映画『海辺の恋人』は8月25日(金)より京都みなみ会館、9月23日(土)よりシアターセブン、9月24日(日)より元町映画館にてロードショー!
近年精力的に作品を発表し続けているいまおかしんじ監督が、自身の若い頃に経験したほろ苦い思い出を投影させて物語を描き上げたラブストーリー『海辺の恋人』。
夢を追いかけるカメラマンアシスタントの女性と大道芸を志す青年との出会い、そして恋と葛藤の日々を瑞々しい映像で描きます。
グラビアアイドルのフミカと若手個性派俳優の小林優斗がメインキャストを演じる一方、いまおか監督作品の常連でもある丸純子が友情出演、他にもベテラン、個性派が集い脇を固めています。
映画『海辺の恋人』の作品情報
【日本公開】
2023年(日本映画)
【監督】
いまおかしんじ
【脚本】
宍戸英紀
【キャスト】
フミカ(水草文花)、小林優斗、永岡佑、浜田学、大谷麻衣、しじみ、丸純子、古藤真彦、伊藤和哉、中嶌駿介、池田結々、明石ゆめか
【作品概要】
夢を追い自身の道に戸惑いながらも奮闘する男女の出会い、そしてその恋愛模様を描いたラブストーリー。
『神田川のふたり』『銀平町シネマブルース』『れいこいるか』のいまおかしんじ監督が作品を手がけました。
ヒロイン百合子役を『農家の嫁は、取り扱い注意!』に出演したフミカが担当、相手のシンジ役を『PとJK』『牛首村』などの小林優斗が演じました。
映画『海辺の恋人』のあらすじ
カメラマンを目指し、師事するプロカメラマンにハラスメントを受けながらも奮闘するカメラアシスタントの百合子。
ある日とある公園で撮影を行っている中で、彼女は売れない大道芸人シンジと出会い、二人はお互いの境遇に共感し恋に落ち、シンジは百合子の部屋に居候として一緒に暮らすようになります。
互いの夢を応援しながら寄り添って生きる二人でしたが、着実にキャリアアップしていく百合子に対し、シンジは先輩芸人に泣きつかれ大金を貸したのちに逃げられるなど大道芸に対してのモチベーションを徐々に失い、二人の関係は次第にギクシャクしていくのでした……。
映画『海辺の恋人』の感想と評価
夢追いかける男女が今に悩む中で出会い、恋に落ち、そしてさまざまな葛藤を繰り広げる物語。
本作はいまおかしんじ監督がこれまでも多く手がけてきたラブストーリー作品の流れを汲む定番的な物語ですが、特に自身の青春時代の経験をもとにしたことを公言しているだけあり、作品のカラーとしては監督自身の特色をより強く感じられる作品です。
また「ラブストーリー」である一方で、本作は「夢に悩む人間に贈る再生の物語」であるともいえるでしょう。
主人公の百合子は仕事以外において男性の気を引いたりと、仕事と関係ないことで足を引っ張られていることが悩みであり、その意味では「夢に向かい気持ちを真っ直ぐに貫く」女性。
一方で彼女と出会い恋に落ちる大道芸人・シンジは純粋に大道芸の道を突き進んでいるはずが、その道の険しさや同じ道を進む者たちの挫折する姿より、自身を疑い思い悩みます。
一見「似たもの同士の男女が惹かれ合う」という物語でありますが、実は全く対照的な二人が、恋という関係の中でぶつかり合い、ときに励まし高め合う物語であるわけです。
その意味では「人が志す道のりの厳しさ」、そしてその壁を乗り越える際によき人との出会いが大きなきっかけになることを、本作は示しているともいえるでしょう。
挫折からさまざまな人間模様を描いた作品としては、近年の作品では横山雄二監督作品の『愚か者のブルース』を彷彿するようなポイントもありますが、本作のカラーは淡くさわやかな雰囲気を醸しています。
自身の岐路にそれぞれが悩む姿は、実体験をベースとして描いているだけあって生々しくもありながら、タイトルにもある「海辺」の風景をうまく生かしたさわやかで瑞々しい画をうまく取り込み、すっきりとしたイメージを構築しています。
まさに「今に悩みながらも、夢に向かいもがき続ける人々」に強く響く作品であるといえるでしょう。
まとめ
また本作ではフミカ、小林優斗のそれぞれのキャラクター性が強い光を放っています。
主人公を演じるフミカは、端正なマスクと線の細いプロポーションで一見頼りない雰囲気を感じさせながら、実は芯が強い印象を持っています。出演作『農家の嫁は、取り扱い注意!』でも強い意志を持つ女性を演じた彼女だけあり、本作の百合子役はうまく合った配役といえるでしょう。
一方の小林優斗は、かつて初主演作『ワカラナイ WHERE ARE YOU?』で、作品を手がけた小林政広監督監督がその強烈な個性を見定められており、思い悩む姿を見えるシンジ役にピッタリのキャスティング。
メインキャスト二人のキャスティングは、その意味ではまさに当て書きされたようにうまくはまっており、文字通り物語のテーマを構成する屋台骨となっているのです。
映画『海辺の恋人』は8月25日(金)より京都みなみ会館、9月23日(土)よりシアターセブン、9月24日(日)より元町映画館にてロードショー!