゲーム開発の為、他人と交わらず1人で仕事をする事が多かったのです。

部屋には誰もいませんが、様々な銃や凶器などが保管されていました。そして画面に「ボタンを押せ」と表示されたパソコンがありました。

フィンケとムルデルは判断に悩みますが、ムルデルは画面のボタンをクリックします。するとパソコン上からフォルダが次々削除されていきます。

部屋から証拠品が押収されますが、メンケンの所在は不明です。アパートの管理人がマスコミに情報を漏らした結果、警察の意に反してメンケンは容疑者として報道されます。

しかしメンケンの部屋には生活の形跡が無く長期間不在であったと思われ、犯行や現在行方不明の被害者につながる証拠は見つけられません。

もう一人の容疑者、コーディを尾行していたフィンケの部下は、彼が女を乗せ車で移動する姿を目撃し報告します。

フィンケも駆け付けコーディを探した結果、女を追い争いとなっている彼の姿を見つけ、取り押さえます。

女はコーディの不倫相手でした。アメリカ大使館の警告の後も、自分を監視していたフィンケらの行動をコーディは抗議しますが、フィンケは彼の行動を責めて黙らせます。

警察署に残ったフレディの前に、報道を知り出頭したメンケンが現れます。彼は今まで2週間、世間から隔離されたフランスの修道院にいたのです。

フィンケも駆け付けますが、フレディは彼の供述は真実で、犯人はメンケンでないと確信します。彼は定期的に修道院を訪れ、心の安らぎを得ていました。

メンケンのアリバイは確認すれば証明できます。一方メンケンの行動を知りながら、警察に何も告げなかったホイバークが、改めて怪しく思われます。

犯人が野放しのハイボークであれば、リナの身は危険だとフレディは感じます。

翌日フレディは、捜査判事に会い釈明する事になっていました。その準備する彼にリナの電話から連絡が入ります。しかし相手はリナではなく、彼女の同僚のスザンヌでした。

スザンヌの連絡でリナの病院に向かったフレディは、その中庭に7本の棒が突き立てられているのを目撃します。その棒の先に6つの首が刺さっていました。

病院の関係者や患者、そしてパトリックは無惨な光景に衝撃を受けます。

リナの安全を確認したフレディ。しかし首の無い棒が1本あったのは、新たな犯行の予告でしょうか。

フレディはメンケンではなく、ホイバークが容疑者だとリナに告げ、安全な場所に身を隠すよう指示します。

以下、『アンノウン・ボディーズ』ネタバレ・結末の記載がございます。『アンノウン・ボディーズ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2017 EYEWORKS FILM & TV DRAMA – PHANTA FILM HTG VOF – ATLAS FILM – ZDF – één

リナの病院で起きた猟奇事件に立ち会ったため、捜査判事と面会出来なかったフレディは、明日同じ時間に出頭するよう指示されます。

その夜リナが身を隠した別荘を訪れるフレディ。彼はリナに薬物を勧められ、それを服用して関係を持ちます。

翌朝、フレディに警察から連絡が入ります。車の中で頭を銃で撃ち、自殺したホイバークの遺体が発見されたのです。フレディは直ちに現場に向かいます。

現場にはフィンケとムルデルもいました。車のトランクから行方不明の女性の遺体も見つかり、追い詰められたホイバークが自殺したと思われる状況でした。

今回の件で再度捜査判事との面会に遅れたフレディを、フィンケは部下に命じて出頭させます。

一方捜査で全て後手に回ったプロファイラーのムルデルは、自分の限界を悟りフィンケに退職の意志を伝えます。

その頃病院で動揺しているパトリックに、リナは全ては終わった、自由にしてあげると声をかけ慰めていました。

出頭したフレディですが、今は判事が不在で24時間待つよう指示されます。

警察では検死の結果がフィンケに伝えられます。ホイバークの遺体は銃を持った手の、袖口の汚れが不自然で、何者かが手を添えて撃ったと判明したのです。

また発見された6つの頭部の内、損傷の少ない3つを調べた処ハンマーで殴られ殺害されたものと思われます。

同僚のフレディからリナの患者、パトリックの言動を聞かされていたカシエは、フィンケに報告しパトリックの記録を調べます。するとドイツの現場付近で不審な行動が確認できました。

フィンケはリナの病院に向かい、パトリックの病室を訪れますが、そこには撲殺されたスザンヌの遺体が残され、パトリックの姿はありません。

そしてリナは病院にも別荘にもいません。警察はパトリックが真犯人で、リナを連れ逃亡したと判断します。

リナに宛てのボイスメールを確認したフィンケは、パトリックからのメッセージの背景に鳴り響く、大聖堂のカリヨンが奏でる鐘の音に気付きます。

フィンケと部下たちは大聖堂の付近を捜索します。それを知ったフレディも留置場から移動される際に看守の手を逃れ、現場に向かいます。

フィンケらの捜索に合流したフレディは、大聖堂の中を捜索します。鐘に近い階上の怪しげな一室を捜索したフレディは、冷蔵庫の中に閉じ込められたリナを救出します。

フレディに見つかったパトリックは、屋根を飛び移って逃亡を図ります。その後をフレディは必死に追います。

パトリックは精神安定剤の切れた状態で、周囲の市民を巻き込みながら逃げます。市場に逃げ込んだ彼は抵抗し刑事から銃を奪い発砲、市民が犠牲になります。

フレディとフィンケがパトリックを射殺し、ようやく騒ぎは収まりました。フレディは救急隊員に保護されたリナのもとに駆け寄ります。

フィンケは改めて、大聖堂の中の犯人のアジトを調べます。そしてリナの閉じ込められた冷蔵庫に、鍵がかかっていなかった事実に気付きます。

フィンケがリナを捜すと、彼女は救急車ではなくフレディの車で立ち去ったと知ります。フィンケは監視カメラの映像で2人の行方を追います。

フィンケはリナこそが犯人だと悟りました。最初の遺体が発見された時、遺体を処分しようとして目撃されたリナは、記憶を失った被害者を装って警察を欺いたのです。

職業柄警察の捜査手法に精通してたリナは、プロファイラーや警察を欺き、身代わりとなる容疑者を用意したのです。

しかしホイバークを自殺を装い殺害しても、捜査の手は緩みません。そこで治療と薬物で支配していたパトリックを犯人に仕立て上げ、再度自分は被害者を装ったのです。

リナの隠れた冷蔵庫の鍵は、フレディが持っていました。彼も鍵のかかっていない冷蔵庫に不審を抱いていたのです。

フレディは鍵を見せ、リナを問い詰めていきます。覚悟を決めたリナはフレディの握るハンドルを奪い、車をトレーラーに衝突させます。

事故現場に駆け付けるフィンケ。リナは死亡しており、フレディも大きく傷つき路上に倒れていました。

フレディに駆けよるフィンケ。声をかけるフィンケに、フレディは捜査判事に口添えしてくれるよなと、力なく笑って頼みました。

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映画『アンノウン・ボディーズ』の感想と評価

ベルギーの小説家ジェフ・ヒーラールツの生んだ刑事物語


(C)2017 EYEWORKS FILM & TV DRAMA – PHANTA FILM HTG VOF – ATLAS FILM – ZDF – één

本作はベルギー作家のジェフ・ヒーラールツが書き上げたミステリー小説を映画化したものです。

小説はまだ日本では翻訳されていませんが、フィンケとフレディのコンビが最初に登場する作品『De zaak Alzheimer』は1985年に書かれ、人気シリーズとなっています。

参考映像:『ザ・ヒットマン』(2008)

『De zaak Alzheimer』は2003年映画化、大阪ヨーロッパ映画祭2004で『アルツハイマー・ケース』の邦題で上映、その後『ザ・ヒットマン』の邦題で2008年DVD化されています。

この作品でケーン・デ・ボーウとウェルナー・デスメットはそれぞれフィンケとフレディを演じています。

参考映像:『HITMAN X.復讐の掟』(2010)

次いで2002年に書かれた『Dossier K.』は2009年映画化、日本では2010年『HITMAN X. 復讐の掟』のタイトルでDVD化されています。

この作品にもケーン・デ・ボーウとウェルナー・デスメットが出演、監督は『アンノウン・ボディーズ』と同じヤン・フェルヘイエンが務めています。

そして今回の作品が映画化されましたが、原作小説は1990年の『Double-face』。先に映画化された作品とは異なる、サイコミステリー仕立ての作品になっています。

説明不足な展開はシリーズ物ゆえ?


(C)2017 EYEWORKS FILM & TV DRAMA – PHANTA FILM HTG VOF – ATLAS FILM – ZDF – één

ところがヨーロッパの様々なミステリー小説が映画化される中、この映画に寄せられる感想は厳しい声が多いです。

上司に逆らい勝手気ままに動き、女性に対してガードが低く、結局犯人に翻弄されっぱなしのフレディ。彼の描写に割く時間が少ない為か、説得力ある人物像になっていません。

これはシリーズものゆえ、登場人物が観客にどんな性格であるか、広く知られていることを前提に描いた結果と考えれば納得できます。

またサイコミステリーの本作は、ショッキングな描写やベットシーンなど、かなり海外マーケットを意識した本格的な描写で描かれています。

クライマックスでは、ベルギーの観光名所=カリヨンやその周囲を舞台に、派手なアクションが繰り広げられます。

ところがこのシーンで、警察が相手にするのは真犯人でない人物。しかも巻き添えの犠牲者多数。シーン自体が取って付けた感もあり、フィンケや警察の行動もまた説得力に欠けます。

原作にこのシーンの描写があるのが不明ですが、人気シリーズを映画化するにあたりベルギーの名所を舞台に、派手な見せ場を用意したかった結果でしょう。

まとめ


(C)2017 EYEWORKS FILM & TV DRAMA – PHANTA FILM HTG VOF – ATLAS FILM – ZDF – één

ベルギーの刑事を主人公にした、隠れた人気シリーズの1作を映画化した作品が『アンノウン・ボディーズ』です。

シリーズ物の映画化ゆえの欠点もありましたが、ベルギーを舞台にハリウッドのミステリー映画に負けない作品を作ろうとする意志が、実に強く感じられる映画です。

警察の管轄をまたいだ犯罪捜査の困難は、多くの国の映画で描かれていますが、この映画の国境をまたいでの捜査協力やその描写は、ヨーロッパ映画ならではの描写です。

舞台となったベルギーに様々な風景や環境に注目すると、より面白く感じられる作品です。

またケーン・デ・ボーウとウェルナー・デスメットが気になった方は、この映画とは違った作風である、以前の映画を見て本作にない魅力を発見して下さい。

次回の「未体験ゾーンの映画たち2019見破録」は…


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次回の第39回は密林の守護者の活躍を描く、マレーシア発のヒーローアクション映画『トンビルオ! 密林覇王伝説』を紹介いたします。

お楽しみに。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2019見破録』記事一覧はこちら

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