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Entry 2023/11/23
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ホラー映画『NOCEBO ノセボ』あらすじ感想と評価解説。“ビバリウムのロルカン・フィネガン監督”の描いた「幸せの絶頂」にいた家族の怪異な恐怖

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『NOCEBO ノセボ』は2023年12月29日(金)より全国順次公開!

『ビバリウム』のロルカン・フィネガン監督によるホラー映画『NOCEBO ノセボ』。

幸せの絶頂にある一人の女性が遭遇した予想だにしない異変より、過去のしがらみにまつわる恐怖へと落ちていくさまを描きます。

フランスのエバ・グリーン、イギリスのマーク・ストロング、フィリピンのチャイ・フォナシエルと国際色豊かなキャスティングが存分に生かされ、社会的問題すら感じさせるホラー作品として作り上げられました。

映画『NOCEBO ノセボ』の作品情報


Copyright (C) Lovely Productions Limited / Wild Swim Films Limited MMXXII. All Rights Reserved.

【日本公開】
2023年(アイルランド・イギリス・フィリピン・アメリカ合作映画)

【英題】
Nocebo

【監督】
ロルカン・フィネガン

【脚本】
ギャレット・シャンリー

【キャスト】
エバ・グリーン、マーク・ストロング、チャイ・フォナシエル、ビリー・ガズドンほか

【作品概要】
幸せな家族で母親を務める女性が。ある日突然遭遇した奇妙な光景から奇妙な事態に見舞われる姿を描いたホラーストーリー。

『ビバリウム』に引き続きロルカン・フィネガン監督が脚本家のギャレット・シャンリーとタッグを組み作品を手がけました。

恐ろしい状況に見舞われていく主人公クリスティーン役には『007 カジノ・ロワイヤル』『約束の宇宙(そら)』エバ・グリーン。そして物語のキーとなる謎の乳母ダイアナを、フィリピン出身のシンガーソングライターで2017年の映画『リスペクト』にも出演したチャイ・フォナシエルが担当しました。

またクリスティーンの夫フェリックスには『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』、「キングスマン」シリーズのマーク・ストロングがキャスティングされています。

映画『NOCEBO ノセボ』のあらすじ


Copyright (C) Lovely Productions Limited / Wild Swim Films Limited MMXXII. All Rights Reserved.
アイルランド・ダブリン郊外で夫、娘とともに幸せな生活を送っていたファッションデザイナーのクリスティーン。

ある日彼女は仕事のふとした休憩中に、大量のダニに寄生された犬の幻影に襲われてしまい、その日以降たびたび筋肉の痙攣や記憶喪失、幻覚などを引き起こす原因不明の体調不良に悩まされ、仕事を休むことを余儀なくされてしまいます。

8カ月後、ようやく仕事への復帰の目途が見えてきたクリスティーンの前に、彼女を助けに来たというフィリピン人の乳母ダイアナが訪ねてきました。

最初は不審に思っていたクリスティーンですが、伝統的な民間療法で不調を取り除いてくれるダイアナを、彼女は徐々に信頼するようになっていきます。

それが予想だにしない結末に向かう恐怖の始まりとも知らないままに……。

映画『NOCEBO ノセボ』の感想と評価


Copyright (C) Lovely Productions Limited / Wild Swim Films Limited MMXXII. All Rights Reserved.

ロルカン・フィネガン監督は『ビバリウム』以前にも日本未発表の『FOXES』(2011)、『WITHOUT NAME』(2016)といった作品で脚本家のギャレット・シャンリーとタッグを組んでおり、その意味ではこのタッグならではの作風を本作でも打ち出している傾向が強いとみられます。

前作『ビバリウム』では謎の空間に閉じ込められたカップルが、異空間での奇妙な体験を経て驚愕のエンディングを迎えるという展開。

本作では主人公クリスティーンが謎の犬との出会い、さらに不思議な力を持った女性ダイアナとの体験を経て最後に思わぬ事実を知らされるという流れを汲んでおり、この「どんでん返し」と「怪しい体験を経る過程」という二つの特徴は『ビバリウム』と似た傾向が感じ取れます。

一方、本作で取り上げられているポイントには過去作『WITHOUT NAME』で描かれたテーマ性、メッセージ性を思わせるポイントも見えてきます。

『WITHOUT NAME』は、森林開発目的により古代の森に入り込んだ調査員の男性が、森の超常的な力により精神をむしばまれていくという物語。

クリスティーンはいきなり正体不明の病状に陥るというある意味不条理な経験を経ながら、最後にその問題の根源が自分にあるということに気づかされていきます。

冒頭でその全容は描かれませんが、物語が進んでいくなかで彼女の過去における問題との関与が明らかになり、結果的にある意味罰を受けるかのように恐怖の体験をするわけです。

物語中でクリスティーンが体験した恐怖はどちらかというと超常現象的な力によるものですが、どこか行き過ぎた行動により報復を受けるような状況は現実の世界にもあることを考えると、この物語自体には「怖さ」「不気味さ」のような感触にとどまらない「いたたまれなさ」のような空気感も覚えてきます。

物語の最後は1998年の映画『悪魔を憐れむ歌(原題:Fallen)』を思わせる、いわゆる「恐怖の連鎖」的な展開で幕を閉じます。これによりどこかスッキリしない、よい意味で「後味の悪さ」を感じるとともに、普遍的な問題に対するメッセージ性のようなものが感じ取られるでしょう。

まとめ


Copyright (C) Lovely Productions Limited / Wild Swim Films Limited MMXXII. All Rights Reserved.

主演を務めたエバ・グリーンは『約束の宇宙(そら)』『告白小説、その結末』『愛を複製する女』などで、シャープな美しさを醸す一方で、どこか裏があったり、人間の弱い部分をあらわにしてしまい禁断の行為に手を染めてしまったり、そんな「完ぺきではない女性」を様々に演じてきました。

本作でも一見幸せの家庭にありながら、過去に置き忘れた罪にさいなまれるという主人公を演じており、非常に彼女の特質にあった役を見事に演じきったといえるでしょう。

作品のタイトルである「NOCEBO」とは、いわゆる新薬の治験などに使われる偽薬(接種者の心理状況などによって「良い効果があった」と錯覚する効果が見込まれる、無害の薬品)とは反対の効果を生み出す「反偽薬」を指します。

物語中でこの「NOCEBO」が、果たしてどのような人、事象にあたるのか。そんなポイントを考えながら作品を眺めると、物語に込められたメッセージ性をさらに深く感じ取ることができるでしょう。
映画『NOCEBO ノセボ』は2023年12月29日(金)より全国順次公開!





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