Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

『カンダハル 突破せよ』あらすじ感想と評価解説。ジェラルド・バトラーが中東からの脱出を図る工作員を熱演|映画という星空を知るひとよ170

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第170回

映画ジャンル「アクション」の次なる進化を⽬指す、俳優ジェラルド・バトラー&リック・ローマン・ウォー監督の最強コンビによる新たな意欲作『カンダハル 突破せよ』。

これまで数々の危機を満⾝創痍で乗り越えてきた孤⾼のアクション俳優ジェラルド・バトラーが、今度は、敵地のド真ん中に取り残されたCIA⼯作員が繰り広げる孤⽴無援の脱出アクションに挑みます。

ジェラルド・バトラーが演じるのは、中東からの緊急脱出を余儀なくされる主⼈公トム・ハリス。死と隣り合わせの任務をも果敢に遂行するプロの潜⼊⼯作員で、彼を容赦なく追撃するさまざまな勢⼒とのドラマが展開します。

映画『カンダハル 突破せよ』は2023年10月20日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー!

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『カンダハル 突破せよ』の作品情報


(C)2022 COLLEAH PRODUCTIONS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

【日本公開】
2023年(イギリス映画)

【原題】
KANDAHAR

【監督】
リック・ローマン・ウォー

【キャスト】
ジェラルド・バトラー、ナヴィド・ネガーバン、アリ・ファザール、バハドール・フォラディ、トラヴィス・フィメル、ニーナ・トゥーサント=ホワイト

【作品概要】
本作『カンダハル 突破せよ』のストーリーは、元CIA・NSA局員のエドワード・スノーデンによる、2013年の内部告発・情報漏洩事件と、同時期にアメリカ国防情報局の職員としてアフガニスタンに赴任していたミッチェル・ラフォーチュンの実体験をベースにしたものです。

映画⽤脚本はラフォーチュン⾃⾝が書き下ろし、監督をつとめるのは、リック・ローマン・ウォー。現在進⾏形の複雑な中東情勢を踏まえたリアリティと、⼿に汗握るスリルとアクションを兼ね備えた堂々たるエンタテインメントとして完成しました。

リック・ローマン・ウォーは、主演を務めるジェラルド・バトラーとは『エンド・オブ・ステイツ』(2019)、『グリーンランド-地球最後の2 ⽇間-』(2020)に続く3度⽬のタッグとなります。

映画『カンダハル 突破せよ』のあらすじ


(C)2022 COLLEAH PRODUCTIONS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

イラン国内に潜入中のCIA工作員トム・ハリス(ジェラルド・バトラー)は、核開発施設の破壊工作に成功した直後、CIAの内部告発によって機密情報が漏洩し、全世界にその正体が明かされてしまいます。

トムは即座にミッションを中止。アフガニスタン⼈の通訳モハマドことモー(ナヴィド・ネガーバン)を伴い、中東からの脱出を図ります。

トムが目指すのは、アフガニスタン南部のカンダハルにあるCIA基地。30時間後に離陸する英国SAS連隊の飛行機に乗らなければ、生き残るチャンスはありません。

核開発施設を破壊されたイラン当局は、国家の威信をかけてトムの追撃を開始。イスラム⾰命防衛隊の精鋭集団・コッズ部隊のファルザド・アサディ⼤佐(バハドール・フォラディ)が先頭に⽴ち、着実にトムたちの⾜取りを追います。

⼀⽅、パキスタン軍統合情報局(ISI)も絶好の「⾦づる」になりうるトムの捕獲に乗り出し、野⼼溢れる若⼿エージェントのカヒル(アリ・ファザール)に「イランより先に捕らえろ」と命じます。

イランの精鋭集団・コッズ部隊、パキスタン軍統合情報局(ISI)に加え、タリバンの息がかかったゲリラ、金次第で敵にも味方にもなるウォーロード率いる武装集団など、人の命を何とも思わない狂暴な輩を抱える組織が絶好の「金づる」になりうるトムの捕獲に乗り出します。

さらに、トムの行く手にはさまざまな勢力が立ちはだかり、敵味方の入り乱れる壮絶な死闘へと追跡劇が始まります。

はたして執拗に襲いかかる敵の追跡をかわし、無事カンダハルに辿り着くことができるのでしょうか?

映画『カンダハル 突破せよ』の感想と評価


(C)2022 COLLEAH PRODUCTIONS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

映画『カンダハル 突破せよ』の主人公は、CIA工作員であるトム・ハリスです。トムは秘密のミッションを完遂すべくイラン国内に潜入中に、CIAの内部告発によって世界中にその正体が明かされてしまいます。

トムは命からがら中東の国からの脱出を試み、カンダハルにあるCIA基地から30時間後に離陸する英国SAS連隊の飛行機への搭乗を目指します。ですが、カンダハルまでの道中には、トムを捕まえようとするさまざまな敵が待ち構えていました。

追う者と追われる者。捕まれば命の保証はありません。トムの命がけの壮絶な戦いが始まります。

砂漠地帯に響く爆破音、凄まじい銃撃戦をはじめ、広大な砂漠が一瞬にして黒煙と炎に包まれるダイナミックな戦闘シーンは本作一番の見どころです。

また、トムを追うさまざまな勢力のエージェントたちの背景にもそれ相応のドラマがあり、一筋縄ではいかない中東の政治事情も匂わせています。

凄腕のプロの工作員というからには、トムは血も涙もない冷血人間のように思えますが、実はこのミッションを早く終えようとしているのには、ある理由がありました。それは愛娘の学校の卒業式に出席することでした。

娘への父親としての愛にあふれるトム。こんな優しい心を持つ工作員は、無駄な人殺しはしないのではないかと思えます。

トムの持つ娘への愛が、血なまぐさい争いが続く本作を心温まる作品に仕上げていると言えます。

まとめ


(C)2022 COLLEAH PRODUCTIONS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

ジェラルド・バトラー主演の『カンダハル 突破せよ』をご紹介しました。

中東からの緊急脱出を余儀なくされるCIA工作員トム・ハリス。過激な戦闘シーンもさることながら、彼を追撃する巨大勢⼒の「追う側」のドラマも⼤きな⾒どころとです。

各々の国家的政治事情の背景も見え隠れし、個性豊かな⼈間味を併せ持つ「追う側」のキャラクターたちによって、これまでのアクション作品にない‟人間の生き方”も表されています

本作は、3度目のタッグとなる俳優ジェラルド・バトラーとリック・ローマン・ウォー監督のコンビだからこそ出来た、至福のアクション映画と言えるでしょう。

映画『カンダハル 突破せよ』は2023年10月20日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー!

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。



関連記事

連載コラム

【スーパーナチュラルシーズン14】第6・7・8話ネタバレあらすじと感想。ドラマの見どころ解説も|海外ドラマ絞りたて6

連載コラム『海外ドラマ絞りたて』第6回 北米で2019年10月15日から放映開始となる『スーパーナチュラル』最終シーズン15。 このコラムでは引き続き1つ前のシーズン14を3話ずつ、あらすじをネタバレ …

連載コラム

どんでん返し映画『無明長夜の首無しの怪獣』感想考察。ウルトラセブンや怪奇大作戦などの往年の名作特撮ドラマを彷彿|邦画特撮大全68

連載コラム「邦画特撮大全」第68章 若手コント芸人「そんたくズ」のコンビ結成3周年記念コントライブが、2020年5月16日19時よりYou Tube内の「そんたくズコントチャンネル」にて生配信されます …

連載コラム

映画『母性』あらすじ感想と評価解説。永野芽郁と戸田恵梨香が気持ちのすれ違う“母娘”を演じる|TIFF東京国際映画祭2022-1

第35回東京国際映画祭『母性』 2022年にて35回目を迎える東京国際映画祭。コロナ感染症の影響も落ち着き、本格再始動を遂げた映画祭は2022年10月24日(月)に開会され、11月2日(水)まで開催さ …

連載コラム

細野辰興の連載小説 戯作評伝【スタニスラフスキー探偵団~日本俠客伝・外伝~】①

細野辰興の連載小説 戯作評伝【スタニスラフスキー探偵団~日本俠客伝・外伝~】(2018年12月下旬掲載) 【細野辰興の連載小説】『スタニスラフスキー探偵団~日本俠客伝・外伝~』の一覧はこちら CONT …

連載コラム

映画『メガスパイダー』ネタバレ感想と結末までのあらすじ解説。巨尻な女蜘蛛バスターズならグレッグ・グランバーグにお任せください【MEGASPIDER】|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー4

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第4回 深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信サービス【U-NEXT …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学